概要
2006年公開の怪獣映画である『小さき勇者たち~ガメラ~』に敵怪獣として登場する、エリマキトカゲや恐竜を思わせる風貌の怪獣。
比較的変わり種が多いとされるガメラシリーズの怪獣では珍しい、オーソドックスな恐竜型の怪獣で、造形も今までのガメラ怪獣とは趣が異なる。
日本の恐竜型怪獣には珍しく、前傾の姿勢に比較的短い前腕という現実の獣脚類にアプローチがかった体型になっている。
当初は、昭和ガメラシリーズのバイラスを思わせる触手を持ち、全身が「特殊な核廃棄用食用バクテリア」でコーティングされ、「冷凍ミサイル」を克服して更なる耐性も手に入れた軟体怪獣として設定されたが、製作の途中で変更され現在の形に収まった。
『平成ガメラ造型写真集』によると、「怪獣」らしいデザインを提出したのは原口智生だけであり、他のデザイナーは皆MUTOにそっくりな物を描いていたとされる。
データ
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生態
首元にはエリマキトカゲの様なカラフルなフリルがあり、これを展開することで威嚇に使う。戦闘に直接機能しないボディパーツを持つという意味でも、非常に珍しく生物的とも言える。
尻尾が異様に長く、劇中では分かりにくいが全長は150mもある大型の怪獣であり、加えて歴代のガメラ怪獣でも、草体を除けばリバースジグラと並んで最重量級でもある。
陸上では肺呼吸、水中では背びれの付け根に存在するエラ呼吸に切り替えることができるという水陸両棲の性質を有し、成長速度も早く、わずか1日の間に二周りも巨大化している。
- 公式設定でも、ギャオスの目玉を啄んだ南の島の爬虫類が、一瞬の間に背びれが生えたとされている。
性質は極めて残忍で、好んで人肉を喰らう。
天晴れなほどに「悪役」に徹した怪獣の一体であり、ファミリー向けの映画でありながら、志摩の住民を追い詰めて食い殺すシーンは多数の観客のトラウマとなり物議をかもした。小説版の一つでは、舌先のそれぞれの突起で人間を突き刺し、一度に何人もの人間を舌先で「収集」して捕食するとされていた。
これといった特殊能力も光線技なども持たない地味な怪獣ではあるが、肉食恐竜型に恥じない強大な脚力が特徴で、200mもの距離を反動や助走なしで放物線上にジャンプしてビルからビルへと飛び移るなど凄まじい脚力と身軽さを誇り、さらに、100m以上もある巨躯を持ちながら高層ビルをヤモリのようによじ登ることもできるため、腕は小さいが腕力も強い。
いぼ状の皮膚は、ミサイルなどの攻撃を跳ね返しやすいという特性を持つ。
その身体能力は戦闘でも生かされ、強靭な足腰から「喧嘩キック」を繰り出す他、後ろの長い尻尾も武器になる。
そして口の中には「ハープーン舌」と呼ばれる総全長100mもの長大で強固な舌を持つ。この舌に血液を充満させる事で硬化させて勢いよく発射することで、鉄板を易々と貫くばかりか最終的に幼体とはいえガメラの甲羅を貫通するにまで威力が上がる。
- このような舌を、窒息を起こさずに体内に収めていられるのが不思議ではある。
ハープーン舌の先端や手足の爪に強酸性の溶解液の噴射線があり、これで攻撃力を増大させる。
- 劇中でガメラの甲羅を舌で貫通できたり、ガメラの掌を貫通した際にそこに煙が上がっていたのも、この溶解液によるものかもしれない。
また、設定上ではエリマキが極彩色に発光またはギラついて敵を威嚇し、眼が怪しく発光して獲物を恐怖で縛り付けるとされる。
なにより、ギャオスの肉片そのものに意思や呪いが宿っているとされ、ギャオスの肉片を食べて怪獣化したことにより、ギャオスの怨念のようなものに取り憑かれて、ギャオスに「命令」されてガメラへの憎悪と人間を喰らい尽くすという本能で突き動かされているという設定がある。
小説版
- 一瞬のうちに肩から巨大な翼が生えて飛ぶことも可能である。
- ジーダス自体も、更に成長してより強大な怪獣になっていた可能性が指摘されている。
- 平成ガメラシリーズのスーパーギャオスやギャオスハイパー同様に、雌雄同体である可能性が指摘されている。
- 昭和ギャオスと同様に、肉片や爪などが自力で活動する
ストーリー
誕生後は海を渡り、途中で漁船などを沈めてはその船員らを捕食していた。日本列島へ向かい、遂にガメラ(トト)のいる三重県の志摩に上陸し、街の人を喰らいながら破壊活動を開始する。そこに、10mほどに成長したトトが現れ、その体格差を生かしてトトを圧倒するも、自身の舌攻撃を逆手に取ったトトの火炎弾を受けて負傷し撤退に追い込まれる。
その後は、トトが運び込まれた愛知県の名古屋を襲撃し、政府の研究者の手で50mまで巨大化させられたトトと再戦した。まだ力不足なトトを容赦なく攻め立てて苦しめた。
しかし、トトが育ての親である相沢透を含む多くの子供達と共に運んできた「赤い結晶体」を取り込んでパワーアップを遂げると形勢が逆転し、飛行能力を発現させたトトの動きに翻弄された挙げ句、最期はトトの放った特殊な火球「トトインパクト」を浴びて頭部を吹き飛ばされて滅び去った。
余談
- 「目つきが悪い」「狂暴で子供の怪獣を狙って現れて苛める」「喧嘩キック」など、性格の悪さを思わせるキャラクター性がある。
- 角川社からの要請で劇中からは除外されたが、出自は1973年にアヴァンガメラの自爆により爆散したオリジナルギャオスの肉片が海に流れて南方の島に漂着し、それを摂取した陸上凄の爬虫類が水陸両用に適応化&怪獣化したものであるとされる。
- 名前の由来は、後述のジラースへのオマージュと、「G-Dust」つまり「ギャオスから出たゴミ」や「ガメラの遺した者」という負の遺産的なニュアンスの意味合いを掛けている。このため、当作品のギャオスは「オリジナルギャオス」と呼ばれている。
- ちなみに、名前の由来を「舌を出す」や「舌足らず」と予想していたファンもいる。
- 昭和ギャオスとギャオスハイパーにも、爪から毒液を出すという設定がある。
- 当初、舌が伸びる怪獣ということで「バルゴンの復活ではないか」と話題になった。また、コンセプトの時点ではたくさんの触手を持つイカ型の怪獣として話が進んでいた。
- 断末魔の爆発シーンは、実際にジーダスの着ぐるみを爆破するという一発勝負の撮影が行われている。このため、ジーダスのスーツは現存せず、イベントなどにも登場しない。
- 続編が作られた場合はジーダス以外にも「ギャオスの遺産」とする怪獣が出てきたと思われ、一部小説では昭和怪獣全員を「G-〇〇」などという形で出演させていた。その際は、初戦では打倒ガメラを目的とした輩が集まっただけのカオスな乱戦状態だったが、次戦ではジーダスが指揮官となっていた。
他の作品との関連性
- 「海魔獣」という二つ名は、『大怪獣ガメラ』の最初の原型であった『大海魔ダコラ』と類似しており、どちらも頭足類の怪獣が原型であった。
- 名前と見た目のモチーフは『ウルトラマン』に登場する怪獣のジラースである。
- 意図的に東宝怪獣らしさを目指したデザインがされた事は制作陣が明かしており、ジラースは言わずもがな、他にもゴロザウルスを軸に、バランやバルゴン、エメリッヒ版ゴジラなどの要素を組み合わせて行ったとされる。
- 水中呼吸ができる点も、昭和ゴジラやレジェゴジなど、ジラースのそっくりさんを思わせる。
- 『小さき勇者たち』は東宝がKADOKAWAによる『ゴジラVSガメラ』の2002年のオファーを断ったことと、東宝が『ファイナルウォーズ』をもってゴジラ作品の製作を休止した(大映の倒産以降はガメラシリーズはゴジラシリーズとの競合を可能な限り避けてきたことが判明している)ため、エメゴジやジラースの特徴を取り入れるなどゴジラを意識していたことは確実である。本作のラストも未制作に終わった『GODZILLA2』と類似しており、主役怪獣を一般市民が軍隊から盾になって守るという描写が共通している。
- トトとの敵対関係は、ミニラとガバラ、ダイゴロウとゴリアス、といった他の作品における怪獣同士の敵対関係を思わせる要素が強い。
- ジーダスのスーツアクターは、金子修介など平成ガメラシリーズの監督とスタッフが手がけた『GMK』のゴジラ役のスーツアクターでもあった吉田瑞穂氏である(参照)。
- 上記の通り、ジーダスのデザインは当初はMUTOにそっくりだったとされている。
登場作品
- 『小さき勇者たち~ガメラ~』(2006年)
- 小説版『小さき勇者たち~ガメラ~』(2006年)
- 『ともだち』(2006年)
- 『HARD-LINK』(2006年)
- 『CR GAMERA THE BATTLE PACHINKO』
関連イラスト
関連タグ
エスギャオス:ジーダスの構図を大きく受け継いでいる。
ギャオス幼虫、イリス、アルビノギャオス、水棲型ギャオス、ネオ・ギャオス、ギャオス3、バイオニック・ギャオス、ギャオスマン、ギャオスアルマジロ、ギャオスドッグ、ギャオスレイ、ギャオスソルジャー(A型、G型)、パワードギャオス:ギャオス系怪獣の例。
バルゴン・バイラス・ギロン・ジャイガー・ジグラ:小説版での仲間。バルゴンとバイラスは、企画段階も含まればジーダスとの類似性が見られる。
MECHAGODZILLA(モンスターバース):主役怪獣の宿敵の生体情報と怨念を受け継いでいる怪獣の例。モンスターバースシリーズと平成ガメラシリーズおよび『GMK』の類似点は、金子修介自ら認めている。