データ
概要
『小さき勇者たち~GAMERA~』に登場したギャオスの呼称。
体色はこれまでと異なり青に近い。翼には皮膜がなく、腕の爪が2本、舌は二又になっている。歴代と比べてもとくにプロポーションに対する翼の比率が大きいため、より飛行に適したデザインと言える。
歴代よりも大幅に小柄だが、体重は500tと(本作のガメラと同様に)過去作よりも大幅に増加している。成体のギャオスがガメラよりも身長が小柄だと明確にされたのは、このギャオスが初めてである。
また、ガメラを捕食対象とみなしたのも歴代で唯一の特徴であり、映画版でもアヴァンガメラの喉や首の肉を食い破っている。
(あくまでもイメージ)
2つの小説版や『HARD LINK』では、全体的に超音波メスの威力が強調されており、
- ガメラの甲羅も易々と貫く
- 口から複数の光線を同時発射する
- ガメラの下顎を切り落とす
など、歴代でもかなり強力な描写がされていた。
設定
以下、映画の他、2つの小説版や『HARD LINK』などの関連作品の設定を含める。
1973年にギャオスの群れが日本中に多大な被害を与え、自衛隊の総戦力の17%が失われたとされる。全体で何体出現したのかは不明だが、4体が志摩・大王崎にてアヴァンガメラと交戦し、最後はガメラの自爆をもって殲滅された。
- 『HARD LINK』では、海からガメラが接近するのを察知して海上で交戦していた。
その後、政府による10万人を動員した10年もの大規模作戦により、6万点以上のギャオスのサンプルが回収された一方で、ガメラの痕跡は何一つ発見されなかった。
その後、33年間にわたって『巨大生物対策審議会』が維持されたが、怪獣同士の生態系どころか怪獣の出現が確認されなかったために、予算もつかず解体される段階にあったのが、映画での時系列につながる。
なお、世界中の有力な科学者たちが集結して、大量のスーパーコンピューターを使って、疑似的な世界を構築するなど、ガメラの遺伝子の解析と再現を行う10年間の巨大プロジェクトが同時進行されていた。そして、ガメラの遺伝子はギャオスの遺伝子を破壊する効能を持つと解明されている。
- このプロジェクトに参加した科学者の一人は、99%の正確性で複製に成功したガメラのDNAの様相を見て非常にショックを受け、なんと自殺をしてしまったとされている。
しかし、世界各地に散らばったギャオスの肉片を摂取した数々の生物が怪獣化し、映画に登場したジーダスだけでなく、小説版では G-ジャイガー、G-ジグラ、G-ギロン、G-バイラス、G-バルゴンが現れた。当初はトトを倒すためだけに集結したので、互いを攻撃するなど烏合の衆とも言える様な場面があったが、最終決戦の際にはジーダスによって統率されていた。
- 他にも、該当小説ではギャオス細胞を使って宇宙ギャオスとジャイガー幼体も人為的に培養されていたとされる。
- 興行の不振によって『小さき勇者たち』の続編は頓挫したが、もし実現していれば、他にも「ギャオスの遺産」が登場したかもしれない。実際に映画のパンフレットでは、ジーダス以外にも同様に怪獣化した存在がいたと明記されている。
また、公式の図解や小説版によれば、死してなおガメラへの深い恨みと人間を滅ぼすという目標を細胞または魂のレベルで遺しており、それがこのギャオスの因子を取り込んだジーダスを焚きつける原因ともなっていた(ジーダスはギャオスの意思に命令されていると明記されている)。
余談
- 名前の由来は、「ジーダスのオリジナルになったギャオス」である。ジーダスの名前も、単にジラースへのオマージュというだけでなく、「G-Dust」つまり「ギャオスが遺したゴミ」という負の遺産を意味していると考えられる。
- ギャオスのDNAが様々な怪獣を生み出すというのは、『ガメラ2000』やダークホースコミックス版などでも描写されてきた。
- 歴代よりも体重以外は際立って小型であるが、大きさの設定はトト(アヴァンガメラ)と同様に「小中ガメラ」の設定を意識していると思われる。一方で、「小中ガメラ」ではギャオスも「とある古代文明の守護神」とされて、ガメラ同様に卵上の遺物から復活するという内容だったが、こちらは平成三部作の意匠が強くなっている。
- 一方で、「小中ガメラ」のギャオスの設定の一部を『GAMERA-Rebirth-』のリバースギャオスが受け継いでいる。
- デザインや、火球で撃墜されて顔面崩壊しながらも生きている描写などは『ガメラ3』に登場したギャオスハイパーを思わせる一方で、こちらのギャオスも不気味さでは負けていない。
- 肉片や怨念が他の生物を怪獣化させたり、ガメラの肉を啄んだという点も含めて、ギャオスのテーマである「吸血蝙蝠」や「バンパイア」などを彷彿させる不気味な印象は歴代でも際立っており、このギャオスのファンも少なくない。
- 超音波メスの発射シーンがクローズアップされなかったり、大型の個体でもガメラより小柄であったり、(関連作品を含めれば)ガメラに踏み潰されて絶命する場面があるというのは、2015年の記念映像でも踏襲された特徴である。
- 昭和ギャオスや平成三部作のいくつかの案を意識してか、オリジナルギャオスも伊勢湾の周辺に出現したことになる。とくに群れで出現するのは、『ガメラ大怪獣空中決戦』や『ガメラ3』の没案と類似しており、前者では志摩の上空でガメラとスーパーギャオス2体が戦う予定で、後者では伊良湖岬の近辺でガメラとギャオスハイパーの小さな群れが戦う予定だった。