データ
概要
1973年に出現したガメラ。その詳細は殆どが不明(トトとの関係は後述部分を参照)。
全高35m、全長55mと昭和ガメラに配慮したのか(60mを超えないなど)、ガメラ族では小柄な方だが、歴代でもかなりマッシブな体躯であり、名古屋戦時のトトと対格差は小さいが、体重が大きく増加している(1200tと文句なしの歴代最重量級)。
- 徳間ガメラの10倍になっており、リバースガメラが昭和ガメラから体重が10倍に増加している点と類似性がある。
- 小説版の一つでは、該当小説のトトと映画のトトの大きさが同じ(体高30m)である事が描写されている一方で、小説のアヴァンガメラはトトよりも明確に大きかった事が描写されている。
全体としてトトに似ているが、強面で体は岩のように刺々しくゴツゴツしている。
頭部は丸みを帯びているが、顎は嘴のように微妙に反り返っているのが特徴で、腕と足には無数の突起が並んでいる。
生態
「巨大生物審議委員会」が挙げた、ガメラが通常の生物と違うとされる点は以下である。
- 生物の常識を逸脱した能力
- 圧倒的な巨体
- 栄養摂取の方法
- 自らの命を懸ける種を超えた利他行動
- 現実ではザトウクジラなどで顕著に見られる
- 小説版の一つでは、人間たちが山に逃げられる様に敢えて火球を使わずに体当たりでギャオスを誘導する場面も見られた。
能力
火球
詳細は「トト・インパクト」を参照。
自爆
文字通りの自爆攻撃であり、その破壊力は小さな半島を分断して小島にするほど。
腹部の文様が「トトインパクト」と同様に発光するが、自爆の際は腹部だけでなくやがて全身が赤く発光し、眼の虹彩が小さくなり炎を宿す。図解などの情報によれば、火球を体内で炸裂させて全エネルギーを放出するとされている。
アヴァンガメラのDNAはギャオスのDNAを死滅させる強烈なカウンターとして作用するため、単純な火力だけでなくギャオスには生物的にも致命傷を与えると思われる。
自爆した理由は不明だが、老衰または衰弱が激しかった、または死期が来たとも思えるが、小説の一つにおいては自爆の直前にギャオスの超音波メスによって下あごが切り落とされてしまい火球を吐く事ができなくなっていた(映画でも、喉の肉をギャオスに喰われていたので、火球の発射ができなくなった可能性がある)。そもそも、アヴァンガメラが老衰個体であるという確証もない。
飛行
劇中や小説や漫画でも披露していないが、回転ジェットで飛行する事は人類にも知られており、志摩での戦闘がアヴァンガメラと人間の最初の遭遇ではなく、以前からガメラの存在が知られていた事がうかがえる。
その他
漫画版では5体のオリジナルギャオスを相手取って闘っており、4発の火球を全弾当てる、後ろを取られてもすぐに形成逆転できる等、かなりの戦闘技術を持つ事が見てとれるが、ギャオスの方もかなり手ごわく、火球で焼かれても戦闘継続できる、超音波メスを超連射でき、光線の威力もガメラを甲羅ごと貫通するほどの戦闘能力を持つなど、ガメラはかなり苦戦させられていた。
なお、漫画版では墜落したギャオスを踏み砕いていたが、これは『ガメラ3』で検討されていた描写であり、また、2015年の記念映像や『GAMERA-Rebirth-』でも再現されている。
本編での活躍
オリジナルギャオス4体(漫画では5体)と三重県志摩で死闘を繰り広げていたが、この時点で相当消耗しており、全身は傷だらけで、片目は潰れかけ、下顎の牙も一本は折れ、右肩にはおそらくギャオスに喰われたと思しき骨まで露出していそうなほど深くて大きな傷が二つ走っているなど、既に満身創痍の状態だった。さらにギャオスの超音波メスを被弾して倒れ込み、動けなくなった所にギャオスたちに群がられてそのまま捕食されそうになるも、最期は自爆を選んで3頭のギャオスもろとも命を絶った。
その後、このガメラが自爆して果てた付近の海域では緋色の真珠が採れるようになり、それがギャオスの被害を受けた志摩の特産品となって被災地の復興財源として利用されただけでなく、これらの真珠および赤い石がトトにとって非常に重要な栄養源となった。
その他
コミックス版で明かされた設定によると、日本列島の広範囲がギャオス共に蹂躙され、当時の日本国の自衛隊の全勢力の17%がギャオスによって失われたとされる。よって、ギャオスたちによる攻撃が一日・二日どころの話ではなかった可能性がある。本作のギャオス災害がいかに大規模な事件であったかが窺えるだけでなく、当時の被害が「日本国内だけに限定されているとも言及されていない」ため、アヴァンガメラは波切に上陸する以前から日本列島のどこかあるいは海上や海外など国内外で戦闘を強いられてきたとも考えられる。
小説版や漫画での設定では、ガメラが細胞の一つまで一切痕跡を残さず「消えた」だけでなく、10年間に渡る10万人以上も動員した大規模な捜索作戦が続行されたのに、皮膚片や細胞の一つすら発見されなかったとされる。
- 政府の「巨大生物対策審議会」が予算の限界を迎えながらも30年以上も存続してきたのは、「ガメラの死亡」が確認されておらず、「怪獣による生態系」が存続する可能性が否定しきれなかったからとされる。
その他、ガメラのDNAはギャオスのDNAを完全に死滅させる効果も発見されており、大王崎での戦闘後、10年間、10万人もの調査員を動員したにもかかわらず6万以上のギャオスのサンプルは発見できたが、ガメラは細胞も体液も何一つ発見できなかった。その後、22年間掛けて世界中のトップの科学者12人が集まって膨大な数のスーパーコンピューターを駆使してアヴァンガメラのDNAのバーチャルモデルを99%復元構築することに成功したが、その驚くべき結果に1人の科学者が自死を選んだとされる。
トトとの関連性
ある筋の話によるとアヴァンガメラとトトは同一個体であり、効果的な戦闘の継続が難しくなったアヴァンガメラがギャオスを巻き込んで肉体をリセットする為に戦略的に自爆したらしい。
- 公開から10年後に開催されたとある記念イベントにて、アヴァンガメラの頭部モデルが公開されたが、その際に参加者が関係者に個人的に質問した際に明かされたとされる。
- この様相には、『宇宙怪獣ガメラ』でザノン号に特攻したガメラが、後に別の漫画作品で蘇生されて生まれ変わった(Rebirth)事との類似性が見られる。
その後は自ら放出したエネルギーを再摂取して再び大きくなるものと考えられるが、エネルギーの摂取量的には成熟したはずのトトはアヴァンガメラよりも小さかったのでこれでもエネルギーの回収は完全には出来ていない可能性がある。
トトがジーダスに対して、初戦闘でありながら、自分よりも遥かに巨大な相手に全く物怖じもせず冷静で賢明に戦えたのは、33年前の記憶がまだ残っていたことと、「死への恐怖」が比較的薄いからだと考えられる。
- 本作のテーマの一つが「死」であることは、小説版や様々な書籍にて明かされている。
なお
小説版の一つでは、相沢透が「赤い石」は「自分の意識を持っている」と考える場面があり、透は「赤い石」が意図的に発光して自分にトトを発見させた、さらに、「赤い石」はトトを守りたがっていると推測していた。
これも、解釈によっては「アヴァンガメラの魂が宿っている」とも取れなくもないが、公式の図解では「トトの感情に呼応して発光する」とされており、矛盾点が存在する。実際、本編と小説では登場人物の立場が真逆になっている、登場人物の顛末もまったく異なっている、怪獣の能力自体が異なっている、など、相違点が少なくないので、「公式」の媒体ではあるが、「狭義の意味での公式」ではないので留意。
余談
- 波切・大王町は、ダイダラボッチの伝承があったり、主要な捕鯨基地があったり、日本でもっともウバザメ(太平洋では絶滅寸前とされる)が多く捕獲されていたなど、巨大生物との関わりが少なくない土地である。
- 伊勢湾の周辺はガメラとギャオスに縁のある土地であり、本作の舞台設定に選ばれた理由になっている可能性がある(伊勢湾を参照)。
- 本作のガメラとオリジナルギャオスは、体色の対比がそれまでのシリーズと真逆になっているのも特徴である。また、ガメラが成体のギャオスよりも体躯が大きいのも本作からの特徴である。
- 灯台の周辺を舞台にするのは、『大怪獣ガメラ』を意識していると思われる。
- ギャオスの超音波メスが地上を切り裂きながらガメラに命中する、という描写は『ガメラ3』の渋谷戦で予定されていた描写の再利用である。
参考資料
- 平成ガメラパーフェクション
- ガメラ2006 HARD LINK
- 僕とトトの物語―映画『小さき勇者たち ガメラ』
- ともだち 小さき勇者たち ~ガメラ~