曖昧さ回避
概要
2006年に公開された『小さき勇者たち ~ガメラ~』以降、ガメラシリーズは展開休眠期に入り、何年も動きがなかった。
一方、同じく10年近く動きがなかったゴジラシリーズは、生誕60周年にあたる2014年にハリウッドで新作が公開され、2016年には12年ぶりの国産新作を公開することが決まっていた
このため、ファンの間ではガメラの生誕50周年である2015年に入ると「ガメラにもなにか動きがあるのでは」と期待がかかるようになり、実際、角川グループから本シリーズに関して新しい企画の予定があることが示唆されていた。
そして2015年10月9日、アメリカの「ニューヨーク・コミコン」にてその答えとも言うべき映像が公開され、同日中に公式サイトが開設された。
ストーリー
今から10年前――
主人公のマナブは、父親と共に荒廃した首都:東京を逃げ惑っていた。
突如、怪鳥ギャオスの大群が現れ、東京の街で人間たちを襲い始めたのである。
父親と共に必死に逃げるマナブ。しかし、やがて父親はギャオスに捕食されてしまい、自らにもギャオスの飛影が迫る。
最早これまでかと思われたその時、自分に襲い掛かろうとしたギャオスが突如何者かに吹き飛ばされてビルに激突する。なおもマナブへ襲い掛かろうとするギャオスだったが、その頭を巨大な影が踏みつぶす。
マナブ少年が見上げると、そこには巨大な怪獣:ガメラの姿があった。
ガメラは口から巨大な火炎を吐き出してギャオスの大群を一撃で全滅させる。
――そして、マナブは1人、この災害から生き延びたのであった。
それから10年後、東京に再び巨大な怪獣が現れる。
そして、マナブは再び目撃する。
燃え盛るビル群の中から現れた巨大な影を――
かつて自分を怪獣の魔の手から救った、あの守護神ガメラの圧倒的な姿を――!!
登場人物
マナブ
演:高橋琉晟
本作の主人公。10年前に怪鳥ギャオスの襲来の際にガメラから救われ、その10年後にガメラと再会する。
死亡した父親の形見である双眼鏡を今も大切に持っている。
名前に「マナ」が含まれているのは偶然だろうか…?
マナブの父親
演:宮藤官九郎
マナブの父親で、本名は不明。ギャオスが東京に襲撃した際にマナブと共に逃げていたが、息子を庇い、ギャオスに捕食されて死亡する。
怪獣
ギャオス襲来の危機の際に突如出現した巨大怪獣。
ギャオスが殲滅された10年後、東京が怪獣襲撃の危機に見舞われた際に再び姿を現す。
10年前に突如東京を襲撃した謎の怪鳥。出現した経緯などは一切不明。
突如大群で出現して首都:東京で大規模な破壊活動を行い、街を壊滅状態に追いやった上、人類側に夥しい数の犠牲者を出したようだが、最後はガメラによって一掃される。
謎の怪獣
クライマックスで登場した謎の怪獣で、ギャオス襲来の10年後に突如東京に出現して破壊活動を行う。ノイズのかかったような独特の鳴き声が特徴。軟体生物のごとき身体構造だが陸上での動きに支障はないらしく、ビルをまるごと弾き飛ばすなどかなりの力がある。触手のほか、指定座標に泡状のフィールドを発生させて破壊するフェストゥムのような能力を持つ。
ジーダスの初期案を元にバイラスと融合させ、ジグラ・ジャイガー・イリス・レギオンなど復活を望まれていた面々の意匠を取り入れたかのような、これまでにない斬新なデザインの怪獣である。
余談
- 導入部分は「ギャオスの大群が襲来する」、「たった1人でガメラが立ち向かう」など『ガメラ3』のラストや『小さき勇者たち』の冒頭を意識したかのような展開となっている。
- かなり凝った作りのムービーであることや、わざわざ公式サイトまで立てられたことから、ファンの間では映像公開当時は「遂にガメラの新作映画を製作か!?」とお祭り騒ぎになっていたが、映像以外に具体的な情報は発表されることはなく、本当にこの映像が新作映画の特報にあたるものだったのか、ただのファンサービスとしてのなんちゃってPVだったのか本作公開の明確な意図については不明であった。
- 憶測の域を出てないが本作はあくまで“企業向けのPR用作品”でしかなかったという見方が濃厚であり、この映像でガメラというキャラクターをアピールしてスポンサーとそこからの出資を募ろうとしたが、それでも期待されたほどのスポンサーが集まらず本格的なシリーズの再始動には至らなかったものと思われる。
- 本映像の監督の石井克人は、雑誌などで本作の正式な映画作品化に向けての制作構想があることを示唆しており、2017年頃には完成および公開を予定していたと語っていたらしいが、上記の事情のためか、結局は正式な映像作品化は実現することはなかった模様(実際のところは石井克人氏から何の言及も存在しないため詳細は不明)。
- 一方で、予算やスポンサーの問題というよりもゴジラシリーズとの競合が原因で制作されなかったとする推測もある。仮に2015年前後に配給しても、(設定の似ている)モンスターバース、『シン・ゴジラ』、アニゴジとの競合が避けられず、下手したらゴジラシリーズの模倣とみなされかねない。日本と異なり、世界的に見るとネームバリューや(配給面も含めた)資金力や配給先へのアピール性の面でもゴジラシリーズに対して不利である。
- 日本国内においても、新規などの馴染みの深くない観客層がゴジラの模倣だと勘違いする可能性は否定できない。
そして
- 2022年11月、ようやく本当のシリーズ新作と銘打たれた『GAMERA-Rebirth-』の制作決定の告知が為されたが、それと本作に何らかの関連性があるのかどうかは公式のコメントが無い事もあって不明であった。だが、『GAMERA-Rebirth-』の公開後、OPで表記されるスタッフの中に本作のガメラのオリジナルデザインに石井克人氏の名が明記されており関係があったことが確定した。
- ガメラとギャオスのデザインだけでなく、第一話の様相も2015年の映像を踏襲していると思われる。