ガメラ2015
がめら
2015年に、ガメラの生誕50周年記念として制作されてコミコンで公開されたショートフィルム『GAMERA』に登場した個体。角川ガメラとしては2種類目または2個体目にあたる。
完成デザインは、2023年9月に発売された『平成ガメラ造型写真集』で初めて本公開された。下記のリンクにある当時の雛型のリーク画像の一つからは、体色がさらに黒く変更されている。ただし、雛型と完成映像では姿に明確な差異がある。
イメージは「動く岩山」であり、後にリバースガメラでも踏襲された。
咆哮は1999年以前の伝統的なあのゾウの鳴き声のような甲高いものに戻されている。
また、『ガメラ3』や『小さき勇者たち~GAMERA~』で実現しなかった、「ギャオスの頭部を踏み潰す」や、アヴァンガメラができなかった「成長した少年との再会」も描かれている。
また、ここまでガメラとギャオスに体格差のある状態での戦闘は初めてである(本映像のギャオスのほとんどが小柄であり、大型の個体もガメラよりもかなり小さいため)。
- 「マナブを呑み込もうとしたギャオスを呑み込んで更にマナブを呑み込もうとしたギャオス」の頭部がこのガメラの後ろ脚の片方の幅の半分にも満たないようにも見えるシーンがあるので、かなり巨大なことが窺える。
頭部の全容は第一作目の昭和ガメラとG3ガメラの意匠が強い。注目すると鼻先や腹甲の上部など「昭和ガメラの企画デザイン」に近い。一方で、甲羅の形やトサカ、尻尾の基本デザインは平成ガメラとトトをベースにしている。原口智生によれば、甲羅の形状は特にトトを意識しているとされる。
一見、平成シリーズのガメラに近いシルエットをしているが、甲羅の突起、頭頂部の皮膚甲のデザイン、分厚い下顎と首、溶岩を思わせる皮膚、尻尾の造形、茶褐色の体色に至るまで全体的に「アヴァンガメラの初期デザインと完成版の合成」に近い印象を持ち、デザインでの基調は大映と徳間書店と角川という過去のガメラ達の中間的なものとされる。
腕が脚と同じぐらい太くて逞しいのも特徴であり、甲羅の突起は逆向きでG3ガメラと同じく一枚一枚が稼働する。さらにフルCGによるスーツの限界を越える造形が可能になったことから甲羅のボディに対する比重、尻尾の太さと長さ、つまり、腕、脚、甲羅、尻尾は歴代で最も体躯に対して大きくなっている。
その他、首元の上部にも皮膚甲があるのはアヴァンガメラ(トト)と徳間ガメラのどちらにも通じており、さらに腹甲の形状は『ガメラ大怪獣空中決戦』の制作時に作られた昭和版を基にしたイメージボードのものに近い感もある。
体からもうもうと煙を上げながら仁王立ちするその姿はまるで「生きた火山」とでも表現した方が適当な様にも思えるもので、下から見上げた際は何種類かの淡水性の亀の意匠も入っているかのような印象もあり、鼻先などは以前のようなゾウガメやウミガメ然とした嘴ではなく、スッポンやマタマタなどに少し近い、歴代で最もリアルな淡水亀に近い頭部である。
手足の質感はやはり徳間ガメラとアヴァンガメラの中間といってよい形態であり、足首の周辺にはアヴァンガメラ譲りのトゲも生えている。それ以外の脚の皮膚の感じはこれまで歴代のガメラには見られなかったもので、かぎ爪はこれもおそらくアヴァンと徳間の中間的であり、歴代でも大型である。
目の色はオレンジかイエローで、虹彩のカラーリングはアヴァンガメラを基調にG3ガメラのそれが若干入っているかいないか(というかほぼアヴァンガメラ)という感がある。
火炎噴射
昭和以来の火炎噴射が復活した。その炎はトトの通常時の火炎球に質感が似ており、火球と火炎噴射の混合たる様相をしたさしずめ「火球」というよりは火砕流や火山の噴火の意匠を浮かばせる「火流」(拝借表現)と言った方が適切であろうか。まさしく火炎”放射”ではなく火炎”噴射”である。
その威力たるや凄まじく、息を大きく吸い込んでチャージさせてから放った一撃はこちらに襲い掛かろうと飛来してきたギャオスの大群をたった1発で全滅させて瞬時に消し炭と化しただけでなく射程圏内の市街地を丸ごと焼き飛ばしてしまったほどであり(直撃したギャオスの全身が沸騰・爆散していた)、ウルティメイト・プラズマほどかは不明だが、主役怪獣の通常技としては特撮怪獣史上でも稀に見る破壊力・規模であった。
飛行
飛行シーンは未披露だが、発売されたTシャツに描かれたイラストを見ると、四肢からのジェット噴射をすることは判明している。なお、飛行時には甲羅から「ブースター」を噴射する事が示唆されている。
また、映像でも突然どこからともなく現れてギャオスを踏み砕いているので、おそらくは飛行してきたと思われる。
- 「地眷神」という表現は、『ガメラ大怪獣空中決戦』の前身であり、『小さき勇者たち』や『デジモンテイマーズ』や『ウルトラマンティガ』の原案にもなった「小中ガメラ」にて記載されている、インドの遺跡にて高僧によって名前が判明した「地球を救うために地の底で眠り続ける神ガメーラ」という案と類似性がある。
- KADOKAWA側の要望により、当初は体高100mに達する予定だったが、石井克人の判断によってダウンサイズされた。これは、東京の市街地に立つための大きさであるとしている。
- デザインにはワニガメの特徴をふんだんに盛り込んでおり、実際に専門家からの指導があったとされる(参照)。
- 本映像のギャオスと共に、昭和と平成を含む過去のシリーズでは着ぐるみの限界があって実現できなかった姿をしているとされており、とくに甲羅と腕が大型化しているのはそのためだとされる。