データ
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甲羅長径 |
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甲羅短径 |
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飛行速度 |
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水中潜航速度 |
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能力 | - |
概要
『小さき勇者たち』に登場したガメラであり、金子修介と伊藤和典が携わる以前に提出された『ガメラ大怪獣空中決戦』の最初期の脚本の「小中ガメラ」を題材にしており、徳間ガメラの様々な設定のオリジナルの構想により忠実なのがこちらである(余談を参照)。また、下に添付した動画の影響で、ガメラに馴染みがない国々で最も知名度があったガメラでもある。
アヴァンガメラの自爆した跡地(大王崎が破壊されてできた大王島)で、2006年に相沢透により発見された個体であり、通称「トト」。
卵から孵り、極めて短期間で手のひらサイズ⇒30cm⇒ゾウガメ大(1m)⇒体高8m⇒体高30mと急成長を遂げた。名古屋での決戦時には、体重は900tに達しており、仮に先輩方が数十体で寄りかかっても平気な体重になっている。
甲羅も含めて全体的に丸みを帯びた茶褐色の体、くりくりした大きな眼といったかわいらしい見た目が特徴であり、ゴジラシリーズにおけるミニラやリトルゴジラに通じる雰囲気がある(こっちの方がよりハードコアだが)。特に口元から目にかけてはミニラと良く似ており、本作が東宝に対する何等かのメッセージを込めて作られたのとの関連性も考えられなくもない。
- デザインの際にも、「怪獣らしさ」を抑えたマスコット的な雰囲気が重視され、原口智生も「ギザギザ」や「トゲトゲ」を意図的に体表から省いたとコメントしている。
名前
「トト」という名前は、発見者である相沢透が名付けた。亡き母からの自身への愛称が「トト」であったことと、トトガメラが「とっとっとっとっ」と危な気に歩く様子に由来している。
外見
アヴァンガメラと同様に、腹部に「炎」の文字に似た文様がある。
体躯は昭和ガメラの半分前後になったものの、体重は15倍にまで増加しており(軍艦の重量を元に再計量されたとされる)、今までの系譜だと昭和ガメラは(一応ウミガメとされているが)形態的に淡水ガメ(とくにワニガメ)、平成ガメラはウミガメ、今回のはリクガメをモチーフにしているとされる。草食性の亀をモチーフにしており、体色が茶色になったのも本作が初である。
頭頂部のトサカは目立たず、リクガメの特徴を大きく残した体型(上下顎先の嘴、細い歯列、頭と体のプロポーション、成熟個体に見られる腕と足を覆うトゲ状の突起)や茶色い体色、成熟時に露出する下あごの牙までの歯肉なども昭和・平成シリーズと比較して非常にユニークであるが、全体的なイメージは昭和と平成の中間的な印象が強い。
腕の造形は成長前のモデルであるケヅメリクガメに忠実だが、むしろアカウミガメなどのウミガメやガラパゴスゾウガメにも似ている。特に正面から見た顔はこれらに近い印象を受けるが、露出する下あごの牙までの歯肉に関しては歴代でもアヴァンガメラだけに見られる特徴でもあり、ウミガメをモチーフとした亜種よりもウミガメっぽさがある。
能力
火炎・火球
幼少時は巨大な火炎を、成長後は火球を主要な武器としている。詳細はトト・インパクトを参照。
幼少時や小説版では、火炎噴射に該当する攻撃も披露している。
飛行
回転ジェットも使用可能で、ジェットが尾を引くのが特徴。
ただし、子亀時代は手足を出したまま胴体直下に空気を噴射するホバーのような感じで浮いていたため、どこから噴射しているのかは原理は不明。子亀時代には牙も生えていないし、完全に四足歩行の形態をしているので、どのタイミングで怪獣型に変化したのかも描写されていない。
劇中では回転ジェットのみを使用しているが、設定によれば両脚からのジェット噴射での飛行も可能だとされる。幼少時は、どういう原理化は不明だが、四肢も引っ込めずに浮遊している。
- 徳間ガメラとは異なるジェット噴射機構を持つ。
ガメラアイ
視力30.0の眼であり、紫外線・赤外線の視認や、暗闇・深海での視界の確保も可能だとされる。
- 視力30.0という数値は、徳間ガメラの設定と同じである。
ヒートマッスル
熱エネルギーを転用して筋力を爆発的に増加させるとされる。
- 昭和ガメラの「高熱筋肉」へのオマージュである。
その他
知能が高く、機転が利き、志摩でのジーダス襲来時には自分の5倍以上の大きさの敵を、敵の武器を利用して退けた。
また、小説版では機動力と運動能力も見せており、昭和ガメラと同様にアクロバティックな動きも披露している。
頭部にある勾玉状の器官である「スピリッツ・クリスタル」と「正義脳」によって、テレパシーを発揮し、人間の言葉を理解したり、人間の感情を感知したり、敵怪獣の出現を察知できるとされている。子供たちによる赤い石のリレーも、トトが子供たちの精神に働きかけたためだとされる。
- 当然だが、徳間ガメラの能力と勾玉へのオマージュである。
成長に使われる赤い結晶体や赤い真珠のエネルギーは本来は体内で自力で生成できるとされており、ジーダスの出現を察知してからは透たちの前から姿を消し、海中や陸上の方々に散らばっていた赤い真珠を回収していたとされている。
- 小説版によれば、赤い石にも意思が宿っており、トトの危機に呼応するだけでなく、相沢透がトトを発見できる様に発光していたのも赤い石の意思だったともとれる描写がある。しかし、映画と小説では矛盾する設定も少なくないので、「公式」の情報ではあるものの、「狭義の意味での公式」ではない点に留意。
ストーリー
アヴァンガメラとオリジナルギャオスの群れの戦いから33年後の三重県志摩大王町にて、相沢透という少年に発見された。「赤い結晶体」の上にあった卵から孵化し、「トト」と名付けられて彼に育てられる。
当初はただのカメだと思われていたが、小さい頃から浮遊能力を発揮し、さらに短期間でゾウガメほどの大きさに成長する。
それでも透からは愛情を注がれていたが、ある時何かの気配を察知して透の下から姿を消し、やがてその気配の正体である怪獣ジーダスが志摩に襲来、暴れるジーダスの前に10メートルほどの大きさになった姿となって立ちはだかった。
しかし、この時は、赤い真珠のほとんどが人類に回収されていて巨大化に成功できなかったこともあり、圧倒的な体躯差から苦戦を強いられた。機転を利かせてどうにかジーダスを撃退したものの、自身も倒れ伏してしまう。
その後、自衛隊に捕獲されて名古屋まで運ばれ、そこの政府の機関によって対ジーダス用の切り札とするため紅い真珠から抽出したエキスを注入されて成長が促進されるが、ほとんど間を置かずジーダスが名古屋に現れ、ジーダスの襲撃を受けて瓦礫に埋没してしまう。しかし、それに呼応して覚醒して50メートルにまで一瞬で巨大化し、ジーダスとの再戦に臨む。
それでもまだジーダスとの力量差は埋まっておらず、次第に追い詰められていくも、トトを追って名古屋に来ていた透が他の多くの子供達の助けを借りて自分の下へ運んできた赤い石を取り込んで完全な飛行能力を発現、その機動性でジーダスを圧倒し、最後には最大威力の火球「トトインパクト」でジーダスを撃滅した。
戦闘後はまたも動けなくなって自衛隊に再度捕獲されそうになるが、透をはじめとするたくさんの子供達がトトを庇い、その間に立ち上がると何処かへと飛び去っていった。
その他
マット・フランクによるグラフィックノベルでは、ガラシャープやギャオスの大群に対抗する「ガメラ軍団」のメンバーとして、昭和ガメラや徳間ガメラと共演している。ただし、この戦いではガメラは一体だけしか生存できなかったとされている。
しかし、物語の最後で新たなガメラと思わしき卵と赤い石が描写され、卵が孵化した。
モデル
モチーフには初めてリクガメが用いられ、所属社が大映から変わったのを象徴するかの如く前2シリーズと比べてより個性が強い。
しかし、初期段階では昭和第一作へのオマージュとしてミドリガメを意識したデザインになっていた。
鳴き声は、1976年の『キングコング』で使用されたピーター・カレンによるキングコングの声を加工している。このエフェクトは、ガメラの親戚とも言えるヤンガリーにも一部が使用されている。
余談
- 上記の通り、「小中ガメラ」が本作と『ガメラ大怪獣空中決戦』の原案になり、「小中ガメラ」は後に『デジモンテイマーズ』と『ウルトラマンティガ』のコンセプトにも活かされた。そして、平成ガメラは後の特撮界全体に大きく影響を与えたとされ、長谷川圭一によれば、後のウルトラマンと仮面ライダーシリーズは平成ガメラ無しには今の形にならなかったとされている。
- そして、田崎竜太、金子修介、田口トモロヲなどウルトラマンと仮面ライダーに携わっている関係者も少なくない。金子と伊藤和典が携わった『ウルトラQザ・ムービー星の伝説』の前身の企画も、平成ガメラに影響を与えたとされている。
- トトの輸送シーンは、『怪獣ゴルゴ』の影響を受けているとされる。
- トトのモチーフは「バンビ」であり、これがそのまんま制作陣でもコードネーム的な呼称で使われていた。
- スーツアクターは金子修介作品ではマザーレギオンや婆羅護吽(バラゴン)などにも関わった佐々木俊宜であり、アヴァンガメラ役も兼任している(参照)。
- 現在、角川大映スタジオにトトのスーツが設置されている。撮影に使用された8メートル大のモデルは別の地域に設置されている。
- 徳間時代のガメラと違ってこの作品の日本ではアヴァンガメラが自分の身を犠牲にしてまでギャオスを滅ぼしてくれたことから一般人(特に志摩の人間)の間でも「ガメラは人類の味方」と見る風潮が最初から強いように描かれている。
- 田口清隆や手塚とおるなどのガメラ関係者も参加した、園子温製作の映画『ラブ&ピース』に登場する巨大な亀はこのトトになんとなくだが似ている。というか、この作品の原案がモデルになった可能性もあるのだろうか。
- トトの幼体時の撮影は本物の生きたケヅメリクガメを何匹も使用しているが、生きた子亀を使う点は、『大群獣ネズラ』のリベンジとも、『大怪獣ガメラ』へのオマージュとも取れる。
- 2011年に、ワシントン州立大学が、体に障害を負ったケヅメリクガメを人工補助装置でサポートして歩ける様に治療し、その際にこの個体をおそらく本作に因んで「Gamera」と名付けている。
関連動画
(9000万回以上再生されている動画)
(使用曲は公式テーマソングの『Eternal Love』)
(Youtubeにおけるガメラ関係の動画で世界一の再生回数であり、コメント機能が閉鎖される以前は、インドや中東圏など、ガメラに馴染みがない国々の人々が多数のコメントを書き込んでいた)
参考資料
- 平成ガメラパーフェクション
関連タグ
GODZILLA2:倒れた主役怪獣を市民が権力や軍隊から守るというラストが類似している。
バンビ、ベイブ、E.T.、モスラ・レオ:トトのキャラクターに影響を与えたとされるキャラクターの例。
ミニラ、リトルゴジラ、ダイゴロウ:似た立ち位置のキャラクター。特にダイゴロウは、『小さき勇者たち』の原案であり『ガメラ大怪獣空中決戦』の最初期のプロットである「小中ガメラ」にも影響を与えたとされている。また、とある海外の有名な怪獣映画の評論家は、ミニラが作られたのはガメラシリーズの影響であると指摘している。
バルゴン:コミックス版でのバルゴンの「魂」の生成とそれによる成長が、トトの「赤いエネルギー」とそれに関連する描写とかなり似ている。