DATA
身長 | 30メートル |
---|---|
全幅 | 24.5メートル |
体重 | 1万トン |
概要
ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃に登場したバラゴン。
護国聖獣の一体目である「地の神」として登場。体色は赤く、マグマや地熱に適応しその力を授かっているらしい。狛犬のモデルになったと言われ、大陸の侵略者などから日本列島の「くに」を護るために現在の新潟県にある妙高山の地底に封印されたとされている。具体的に封印された箇所は不明だが劇中の様子だと大田切トンネル付近に眠っていた可能性が高い。(序盤にて主人公がロケに来ていた池にて聞こえた生物の鳴き声は婆羅護吽の鳴き声で目覚めが近かったためと推測される事がある。)
なお、「護国聖獣伝記」の挿絵では実物よりも細く体型に描かれている。他にも最珠羅は腹部が鳳凰の尾羽根風に描かれていたほか、魏怒羅は本栖湖の竜神伝説に合わせたのか翼が脚状で四足になっていたりする。
特徴
この体重にもかかわらず、凄まじい素早さとスタミナと跳躍力、そして、顎の力と勇気とガッツが特徴である。
下記の通り、ゴジラに惨敗したりタイトルからハブられたりなど、本作では不遇気味ではあるが、ヒロインの立花由里は、少年を励ます時やゴジラの中継時などの要所要所で、ゴジラと戦った婆羅護吽のことを引き合いに出していた。体格差にも怯むことなく、ゴジラに立ち向かった婆羅護吽の勇敢な姿は、由里の心に強く焼き付いていたのかもしれない。
設定上は「普段はマグマの近くに生息しているためゴジラの放射火炎に強い」事になっているが、劇中では熱線一発にも耐えられずに爆死している(なお、最珠羅と千年竜王キングギドラはそれぞれ1発は耐えている)。
そのかわり、熱線を受けて炎上したシーンでもさほど苦しんでいる様子はなく、その後にも意志と形を持った爆炎として現れる攻撃があり、皮肉にも婆羅護吽の攻撃ではもっともゴジラに対して効力を発揮した。ただし、最珠羅と千年竜王キングギドラにも同様の演出があるため婆羅護吽固有の能力というわけではない。
- 最初に爆散させられる際にも身体が粒子化しており、それが他の聖獣が目覚めるシグナルの一つにもなった。
劇中での活躍
かつて古代日本の朝廷に退治され妙高山付近に封印されていたが、封印の鍵である地蔵を暴走族が破壊した事で覚醒。彼らをトンネルごと生き埋めにした。この時、トンネル付近にいたトラック運転手からは「赤いゴジラ」と勘違いされたが、後に焼津市にて最初にゴジラの犠牲になる漁船の老船長はこれを否定していた。
- これは現代の日本人がゴジラの存在・恐怖を忘れてしまったという意図の演出でもある。
その後、『護国聖獣伝記』の作者・伊佐山嘉利が拘留された本巣警察署を襲撃し、ゴジラの出現を察知して箱根大涌谷で迎え撃つ。
地中を掘り進む能力を生かしてはゴジラの足場を崩して転倒させ、ジャンプしての噛み付きや体当たりなどを仕掛け奮戦するも、体格差等から徐々に追い込まれていき(ヒロインの立花由里が「勝ち目ないよアレじゃ!」と断言したり、戦闘を中継していたカメラマンが「俺もう見てるの辛いですよ」とこぼす程)、最終的にゴジラの放射火炎によって粒子化した。
映画終盤にゴジラの熱線で千年竜王キングギドラが爆死した際には、その爆風が婆羅護吽の形を模した霊体の様な存在と化すシーンがあり、ゴジラを海中へと引きずり込む活躍を見せた。
撮影の背景
- 当初は劇中での登用が考えられていた熱線、光る角、角から発する特殊攻撃、放熱などの能力は全て(文字通りの噛ませ犬に徹させるために)オミットされた。ただし、光る角に関してはスーツにギミック自体は仕込まれていた。
- しかし、本作品での登場をきっかけにゲームなど二次メディアでの出演が増え、その中では初代バラゴンの熱線の特性を持った火炎放射を会得しているものある。
- 本来予定されていたプロットでは、GMKアンギラスと協力して気流を発生させてGMKバランを横浜まで送り、雷を受けて復活、身体が焦げながらもゴジラを追跡して横浜決戦に参戦、熱線を喰らい肉や骨が露出しながらもゾンビの様に戦い続けるという、「熱線に強い」「ガッツの塊」という設定をより活かしたものになるはずであった。
- この作品でのスーツアクターは東宝作品では初の女性アクターの太田理愛であり、演技指導においては生物感を出す為に四足歩行時に膝を付かないことに注意が払われた。
- スタッフとして参加していた田口清隆氏は「本作のゴジラのスーツは意図的に大型にしてスーツアクターも大柄な人物を起用、逆にバラゴンは女性に入ってもらうことで小柄にし、1.5メートルぐらいのバラゴンと2メートルのゴジラが戦うという、熊と犬が戦っているようなサイズ差の演出を試みた」ことを対談で明かしている。
余談
- 漢字表記は婆羅陀魏山神に由来する。
- 「バラゴンとゴジラが対決する」という構図は、バラゴンというキャラクター自体が『フランケンシュタイン対地底怪獣』においてゴジラの登場が実現しなかったために制作されたという背景もあって、ある意味では因縁的である。
- バラゴンが他の怪獣と勘違いされる、というのは、『フランケンシュタイン対地底怪獣』でも見られた描写である。
- バラゴンを狛犬と関連付ける風潮は昭和の頃から存在した。頭部には唐獅子のイメージが盛り込まれただけでなく、『フランケンシュタイン対地底怪獣』が日米合作である為、円谷英二氏が東洋的な要素を盛り込む指示を出し、頭部の造形に狛犬の意匠が加えられた。
序盤の村長が婆羅護吽の封印石を暴走族に壊された際に、「あ!あれはご先祖様から伝わる!」とかなり驚いており、その様子から先祖代々から封印を見守ってきた、または婆羅護吽の存在を聞いていて知っていたのではないかという推測もある。
- 体躯が昭和よりも一回り大きくなっているほか、体重はなんと40倍にも跳ね上がっている。さすがに元の体重ではゴジラの相手を務めるには無理と判断されたのであろう。
- 鳴き声と顔立ちが哺乳類感を増したものになり、身体や腕や爪なども全体的に丸みを帯び、昭和よりも可愛くアレンジされている為、目撃した不倫旅行中のカップルに「可愛い」と言われて記念写真を撮られたり(本作で護国聖獣の二次災害に巻き込まれた者達は皆「悪い人」という裏設定がある)、ゴジラと戦っている最中、現場中継している報道ヘリのディレクターに「頑張れ! 赤い怪獣!」と応援されたりとユーモラスな演出がされた。
- 生存中には正式名で一度も呼ばれる事もなく(婆羅護吽という名前が発覚した後も生存中という体で発表された)、バラゴンファンにとっては本作品の最大の注目箇所なのに、有名怪獣を前面に押し出そうという事情でタイトルからも外されるという、販促の犠牲になった怪獣でもある。ただ、「もふもふ」していないのにもふもふ感がある」というのは注目すべきところ……かもしれない。
- エメリッヒ版ゴジラとバラゴンは、どこか因縁めいた関係がある。
- 『GMK』において、「ゴジラとして間違えられる」という状況が両者に起こっており、『怪獣黙示録』でも前者にさらに同じ状況が発生した(同作では、後者も『GMK』の時のようにゴジラの熱線を背中に浴びている)。
- バラゴンを平成の世に復活させた『GMK』を含むミレニアムシリーズは、作中設定ではなくあくまでもスタッフの認識ではあるが「打倒ハリウッド版ゴジラ」をスローガンに抱えてスタートしたシリーズであり、同作にてもハリウッド版ゴジラの存在が言及された。
- 両者とも、平成の作品では当初は披露するはずだった熱線攻撃がオミットされ、ハリウッド版ゴジラは「パワーブレス」という放射火炎の前段階といえるものになり、バラゴンもその後のゲームで単なる火炎放射に近い描写になるなど、両者ともに格下げかは不明だが能力が変更され、二次的な媒体において火炎攻撃を会得している。なおエメゴジのそっくりさんのジラは『FW』にて酸性の火炎攻撃を持っているという裏設定はあるが、直接の発射シーンはない。
関連イラスト
関連タグ
怪獣黙示録:バラゴンの一頭がゴジラ・アースに倒された際、共に登場したのがバランとアンギラスであり、実際に「総攻撃」というキーワードも使われている。