(画像はレプティリアン版)
概要
数ある韓国の怪獣映画でも、おそらくは『グエムル~漢江の怪物~』や『D-Wars』と並び最も知られているだろう。シリーズ化しているという点でも、平成版が同じ監督が担当している『D-Wars』とも共通している。
下記の『レプティリアン』版の際には、ゆるキャラっぽい関連アニメ等も制作された。
大怪獣ヨンガリ
英語表記はYonggary。
日本の怪獣ブームを意識し、1967年に韓国の映像会社極東フィルムが制作した怪獣映画。
スーツの造形や特撮部分はガメラを制作した大映が関わっており、子供が活躍する、音楽で踊る、本物の火炎放射を使用している、など昭和ガメラに近い作風なのが特徴。日本のスタッフ等が関係しているのはプルガサリと似ている。
韓国はこれまで怪獣映画を制作したことがなかったことと、予算も限られているためアスペクト比がおかしかったりギミックが丸見えになっていたり技術面では未熟な面が目立つ。
また日本が制作に関わっている為か、韓国軍なのに61式戦車やF-104が動き回っているのはご愛敬。
それなりのヒットは飛ばしたものの、韓国国内での知名度は低く、DVDも日本とアメリカしか発売されていない。
またドイツで公開された時は何故か「ゴジラ」というタイトルだった。
リメイク作
2001年にアメリカと韓国の合作で『怪獣大決戦ヤンガリー』というリメイク作が制作された。英語名は『レプティリアン』であり、直訳すれば「爬虫類人」となる。『原始獣レプティリカス』とは名前が似ているので留意。
オリジナルとは異なり、ヤンガリーはフルCGで描かれているほか、サソリゲス (原語名サイコール: Cykor)という新怪獣も登場する。
アメリカ主導で制作されたため、原典の雰囲気は無い。
というか、ヤンガリーもオリジナルのヨンガリとは全く似ていない姿である。
本作の監督は国内で有名なコメディアン・漫画家のシム・ヒョンレで、『ヨングと恐竜チュチュ』や『ティラノの爪』『パワー・キング』、後に『D-Wars』シリーズを手掛ける事になるなど、韓国における怪獣映画の代表格は彼なのかもしれない。
主題歌
主題歌は作詞が大槻ケンヂ、作曲がザ蟹 (三柴理×塩野道玄)、編曲が大槻氏のグループ特撮である。
見つけた化石はほじくるな 私の妻のように恐ろしい
見つけた化石はほじくるな 私の妻のように恐ろしい
ミサイルしゃがんでよけちまえ 危なくなったら消えちまえ
子供のバスなら大丈夫だ おじけづくなら出てくるな
水銀コバルトカドミウム ロケットしょったら出撃だ
ヤンガリーとは
オリジナル版
中東の核実験の影響で眠りから覚めた古代怪獣。身長60m。
朝鮮語で竜と怪獣を合わせた言葉と、日本で言うところの「御神渡り」に当たる「ヨンガル」から名付けられた。
頭の角から強力な切断光線を発射し、口からは火炎を吐き出す。エネルギー源は熱で、石油などを口から摂取する。
ロック調の韓国民謡「アリラン」を聞いて踊りを踊るなどコミカルなところもある。
弱点はアンモニアで、これを嗅ぐとかぶれてしまう。その弱点を突かれて漢江に差し掛かったところを特殊なアンモニア粉末を振りかけられて全身がかぶれ、体中をかきむしり血まみれになりながら死亡した。
レプティリアン版
身長が152.4mまたは106m、体重100tと巨大であるがやはりガメラシリーズに近い体重の軽さが特徴。
オリジナル版とは全く異なり、レプティリアンの名にふさわしく、肩パッドを着けたアギラ似の顔をした竜人といったところだろうか。着ぐるみ等では、もっと往年の怪獣に近い姿をしている。
宇宙人が地球に配置していた2億年前の生物兵器であり、完全に化石化していた。大気圏外から放たれる蘇生光線により肉体が生成され、息を吹き返した。額にある「デイモン (またはダイモン)」という水晶体でコントロールされている。
武器は太い槍のような形状の火球。図解やタイアップしたチキンナゲットのコマーシャルでは、通常の火炎も発射している。ダイモンの影響下にある際はエネルギーシールドも備え、テレポートも可能。体に電流が走ったり、デイモンからの発光または電波の様なエネルギーによって戦闘機が墜落していた。腕力などは実在の人物と比較されているのも昭和のガメラシリーズっぽい。
むしろサゾリゲスの方が、オレンジ色の火球に尻尾からの電撃状の光線と、オリジナルのヨンガリに近い能力を持っている。
ダイモンを破壊された後は突然人間を助け始めたので、これが本来の性格のようだ。水晶体に何かされて大人しくなるのは、竜の逆鱗とは真逆である。
宇宙人がサゾリゲスの敗北後、「ヤンガリーが真の力に目覚める前に逃げないとヤバそうだ」という旨の発言をしており、ヤンガリーにも隠された能力等があるのかもしれない。
図解では、鬼太郎の指鉄砲の様に爪をマッハ3.5で飛ばしたりするとされる。
余談
『レプティリアン』版では、日本においてかなりパンチの効いたヤンガリーとサソリゲスの能力図が作成されている。この図鑑説明も、まるで昭和ガメラやバルゴンなどを思い起こさせる。バルゴンもサソリゲスも、主役怪獣が初めて戦った敵であり、特徴的な姿や能力などを持つ。
ガメラシリーズとは、そもそもが同じスタッフも携わっているのだが、オリジナル版とレプティリアン版を合わせると類似性が多い。初登場の際は人間の敵であったり、宝物状のアイテムが関係しているが悪事に使われてしまったり、身長、下顎の牙、鳴き声、エネルギー源、火炎、歌を聞いて踊る、地中/海中から人間の活動によって目覚めた、宇宙人の悪事に利用された、等の部分が似ている。死亡した部分を除けば、後年には古代の生物兵器、人間を攻撃することもあったが最終的には人間の味方をし、メインの攻撃方法が火炎から火球に変化したのも似ており、設定も含めれば放電攻撃も(おそらく)可能なのも関連している。
- 鳴き声の一部は、初代ではバルゴンの鳴き声を、『レプティリアン』版では極地からの怪物 大カマキリの脅威で使用された効果音であり、1976年の『キングコング』のキングコングや『小さき勇者たち〜ガメラ〜』のガメラの声にも一部使われている。
体重が100tだったり、爪をマッハ3.5で飛ばすとされる部分もガメラシリーズへの類似性がある。
また、『D-Wars』に登場するイモギとブラキも、「相反する性質や立場を持つ複数の大蛇や龍」という意味ではガラシャープとその子供達や双頭怪獣Wを思わせる (後者は多頭竜だが、それぞれの首が真逆の属性を操り、どちらかと言えばあまりよくないという意味で互いに密接に関係している)。
『レプティリアン』版にて、ゴジラと呼ばれたりヤンガリーがヘリを追うシーンやビルを貫く場面はエメリッヒ版ゴジラへのオマージュだと思われる(配給がトライスターだった)。ついでにいうと、ゴジラの元ネタと言っても過言ではない原子怪獣現わるを日本で配給したのも大映である。
メイキング映像では、顔の造形もエメリッヒ版ゴジラに似たような姿であり、ヤンガリーなのかは厳密には不明だが、翼を生やした姿も見える。エメリッヒ版ゴジラも、小説版では跳び上がった際に背鰭を「羽ばたかせて」いるシーンがある。
また、ゴジラ・ザ・シリーズにはレプティリアンという敵も登場する。
また、『D-Wars』のイモギとは、監督繋がりか共演する事もある。
関連動画
関連タグ
ガメラ - ある意味で兄弟と言える。どちらも、『パシフィック・リム:アップライジング』にカメオ出演している。
デルガドザウルス - 古代の生物兵器という点で共通している。