概要
1938年に日本の映画会社「全勝キネマ」が製作した怪獣映画。
1933年に製作された『キングコング』に便乗して製作された映画で、タイトルの通り江戸時代が舞台になっている。資料によっては『キング・コング』と書かれている。
タイトルこそキングコングだが、今作のキングコングこと類人猿は巨大な怪獣ではなく等身大である。しかし「怪獣映画の前史」といわれることもある。また、海外の怪獣ファンの間でも一定の知名度がある。現在原版は所在不明であり、視聴できない状態にある。
ストーリー
ある晩、鳥羽兵衛の娘・千浪が姿を消し、兵衛は懸賞金を出して千浪を探す。
兵衛の部下・郷孫之丞は類人猿を伴い兵衛の過去を糾弾する。
嘗て兵衛はある男に金の偽造を強要し、断られると口封じに死ぬまで監禁していた。
孫之丞は復讐のために身分を偽って兵衛に取り入ったその男の息子で、父の形見の類人猿に命じて千浪を誘拐していた。
兵衛は脅迫され、千浪の解放と引き換えに孫之丞に身代金を渡す。
孫之丞はさらに類人猿に命じて兵衛を監禁しようとするが、兵衛の部下と戦い類人猿と兵衛は命を落とす。
キャスト
- 郷孫之丞(松本栄三郎)
鳥羽兵衛の部下。千兵衛の息子。鳥羽兵衛に復讐するために、キングコングを使って千浪をさらわせる。賞金を得て江戸を脱出する。
- キングコング(樺山龍之介)
千兵衛が飼っていた類人猿。郷孫之丞に従って千浪をさらうが、郷孫之丞の地下牢にて暴走して鳥羽兵衛を殺す。鳥羽兵衛の部下に撃たれて死ぬ。
- 鳥羽兵衛(市川礼三郎)
江戸の大名。千浪の父親。偽金作りを強要したり、部下に暴力を振るったりする悪徳な人物。キングコングに殺される。
- 千浪(美島麗子)
鳥羽兵衛の娘。美しく優しい女性。キングコングにさらわれるが、最終的には河崎譲に救われる。
- 河崎譲(高島登)
侠客。千浪に惚れている。千浪を救出するために奮闘する。
- 千兵衛
郷孫之丞の父。キングコングの飼い主。鳥羽兵衛に偽金作りを強要され、拒否したために投獄されて死ぬ。