概要
1954年に公開されたワーナーブラザーズ製作の特撮怪獣映画。
監督はゴードン・ダグラス。
冷戦下のハリウッドで多数制作された「放射能で巨大化した生物」を題材にした映画の一作で、巨大な蟻と人間の戦いを描く。
蟻の生体から軍、政府の対応までリアリティを追求したシナリオに手堅い演出と『キングコング』や『原子怪獣現わる』と並びアメリカの古典的怪獣映画の名作に挙げられる。
後に製作された『エイリアン2』と共通項が多い事も知られている。
日本の作品との関りで言うと、高台に現れた怪物と対峙するシーンの『初代ゴジラ』の大戸島のシーンとの類似や、『鉄人28号』にオマージュエピソードがあることが知られている。
また『空の大怪獣ラドン』(1956年)に影響を及ぼしたともいわれる。
あらすじ
ニューメキシコ州上空を哨戒していたセスナが、砂漠を彷徨い歩く一人の少女を発見する。
少女は警官に保護されたが放心状態になっていた。同じ場所では蟻酸を使った殺人事件が多発しており、採取された蟻酸を嗅いだ少女は「奴らよ!(Them!)」と絶叫した。
そして現場であるバーを警備していた警官が突如失踪する。犯人は近くの放射能実験場で行われた水爆実験の影響で異常なまでに巨大に成長した蟻だったのだ。
ピーターソン保安官は、FBIのグラハム捜査官、生物学者のメドフェード博士らと共に巣穴に毒ガスを散布し、蟻たちを殲滅する。しかしリーダーである女王蟻はすでに巣から出た後だった。
女王蟻はすでにロサンゼルスに潜伏し、下水道に巣を作っていたのだ。
ジャイアントアント
本作に登場する巨大アリはジャイアント・アント(Giant ants)もしくはジャイアント・カーペンター・アント(Giant Carpenter Ants)と称される。 "Carpenter Ant" はアリ科ヤマアリ亜科オオアリ属の英名。
紫がかった緑色に塗装されており、画面外からの操演で表現された。
映画のポスターに描かれた巨大アリの眼にはネコのような縦長の瞳があるが、作中では昆虫然とした複眼になっている。