概要
アニメ版『ゲゲゲの鬼太郎(アニメ)』としては初の単独上映にして長編の作品。アニメ版「鬼太郎生誕40周年」として作られた。上映時間は約83分。同時上映は『ゲゲゲまつりだ!!五大鬼太郎』。
本編となるTV版が150話を想定して製作されたため、本作はテレビアニメ版の100.5話を意図して作られた。本編でも当時の5期鬼太郎における最新エピソードとして鬼太郎自身から紹介されている。
この作品をもって、言わば妖怪四十七士編の第二章の幕開けとして盛り上げていく予定だったようだが、TV版が急遽打ち切りとなり、結果として本作は事実上「アニメ鬼太郎5期の完結編」ともなった。
- 本編中で四十七士として覚醒したのは二十四人で、残りについてはこの映画版でそれぞれワンカットずつではあるが登場し、かろうじて全員登場を果たしている(ただし、これは打ち切りのため急遽用意されたシーンではない)。
監督が古賀豪に変更されるなどはあった(TV版との兼任が難しいためと思われる)ものの、スタッフは概ねTV版と同じ。また、音楽は横山菁児が担当している。本映画用に制作された劇伴は、公開後の本編でも流用されている。
妖怪四十七士も登場し、本編で揃った黒鴉までのメンバーと、残りの未覚醒のメンバーが全員集結した。
上映される6地域ごとに、異なるご当地編が制作されている。鏡じじいの技で遠方へ飛ばされた猫娘が、その先でアルバイトをしたり、妖怪横丁の入り口を探すという場面が描かれる。それらのシーンでは、ゲスト声優やゲストキャラクターとして様々な実在人物・キャラクター・企業とコラボしている。
当時は映画の宣伝が多数行われていたものの、何故か本作の知名度は低い傾向にある。これもあって、興行収入は4.2億円と、全国上映の映画としてはかなり芳しくない。なお、全国公開のアニメ映画目線での成功ラインは10億円と言われており、これはそれを大きく下回るものである。TV版が視聴率好調だったにもかかわらず、真逆の結果に終わってしまった。
これはあくまで推測になるが、当時のリーマンショックの影響で映画に行けるほどの余裕が無い視聴者が少なくはなかったと予測される。
リーマンショックは5期鬼太郎の打ち切りの原因ともなったため、その可能性が高いと思われる。
ただし、作品単体の評価は決して低くはない。記念作品ということもあり、シリーズ随一のスケール、良質な作画や演出、TVシリーズを遥かに凌駕するスピーディーかつド派手なアクションなどかなり見所の多い作品である。5期鬼太郎の立ち位置を示すアバンなどもあるため、TVシリーズを知らない視聴者でも十分に楽しめる事は間違いない。
ストーリー
突如鏡に住む妖怪・鏡じじいに付き纏われるようになり、怯えながら暮らしていた女子学生の風祭華は、ある日昔聞いた妖怪ポストの存在を思い出し、鬼太郎に手紙を出す。しかし、鬼太郎が向かう前に華は鏡爺に捕らわれ、挙句多くの人から存在を忘却されていた。
彼女を救うため調査に乗り出す鬼太郎。ところが、鬼太郎もまた敵の罠にかかって鏡の中へ閉じ込められる。その後敵側として暗躍していたねずみ男の心変わりもあり、鏡爺を返り討ちにして華を救い出すことに成功する。
ところが、無事に戻った華は、さらに多くの人々から存在を忘れられてしまっていた。
華は果たして家族との絆を取り戻すことが出来るのか?
ゲゲゲまつりだ!!五大鬼太郎
本編上映前の短編。1期から5期までの鬼太郎が当時の声優で登場し、40周年を祝う物語となっている。
余談・トリビア
- 『五大鬼太郎』には歴代鬼太郎の他にも、歴代ねずみ男・猫娘・一反木綿が登場する。
- TV本編で登場した敵対妖怪の多くが登場し、百鬼夜行のように町を練り歩くシーンもある。
- 本作のゲストヒロイン「風祭華」は、3期のヒロイン天童ユメコをモチーフとしている。彼女を襲う妖怪が鏡じじいなのも、ユメコの初登場回に出てくる敵妖怪だったためである。しかし、華とユメコの共通点は設定の一部のみで、華にはオリジナル要素が多い。
- DVD・ブルーレイ版の特典には『日本爆裂』の収録風景・歴代鬼太郎への同時インタビュー映像・レギュラー声優陣の実写ミニドラマなどが収録されている。なおこの特典では和気藹々と端役の割り振りを声優同士で決める場面があったり、当時公に顔を出さなくなった田の中勇と山本圭子の姿が1シーンだけ残されている。