CV:浅野真澄
概要
5期鬼太郎に登場するオリジナルの妖怪。幽霊族の親類の『アマミ一族』という妖怪部族の1人であり、“カイ”という弟がいる。
アマミ一族の末裔で実質的な現酋長。その点では幽霊族の皇帝の末裔であり、(地獄童子を除く)数少ない幽霊族の生き残りの鬼太郎と共通した立場でもある。
幼い頃に(5期で登場した時点から12年前に遡る)西洋妖怪の襲来で先代酋長である母親を亡くし、まだ赤ん坊だったカイと共に生きてきた。その当時から島へ助けに来てくれた鬼太郎に感謝と想いを寄せ、人生の目標としても慕っている。なお、アマミ一族は人間と同じ様に年を取るため、12年経って鬼太郎達と再会した時(5期の初登場)にはすっかり鬼太郎を追い越して大人になってしまっていた。
人物
戦えないが優しく芯の強い性格で、目の前の状況や自分の感情に流される事無く決断し行動出来る勇敢な女性であり、西洋妖怪の拷問にも耐えた。
初登場ともなった西洋妖怪が襲来して来た回では、ぬらりひょんに操られ鬼太郎を傷付けてしまった状況にも激しく動揺し涙したが、打ちひしがれずに行動し鬼太郎や他の妖怪達、人間達を救う大きなきっかけとなった。
また弟のカイ同様、アマミ一族の特殊な立ち位置故に故郷である鬼界ヶ島の外の事を殆ど知らず、ファッションセンスはあるが人間社会に疎い。
第51話では率先して倒壊したデパートに乗り込み子供を救出するなど、自己犠牲を全く厭わない果敢な行動を見せる。その行動はミウを恋のライバル視するネコ娘でさえ感嘆させた。そして、この時は鬼太郎を2人きりの場所に呼び出して告白するかと思われたが、ネコ娘の事を考えたのかむしろネコ娘が鬼太郎と共に踊れる様に後押しした。
その後津軽海峡での対妖怪城の決戦では、人質になった一方でしっかり鬼太郎とフラグを立てた。ぬらりひょんがミウを利用したのも、「最も効果的に鬼太郎に心理的ダメージを与えるため」だとされており、鬼太郎にとってミウが非常に「センシティブ」な存在である事が窺える。
この他にもバルモンドが鬼太郎とミウの仲を度々邪智していたり、鬼太郎をして「女」と発言させたり、子泣き爺をもって「(鬼太郎へ)お前のあんな顔はもう二度と見たくない」と言わせたり、成長したミウを見た鬼太郎が寂しがるなど、細かいフラグらしきものは何度かあった。
また、鬼太郎が指鉄砲の習得と『地獄究極奥義』を得るきっかけとなった。
能力
妖怪としての能力は「触れた相手と心を通わせる事」である。上述の51話ではデパートを倒壊させた赤えいの子供の真意を鬼太郎達に伝え、問題解決に尽力した。なお、この能力に近いものを親戚である鬼太郎も持っており、手紙や地蔵等無機物から思念を読み取る力がそれに該当すると思われる。
更に、普段は眠ってはいるが(後述を参照)幽霊族と同等の戦闘力と治癒能力を持つ。この治癒力は妖怪のスタンダードとしても極めて強力な部類であり、ぬらりひょんに貫かれた鬼太郎の腹の毒傷を一瞬で治し、裂かれた霊毛ちゃんちゃんこをも完全修復するなど、強靭な霊力を含む物質へも影響を及ぼす程である。しかし、その力を使った時はミウ自身も切羽詰った状況だったため、普段の状態でも使えるのかは不明である。
なお治癒能力ばかりが注目されるが、後述にもある様に実は過去における地球の第一期人類である先祖の知恵と霊力の結晶という助力を得た、日本妖怪でも屈指の実力者である鬼太郎とほぼ互角な戦闘力を潜在的に秘めており、しかもちゃんちゃんこを着た状態の鬼太郎と比較されるレベルである。
現に劇中では、鬼太郎の体内電気は殆ど効果が無かった。
なお、ミウは『地獄の鍵』の使用方法を知らなかったが、知っていたら使えるのかは不明である。西洋妖怪が最初に襲来して蹂躙した際は、あまり反撃が出来なかった様子なので、この一族が戦闘に目覚めてしまう事の危険性と『地獄の鍵』の所有も相まって、一族の戦闘力を抑え込む「何か」の策が施されていたのかもしれない。五官王が『地獄の鍵』を守るためにミウを殺す事を考えていた事からも、アマミ一族の戦闘力が地獄側からの意思によって抑制されていた可能性は否定出来ない。
それ以外にも、爪を尖らせて戦いに使用したり、人型の妖怪ながらも広大な海域を休みなしで目的地まで泳げれる体力も特徴である。カイの描写から、得意な泳法はドルフィンキックだと思われる。
実は未発見・未開発なだけで、他にも能力を秘めているのかもしれないが、そこは掘り下げが進まないままになってしまった。事情はお察しください。
ちなみに、ミウは以前にも五官王に面会済みだと思われるが、五官王は『地獄の鍵』がミウから鬼太郎に移動した事を当初認識していなかったのかどうかは不明。一方、ミウと鬼太郎も2人の間の鍵の移動が無意識下に完成されたと思われる。
アマミ一族について
鬼界ヶ島に住む妖怪の一族。妖怪の中でも比較的人間に近い種族で(外見での違いは髪の毛に交って触角がある事と、首元に水中生活用のエラがある事のみ)、鬼太郎達幽霊族の親戚筋でもあると作中で紹介されている(原作にも、水中型の幽霊族の親類である“海の幽霊族”が登場する)。「陸の幽霊族と海のアマミ一族」と称される事も。
ミウ兄弟は日本妖怪だが、アマミ一族は南方妖怪とカテゴライズしても良いのかどうか不明(鬼太郎親子も日本妖怪だが、幽霊族自体は地球の先住民であったため、南方に住む幽霊族を「南方妖怪」と言えるのかもしれない。というか鬼太郎も後述のメリーと結婚した際は一時期南方に住んでいたし、同様に暮らした砂かけ婆達も「妖怪に国籍は無い」などと言ってもいた)。
しかしその一方で、上述した通り妖怪なのに人間と同じ様に年を取るなど、「人間に近い種族」である事の詳細は不明。
代々『地獄の鍵』という地獄の力を呼び出せる非常に強力なアイテムの守り番をしていた為、以前からそれを狙う西洋妖怪に執拗に島を襲撃されていた。しかし、何故辺境の島に住んでいて異次元である地獄の重大な宝を預けられていたのかについての経緯などが不明である。
なお近世のアマミ一族内では、自分達は人間と殆ど同じで「力の無い存在」と思われていたが、実は元々幽霊族に勝るとも劣らぬ力を種族の潜在能力として眠らせていた。それは閻魔大王から『地獄の鍵』の保護・管理を充てられていた事からも、この一族の重要性・潜在能力が窺える。
モデル?
5期のオリジナルキャラクターではあるが、ミウにはモデルが存在するという説もある。公式からの発表がないため、現時点ではファンの憶測の域を出ない。
上述にもある原作に登場している「海の幽霊族」がアマミ一族の設定に近く(鬼太郎が神々に管理された新たな武器を得るのも共通している)、南方の島での鬼太郎の現地妻である酋長の娘メリー(『その後のゲゲゲの鬼太郎』)は、出自や服装に類時点が見られる。それらは以下の通り。
- 鬼太郎に好意を抱いている
- 人間に近い
- 『この世とあの世を繋ぐ島』に関連性がある
- 南方の島の酋長の正当後継者である
- 関連する事件で鬼太郎が「死」またはそれに近い状態になったが、メリーやミウが体内の生命力で復活させる
- 頭に飾りがある民族衣装を纏う
「ニューギニアの島の部族の女性」は、ある意味で水木しげるにとっては永遠のテーマとも呼べる程の大切なジャンルである。
水木しげる氏が鬼太郎の嫁としてメリーを設定した理由は厳密には不明だが、氏がトライ族に帰化して生きる人生もあった事、そしてエプペ嬢への思いが込められているという説もある。
余談
- 一族の呼称の由来は不明だが、「奄美諸島」に由来している可能性が高い。「キカイガシマ」も実在する。原作の『妖怪大戦争』での舞台が日本の最南端の海域の島とされていた事などでも、地理的にも類似性が高い。なお、姉弟のどちらも名前は『海』繋がり。サツキとメイばりのネーミングである。
- 『喜界島』と『鬼界ヶ島』の両方を意識していると思われる。
- 同じ時期にアニメ『墓場鬼太郎』にて(特に『ねこ屋のきょうだい』版の)寝子も、若干ルックスと地獄に関係している点と理由は違えど自ら死を選ぶ可能性があった点(ミウは『地獄の鍵』を守るために、寝子は自ら生き返る事を拒否した)、人間に近い点、男の兄弟を持つ点、動物の特徴を持つ点、鬼太郎との恋愛が展開される点が類似してこそいるが、(『続ゲゲゲの鬼太郎』でのねずみ男と殺し合ったねこ娘にもどこか通じるが)鬼太郎との恋愛の決着の有無や(バージョンにもよるが)生死などもあり、こちらは他人の空似と言わずとも真逆の結果を歩んだとも言えなくもないキャラクターである。
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ミウ(表記ゆれ)