概要
ジオン公国軍の試作型モビルスーツ「イフリート」にクルスト・モーゼスが開発した特殊オペレーティング・システム「EXAMシステム」を搭載した機体。
ただし、初期のEXAMシステムは冷却装置を含めて極めて大型であった為、EXAMを搭載している頭部もそれに併せて大型化している。
パイロットはニムバス・シュターゼン。
全身にスラスターを追加し機動性を高めている他、冷却系の改良や武装の追加といった改修が行われており、そこにEXAMを搭載した事で尖った機体特性を持つ機体として完成した為、テストパイロットのニムバス以外には乗りこなすことが出来ず、実質的な彼専用機として扱われた。
機体カラーの蒼はクルストの趣味とされているが、一部媒体では実際はEXAM開発時に被験体としていたニュータイプ少女マリオン・ウェルチの話からニュータイプは宇宙が蒼く見えると聞いたことで採用しているという解釈が主流になっている。(なお対NT用迷彩とされることがあるが公式にそのような設定はなく一部ファンの独自解釈がネットで広まったもの)。
両肩が赤く塗られているが、これはパイロットであるニムバスのパーソナルカラーで『ザ・ブルー・ディスティニー』の描写だと本機以前から使用していたもの。
イフリート改は、手持ちの射撃武装は持たないが、両腕にグレネードランチャー、脚部にミサイルポッドを装備しており、射撃戦に対応できないわけではない。
武装面の最大の特徴は両腕に携えたヒートサーベルで、こと近接戦闘では無類の強さを誇り媒体によってはMSを容易く一刀両断する。このヒートサーベルは非使用時には両腰、もしくはバックパックにマウントする事が可能。
なお、この機体の開発母体にイフリートが選ばれた理由は「EXAM開発の時点で、EXAMのもたらす高負荷に耐えられる機体がイフリートしかなかった」「グフとドムの中間に位置しながらゲルググ並の推力がある」ためである。
現にイフリート改はEXAMシステムを起動する事によってその性能を限界以上に引き出す事が出来たが、EXAMシステムの性能に機体性能が追い付いておらず、またEXAMも短期間でオーバーヒートしてしまう等、決して完成度の高い機体であるとは言えなかった。
結果、機体性能に対して不満を抱いたクルストは、ジオンを抜けEXAMを手土産に連邦に亡命。ニムバスとイフリート改はクルスト抹殺の為に彼を追撃する事になった。
最終的にキャリフォルニアベースでの戦闘でユウ・カジマの乗るブルーディスティニー1号機と激闘を繰り広げるも敗北。作品によって経緯は異なるがパイロットのニムバスは脱出したものの、最終的にブルー1号機と相打ちという形で機体は大破している。
なお、『サイドストーリーズ』では無理なテストを繰り返して本編時点では限界に近かったとされている。加えて『ザ・ブルー・ディスティニー』によればイフリートは元々生産数が少ない事から予備パーツの確保が難しい機体であった為メンテナンスにも事欠いており、加えて重力下での運用時の負荷の高さから、キャリフォルニアベース戦で既に機体に限界が来ていたとされている。
系譜の近いグフ系のパーツも転用可能であったが、それでもEXAMの負荷によるパーツの損耗が激しかった事が窺える。
バリエーション
イフリート改(空間戦仕様}
たいち庸の『ザ・ブルー・ディスティニー』にて登場。
スタスターの強化とプロペラントタンクにより宇宙戦に対応した機体。
腕に3連装のランチャーや武器にザクマシンガンを装備。肩もゲルググに似た形状のものに換装されている。
EXAM開発の初期の機体であり、マリオン・ウェルチのサイコミュシステム初期試験型ザクと模擬線を行った。
イフリートやイフリート改は近年のゲームでは地上専用機の扱いを受けることもあるが、本作の設定では原点「機動戦士ガンダムCROSSDIMENSION0079」により近い設定を採用したとのことでイフリートは換装で宇宙に対応可能であったことから本機も対応可能だったことになっている。
ゲームにおける活躍
一見格闘戦を重視した装備から、初見のプレイヤーからは接近戦を警戒される。だが戦闘が始まるとミサイルとグレネードランチャーによる弾幕戦を展開する。
また、機動力が非常に高く、ロックオンしないとほぼ確実に相手を見失ってしまうほど。
最後はユウ・カジマのブルーディスティニー1号機の頭部を破壊した直後に大破した。
機動戦士ガンダムバトルオペレーションでは、キャンペーン限定配布機体として登場し、ジオン最強の格闘機として名を知らしめた。
だが、アップデートによって弱体化したジオン最強の格闘機の座から降りる事となった。
「戦場の絆」ではジオン軍の高コスト格闘機として参戦。機動力は低いが耐久値は高めで、耐久値が半分を切るとEXAMシステムが起動し、能力が強化される。
トータルバランスでは格闘機の基本を押さえた性能のゲルググ(S)に劣る。
また、EXAMシステムの扱いやすさでは出撃時にEXAMシステムが起動するB.D.2号機に、機動性では高機動機であるケンプファーやギャンに劣る。
本機はEXAMシステム起動時の格闘3連撃が全機体中最高の威力を持ち、武装次第では6連撃も可能という格闘戦での爆発力が強みとなっている。
機体性能は低コスト機並みだが、ひとたびEXAMシステムが起動すると格闘威力が驚異的に高くなる(一部機体は即死)という機体である。
EXVSシリーズにも参戦しておりコスト1000の格闘機として位置づけられる(続編では1500)。一回で二発発射する腕部ミサイルを放つメイン、扇状に燃焼を付加するミサイルを発射するサブ等、武装の回転効率や弾速の悪さ、なによりビーム兵器やマシンガン等で撃ち落とされてしまうミサイル系しか持っていない等射撃能力は同コスト帯でも高い性能ではない。が、同コスト帯でも良好な足回りと各種格闘からヒット後に別方向にレバーを入れると他の格闘に派生可能という特性から1000コスト帯にあるまじき火力の格闘を武器に相手をねじ伏せる強襲機として仕上がっている。
専用のEXAMゲージが武装で備わっており、これを消費することで射撃を防ぎながら相手に向かって急速接近したり、ブルー1号機のようなサイドステップを行うことができる。特殊格闘は追随距離が長くEXAMゲージを回復する。また、格闘中に特殊格闘に派生させることで、高威力の格闘を叩き込みながらEXAMゲージを回収することもできる。ただし、ゲージが無くなってしまうと機動力が大幅に低下するため、ワンチャンスを見極めて接近戦で圧倒する、まさしくニムバスのスタイルを体現したかのような性能となっている。
立体物
ライバルのブルーディスティニーが1機も1/100化していないにもかかわらず、RE/100のラインナップとして1/100スケールでガンプラ化。この時はイフリート・シュナイドがプレミアムバンダイ限定となっている。HGUCでは逆にこちらがプレミアムバンダイ限定となっており、シュナイドが通常販売になっている。
なお、HG版はメタリックグロスインジェクションVer.がガンダムベース限定商品として登場。
ガシャポンSDガンダムフルカラーシリーズにラインナップ。ヒートサーベルを両手に構えた固定モデルとなっている。※現在、入手困難
ROBOT魂ではver.A.N.I.M.Eとしてブルーディスティニー1号機の1ヶ月前に一般販売された。原作を設定画を元に再現されている。EXAMシステム発動時を再現するエフェクトパーツが付属しているが、これはセガサターン版当時の演出ではない。
余談
イフリート改の代名詞と言える2刀のヒートサーベルだが当初は存在せずライバル機としてはったりを利かせるためにグフのものを使用したと徳島雅彦が明かしている。
実際、設定画等には存在せず、ヒートサーベルのデザインもグフのもの、イフリートのもの、本機専用のものなど作品によってバラバラでデザインには幅があった。
前述のように原作で見た目に反して遠距離戦を展開するのもそもそも初期武装になかったからだと考えられる。
現在は『ザ・ブルー・ディスティニー』にて新たにデザインされた際のイフリートと同形のものが主流のようだ。
また、ギャロップへの搭載や腰部ミサイルとの干渉からバックパックに収納している。
RE100版はこちらを採用したが何故か刃の向きが逆。
また、ゲーム作品などではイフリートに倣ってサイドアーマーにつけていたこともあるためかHGでは選択式を採用しておりバックパックに取り付ける刃の向きも漫画版のものに戻っている。