「EXAM system stand by」
もしかして: EXAM(実況者)
概要
クルスト・モーゼスが、ジオン公国軍のフラナガン機関で開発した対ニュータイプ戦を主眼としたモビルスーツ用のオペレーションシステム。
当初はニュータイプの戦闘能力を再現したサポートシステムであったが、クルストは研究を続ける内に「ニュータイプはオールドタイプを滅ぼす存在に成りうる」という結果を導き出し、その強迫観念に取り憑かれるかのようにオールドタイプでもニュータイプに対抗しうるシステムへとそのコンセプトを変貌させ、ニュータイプを裁く (examination) ためのシステムとして「EXAMシステム」と名付けられた。
当初は、その要求性能の高さもあって開発は難航するも、開発途中に起きた事故でテストパイロットだったマリオン・ウェルチの感応波を取り込んで完成した。
EXAMシステムは、作動時には人間の脳波を電磁波として捉え、その中から「殺気」を察知する事によって敵の位置の特定や攻撃の回避といったニュータイプに近い戦闘能力を発揮する。
その性質上、特に乱戦に於いて高い効果を発揮し、その能力を持ってすればモビルスーツ単機での敵基地制圧を成し遂げる事も可能。
しかし、EXAMは機体の損耗を抑えるために設定しているハード性能を限界まで引き出すため、稼働部や動力部に多大な負荷を掛け、機体のオーバーヒートを誘発してしまう欠点を有する。
またシステムに取り込まれているマリオンの意識による救済祈願やシステムの破壊衝動など、パイロットへの精神的影響も図り知れない。
そして、本システムの最大の特徴として、ニュータイプが戦場に現れていると判断した際にリミッターが解除され、パイロットの制御を離れて暴走する事が挙げられる。
これはクルストが意図したEXAM本来の仕様であるが、戦場で頻繁に起こりうる「人の死」と強い殺気に晒される事でもシステムは暴走する。またEXAM搭載機同士が同じ戦場に投入された場合、お互いをニュータイプと誤認し、同士討ちを開始する致命的な欠点を持つ。
システムは全4基のオリジナル・コアが制作され、内一基をイフリートに搭載し各種テストが行われた。しかし、システムが初期型だった事に加えて電装関連の技術が未発展だった事もあってシステムの要求に機体性能が追いつかず、ジオンのモビルスーツ開発技術に限界を感じたクルストは残りのシステムを手土産に連邦へと亡命。陸戦型ジム、陸戦型ガンダムをベースにしたブルーディスティニーシリーズを開発するに至った。
しかし、クルストは一年戦争中に死亡、更にシステムを搭載した4機のモビルスーツも全て失われた事からシステムの再現は不可能となり、再現を試みられたこともあったが完全再現した事例はなく、後述の関連技術のHADESも解析不能とされており、その存在は歴史の闇に埋もれる事になった(システムの再現が不可能な点については、システムを構成しているソフトウェア及びハードウェアにクルスト独自のノウハウが組み込まれているため彼以外に製造・複製できる人物がいなかった事、そして彼がシステムの本質を隠して開発を続けていた事が重なったと言える)。
また、システム搭載機は共通して蒼い色で塗られている。
これは機能的に関係はなくクルストの趣味。小説ではマリオンから「宇宙が蒼く見える」という話をクルストが聞いてニュータイプと同じものを感じるために塗装している。
ただし、小説版も含めてクルストがマリオンの意見を信じていたとも言い難く、「ザ・ブルー・ディスティニー」でも3号機のカラーリング変更を認めている(なおそれ以外の作品での3号機は急遽実戦投入された予備機だったため単に塗られていなかった)。
ニュータイプには宇宙が青く見えるという部分だけがネットに広まったためかニュータイプに対するカモフラージュ効果という一部ファンの説もあるがこれは公式設定ではない。
余談だが、EXAM搭載機がニュータイプや強化人間と遭遇してシステムを起動した記録は無く、その殆どは戦場の殺気を感じた時か、他のEXAM搭載機を検知した時に絞られる。ニュータイプを裁くシステムとして作られながら、ニュータイプとは接触していなかったと長らく思われていたが、「コードフェアリー」にて遂に1号機がアルマ・シュティルナーと交戦した。
なお、明確に歴史が異なる世界観では異なる機体にも搭載されている。
『ガンダムネットワークオペレーション』ではクルストの亡命を阻止することでギャンとゲルググが使用可能。
歴史が歪められた『ガンダムEXA』では2号機と3号機の残骸から再建されたブルーディスティニー3号機改(Gジェネに登場した機体とは別)に不完全ながら搭載されマリオンがパイロットとして補うことで機能が再現された。
派生システム
NEO EXAMシステム
EXAMから派生したモビルスーツ用オペレーションシステムの1つ。
反地球連邦組織「シン・フェデラル」が後述の妖刀システムを開発するべくEXAMの解析を行ったものの、肝心のデータがほとんど存在しなかったために、独自の理論を組み込んで作られている。ブルーディスティニーΩに搭載されている。
妖刀システム
ストライカー・カスタム等に搭載されたモビルスーツ用オペレーションシステム。
NEO EXAMを経由して開発されたためか、システム起動時にはデュアルアイが赤く発光する点も引き継がれている。
HADESシリーズ
一年戦争後期にオーガスタ研究所が開発したペイルライダーに搭載されたモビルスーツ用オペレーションシステム、及びその一連のプロトタイプ群。
これはEXAMの量産を前提としたシステム「オルタ」のデータを提出させ基に開発されているため直系とも言えるのだが、こちらはクルストの思想を離れているためEXAMの本質たる「ニュータイプ殲滅」の理念から外れた「モビルスーツの性能向上システム」としてのコンセプトを受け継いでいるに過ぎない。
NT-D
宇宙世紀96年に開発されたユニコーンガンダムに搭載されたモビルスーツ用オペレーションシステム。
ニュータイプの殲滅を謳ったシステムであるが、こちらは「概念としてのニュータイプを否定する事でジオンの理念(=ジオン・ズム・ダイクンの掲げた思想)を破壊する」というEXAMとは違う意図を持ったシステムとして完成している。
一部資料では「かつてEXAMに携わったアルフ・カムラがNT-Dの開発に関わった」とされているが、定かではない。
SDガンダム作品
『新約SDガンダム外伝』では聖剣エグザムを使う騎士ブルーディスティニーと魔剣エグザムを使う騎士イフリートが登場。騎士ブルーディスティニーは暴走状態になることもあった。
後にそれぞれエグザムの力でガンダム族になり聖剣騎士ブルーディスティニーと魔剣騎士ブルーディスティニーとなる。
『SDガンダム三国伝』の馬超ブルーディスティニーは目が赤くなる形態を持つ。
関連項目
機動戦士ガンダム外伝THEBLUEDESTINY クルスト・モーゼス
ジムスナイパーK9、B/Dライダー、陸戦型ガンダム市街地戦仕様…ガンプラを題材とした作品で登場したEXAM搭載機。基本的に性能が上がる機能として使われている。
キマイラ隊:こちらもクルストと同じようにニュータイプを危険視する観点から対ニュータイプ用に組織された「オールドタイプによるカウンターニュータイプ部隊」。
ガンダムベルフェゴール:Gジェネレーションシリーズに登場したアナザーガンダムでの対NT戦用MS。
D-LIVE!!:新機軸のジャミングシステムの名前として登場。劇中では名前が呼ばれることはないが、システムが搭載された試験機のコンソールにはEXAMと書かれている。EXAMとは何の関係もないシステムで、様々な作品から引用した小ネタがちりばめられているのでこれもその一つ。