概要
ガンダムシリーズに登場する作業用機械。広義の兵器に含まれる軍用品から、純粋に非戦闘用の民生品まで様々。人型とは言い難い形状の機体もあるが、現実の重機に近いものは含まない。
作品に登場する作業用機械の名称はシリーズによって異なるが、「モビルワーカー」の名称は特に宇宙世紀作品や「機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ」で使われている。
宇宙世紀では後述のモビルスーツの雛形となった物の他に、ザクⅡのような旧式機を転用したものが存在。他にも、キャトルのようなコロニー建設時代に用いられていた物からゲゼやDガンダムのようなハンドメイドのもの、サンドージュのようにモビルスーツの概念が浸透して久しい時代に製品として開発されたものなどモビルスーツには遠く及ばないが様々なモビルワーカーが登場している。
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』
宇宙世紀0071年、ジオン自治共和国がサイド3のエキストラ・バンチ「ダークコロニー」にて開発した月面作業用重機。型式番号MW-01。固有の名称は与えられていないないため単に「01式」と呼称される。
しかし、その実態は後に宇宙世紀の戦争形態を一変させる「モビルスーツ」の雛形であり、「月面作業用重機」の開発計画そのものがそれを秘匿する為の隠れ蓑に過ぎなかった。
背部に核融合炉を搭載しているが、この当時の核融合炉は16メートル級の人型構造体の胸部に収まる程小型化しておらず、背部に大きく露出しているなど、兵器としての完成度は低い。
また、動力炉の大型化は機体の運動性・機動性にも影響を及ぼし、今後の機体開発の課題となった。
01式は開発時期によって初期型、後期型、最後期型に分類されている。
初期型は核融合炉に加えてコックピットも外部に露出しているなど安全性に難を残していたが、後期型ではパイロット保護の観点からコックピットにキャノピーが追加され、前腕部のアタッチメント化が行われた結果、マニピュレータや専用作業用パーツの換装が可能になった(このアタッチメント方式は後のヴァッフやプロトタイプ・グフの戦術実証機にも採用され、各種特化装備の開発に貢献している)。
最後期型は後期型から更に改良・発展を行った機体であり、初期型・後期型の運用試験で得られたデータやテストパイロットらの意見を参考に完成度が高められている。
コックピットは完全に装甲に収納され、更に肩部可動範囲の拡大や脚部のバランス調整が行われた結果、後期型から更に人型に近いシルエットを持つようになり、また腕部アタッチメント機構もそのまま継承されている。
しかし、MW-01はこれら改良が行われる中であっても核融合炉の小型化は行われておらず、本格的な戦闘用モビルスーツの開発は、トレノフ・Y・ミノフスキーによる新機軸の小型融合炉が組み込まれたYMS-03「ヴァッフ」の提唱を待つ事になる。
実際に作業機としての運用もなされており、地球上のジャブローの基地造営工事にもリースされている(作業機の建前を補強するための偽装工作の面が大きかったようで、現場からはアフターサポートの劣悪さを愚痴られている。なお、劇中でシャア・アズナブルは本機の操縦オペレータとしてジャブロー工事の秘密偵察任務に当たっていた折にララァ・スンと邂逅している)。下半身部も運用環境に応じたアタッチメント構造になっており、ジオングに似た宇宙専用スラスターユニット、キャタピラ、タイヤ等のバリエーションが存在する。
原作漫画とOVA版の相違点
以上の設定はOVA化された際に練り直されたもので、原作漫画ではモビルワーカーの型番や世代分けなどが異なっている。
01式後期型と最後期型のデザインのみ原型が存在しており、型番は後の01式後期型はMS-01、最後期型はMS-02が割り当てられている。
また、MS-01とMS-04(OVAにおけるブグ)の中間を取ったようなデザインのモビルスーツもデザインされたが「(ザクの)1号機にしては完成しすぎている」と言う理由で没になり、漫画で流体パルス駆動のシミュレーションとして一コマのみ描かれていた機体がギレンによりMS-03の型番を割り当てられた。このMS-03はOVA版においてはジオン史上初のモビルスーツYMS-03ヴァッフとして新たに設定を得ている。
そのためOVA版ではMS-01とMS-02がMW-01として統合されMW-02が空白となっている。
『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』
厄祭戦後の世界情勢に於いて、モビルスーツの動力炉となる「エイハブ・リアクター」の製造技術がギャラルホルンに独占されている事から各勢力で主力兵器として配備・運用される車両型マシン。ローラーを備えた三本足が特徴。
運用環境に合わせた改良も容易であり、勢力によっては資材運搬など幅広い用途での運用が行われている。
また、MS以外では数少ないエイハブ・ウェーブの影響下でも支障なく活動できる兵器である。
水素エンジンで駆動し、コストパフォーマンスの観点からモビルスーツよりも数を揃えやすいが、ナノラミネートアーマーで防御を固めたモビルスーツに対してはその機体質量の差もあって不利に立たされる事が多く、モビルスーツ戦に於いては後方支援や露払い、囮役といった裏方仕事を担う事になる。
一方で、エイハブ・リアクターの使用に制限が加えられている都市部では主力兵器としての座を確固たるものとしており、ギャラルホルンも都市部への出動の際にはモビルワーカーの運用を基本とする。
CGS/鉄華団モビルワーカー
CGSが使用していた機種。CGSが鉄華団に乗っ取られた後は鉄華団も使用する。
武装は機体両脇に備えるマシンガンとミサイルポッドとキャノンの選択式。
ローラーをスラスターに換装して推進剤タンクを搭載することで、宇宙でも活動できる。
既に旧式化しており性能は低く、機体サイズも小さい。だが機動性は高く、参番組の機体は阿頼耶識システムで運用されることもあって、他勢力のモビルワーカーを翻弄する活躍を見せた。
鉄華団モビルワーカー(新型)
二期にて鉄華団が主に使用する機種。
以前使用していたものとフォルムは似ているが大型化されており、武装もマシンガンとミサイルポッドを同時装備と充実している。
鉄華団が阿頼耶識システム施術の義務化を撤廃したために、主に施術を受けていない新人団員が操縦士と砲手の二人一組で運用する。
ギャラルホルンモビルワーカー
ギャラルホルンが使用する機種。
武装は上部のキャノンと下部の対人用チェーンガン。またミサイルポッドを装備した機体もいる。
他の機種よりも大型で出力が高く、優れた性能を持つ。
ユニオンモビルワーカー
木星の重工業メーカーが製造している新鋭機。
武装は上部の旋回式砲塔とグレネード。
多くの勢力が自衛用に購入しており、ドルトコロニーの労働組合でも購入できたところを見ると、非常に安価な機種だと思われる。
鉄華団も地球降下後に戦力増強のために多数購入している。
アーブラウ仕様モビルワーカー
ユニオンモビルワーカーをアーブラウ防衛軍が改修した機種。
上部砲塔が大型化しているが、その分機体バランスが悪くなっている。
HDモビルワーカー
夜明けの地平線団が仕様する機種。
武装は大口径砲。
ギャラルホルンモビルワーカーに似たフォルムをしている。
SAUモビルワーカー
SAU軍が使用する機種。
森林戦や市街地戦を想定しており、主砲は大口径だが極端に砲身が短くなっている。
類似の概念
プチモビルスーツ
略称はプチモビ。宇宙世紀に登場する操縦席に四肢を取り付けたような簡素な造りの作業用機械。
サイズは2mほどで簡易マニピュレーターと地上作業用の脚部、空間機動用の背部スラスターポッドを有する。
宇宙空間での運用が想定されているモデルの操縦席は座席と比べてかなり広めの空間が取られた球形のキャノピーで覆われている。
ジュニアモビルスーツ
プチモビと同じく宇宙世紀に登場する2mほどの作業用機械だが、腕部が簡易マニピュレーターのプチモビよりしっかりした構造になっておりある程度の戦闘行為にも耐えられる。
またプチモビと異なり操縦席は露天式のため、宇宙空間で活動するにはノーマルスーツを着用しての搭乗が必須。
ミドルモビルスーツ
同じく宇宙世紀に登場。プチモビルスーツやジュニアモビルスーツより大型の作業用機械で、クレーンを装備している。マニピュレーターも大型であり、MSの武器を奪って使う事もできる。
ギガシィ
同じく宇宙世紀に登場。サイズが4mほどの警備用小型モビルスーツで、マシンキャノンで武装している。
モビルリブ
正暦に登場。
ムーンレィスが使用する作業用機械。作中に登場したものはジェットストリームと呼ばれる。
また、汎用作業モビルスーツ・ベロナも存在し、こちらはウァッドの原型になった。
ワークローダー
西暦に登場する作業用機械。
軌道エレベーター建設のために考案された機械で、重機のキャブに3輪式の脚部と2本の腕を取り付けたような外観をしている。
紛争が起きた際に武装化され、これが発展したのが西暦世界におけるモビルスーツの成り立ちとなっている。
化石燃料を用いていた初期のMSであるファントンが一線を退いて久しい2307年時点においても国力の低い国家の内紛などには未だに現役で用いられている他、2364年にはELSとGNドライヴを搭載し四肢を持つ外宇宙探査用高性能ワークローダー「サキブレ」が完成している。
モビルスタンダード
アドバンスド・ジェネレーションに登場する作業用機械。
コロニー国家戦争後に締結された「銀の盃条約」によりモビルスーツの保有が禁止されたため、巨大人型機械は使用方針の転換を強いられており、その中のひとつとして作業用に方針を転換されたのがモビルスタンダードとなる。
UEことヴェイガンの襲撃に際して地球圏の再軍備が進められた際にはモビルスタンダードのデスペラードをベースに開発されたモビルセキュリティ「ジェノアス」が主力機として採用された。
当初ジェノアスはEXA-DBの封印されたデータを用いて開発されたヴェイガンのモビルスーツにまるで歯が立たない有様だったが、改修を重ね対ヴェイガン戦役末期には最新鋭の敵MSにも劣らない高性能なモビルスーツとして一線を張るものもあった。
その他宇宙世紀のジュニアモビルスーツに相当する小型モビルスーツが同様に作業・競技用に用いられている。
モビルクラフト
アド・ステラに登場する作業用機械。
アスティカシア高等専門学園で用いられている物は箱状のボディに3対の簡易マニピュレーターを持ち、下の1対は脚部としての役割も持つ。