正式名称はExtraterrestrial Livingmetal Shapeshifterで、日本語表記では「地球外変異性金属体」と称される。
概要
「さあ、ファイトを………対話をしましょう!!」 - アレンビー・ビアズリー
「お前たちは何者だ!?何を求めてここに来た!?答えろ!!」 - 刹那・F・セイエイ
「どんな化物も、オレ様の敵じゃねぇ!!」 - フォン・スパーク
「何よ………!この気持ち悪い奴は!」 - ヒリング・ケア
「トレミーも異星体との戦闘に入ります!」 - スメラギ・李・ノリエガ
「ELSが………!?」/「汚染部、拡大………!」 - フェルト・グレイス
「オジャマするんなら、ちゃんと玄関から来やがれぇ!」 - パトリック・コーラサワー
「そうだ、僕も超兵。こっちを狙え!」 - レナード・ファインズ
~以上、Gジェネクロスレイズでの特殊会話~
ガンダムシリーズにおける敵としては(コミック作品を除くと)史上初の地球外生命体であり、要するに宇宙怪獣。
身体は自在に変形できる金属で構成されており、予告編では円錐状となって戦闘を行う姿が確認されている。さらに敵MSや戦艦などを取り込み、吸収した物の特質や能力を模倣、再現する能力を持つ。
ELSは「脳量子波」と「同化」をコミュニケーションの手段として用いており、地球に到達したELSは脳量子波を放つイノベイターになりうる因子を持つ人物を優先的に追跡し、同化を図った。
異星生命体との接触は、イオリア計画でさえ更に数百年後と想定されていたものであり、想定外の早さで訪れた「来たるべき対話」の時に地球圏は大きく混乱する事となる。
アイデア元はSF考証を担当していた寺岡賢司の発案。
その金属生命体ともいえる独特の特性ゆえに歴代ガンダムシリーズでも最強クラスの敵として話題になり、ファンの間では「どうやったらELS全体を倒す事ができるか」という議論が起こったりもした。
在りかた
その在りかたは『交響詩篇エウレカセブン』のコーラリアン、『蒼穹のファフナー』のフェストゥム、『マクロスF』のバジュラ、『真(チェンジ!!)ゲッターロボ 世界最後の日』のインベーダーに近いと言える。
もっと簡単に例えると、地球で言うところのアリやハチなどの高等昆虫に近い生態をしている。
ELSの活動
ELSはある理由からワームホールを用いて様々な星系を旅する種族であり、太陽系には木星の大赤班に発生したワームホールを通って現れた。
ワームホールから現れた先遣隊は付近に放置されたCBの木星探査船と融合して地球へ接近し、異常を感知した連邦部隊によって破壊されるも、不自然に燃え尽きなかった破片と共に地球に落下。
落下地点の周辺に存在している機械と融合し、各地で不可解な事件を引き起こした。
また木星探査船の乗組員であったリボンズ・アルマークと同型のイノベイド、スカイ・エクリプスの体を乗っ取り、アーミア・リー(玄関子)やルイス・ハレヴィなどイノベイターの因子を持った人間を襲った。
知性は有するものの地球人とはかけ離れたメンタリティを持ち、脳量子波によってコミュニケーションを行う群体である。それゆえ、地球人やイノベイドが放つ脳量子波に惹き付けられている。
またelsの一つ一つが『個』ではなく『群』全体が『個』として種族間でネットワークを形成して並列思考する生物でもあるため、その思考情報量は人の許容量を遥かに凌駕する。
そのため、彼らの脳量子波は人類にとって強烈な“叫び声”のようなものであり、それを常に大量に放っているため刹那やデカルト、ルイスといった高い脳量子波を持つ者はその激しい干渉に苦しめられ、取り込まれた者はその膨大すぎる情報量の前に脳が焼き切れ自我崩壊していった。
※イメージ的には、『大人数が耳元で大声で叫んでいる』ようなもの。
機械的に言えば1バイトの容量に1テラバイトの情報をブチ込もうとするくらいムチャクチャなことである。
木星を通った遠征隊の本体は月と同等の質量を持った巨大な構造物(ポスター等に使われているメインビジュアルにも描かれている球体状の物体)であり、様々なサイズ・形状のELSによる混成部隊となっている。
劇中では大小さまざまなサイズのELSが登場するが、一定のサイズ以下、具体的には成人男性の半分程度の大きさまで小さくなると生命体としての活動を停止してしまう(別の個体が合体して一定のサイズ以上になると活動を再開する、それ故にELSは事実上不死身と言える)。
ELSのサイズ
地球圏へ襲来したその総数はアンドレイ・スミルノフ曰く「連邦軍の全戦力(TV版当時よりも軍縮が進んでいることに留意)の約1万倍」にも及ぶが、大きく分けると以下の3種に分かれる。下記以外にも、本星には更なる別種が存在する可能性がある模様。
小型
最も数の多い固体で、常に大群で行動する。
大きさはELSの中では最小でMS未満だが、その分動きは速く、トランザム状態のガンダムにも追い付いてしまうほどである。
大きく分けると「ランス状」、「ナイフ状」、「4本角棒状」の3種が存在する。
標的に体当たりするような形で取り付き、侵食を行う。
自身よりも大きな物にはなれない(ミサイルなどの小さな物にはなれる)ため、MSに変身(擬態)する場合は複数の個体が融合する。
また、その性質上ダウンサイジングや巨大化も出来ないと思われ「人間サイズのGN-X」や「MSサイズの戦艦」には恐らくなれない。
大型(もしくは中型)
艦船サイズのELS。
小型に比べて数は少ないが、一体で艦艇を丸々取り込めるほほど巨大。
大きく分けると「白熱電球状」、「複数の触手を備えた蛸状」、「3本の巨大な鉤爪状」の3種が存在する。
主に触手を使って艦船やMAを捕らえて侵食し吸収する。
小型と同様に変身(擬態)能力を有しており、こちらは主に巡洋艦などの艦船に姿を変えていたが、中には姿を変えないまま複数の艦船の船首部分と砲塔を角のように生やして攻撃するものも存在する。
超大型(もしくは大型)
直径3000kmという月とほぼ同じ大きさを有する超弩級ELS。
木の根が複雑に絡み合い、球を成したような姿をしている。上下の部分が角のように細く伸びており、周りの円状の雲のようなものは小型ELSの群体である。
ELS群の中枢を担っており、この固体のみ1体しか存在しない。(ただし、コイツ含む他のELSですら「先遣隊」であり本隊は別に存在する)
オレンジ色の液体状の内部を体表で覆っており、膜を剥がして露出させることでGNフィールドのようにソレスタルビーイング号の巨大ビーム砲やダブルオークアンタのライザーソードを受け流した。
また、最奥にはELSの全ての記憶を宿した中枢部が存在する。
戦術
ELSのその最大の武器は先述の通り「同化」である。
同化によって取り込まれた物体は瞬く間に吸収され、そのデータはELSの脳量子波によって他の個体と共有される。
その為、ミサイル、バズーカなどの実体弾は同化・吸収されてしまうため、ELSを殲滅するには粒子ミサイルを接触ギリギリまで接近させ、ミサイルにセットした近接信管を作動させて起爆させるか、ビーム攻撃で薙ぎ払うしか無い。
GNフィールドを展開していれば、展開面に限るが侵食を防ぐことが出来る。
当然ながら基本的に格闘戦も御法度である。
ただし実体が無いビームサーベル、実体剣では表面にGNフィールドを纏わせているGNソード系、ELSが同化できないほどの高速で攻撃出来るならその限りではない。
事実、ガンダムハルートのシザービットはELSジンクスに接触したが、超高速で機動していた事によりELSジンクスを瞬時にコマ切れにしており、アンドレイ機のGN-XⅣはバスターソードでMS型を切断している。また先述の通り基本的に通用しない実体弾攻撃であっても、ティエレンチーツーが装備する多段階加速砲はスピードと威力があり対ELS戦に有効な武装である。
仮に取り付かれた場合、ボディ以外であれば武器を捨てるか、汚染箇所を切断・破壊すれば侵食を阻止出来る。
ボディだった場合は脱出装置を使用して脱出するか、そこすら侵食されていた場合は、同化吸収されて死ぬかELSを道連れに自爆する二択しかない。
擬態能力
自在に変化するという特性から擬態能力も持ち合わせており、取り込んだMSや巡洋艦などに擬態する事が可能。
ELSが擬態したMSはオリジナルの形状や機能を完全に模倣しているわけではなく、頭部カメラが片目モノアイ型であったり、背中のコーンスラスターが初期形態に似た長い円錐状であったり、ビームや粒子は紫色、携帯火器は腕と一体化していたりと多くの相違点を持つものの、兵装の威力はオリジナルと遜色ない。
下記のGN-XⅣをはじめ、ヴォルガ級、漫画版ではダブルオーライザーとガデラーザ、外伝『00I 2314』ではアリオスガンダムアスカロンに擬態するELSも確認されている。
とは言え、人類にとっての最大の脅威はその圧倒的な物量なのかもしれない……。
ELSGN-X
GN-XⅣに擬態した姿。
GNドライヴの機構を模倣したため背部から紫の粒子を発し、GN-XIVに匹敵する戦闘能力をもつ。
一見するとGN-XIVそのものだが、カメラアイが単眼モノアイ状、手持ち武器が腕と一体化している、擬似太陽炉のコーンは円錐型ELSがそのまま残っているなど、細部はELSの特徴を残している。
なお、この機体(?)はELSがGN-XⅣに擬態したものであるため、厳密にはMSの部類には当てはまらない。
ゲームでの登場
Gジェネレーション
Gジェネレーションシリーズでは『3D』に小型のものが、『OVERWORLD』に小型と中型のものが敵専用としてそれぞれ登場。
侵食することでユニットにダメージを与えるほか、特定のステージではユニットをコピーして変化した姿になることも。作中では宇宙要塞リーブラを侵食したELSリーブラが出現。
中にはバルバドロに操られている個体もいた。また、3Dでは思念体R.A.ニューロとして復活したリボンズ・アルマークがネメシス粒子を媒介とし、リボーンズガンダムを取り込ませたネメシスR.A.に操られてしまった。
クロスレイズでは劇場版00のシナリオで登場。
小型ELSと中型ELSはステージ3でELSジンクスとELSヴォルガへと擬態するようになっている。
スーパーロボット大戦
ストーリーの中盤に登場。
気力を低下させて同化を目論むフェストゥムに対し、こちらはユニットのエネルギーを低下させる事で同化(融合)を果たそうとしている。この攻撃でエネルギーが無くなると即撃墜扱いになる。
その場合これもフェストゥムと同じように避けづらいスーパーロボット系統のユニットが苦戦を強いられる。
しかし、デモンベインの場合エネルギーがない代わり魔力(MP)という代用能力がある。
ELSはMPを低下させることができないため、燃費さえ気にしなければデモンベインだけで撃退できてしまうのだ。(バルカンを使えば燃費も大丈夫である)
また、フェストゥムと違って有情な点が幾つか見受けられる。
- 攻撃の射程が短いため長距離から攻撃すれば一方的に攻め立てられる。
- 攻撃の特殊効果はサイズ差無視のみで、バリア持ちが防御すると防ぎきってくれる。
- 攻撃の属性は実体弾扱いなため、撃ち落としで阻止出来る(レアスキル・銃の名手を会得していると100%阻止出来る)
- 当然だが、フェストゥムが難敵となっている理由の一つであるブッ壊れスキル「読心」を持たない
ELSの凶悪さの真髄は「近づかれたら終わりの能力」と「対応できないほどの物量による圧殺」であるため、こちらの兵力の2〜3倍程度にしか展開されない=強みがほぼ死んでいる以上当然といえば当然である(ゲームバランスの都合上致し方ないとも言えるが)。
こちらでも中盤頃から登場。
特性は『UX』から特に変わっておらず、「MPを減らせない」という点までそのまま。
今回はガンダム族の皆になる(『UX』の三璃紗人と違いENではない)が、タフさに違いがあるので
デモンベインのような一騎当千はちょっと難しい。また、木星の超エネルギー「ザ・パワー」の影響下にあるため
気力が200で登場する(最大値が200ではなく、初期値が200。そのため最大気力が250になる。)
天獄篇の中盤に登場。蠢く金属という別名を持つ。
こちらではフェストゥムと同様に気力を低下させる事で融合を果たそうとしており、彼らの攻撃で気力が80以下になると即撃墜(描写的には撤退)扱いとなる。そのためファイヤーボンバーに支援してもらうと楽な相手になる。
ストーリー終盤にて刹那とヒイロとの対話を果たした後、最終防衛ラインに乱入してきた宇宙怪獣・タイタン変動重力源が倒れたことで出現したブラックホールを取り込み、宇宙に一輪の花を咲かせた。
その後は人類に協力し銀河殴り込み艦隊に参加。バアルや御使いとの戦いにも同行する事になる。そもそもELS達もバアルの被害者であるため、宇宙怪獣に対しては敵対的。
また、似たような生態を持つバジュラとは早期に分かり合い、お互いに共生関係にある。
ストーリーの終盤に登場。
ようやくバジュラのついで扱いから脱却が出来た。
特性は『第3次Z』と同じ。新正暦世界の大マゼラン銀河で地球艦隊・天駆と接触し
その後ガミラス本星宙域にてガミラス・地球艦隊・天駆両軍と交戦。
刹那との対話により一旦は動きを止めて状況を傍観、その後ガミラス本星に落着しつつあった第2バレラスの633工区と融合。
宇宙に一輪の花を咲かせる事になる。
原作通りならば彼らの母星は西暦世界(00、SEED、ナデシコ、クロスアンジュなどの世界)にあるはずだが、何故新正暦世界(ヤマト、クロスボーンの世界)に出現したかは劇中でも語られていない。
ロストヒーローズ2
3番目のダンジョン・ウィズダムキューブから登場。
ヒーロー達と敵対する組織NEVERが脳量子波を用いた制御を行うため、イノベイターであるダブルオーガンダムやガデラーザを捕らえて実験を行っていた。
6番目のダンジョンであるハザードキューブではリジェスに意識を乗っ取られて暴走するが、ダブルオークアンタのクアンタムバーストによって自我を取り戻した。
また、2番目のダンジョンであるマウンテンキューブでは上述のスカイ・エクリプスの身体を乗っ取った件の再現からかリボーンズガンダムに擬態した個体が登場している(ヒーロー達は当人が復活したものと勘違いしていた)。
なお、他作品のキャラクターではマスカレイド・ドーパントを侵食した他、デナン・ゾン、ヘルハウンド、アッチペッチー、メタモルガ、カーリー星人に擬態している。
ELS系は物理攻撃が1ダメージに半減されてしまい、更にSPを吸い取る攻撃をしてくるので長期戦は禁物。
ユニコーンガンダムのビームマグナムといった高火力のEN攻撃で仕留めたい。
EXTREME VSマキシブースト
敵としては登場しないものの、ステージ「絶対防衛ライン」にて小型ELSがステージに刺さっていたり(あくまでも破壊可能の障害物扱いの為、触れてもダメージは受けない)、プレイアブル機体であるブレイヴ指揮官用試験機の覚醒技に、ブレイヴに組み付いているELSジンクスの姿が見られる。
EXTREME VS.2
敵専用機としてELSジンクスが登場。武器はGNビームライフルとGNビームサーベル。
侵食攻撃の有無は未確認だが、原作のように触れても侵食されてダメージを受けることはない。
争鋒対決
ELSクアンタとして登場。
ビットとしてELSが飛んでいき、相手に接触すると相手を侵食し一定時間拘束する。
余談
元々初期案や、絵コンテではELSが擬態するモビルスーツはダブルオーライザーの予定であったが、決定案でジンクスⅣに差し替えられたという経緯があった(グラハムの「とはいえ、相手がガンダムタイプとは…!」という台詞はその名残りといえる。(00の世界における「ガンダム」の丁儀はオリジナルか擬似かを問わず「太陽炉(GNドライヴ)を搭載しているか否か」なので一応ジンクスも「ガンダムタイプ」ではあり、なんならV字アンテナを持つシルエットまでクリソツである)
SDガンダム外伝シリーズでは
SDガンダム外伝の新約SDガンダム外伝 創世超竜譚では、精霊竜ELSとして登場し覇界神バロックガンが去っていた後の世界カッズ・ザルド界に現れカッズ・ザルド界を再調整し平和な世界にしたが勇者ガンダムの仲間を道連れに時間さえも巻き込んで戻ってきたバロックコアの影響により精神は邪悪に染められ、カッズ・ザルド界は、悪に染まる者が続出しバロックガンの再来を捧げた邪教集団ジットが出現し戦乱の吹き荒れる世界へとなってしまい、バロックコアの意識の影響でバロックガンの近衛騎士ジンクスに似た姿の金属の兵士ELSジンクス達を作り上げた。
精霊竜ELSは、キャピタルの塔・竜の間に封印されてしまったが封印が解かれ勇者ガンダムの転生した姿である騎士セツナが古代の記憶取り戻し騎士00クアンタへと変化し騎士00クアンタの対話によって精神が解放されスペリオルドラゴンが操られた姿であるマークⅢの魔神が砕かれ変化した魔神カバカーリーを精霊竜ELSがそれを阻み、そしてSスペリオルドラゴンの光が精霊竜ELSと00クアンタを照らすと00クアンタスペリオルバーストへと変化しバロックコアにダメージを与えるがカバカーリーをバロックコアは、体に取り込み偽神0バロックガンへと変化するのだった、だが00クアンタは、ELSと融合しスペリオルカイザーELSクアンタへとなり、黄金神スペリオルカイザーが復活したがカイザーワイバーンが操られドラゴンマルートになっていた時の戦いの傷が残っており力を発揮することができてなかったが精霊龍ELSがカイザーワイバーンと一つになることで二つの力を合わせ持つ超竜カイザーワイバーンZへと進化しカイザー形態もスペリオルカイザーZへと進化し偽神0バロックガンを浄化しカッズ・ザルド界をソレスタル界へと新生させた。
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機動戦士ガンダム00 A_wakening_of_the_Trailblazer
以下本編の重大なネタバレ
地球上へ拡散した欠片による怪事件や対話を試みたデカルト達先遣隊の全滅から、連邦軍はELSを敵性生物と断定したが、実は彼らに敵対意思は無かった。
ELSの故郷のある星系は主星(太陽系でいう太陽)が寿命を迎えて白色矮星(恒星の最期の姿の一つ)と化し、その際の文字通り恒星規模の爆風により壊滅。その後も主星の死に伴うエネルギー不足、あるいは有害なエネルギー放射により完全な滅亡が時間の問題となってしまった。
(小説版では「爆発」と書かれているが、故郷の惑星が原型をとどめているあたり超新星爆発のことではないと思われる)
そこでELSは母星に代わる新天地を、そして新たなる知識を得るための他種族を求めて、まだ見ぬ外宇宙へと旅立ったのである。
そしてその過程で多くの惑星や生物と(一方的な)同化というコミュニケーションを繰り返し、失敗を繰り返しながら地球圏へと辿り着いたのである。
MSや地球人の姿を模していたのは彼らなりのコミュニケーションアプローチであり、地球人と融合するという行為も、異分子と1つになることで相互理解を成そうとする、(地球人からすれば過激だが)彼らなりのコミュニケーションだった。
しかしELSは「個」という概念を持たず、融合分裂してお互いを分け合うことで相互理解する彼らにとって、人類は他者と融合すると、「個」がなくなり死亡してしまうという事実を理解できなかった。この誤解も戦いに拍車をかけたのだろう。
人間で例えるなら「こんにちは」と挨拶して握手した瞬間相手が目の前から消滅している状況で、その消滅が実は爆死である事に気づいておらず、相手から「目があった瞬間殺しにくる危険種族」と認識されているようなものである。
更に彼らの主張は要するに「母星がヤバいから助けて!近くに住まわせて!共存して!」なのだが
「まず私達の星の誕生と私達の誕生から話すね、少し長くなるぞ…」と惑星の歴史というクソどうでも良い余談から「だから助けて欲しい」までの結論をノーカットで脳にぶち込んでくる
相互理解には全部話すのが手っ取り早いのは分かるが、度が過ぎているし、限度と言うものがある。
また、ELSを侵略者だと思い込んでいた人類が迎撃を行う際、ELSはこの行為を「地球人流のコミュニケーション方法(挨拶)」だと勘違いし、人類と対話をするため攻撃をやり返すという行動に出た。
艦隊やMSに擬態する行為も戦力の増強などではなく、相手の行動を真似る(つまりオウム返しをする)ことで「地球人類と相互理解したい」という彼らなりの意思表示だったのである。
脳量子波を持つ者を襲って融合を試みたのも、肥大化した固体内で意識を共有するには脳量子波が不可欠だったためであると、ミーナがELSとの最終決戦前に語っている。
つまるところ、最初に接触した者達が侵略者と決めつけ交戦したことが悲劇の始まりであり、そこから出された情報を鵜呑みにして交戦しようとすればするだけ泥沼にはまっていったのである。
もしも最初に武器を持たず、根気強くただ対話で解決しようとする者達と出会っていれば物語はこんなにもややこしくならなかったであろう、
逆にサーシェスやリボンズの様な者と最初に出会ってそれが人類の全てと勘違いされていたら、フルセイバーを必要とする悲劇もあり得たのである。
刹那が発動させたダブルオークアンタの「クアンタムバースト」によって彼とELSの対話が行われた結果、地球人類が〝個〟を基準に成立していることを理解したELSは全攻撃・進行中の全侵食を停止させ、地球圏の一箇所へ集まり、地球上からも目視できる巨大な一輪の花(対話相手であった刹那にとっての平和の象徴)となった。
西暦2314年から50年後の西暦2364年時には人類とELSの共存が進み、共同で操作するMSも開発、人類の中にはELSと融合し、共生関係にある人間もいる。また、ELSの巨大な花は宇宙ステーションとなっている。
しかし、共存までの間には紆余曲折があった。
ELSと人間のすれ違いにより生じた地球への多大な被害から、決戦後に地球では一部の人間が被害への強い反発を抱く。彼らにより反ELS組織が結成されつつあり、一部は人間至上主義を唱えELSと融合した人間を襲撃したりと、過激な思想を有していた。加えて有事の際の戦力となる地球連邦軍は対ELS戦で壊滅的打撃を受けて再建中の状態であり、CBはこれが新たな紛争の火種になる可能性が高いと危惧。
ELSの母星に旅立とうとしていた刹那とティエリアは、ガンダムマイスターがロックオンとアレルヤの2人だけでは対応が厳しいと判断。自分達の後任として、刹那はグラハム、ティエリアはレティシアを選び、ヴェーダの承認も得て、CBのメンバーとして加入させた。
彼らが咎を受けるのは、当面先になりそうである…
……ちなみに、その戦乱のなかに敵味方識別機能がおかしな反応を返す機体がいたとか何とか
まあ、確かに彼らからすれば「同族同士の争い」なんて珍しいものでしかないし、興味本位で覗きにくるのもおかしなことではなかろう