いや、鉄の華だ。
決して散らない鉄の華
概要
火星の民間警備会社「クリュセ・ガード・セキュリティ(略してCGS)」を前身とする民兵組織。
実際に母体となったのは、CGS主力部隊の下部に属していた「参番組」(少年兵を中心に編成された非正規部隊)であり、団長はCGS参番組の旧隊長であるオルガ・イツカ。
組織名は「決して散らない鉄の華(=消えない命)」の意を含んでオルガ自身が命名した。
参番組の少年兵達は元々、非正規兵と言う立場にある事から、CGSの大人達に不当な扱いを受け、時として困難な任務に従事させられていたが、CGSがクーデリア・藍那・バーンスタインの護衛任務を請け負った事に端を発する、ギャラルホルンの襲撃、その混乱から起こった会社幹部や、正規部隊の逃走未遂を機に、オルガ達がクーデターによって大人たちを放逐し、会社の実権を握った事で誕生した。
設備や保有戦力等はCGSの物をそのまま転用しており、強襲装甲艦「イサリビ」等も有している。
少年兵たちが組織の中核を成している性質上、就学経験もまともに無いメンバーが多く、一期で文字を読み書き出来るのはオルガ・イツカ、ビスケット・グリフォンをはじめとした一部のみ。
CGSの主戦力であるモビルワーカーも、操縦に高い教養が必要な為、これを補う名目で、団員達はCGS時代に旧世代の有機デバイスシステムである「阿頼耶識システム」を埋め込む手術を受けていた。但し、阿頼耶識システムのリスク上、2期で新規加入したメンバーには施術を行なっていない。
第2期以降は団員達の大半が金銭の取扱いに疎い事を自覚していた結果、主な経理や資金管理はデクスター・キュラスターたち、CGSから残留したスタッフや外部アドバイザーが担当。就学未経験者を多く抱えている事・紙の本が希少である事等から、タブレットの電子テキストによる自主学習を行う団員も多い。
その成果からか戦艦のオペレーター等にも幼い団員を採用している。団長のオルガも事務を習得し、事務職の新規雇用者も本部に見られ、支部も設備的に恐らく複数の事務職員が存在する。だが、依頼報酬は施設・装備の拡充と言った実務的な方面に多く充てがわれており、企業運営の為の人材は慢性的に不足している。
組織として懐を広くした結果、団員達はより強い絆で結ばれているが横のつながりを重視する一方で、団員は組織の指針を団長のオルガに丸投げし、命令に従おうとする傾向が殆ど最後まで変わらなかった為、先を見据えた組織経営を困難な物としていた。
オルガも、「団員を生かす為の組織の存続」と言う理念を優先せず、団員達の意思(身内を暗殺した敵への仇討ち等)を無碍にも出来なかった結果、最終的には「団の下に殉じる」という理念に変節していき、様々な面で軋轢を生む事になってしまった。
本編での活躍
第1期
結成当初はCGS社長であるマルバ・アーケイが資産のほとんどを持ち出し、また設備の補修や退職希望者への退職金の支払い等で、始業当初より資金難に直面していた。
しかし、CGSがギャラルホルン襲撃以前に受諾したクーデリアの護衛依頼を引き継ぎ、これを達成する事で組織の知名度向上を図るべく、クーデリアのスポンサーであるノブリス・ゴルドンからの援助に加え、木星の複合企業「テイワズ」の後ろ盾を得て、彼女が交渉を行う地球経済圏・アーヴラウを目指した。これ以降、クーデリアとも長い協力関係が続く事になる。
行く先々で戦闘や大人達の思惑に巻き込まれながらも、地球圏にたどり着くが、ドルトコロニーで勃発した紛争に巻き込まれる形で、ギャラルホルンと正面から事を構える事になり、軍事力の差もあって、劣勢に立たされながらもこれに屈する事なく、多くの犠牲を生みながらもクーデリアの依頼を完遂した。
第2期
ギャラルホルンの治安維持能力と組織形態に、疑問を呈したアーヴラウから事顧問として迎え入れられ、またテイワズがアーヴラウとの交渉で得たハーフメタル利権の恩恵もあって、その規模を大幅に拡大させる。同時にテイワズへの正式加入により、テイワズ直属の傭兵会社へと昇華。それまでの兄貴分であったタービンズと同格の扱いとなり、クーデリア護衛任務で深刻なダメージを受けた、2機のガンダム・フレーム機の無償改修、テイワズの新型MS獅電の格安提供等とそれまで以上の恩恵を受け、地球支部の設立にも至った。
しかし、急速過ぎる組織の拡大化によって、身内(テイワズ内)から狙われる立場となった事を名瀬・タービン、アミダ・アルカは危惧しており、鉄華団の活躍も「少年兵の有用性」が逆に実証されてしまう事になり、少年兵が戦場に出る事態に拍車をかけるジレンマを生みだす要因にもなっている。
地球支部に関してはアストン・アルトランドを初めとしたブルワーズ組中心となっているがCGS参番隊以上に大人たちに虐げられていたことから大人への不信感と対抗心が強く、仕事相手であるアーブラウ防衛軍とはケンカばかりな上、監査役のラディーチェ・リロトに対しても自分たちが事務仕事に無関心なこととラディーチェはテイワズが見張りのために寄こしてきた口うるさい大人だからという理由で一方的に敵視。そういった人間関係の悪さをガラン・モッサに付け入られ、ラディーチェの裏切りを招き、地球支部は無音の戦争に利用された末に壊滅。鉄華団の社会的信用も低下することになった。
これに対し、オルガは以前からの協力関係であるマクギリス・ファリドからの「マクギリスがギャラルホルンのトップに就いた暁には火星支部局の権限を鉄華団に移譲する」案を受け入れ、火星の王になることで挽回を図ることにした。
火星の王の件をテイワズの代表であるマクマード・バリストンや名瀬に何の相談もせず、オルガが独断で決めてしまったことに関して、テイワズの幹部たちはマクマードの説得により、一応は納得するも以前から鉄華団と名瀬に不満と敵意を抱いていたジャスレイを完全に敵に回すことになった。
ジャスレイがイオク・クジャンと同盟を結んだ影響で生じたハシュマル事件を解決したことで鉄華団は地球支部の一件での名誉挽回はしたもののジャスレイのさらなる策でタービンズは壊滅。鉄華団は仇討ちのためにテイワズから脱退し、ジャスレイを討つ。
討伐後はマクギリスの革命を成功させるべく、ギャラルホルン本部のヴィーンゴールヴに襲撃をかけ、ガンダムバエルの強奪に成功したが生存していたガエリオ・ボードウィンのマクギリス打倒宣言によって、これまでのマクギリスの暗躍が暴露されたことにより、鉄華団は革命軍として、アリアンロッドと交戦することになる。アリアンロッドは宇宙戦を得意としていることから革命軍は苦戦し、やむを得ず、火星に撤退することになる。
火星本部に戻れたもののマクギリスの正体が公にされたことでマクギリスはセブンスターズの地位を失い、革命軍は賊軍と化し、お尋ね者と化してしまう。その上、ギャラルホルンの名誉挽回のために降伏は許されず、壊滅を待つだけの身になってしまった。
以降はマクギリスと袂を分かち、戦うのではなく「全員で生きる」道を模索。蒔苗東護ノ介やマクマード、新生タービンズの水面下の協力も取り付け、クリュセ市民のID管理元である地球へ一旦逃亡して、個人情報を書き換えることにする。
計画がまとまりかけた矢先、オルガをノブリス・ゴルドンの部下たちにより失い、マクギリスも戦死。火星本部もまたアリアンロッドの大部隊に攻め込まれてしまう。
多くのメンバーは本部の地下から、クリュセに通じたトンネルから脱出を始め、それまでの時間を稼ぐ為、三日月を初めとした9名がMSで立ち向かうがハッシュやエルガーは戦死、ユージンたち5名は途中でダンテの機体損傷とトンネル脱出組の目処が建ったことから、三日月・昭弘の勧めで戦線から離脱し、通路の自爆の仕込みを終えた雪之丞を初めとした整備班と合流し地下トンネルから脱出する。
その間、ガンダム2機が応戦して、時間を稼ぐも三日月と昭弘は戦死。本部施設と所持機体の殆どを失い、組織の形としては完全に壊滅した。
エピローグ
鉄華団の誇る2大ガンダムとそのパイロット達を葬り去ったことで鉄華団の壊滅が十分世間に証明されたためか、それ以降のアリアンロッドは残党の確認をせず、脱出組は予定通りに地球で戸籍改ざんを行う事が出来た。
アリアンロッドが残党の確認をしなかったのは藪の中の蛇をつつく様な愚行にまでは乗り出さない他にイオクが戦死したことでその対応に追われたことも関係している様子。
壊滅はしたものの鉄華団とマクギリスの革命軍との戦いにより、ギャラルホルンはセブンスターズを解体せざるを得ないほどに弱体化し、それに伴い、火星支部は縮小化し、火星の独立は認められることになった。
生存者たちはそれぞれが別の道を歩む事になり、その内の幾人かはクーデリア率いるアドモス商会に身を寄せ、身分を偽りながらもどうにかSPや孤児院の保父等と各々職を得た。
やがて、鉄華団は「マクギリス・ファリド事件」の片棒を担いだ名も無きテロリスト、歴史の悪役として、世間に認識され、時代の仇花として次第に忘れ去られていくと思われる。
この事件に関わる殉職者たちは表立って弔うわけにいかなかった為、火星のCGS施設を望む丘の上の慰霊碑に正式に名を刻まれる事はなかったが、エピローグにて、特殊な形で新たに刻まれることとなる。
主な構成人員
トロウ
ヒルメ
ガット・ゼオ
ディオス・ミンコ
メイル
保有兵器
ガンダム・バルバトス/ガンダム・バルバトスルプス/ガンダム・バルバトスルプスレクス
ガンダム・グシオンリベイク/ガンダム・グシオンリベイクフルシティ
ガンダム・フラウロス(四代目流星号)
獅電改(三代目流星号)/獅電改(雷電号)
余談
名前の由来は上記の通りだが、第1期での彼等の綱渡りに等しい運営実態や、マクギリスとの遣り取り等から、江戸時代で博打打ちを意味する隠語・『鉄火』のダブルミーニングもあると思われる。
なお、鉄華団と同様にガンダムシリーズの主人公陣営で、壊滅した共通点がある組織として『機動戦士ガンダム00』に登場したソレスタルビーイングが挙げられている。
ただし、鉄華団は最初こそ一般企業(=PMC)だったが、鉄華団が最終的にテロ組織扱いされ主要メンバー大半が死亡、組織が壊滅した。
それに対し、ソレスタルビーイングは正真正銘のテロ組織で、一度は壊滅した後に再起しており、治安維持を名目に非道な限りを尽くしたアロウズや、それを陰で操ったイノベイターの打倒、そして地球圏存亡の危機となったELSによる脅威から、人類を救うのにも大きく貢献している事から、半ば英雄視されるようになっている。
SDガンダム外伝シリーズでは、
新約SDガンダム外伝 新世聖誕伝説では、鉄華団とギャラルホルンは本編とは異なり立ち位置が逆なっていて鉄華団がエイハブメイルとモビルメイルを装備できるように月の悪と呼ばれるジークドミヌス掌握されたギャラルホルン帝国に適応改造された者がジークドミヌスに反旗を翻してそして崩壊していく月世界から月の民達をスダ・ドアカに避難させた後エイハブメイルとモビルメイルを装備できるものは、眠りについた者と月から移住した月の民の子孫達で結成された傭兵集団であり本当の正義の味方でもある逆にギャラルホルンは本編の鉄華団みたいに太古の昔、月の大戦で滅んで新世聖誕伝説に出てくるギャラルホルン帝国の兵は、月のネットワークにジークドミヌスが憑依して残っていたデータで蘇らせた機械人間だった。
鉄血モチーフの人間キャラで鉄華団のメンバーは、全員生存しておりギャラルホルン側で死んだのは本編では死ななかったラスタル(その正体は、月の裏側に生息するメタルモンスター親バグが放った種子である子バグが人間に擬態した姿だったが月光騎士ネオガンダムが操る超機甲神ガンジェネシスRに打ち倒された)だけで(厳密には、人間体のラスタルの左の顔のジャスレイも)ジークドミヌスとの戦いの後ネオガンダムと鉄華団のエイハブメイルとモビルメイルの装着者とジークドミヌスの支配から解放されたギャラルホルン帝国の者は月世界復興のために月世界に戻り(ミカヅキは月世界には戻らず月世界を復興する力を持つクーデリアのペンダントを月光騎士ネオガンダムに託し仲間とスダ・ドアカを守るために地上へ残った)こちらの鉄華団は、壊滅しておらず正義の味方としてジークドミヌスからスダ・ドアカを救った英雄としてスダ・ドアカと月世界に歴史に名を残した
本編では、敵だったガエリオ、アイン、ジュリエッタ、カルタ、イオクは、最後は味方となっている。
所属しているメンバー
()内は装備しているエイハブメイルとモビルメイル
兵士ミカヅキ (騎士ガンダムバルバトス) (騎士ガンダムバルバトスルプス) (甲鉄騎士ガンダムバルバトスルプス)
関連項目
新撰組 - モチーフとなった実在の組織。ただしこちらは体制側の警察組織ということでむしろギャラルホルンに近く、立ち位置は鉄華団と真逆である。監督の長井龍雪によると、最終的には新撰組と同様に敗北する結末も当初から決まっていたと言う。
銀河烈風隊 - こちらも新撰組をモチーフにしたロボットアニメの組織。こちらはモチーフ通り体制側の組織で、政治的にも重要な位置にあった。やはり最終的に敗北する結末であったが、次作にてその存在は歴史の一部として認められ語り継がれていることが判明した。
ニューディサイズ - モチーフが新撰組のガンダム組織繋がり。此方も反乱後に壊滅しているが、ほとんどの構成員が戦死している。
太陽の牙 - 太陽の牙ダグラムに登場するデロイア独立の為に戦ったゲリラ組織。後にデロイア人民解放軍に編入されるが、デロイアの(形式的な)独立後は一転して賊軍になってしまう。
鉄華団や銀河烈風隊とは逆に、デロイアの完全独立後に解散。2人の犠牲者を除き残りは生存した。
黒の騎士団 - こちらもサンライズ&ロボットアニメの武装組織であるが、家族的組織であった鉄華団と違い利害や成果で繋がった集団であったため、最終的に(一部を除く)団員達がトップを見限った事で組織は瓦解。結果的に元メンバーたちは勝利陣営として平和を迎えている。なお、所属世界が異なるが、『スパロボDD』で共闘する。
白虎隊 - モチーフとは別に史実で実在した会津藩の少年武士達による部隊。戊辰戦争の会津若松の戦いで全滅した。