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マクギリス・ファリド

まくぎりすふぁりど

マクギリス・ファリドとは、TVアニメ「機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ」の登場人物である。
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友情・・・愛情・・・信頼・・・そんな生ぬるい感情は・・・残念ながら私には届かない。「怒り」の中で生きてきた、私には


CV:櫻井孝宏 / 藤原夏海(幼少期)


概要編集

治安維持を目的とした武装組織「ギャラルホルン」に於いて、組織内の調査を目的とした監査局に所属する特務三佐。身長200㎝くらい。

強大な影響力を持ちながら内部の腐敗が進むギャラルホルンの現状を憂い、組織の改革を望んでいる。

しかし彼自身もまた、モンターク商会代表という裏の顔を作っているなど、清廉潔白とは言い難い。必要に応じて二つの身分と様々な「顔」を使い分け、時として知人すらも欺く事から彼が胸に抱く真意を見抜く事は難しい。


人物編集

明晰な頭脳と冷静な判断力、そして鋭い洞察力を持ち合わせ、小さな綻びや不正も決して見逃さないなど監査官として高い手腕を誇る。

また、戦闘に於いては専用にカスタマイズされたシュヴァルベ・グレイズに搭乗し、その頭脳を以って状況を解析し、敵を確実に追い詰めるなどパイロットとしての実力も確か。

歴史に対しても造詣が深く、ギャラルホルンの成り立ちやガンダム・フレーム、阿頼耶識システムの開発経緯やその特性など、厄祭戦当時の情報にも精通している。阿頼耶識研究所の存在やバエルの阿頼耶識規格を知っておりその知識は表のそれのみでなく裏に隠された歴史にまで到達している、が経緯等の詳細は不明。


ギャラルホルンを束ねる「セブンスターズ」の一家門ファリド家の跡取りだが、当主イズナリオの実子ではない。

元は彼によって男娼として拾われたストリートチルドレンであり、イズナリオのハーレムに迎えられた後、その中から容姿や能力の優秀さを認められ養子として引き取られた(モンタークは当時の旧姓である)。その後も彼から性的虐待を受け続けていたため成人した今でも義親子とはいえ関係は芳しくはなくイズナリオを極力避けている。

元々孤児であった為、世間体を気にしたイズナリオによって「妾の子」という身の上を用意されているが、彼との間に血の繋がりが無いのは周知の事実となっている。

同じセブンスターズの出身であるガエリオ・ボードウィンカルタ・イシューとは幼馴染であり、カルタからは子供の頃より想いを寄せられている。また、ガエリオの妹・アルミリアは親同士が決めた許嫁の関係にある。

支配に抗う孤高の強さとして、三日月・オーガスのことを評価し取り込もうとしていたが、その戦いは共にある仲間ありきのものであると気付いたことから、最後には「自分には出来ない生き方だ」と諦めている。ある意味、三日月達の対・陰と言える存在である。


ギャラルホルン改革を志したのは、幼少期から人間の負の面を強く意識させられる境遇に置かれていた事と、ギャラルホルン創始者アグニカ・カイエルの伝記に影響を受けた事に起因している。

貧困層で生まれ育った影響もあって富裕層に対する劣等感が強く、それ故に権力や暴力といった強大な力に強い執着を示すが、一方で愛情や友情といった人の情に対する関心が薄く、「友」に対して特別な感情を抱く事もあるが、必要であればそれすらも利用し切り捨てる非情さも覗かせる。

また、これらの経験の蓄積によって「人間は過去に縛られる事で未来の目標が決定づけられる」という持論を確立し、それを応用した人心掌握術にも長ける。

ただしこの過去からは自らも逃れられないという事も自覚しており、ラスタル・エリオンからはその執着を断ち切れぬまま育ってしまった姿を、「大人になれない子供」と評された。

上述した冷酷な暗躍の原動力として、自由や幸福を奪った世界に対する憎悪が、彼の奥底では絶えず煮え滾っている。時折「」という外面を破り、顔を出す「」の激情こそが、あるいはマクギリスという男の、最大の凶器であったのかもしれない。


何故に力を欲するのか?何をされたが故に怒っているのか?では何を欲していたのか?など、二面性という言葉ですら表しきれない、複雑に捻れた心理構造を有している。

終盤まで核心に触れられることがなかったことも手伝って、彼を理解するのは非常に難しくなっており、演じている櫻井孝宏氏ですらも、途中で「設定が変わったのだろうか」と思ったことがあったとのこと。


長井龍雪監督の発言によれば、若い彼が後述のような立ち回りを演じられたのは、特に「情勢の流れを読む力」に秀でていたからであるとされている。

しかし皮肉にも、最後の一手を「読み違えた」結果、彼の革命計画は破綻し、一気に転落してしまうことになった。


活躍編集

ガエリオと共に監査官としてギャラルホルン火星支部に派遣され、そこでガンダム・バルバトスを擁する鉄華団と邂逅。火星軌道上での戦闘で彼らと浅からぬ因縁を持つ事になり、同時に上述どおり、バルバトスを駆る三日月に興味を抱き始める(これと前後して桜・プレッツェルの農園で偶然ではあるが三日月と遭遇しており、彼の戦士としての資質を見抜いている。なお、その際の騒動から彼は三日月からチョコレートの人と呼ばれるようになる)。

その後、火星での監査を終え地球圏に帰還するとモンタークとして鉄華団に接触。彼らを腐敗したギャラルホルンの組織改編の為の外的要因に成るであろうと期待を寄せ、陰ながらに支援を開始。同時にギャラルホルン内に於いてもマクギリスとしての立場を利用して暗躍し、ガエリオやカルタを言葉巧みに操り、計画を進めた。このさいマクギリスは自身の本名がモンタークだと劇中で名乗っているが、それがどういった意味での「本名」なのか詳細は不明。

また、彼の経営するモンターク商会は老舗の商会とあるが、彼は幼少期ストリートチルドレンであったことから偽りの情報であった可能性が生じる。


そしてエドモントンでの戦闘に於いて、グレイズ・アインが市街地に侵入したのを頃合いとばかりにグリムゲルデに乗り状況に介入。ガエリオに対して真実を語ると共に激昂した友に刃を突き立てた。


鉄華団の勝利とガエリオの死を見届けた後、イズナリオを失脚させファリド家とボードウィン家を手中に収めるとギャラルホルン改革の為に奔走。

そして、カルタの後任として地球外縁軌道統制統合艦隊の司令に就任し、准将へと昇進。同艦隊をより実戦向けな部隊として再編した他、艦隊の主力機であるグレイズリッターの改良を行うなど、その才覚を多方面に発揮した。

艦隊司令官就任後もオルガ・イツカに火星支部の権限譲渡の話を持ちかけ、鉄華団との関係を維持しつつ、ラスタルら他のセブンスターズらと水面下の駆け引きを続けるが、ラスタル派に対しては自ら策を仕掛ける事はせず、「セブンスターズという特権階級の存在」とギャラルホルン本来の理念から逸脱した振る舞いをするその在り方に不満を抱く者達を取り込み一勢力を築き上げる事に専念。逆に自分を陥れようとしてくるラスタル派の策に対処しながらその違法なやり方の証拠を掴むという形で、彼らの立場を脅かす鉄華団を取り込んでいこうとする。


しかしモビルアーマー・ハシュマルガンダム・バルバトスルプスの交戦を目の当たりにし、その原因を作ったイオク・クジャンを謹慎に追い込んだマクギリスは、ここで致命的な勇み足を犯してしまう。

未だ根回しが不十分であると諌められながらも、混乱の渦中にある今こそが好機と考えた彼は、ライザ・エンザ一派を動かしてギャラルホルン本部「ヴィーンゴールヴ」の制圧を強行。自らに施術した阿頼耶識システムをもって、施設地下に封印されていたガンダム・バエルを手中に収める。

彼は混乱したギャラルホルンを、その威光によって掌握せんとするが、時を同じくして仮面を外し自らと敵対する決意を固めたヴィダール(=ガエリオ)とラスタルが自身に敵対する事を表明。更に自身が過去にしてきた裏の所行を白日の下に晒される事となった。

これに対抗する為に残りのセブンスターズに圧力をかけ戦力供出を要求するものの、各家が中立の立場を示した事で交渉は失敗。結果、二倍近い戦力差を埋められないまま鉄華団と共にアリアンロッド艦隊と剣を交える。ラスタル派の策略と物量の前に多くの部下と武装を失い敗走。火星支部の戦力を頼りに火星に撤退するも既にラスタルの手が回されており、組織内での全権限を剥奪され、一転して追われる立場となる。


マクギリスの戦略ミス編集

ガエリオ・ボードウィン、カルタ・イシューの抹殺を画策した編集

1期終盤、マクギリスは功を焦っていたカルタを言葉巧みに唆す形で彼女が鉄華団に倒されるよう仕向け、ガエリオをも自らの手で抹殺しようとしたが、実際の所、そこまでする必要性があったかと言えば疑問符が残る物であった。

ボードウィン家とイシュー家の双方は、ファリド家よりも強い権限を持っていると言える家系であったが、次期当主となるガエリオとカルタの二人はマクギリスに心酔しており、邪魔者になるどころかむしろマクギリスの改革に賛同する可能性が高かった。おまけにボードウィン家とはガエリオの妹であるアルミリア・ボードウィンと婚約関係にある程の繋がりを得ていたのだから、謀略を用いてまで二人を抹殺するよりもそのまま関係を維持した方が、合法的にギャラルホルンの権限の中でも半分近くを掌中に収められたのである。

セブンスターズの壊滅を最終目的としていたとはいえ、内部改革という利用価値があった彼らを先に抹殺し鉄華団を利用しようとしたのは時期早尚といえよう。


エドモントンでの戦いにおいてギャラルホルンの部隊と戦闘を3日間継続している鉄華団は疲弊し、そこにグレイズ・アインを引き連れたガエリオの部隊が現れたのだから、マクギリスが正体を隠し秘密裏にガエリオを始末しなければ鉄華団とクーデリアが危うい状況にあったのは確かである。

結果、相手がガンダムフレームであるにもかかわらず、自身の正体を明かし妹のアルミリアの話題を出すなどガエリオのメンタル面を揺さぶり、卓越した操縦技術でキマリスを撃破している。

だが、ガエリオを始末してまで反社会勢力に過ぎない鉄華団や、影響力があってもギャラルホルンにとっては危険分子でしかないクーデリアを助ける事に大きなメリットがあったのかと言えばやはり疑問のある話で、しかもマクギリスはここでキマリスのコックピットに剣を突き刺したのはいいが、己の目でコックピットを覗き死亡確認をしていないという迂闊すぎるミスを犯してしまった。

結果的に第2期の政敵であるラスタル・エリオンが、生存していたガエリオを回収してヴィダールとして手元に置く形で、マクギリスはラスタルから「完全に敵」と認識される形で、2期の最初から「最悪」とも言える弱味を握られており、バエルを強奪してからの宣言後、あっけなく自らの所業は暴露され、後々の敗北へと繋がることとなった。


なお、アリアンロッドとの最初の戦いにて、自ら率いる地球外縁軌道統制統合艦隊に所属する兵士の一人が勝手にダインスレイヴを射出した結果、ラスタル側にダインスレイヴを撃たせる大義名分を与える事になっている。

ラスタルと通じていたと思われるこの兵士は直後に自決してしまっているものの、地球外縁軌道統制統合艦隊が元は自らが死に追いやったカルタ率いる艦体であった事を踏まえると、この兵士はカルタを慕っていて、彼女を死に追いやり地位を奪ったマクギリスを憎んでいた可能性も考えられる。

仮にそうだとすれば、マクギリスは自らの行いにより、戦いの序盤で出鼻を大きく挫いてしまったと言える。


ラスタル・エリオンを最初から「敵」としか認識出来なかった編集

第2期における様子からも、マクギリスはラスタル・エリオンを最初から脅威と見なしていたようだが、実の所(劇中では具体的に明かされていないものの)ラスタルの方はマクギリスを最初から敵としか見なしていない訳では無かったように見える。

ラスタルはマクギリスの中に眠る危険性に気付きながらも、同時に彼の中にある才覚を評価・期待しており、また他のセブンスターズの様な保守派とも異なって、家柄も身寄りの無いジュリエッタ・ジュリスに期待を掛けていた事実や、ラストでの行動からも、ギャラルホルンを「出自や家柄に捉われない民主的な組織へ改革する事」を望んでいた一人であったのは、「旧態依然とした組織を改革するなどと吹きながら、マクギリスは結局、ギャラルホルンの伝説に頼った……。歴史を尊ぶなら、むしろ奴はアグニカを否定すべきだったのだ」という台詞からも明らかであったのである。


つまり、謀略や暗殺、簒奪、といった形で組織の乗っ取りを企てる様な真似さえせず、真面目にラスタルと歩み寄ろうとすれば、エリオン家の後ろ盾も得る形でギャラルホルンの改革を行う事も十分に出来たのである。

だが、結局マクギリスは、セブンスターズの誰とも歩み寄ろうとしないばかりか、ガエリオやカルタの抹殺という安易な手段に出る形で地球外縁軌道統制統合艦隊司令官の座を簒奪する行動に出てしまった。それらの真実を密かに回収したガエリオから聞かされたラスタルが、マクギリスを「世界に混乱をもたらしうる脅威」と見なすのは当然であった。

マクギリスは自らの愚行によって、改革を実現させる為の強力な味方になる可能性となった人物であるラスタルを「最大の敵」に仕立て上げてしまう事になり、そして自らと水面下で協力関係にあった鉄華団までもが、ラスタルに目を付けられる事になったのであった。

つまる所、ガラン・モッサによって鉄華団の地球支部が壊滅に至った原因はマクギリスの存在であると言えなくも無いのであった。


イオク・クジャンの「タービンズ襲撃事件」編集

マクギリスがイオク・クジャンの「タービンズ襲撃事件」の顛末をすべて把握しているのであれば、マクギリスはギャラルホルンに敵対する意思のなかった一企業に無実の罪を着せて襲撃したイオク・クジャンの非道と、彼を庇ってセブンスターズの会合に出頭しなかったラスタル・エリオンの監督不行き届きなどの罪状を国際社会に喧伝するだけでよく、3家の当主の身柄を拘束して戦力供出を強要する必要はまったくない。

マクギリスは3家の当主と語らってラスタルとイオクにセブンスターズに出頭するよう命令を出すだけでよく、出頭命令に応じないときに追討軍を組織すればいいだけの話である。

もちろん、このような不名誉な理由によって逆賊の烙印を押されたアリアンロッド艦隊に士気が上がるわけはなく、マクギリスが勝者となって「ギャラルホルンの改革」を主導した可能性が高い。

セブンスターズ打倒の野望が行き過ぎていたことをよく表していると言えるだろう。


厄祭戦から300年経過時のバエルの威光の影響力編集

クーデターによって、マクギリスが幼少期から憧れ遂に手中に収めたギャラルホルン創始者アグニカ・カイエルの乗機ガンダムバエル

この300年間誰一人起動させることが出来なかったこの機体を動かしたマクギリスは、我こそがギャラルホルンの頂点であり、ギャラルホルンの皆は席次や思想も関係なく自分に従わなければならないのだと宣言した。

バエルが起動しなかったのは人体の機械化を忌避するギャラルホルン内では既に厄祭戦時のフルスペックの阿頼耶識技術が残っていなかったからであり、この事実を隠蔽して研究を進め当時の性能そのままの阿頼耶識を自分に施術しバエルを起動させたマクギリスはギャラルホルンのトップに立とうとしていたのである。


しかし、300年も前の戦争に端を発したオカルト信仰では、さすがに上述したガエリオを陥れたという現実的な嫌疑を払拭するまでには至らなかった。結果としてセブンスターズは事態を静観する姿勢を取ってしまい、マクギリスは戦力を得ることが出来なかった。

エリオン家のラスタルは当然マクギリスと敵対することを選んだので、マクギリスは不十分な戦力でアリアンロッドと決戦を挑まなくなければなくなった。


クーデリア・藍那・バーンスタインの影響力を活用しなかった編集

第1期におけるドルトコロニーの一件を見ても、ギャラルホルの組織外の人間の中でも最大の政治的影響力を持っていたクーデリアの目指していた理想は、マクギリスの目的と十分に嚙み合っていたはずであり、オルガ・イツカに示唆していたギャラルホルン火星支部の権限の委譲によって得られる「火星の王」の座も、反社会的存在に過ぎない鉄華団の団長であるオルガより、「革命の乙女」と称されていたクーデリアに就かせる方がむしろ現実的な判断であったと言え、うまくいけばそれによってテイワズ等からの協力を得られる可能性も十分にあった。

だが、どういう訳かマクギリスはむしろ彼女と共に行動している鉄華団の方を革命の同志として重要視しており、クーデリアの事はせいぜい「鉄華団を動かす為の旗手」程度の扱いしかせず、それ以外では全くと言って良い程干渉しようとしなかった。

あくまでも推論であるが、マクギリスは自身と同じ孤児(オルフェン)の立場にあった鉄華団に対し個人的な感情移入をしていたのに対し、逆にクーデリアの事は「奇麗事を言う事しか出来ず、恵まれない者の気持ちなど理解出来無い理想主義者でしかない」という目でしか見ていなかった可能性もあり、折角改革を実現させられる重要な人材が身近にいながらも、マクギリスはそれを利用しないまま、むざむざ破滅への道を突き進んでしまう事になった。


鉄華団に対する過剰なまでの感情移入編集

おそらく、マクギリスの戦略ミスの中で最も致命的と言える物

劇中におけるマクギリスの鉄華団に対して見せる感情は、クーデリアや石動と比べてみても明らかに温度差のある部分があった。ガエリオを裏切り殺してまで鉄華団を庇おうとした点から見てもその入れ込み方は常軌を逸しており、下手をすれば自身の傘下にある地球外縁軌道統制統合艦隊よりも鉄華団の方が革命において重要な存在であると見ていた節さえもあった。

特に、三日月に対しての思い入れは完全にガエリオや石動以上となっており、2ndでは積極的にアプローチする程である(実現はしなかったが)。


ここまでマクギリスが鉄華団に惹かれる物を感じ入っていたのは、やはり自身と同じく「孤児」の身から成り上がっていた事に起因すると思われるが、鉄華団は決して自分達の力だけで成り上がった訳では無く、クーデリアやテイワズ、名瀬・タービン率いるタービンズの影響が大きかったと言え、決して世界規模の大局を覆せる程の力を持っている訳では無かった(総合的に見れば、むしろガンダム・フレームの機体が1機しかなくても膨大な戦力を持っていた地球外縁軌道統制統合艦隊の方が上であったと言える)。

だが、マクギリスはその事への理解力が乏しく、アリアンロッド艦隊との直接対決に大敗し火星へ逃れるまでに追い詰められた絶望的な事態に鉄華団の面々が頭を抱えても、「鉄華団らしくないな。君達はいつも圧倒的に数で差をつけられた戦場をその力で潜り抜けてきたじゃないか?」と、もはや根拠の無い自信と期待を抱いている始末であったが、結局は自身が妄信していた「鉄華団による奇跡」など起こるはずも無く、大敗を喫してしまった挙句に鉄華団共々犯罪者の烙印を押される顛末となった。

「生まれや所属に関係ない実力主義の世界を作る」と表向きには謡いながらも、マクギリスは最後の最後まで「出自」に囚われ、「恵まれた者」に対するルサンチマンに基づいた差別意識や排他的感情を捨てられなかった結果、その破滅的な運命を決定付ける事になってしまったと言える。


真実の思い編集

クーデターを起こしバエルを手中に収め、革命軍を率いて鉄華団と共にアリアンロッドと戦うも、敗戦。腹心である石動を失い、ギャラルホルン内での全権を剥奪されたマクギリス。火星の鉄華団本部に身を寄せることになったが、ラスタルによって犯罪者として国際指名手配され、おまけに鉄華団本部はアリアンロッドのMS部隊に囲まれてしまう。

もはや勝ち目を失ったマクギリスは、堅実な勝負を挑むよりも、最も世論を動かしうる戦い方を選択。鉄華団を含めた全ての手勢との縁を切り、バエル単騎でアリアンロッド艦隊に対峙すると、ラスタルの首一つを狙った特攻作戦へと乗り出した。

自身の死は避けられないにしても、組織の力無しに戦果を上げることができれば、影響された者達が自身の望む世界を作ってくれると考えたのである。

結果的には、鉄華団を囮に使う形になったが、一方で最低限の仁義として、オルガやクーデリア達が車でクリュセへ脱出できるよう、包囲部隊を挑発し警備の隙を作ってもいる。


これまで被ってきた救世主としての仮面を脱ぎ去り、自分自身の激情を振りかざして、艦隊MSを次々と屠っていくマクギリス。

それを食い止めんとするガエリオとの一騎討ちには、惜しくも敗北し重傷を負うことになったが、それでもラスタルの座乗艦にまではたどり着き、彼を銃殺しようとする。

だが、その行動を読んでいたガエリオに銃で撃たれ致命傷を負い、完全に野望を絶たれてしまった。


今際の際にガエリオに詰め寄られたマクギリスは、自身の心境をガエリオに打ち明けた。

ガエリオやカルタに本当の友情を持っていたが、それを否定しなければ今まで抱いてきた自分の思いを見失ってしまいそうで、あえて友達ではないふりをしたこと。

アルミリアも野望の道具としてではなく本心から愛しており、第一期の最終決戦でガエリオに言い放った「アルミリアの幸せは保証しよう」の言葉を現実にしたかった。


そんなマクギリスの想いを聞いたガエリオは無意識に涙し、最後にマクギリスが何か言おうとしているのを首を締めながら遮り


「言うな! 言わないでくれ……お前が言おうとしている言葉が俺の想像通りなら……言えば、俺は許してしまうかもしれない…だから言わないでくれ。カルタのために、アインのために……俺はお前を……!」


と、敵意と友情の間で葛藤していることを訴える。それを聞いたマクギリスは、ガエリオに看取られ静かに事切れた。


最期にはこれまでの主義主張をかなぐり捨てるように、世界に混乱を起こすための戦いに臨んだマクギリス。

結局のところ、口にし続けた新たな秩序も、ただ目的を叶えるための手段に過ぎず、それにより得られる「自由」が本当の望みであったからこそ、彼は混沌の中でも笑えたのかもしれない。


没後編集

結局マクギリスは最期を見届けたラスタルが評したように「無謀な戦いを起こした愚者」として順当に破滅した。

しかし結果論では彼が起こした一連の暗躍の最中、セブンスターズはイシュー家・クジャン家・ファリド家の断絶の致命的な打撃を受けている。

こうして敵にも味方にも、甚大な被害をもたらした騒動は「マクギリス・ファリド事件」と呼ばれ、歴史にその名を残すに至った。


この騒動を機にギャラルホルンは失いかけていた社会的地位を回復するが、機能不全に陥ったセブンスターズは廃止を余儀なくされ、ラスタルを初代代表とする民主的な組織へと改革される流れになった。

ラスタルによるギャラルホルン火星支部縮小によって火星の経済圏は独立・火星連合が誕生、更にその初代議長となったクーデリア・藍那・バーンスタインと「ヒューマンデブリ廃止条約」を締結。


マクギリスが目指した「誰にも等しく権利を与えられる世界」の理想の一端は、結果的に奇しくも彼を討ち破ったラスタルと生き残ったクーデリアの手によって実現しようとしていた。


SDガンダム外伝シリーズでは編集

新約SDガンダム外伝 新世聖誕伝説では、月の裏側のギャラルホルン帝国の皇子として登場。原作とは違い本当の皇子になっている


かつて悪魔の鎧であるエイハブメイルによって、月の悪と呼ばれる機重奇神ジークドミヌスに操らていたギャラルホルン帝国であったが、鎧の呪いが打ち切れた騎士バルバドス(人間であるミカが変身した姿)達と数名と共にジークドミヌスと戦った。


しかし鎧闘神戦記から数十年後に目覚めたジークドミヌスに洗脳され、仮面の騎士としてスダ・ドアカワールドの支配の先兵とされてしまい、ジークドミヌスの仮の姿である奇甲神デルガイヤーとリンクしていたが、神聖騎士ウイングとの戦いで正気に戻り、月光騎士ネオガンダムと騎士バルバトスと共にギャルホルン帝国を影で操っていた司令官ラスタル(正体は、ジークドミヌスの傀儡であり月の裏側に生息するモンスター親バグから派生した子バグが人間に化けた姿だった)と戦った。


ジークドミヌスに操られている自らの鎧が奇甲騎士バエルとして立ち阻むが、マクギリスはこれを撃破し、取り戻した自らの鎧を装着して機皇騎士ガンダム・バエルに変身。

機騎士ガンダムキマリス・ヴィダールとの戦いでガエリオを正気に戻し、鉄血の騎士の一員としてバルバトス、グシオンリベイク、フラウロス、キマリス、と共に、機重奇神ジークドミヌスに戦いを挑んだ。

そして戦いの後、月世界を復興するクーデリアのペンダントをミカから託されジークドミヌスと融合した赤き月の残骸を宇宙船に改造させて、月世界再興のために月へと旅立ち、その後、月の王国セレネスの王子月光騎士ネオガンダムの家臣となった。


SDガンダム外伝では、マクギリスは、本当の皇子でラスタルは、帝国を操っていたジークドミヌスの傀儡でモンスターであると立ち位置が完全に逆になっている


Gジェネレーションでは編集

Gジェネレーションクロスレイズから参戦。

1期版はステージ「赤い空の向こう」で三日月がガエリオとマクギリスを撃破、モンタークはグリムゲルデを生産リストに登録、2期版はガンダム・バエルを生産リストに登録するとスカウト可能になる。


1期版とモンタークでは固有アビリティは持たず、原作通りの雰囲気とテンションだが、2期版は1対1での戦闘で攻撃力が上がる「孤高の王者」と、阿頼耶識システム搭載機に搭乗するとクリティカル発生率がアップされる「阿頼耶識(オリジナル)」の2つの固有アビリティを持つ。更に1期版及びモンタークと比べて妙にはっちゃけており、太陽炉搭載機でTRANS-AMを使用すると「使わせてもらうぞ、イオリア!」ガンダム・バルバトスに乗せると「バルバトス…これが、三日月・オーガスの力!」の特殊台詞が聴ける。


関連イラスト編集

エデンの果実准将我が手中に


関連項目編集

機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ

ギャラルホルン

シュヴァルベ・グレイズ グリムゲルデ グレイズリッター ガンダム・バエル

ガエリオ・ボードウィン アルミリア・ボードウィン

カルタ・イシュー アイン・ダルトン 石動・カミーチェ

三日月・オーガス オルガ・イツカ ビスケット・グリフォン

モンターク トド・ミルコネン イズナリオ・ファリド

チョコレートの人



シャア・アズナブル:リスペクト元。「組織を転覆させようと暗躍する仮面の男」の共通点を持つ他、人を率いる立場に就きつつも、本質的には個人の感傷の中でしか生きられない不器用さも受け継いでいる。もっともマクギリスはシャアと異なり、由緒正しい血筋を持っていたわけではない。そして、スパロボ30では名乗る名前こそ違うものの共演を果たし、更にシナリオ中は自分と似たような声を持つ人の友人とよく絡む。


ゼハート・ガレット:幼少期は孤児であった、物語が進み組織の長のポジションに就く(もっともこちらは旧指導者からの正式な指名であり、更にその重さはマクギリスなど比較にならないレベルの規模であるが)、物語終盤で後戻りできなくなり、冷静さを失った故に親友との決戦で敗北するなどが共通しているが、こちらは逆に人望があった故にその重圧に押しつぶされてしまった経緯が対照的。また同じくシャアリスペクトキャラクターである。


シャディク・ゼネリ:5年後の同じ放送枠の後輩。同じく孤児であり後に養父から地位と組織を簒奪、自身の計画を実行しようとした……が、結局その計画の本質も自身の境遇を含む『世界に対する不満を壊す』詭弁で、最終的に計画が知られるや激情任せに武力蜂起に動いた。マクギリスが『モンターク』の異名で暗躍したように、シャディクもまた『プリンス』の異名で暗躍した他にも、両者ともに計画の過程でを不幸に追いやるなどの悪行を行っている。しかし、マクギリスと違いシャディクは心を通わせるシンパが存在する上、武力蜂起後も生き延びはした(もっとも罪状の規模から、死刑か終身刑のいずれかと思われるが)。

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