概要
厄祭戦末期にギャラルホルンの前身となった組織によって開発されたモビルスーツ用インナー・フレーム。開発したのはアグニカ・カイエルの父。
動力部は胸部に専用設計されたエイハブ・リアクターを二基搭載し、これを並列同期稼働させる事で二基のリアクターの出力を最適化し高出力を得る「ツイン・リアクターシステム」を採用しており、フレーム自体の駆動には高出力供給が必要だが出力変換効率も高く、人間の筋肉の構成に近く阿頼耶識の感覚管制の相性も良い「シリンダー駆動式」を採用している(他のフレームは整備性と機械的な反応速度に長けた「モーター駆動式」をフレーム駆動に採用)。
しかしリアクターを並列同期稼働させる事やシリンダー駆動式の採用は厄祭戦当時の技術力をもってしても困難であった為、ロールアウトしたフレーム数は72機のみと少ない。
建造されたフレームをベースにソロモン72柱の名を冠するガンダムが開発され、個別のコンセプトに特化した機体が対モビルアーマー戦などに投入され、厄祭戦を終結に導いた。
厄祭戦時代当時のモビルスーツの特徴として機体制御には阿頼耶識システムを介した機体との交感を必要とし、これによってパイロットの空間認識能力を高め、高い反応性と、プログラムに頼らない生身の身体に近い姿勢制御が可能となる代物である。
モビルアーマー戦では機体側の判断によってリアクターの出力が上昇する一方、脳への過度な情報の流入を避ける為にリミッターが作動し、双方のシステムが競合してしまう不具合も発生するが、阿頼耶識側のリミッターを解除した際の戦闘能力は、悪魔そのものと言っても過言ではない。
実際、三日月・オーガスのバルバトスは、このリミッター制限の解除によって多大な戦果を上げている。
この対MA用のシステムは阿頼耶識システムが取り外されている端白星(マルコシアス)は作動したが、阿頼耶識システムが取り外されていても厄祭戦時代のままのアスモデウスでは作動していない様子からコクピットブロックを他機種から移植した為であると作中示唆されたが、のちにアスモデウスが厄祭戦中にMAと一度も交戦していない事が原因と判明した。
この情報から逆説的にガンダム・フレーム機は自らの交戦記録を蓄積して自ら敵機をMAか否か判別していることになるが、何を基準に判別しているかは現段階で不明である。
戦後はツインリアクターの信頼性の問題や、機体の整備性、阿頼耶識システムの非人道性といった問題点、何より「ガンダム・フレームの性能を必要とする敵の存在の消失」から、次期主力機開発母体選定の際にヴァルキュリア・フレーム(後のグレイズ・フレーム)に敗北し、直接的な後継機は製造されていない。
戦後、72機の殆どは撃墜や解体処分によって失われたが、一部資料によると26機ほどが何らかの形で残存しているとされる。
当時の資料は実機を含めて極めて少なく、一部マニアからは「幻の機体」とも呼ばれているが、現存する機体の殆どは各勢力の手に渡っており、ガンダム・バルバトスのように古戦場に放置されていた機体や、グシオンのように運用する組織によって大規模な改修を施された機体も存在する。そのため、当時のまま現存しているのはキマリス等のギャラルホルンが所蔵管理している機体が殆どである。
また、ガンダム・フレームをベースに開発された機体は基礎フレームこそ共通しているが、運用コンセプトによってその外見は大きく異なっており、アスタロトのエイハブ粒子供給用ケーブルやフラウロスの砲撃モードへの可変機構、ガンダム・キマリストルーパーのマルチスロットアクセラレーターのようにフレーム自体に手を加えた例もあった。
戦後世代のモビルスーツと比較した場合、基礎設計は旧式のため骨董品と揶揄される場合もある(グレイズ・フレームと比較すると工業製品として洗練されておらず、自動車に置き換えた場合グレイズ・フレームは様々な機能が付与されたエコカー、対してガンダム・フレームはクラシカルな大排気量スポーツカーにそれぞれ例えられる)が、二基のエイハブ・リアクターの出力同調による高出力と阿頼耶識による空間認識能力の拡大及び反応速度の向上は、現行のモビルスーツに対しても大きなアドバンテージとして機能している。また厄祭戦時代の技術の全てを現行の技術で再現する事が困難な為、新たにガンダム・フレームを製造する事はほぼ不可能な状態となっている。
なお、厄祭戦後の時代に於いては阿頼耶識システムが成長期の子供にしか施術出来ない非合法な物として認識されている事もあり、機体を保有する組織がこれを運用する場合はインターフェースを換装する場合も見られる。
ガンダム・フレーム採用機
型式番号 | 機体名 | HG IRON-BLOODED ORPHANSでの採用ランナー |
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ASW-G-01 | ガンダム・バエル | ガンダムフレーム4 |
ASW-G-04 | ガンダム・ガミジン | |
ASW-G-08 |
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ASW-G-11 |
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ASW-G-16 | ガンダム・ゼパル | |
ASW-G-29 |
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ASW-G-32 | ガンダム・アスモデウス | ガンダムフレーム4 |
ASW-G-35 | ガンダム・マルコシアス | ガンダムフレーム4 |
ASW-G-47 | ガンダムフレーム4 | |
ASW-G-48 | ガンダム・ハーゲンティ | |
ASW-G-54 | ガンダム・ムルムル | |
ASW-G-56 | ガンダム・グレモリー | ガンダムフレーム4 |
ASW-G-61 | ガンダム・ザガン | |
ASW-G-64 | ガンダムフレーム4 | |
ASW-G-66 | ガンダムフレーム2 | |
ASW-G-70 | ガンダム・セーレ | |
ASW-G-71 | ガンダム・ダンタリオン | ガンダムフレーム4 |
ASW-G-XK | エックスケー | |
ASW-G-XX | ガンダム・ヴィダール | ガンダムフレーム2 |
?? | ガンダムフレーム4 |
HG IRON-BLOODED ORPHANSにおけるガンダム・フレーム
ガンダム・フレームの設定は立体物においても十二分に生かされており、実際HGIBOのガンプラは大半のガンダムが「ガンダムフレーム1~4」(中点は入らない)と呼ばれる関節専用ランナーが流用されて造られている(これはフレームのランナーだけを使い回すことで、新造するのは外装のランナーだけで済むというメリットもある)。
同シリーズのトップバッターである「HGIBO ガンダムバルバトス」にはガンダムフレーム1が採用されており、後のシリーズでもこのランナーが数多のガンダム・フレーム搭載機に流用され続けるのだろう…と思われた。
しかし、翌年発売された「HGIBO ガンダムバルバトス(第6形態)」では大半のランナーが新規造形となっており、関節フレームの方も1を使い回すのではなく新造されたガンダムフレーム4が使われている。
何故こうなったのかは明らかにされていないが、これはガンダムフレーム1の肩関節のままでは今後のラインナップとのミキシングに適合出来ないという問題を抱えていたためと考えられる。
無印バルバトスは第1形態の肩関節がむき出しになっている関係上アタッチメントが独特の形状となっていて、劇中通りグレイズの肩装甲を装着する際は一度分解して干渉部分を外す必要がある弊害があった。一方ガンダムフレーム4の肩のアタッチメントはC型に改良されたおかげで無改造でグレイズの装甲が装着可能となるなど、拡張性が段違いに広がっている。
この他にもブーツの接続も変更されており、1ではPC-002の③を使用した丸軸だったのが4では⑧対応の板式の角軸接続になった。
結局ガンダムフレーム1が流用されたのはHGIBO無印アスタロトのみに留まり、以降の機体では大半がガンダムフレーム4の方がスタンダードとして流用されていくこととなった。このため鉄血モデラーからは「親の顔より見たガンダムフレーム4」などと揶揄されることも。
ガンダムフレーム2はキマリス系列、ガンダムフレーム3はグシオン系列専用ランナーとなっている。
ただし無印グシオンは例外として最早原型を留めていないほど他のガンダムと体型が異なるため、あえてガンダムフレームランナーを採用しない独自関節が採用された。
キマリス系列の中には当然ヴィダールも含まれており、当時乗り手が声優が声優だったため正体がバレバレだったが、機体の方もわざわざキマリス限定のガンダムフレーム2を流用していたことからネタバレしているも同然な状態だった。
その他のガンプラブランドでは
ちなみに、1/100(フルメカニクス含)においてはキマリス系列もバルバトス系列とランナーを「ガンダム フレーム1」(中点ではなく半角スペース)で統一しており、細かい差異のみを追加ランナーで補う方式に変更されている。唯一グシオン/グシオンリベイクだけが換装に対応させるためかガンダム・フレーム用ランナーに新規造形の「ガンダムフレーム2」(半角スペースなし)を採用している。
MGはまだバルバトスしか立体化されていないのもあるが単純に「ガンダム・フレーム」表記となっており、1/100と同様の仕様になると予想される。
余談
ガンダム・フレームのデザインは鷲尾直広の手によるものだが、デザイン自体は篠原保によって描かれたコンペ用の画稿が下敷きになっている。当初の篠原の画稿では一体のモビルスーツとして描かれていたのを、監督の長井龍雪がそのデザインを気に入り、鷲尾の手によってモビルスーツ用インナー・フレームとしてリファインされた。今作においてフレームを指す型番の前半部分はデザイナーのローマ字表記を分解したアルファベットで構成されており、このガンダム・フレームは鷲尾直広氏の「WASHIO」から「ASW-G(恐らくガンダムの頭文字)」と設定されている。
また、今作のガンダムは「ガンダム・フレームを採用している機体」と言う定義がなされている事から、たとえどんな外装を施されていようと物語中ではガンダムとして認識されている。
また、少なくともアスタロト及びそれ以降の機体は強力な一芸を有する者が多く、MA戦において極めて有利に事を運べたことは想像に難くない。
なお、72機建造されたという設定は前述のとおりソロモン72柱から取られているが、ソロモンの悪魔の名を冠するガンダムは過去の作品にも登場しており、何かしらグシオンやキマリスの様に化け物染みた外装あるいはバルバトスの様に驚異的な性能を誇る事が多い。
主に、「機動新世紀ガンダムX」のガンダムヴァサーゴ、ガンダムアシュタロン、「機動戦士ガンダムUCMSV」のユニコーンガンダム3号機フェネクス、「SDガンダムGジェネレーション」シリーズのガンダムベルフェゴール、ハルファスガンダム、フェニックスガンダム、バルバトスなどが挙げられる。
この内、バルバトスについては完全に同名、アシュタロン/アスタロトについては異なる名称だが由来が同じである。
前述の通り、作中世界には26機分のフレームが残存しているとされるが、これが「現存していると確認された機体数」なのか「戦没・解体処分等の理由で失われたという記録が残っていない機体の数」なのかは不明(前者の場合は劇中で初めて発掘されたフラウロスの例もある事から未確認機が26機以上存在する可能性もある。ただし劇中の描写から見ればギャラルホルンがCGSの基地内にバルバトスが存在している事を把握していなかった為、後者の可能性が高い)。
現時点で登場したのは(バージョン違いを除き)バエル、ガミジン、バルバトス、グシオン、ゼパル、アスタロト、アスモデウス、マルコシアス、ウヴァル、ハーゲンティ、ムルムル、グレモリー、ザガン、フラウロス、キマリス、ダンタリオンの16機(存在のみが語られているセーレも含めれば17機)しか登場していない(「バエル宮殿(バエルの祭壇)」には、セブンスターズ各家のガンダム・フレーム、ガミジン(ファルク家)、ゼパル(クジャン家)、ハーゲンティ(エリオン家)、ムルムル(ファリド家)、ザガン(イシュー家)、キマリス(ボードウィン家)も安置されているらしいので、現時点で唯一未登場であるバクラザン家保有のガンダム・フレームも、いずれウルズハントにて判明する思われる)。
なお、TVアニメ版でのガンダムパイロットはほぼ全員戦死している。
例外はガエリオ・ボードウィンだけであり、そのガエリオも本人の代わりに阿頼耶識タイプ・E=アイン・ダルトンの脳が焼き切れ、アインが完全に死亡した上にガエリオ本人も半身不随となっている。
そういった点からも「悪魔」の名を関するに悪い意味でふさわしいといえるかもしれない。
なお、キマリス(トルーパー含む)・グシオン(ブルワーズ時代)・ダンタリオンについてはフレーム色が本来のガンダム・フレームのものから変更されているが、その理由については明確になっていない。
pixivでは
「72機の内半数以上が喪失し、残存するとされる26機もほとんどが行方不明」、この設定は多くの視聴者・ファン・モデラーの心を掴んでおり、空席となった場所のガンダムを創作するにまで至りpixivでも多数の作品がアップされている。
タグ検索の際は本タグとともに「オリガン」と合わせて探すと良いだろう。
殆どは作成者のオリジナルが多いものの、過去の作品に登場したものをガンダム・フレーム化すると言った作品も存在する。
なお、ガンダムフレームの一部を過去作品で登場した機体とパイロットで埋め合わせると以下の通りとなる。
SDガンダム外伝シリーズでは
古代の月のギャラルホルン帝国に現れた異世界からの来訪者、月の悪と呼ばれる機重奇神ジークドミヌスは、旧ギャラルホルン帝国を操り最強の騎士を得るため、孤児(ミカヅキなど)や犯罪者(機闘士ガンダム・グシオンの装着者(劇中では、明かされていないがおそらくクダルだと思われる))を元に改造実験を行った。
旧ギャラルホルン帝国は、悪魔(表向きには精霊)の魔力を宿した機械の鎧・エイハブメイルを開発。被験者たちは、適応改造を施され、エイハブメイルに適応出来た者は、鎧の持つ錬金術の力でガンダム族の姿に。適応できなかった者は、モビルメイルのプロトタイプにあたる鎧を装着することになる。実験、試作を繰り返して、そのノウハウを蓄積、バエルで完成したエイハブメイルは、72着制作されたという設定になっている。
ギャラルホルン帝国の皇子マクギリスは、改造されてバエルとなり、ジークドミヌスの先兵の長にされるはずだったが、マクギリスの意識が悪に染まらず、エイハブメイルのガンダム達を操る呪いを解き、解放。エイハブメイルのガンダム達を率いてジークドミヌスに反旗を翻した。そしてジークドミヌスは、悪魔の宿ったエイハブメイルなどの機械の鎧で操り、月の世界を征服するため、月の王国セレネスとギャラルホルン帝国を戦争状態にした。
エイハブメイルには、ジークドミヌスによる悪魔の呪いがあり、すべてがジークドミヌスの意のままとなったがミカヅキ(バルバトス)、アキヒロ、シノ、オルガを始めとする変身可能な鉄華団のメンバーそしてマグギリスとガエリオ達は、機械の鎧の呪いが断ち切れ、数名のギャラルホルンガンダム(ビスケットとオルガの鎧は、ガンダムタイプの鎧ではなかった)達は、ジークドミヌスと戦うも、そのほとんどは倒れ全滅してしまう。ジークドミヌスは、超機甲神ガンジェネシスの戦いで体を撃破され精神体へとなり、そしてギャラルホルン帝国の人々は全滅し、ミカヅキ率いる鉄華団は、月世界から崩壊する前に脱出した。
新約SDガンダム外伝 新世聖誕伝説本編に登場したギャラルホルン帝国の兵は、肉体が滅び、月のネットワーク上に憑依したジークドミヌスの精神体が月に残るデータから復活させた機械人間(ただしラスタルは、ジークドミヌスの傀儡で月の裏側に生息するメタルモンスター子バグが人間に擬態した姿)たちであり、月にスダ・ドアカワールドのような自然を取り戻し、人が住める世界にするという大義と機械の鎧で操られている。
ミカヅキ(バルバトス)、アキヒロ(グシオンリベイク、厳密には本来の鎧は失っており機闘士ガンダム・グシオンの鎧を改造して装着している)、シノ(フラウスロ)、マクギリス(バエル)、ガエリオ(キマリス)、オルガ(シデン)、ビスケット(不明)、マサヒロ(マン・ロディ)、アストン(ランドマン・ロディ)、ハッシュ(ヘキジャ)は、適応改造が施されて機械の鎧が使用可能。ただし、ガンダム族に変身可能な機械の鎧・エイハブメイルに適合できたのは、ミカヅキ、アキヒロ、シノ、マクギリス、ガエリオの五人だけである。
関連イラスト
関連項目
ムーバブルフレーム ゼロフレーム ガンダムアストレイ:世界観が異なるガンダム作品の技術ではあるが、構造的にはガンダム・フレームと似ている。
A級ヘビーメタル:サンライズ作品の機体繋がりであり、色々と共通点を持つ。
アーキタイプ(THEビッグオー) :「THEビッグオー」に登場する巨大ロボット「メガデウス」の中でも特別な存在である「ザ・ビッグ」と呼ばれる機体群の内部フレームであり、また劇中から遥か過去に出自を持つという共通点がある。