太陽の牙ダグラム
たいようのきばだぐらむ
鉄の腕は萎え、鉄の脚は力を失い
埋もれた砲は二度と火を噴く事はない
鉄の戦士は死んだのだ。狼も死んだ、獅子も死んだ
心に牙を持つ者は、全て逝ってしまった...
高橋良輔が監督を務めた日本サンライズ製作の日本のアニメーション作品。
1981年10月23日から1983年3月25日まで、テレビ東京で放映された。
ひたすら濃ゆい泥沼の政治劇とデイジー・オーセルで有名なリアルロボットアニメである。
主役メカ「ダグラム」が第1話で既に朽ち果てた姿で登場するという衝撃的な導入から始まり、政治劇を中心に繰り広げられる「リアルロボット」アニメのリアルさを深く追求した作品となっている。
主役メカであるダグラムが登場して活躍するのが第7話と遅く、主人公の行動が大局に影響を与えず、それとは無縁な場所で政局が動いていくというロボットアニメとして類を見ないストーリー展開が話題を攫った。
理想に燃えた少数の集団が命をかけて戦いメディアによって「英雄」と祭り上げられても、政治力を持たない武装集団に歴史の大局を動かすことなどできないという残酷な現実を描ききっており、革命戦争というものを俯瞰的に映し出したドキュメンタリー仕立ての物語となっているのが本作の特徴である。
単発のサンライズ製作オリジナルロボットアニメとして、全75話という最長の記録を残している。
その一方でリアル指向を追求し娯楽作品としてのエンターテイメント性を疎かにした結果、視聴者を選ぶ作品となってしまった等反省点も多かった。そして追い打ちをかけるように放送が延長されたことで急遽物語を再構成せざるを得なくなったことも反省点と言えるだろう(この点では同時期に放送された『六神合体ゴッドマーズ』も同じ状況となっていたのだが、そちらは3部構成にすることで物語の骨組みを崩さずに放送することができた)。
監督である高橋氏はその反省点を活かし、『装甲騎兵ボトムズ』を生み出すことになる。
とはいうものの、劇場版が上映されるレベルの人気を博しており、現在でも語り草となっている。特に同時上映の『チョロQダグラム』はSDの源流を生み出すきっかけとなり、後に『SDガンダム』や『魔神英雄伝ワタル』と言ったSD体型のロボットアニメを生み出すこととなった。
その後のダグラムには目立った動きがなく、プラモデルの復刻やリニューアルキット、完成品といった立体物がメインの戦場となった。物語の完成度が高く手を加える余地がなかったのが理由ではあるが、後番組である『ボトムズ』と比較しても新作の有無の差は大きかったといえる。一方で、当時のファンからダグラムの新作を望んでいたことも事実であった。
しかしTV放送開始から40周年目の2021年、機動戦士ガンダムサンダーボルトを手がける太田垣康男氏によってコミカライズが開始した。
表題は「Get truth 太陽の牙ダグラム」
SC(スペースセンチュリー)152年(西暦で言うと2200年代辺り)、移民から130年が経過した植民地惑星デロイアでは、地球連邦に対する独立運動の機運が高まっていた。
そんな中、地球連邦評議会議長のドナン・カシムら評議会議員を地球連邦軍デロイア駐留軍フォン・シュタイン大佐率いる部隊が軟禁、デロイアの独立を宣言するという事件が起こる。
ドナンの息子で士官候補生クリン・カシムは父の救出作戦に参加してデロイアへ向かうが、事件解決後、父がシュタイン大佐を赦免してデロイア自治州代表に任命、独立運動派の弾圧を開始したことで、全てがデロイアを支配するための茶番だった事を知って苦悩する。
やがて独立運動の指導者デビッド・サマリン博士と出会ったクリンは、デロイアが独自に開発したコンバット・アーマーダグラムのパイロットとなり、ゲリラ太陽の牙の一員としてデロイア独立戦争へと身を投じた。
Not even justice,I want to get truth.
真実は見えるか。
地球連邦政府
地球を統治する統一国家。メドール、マルドー、テシオ、マラン、コホード、ミンガス、ローディアの7つの自治州で構成されておりそれらが連邦評議会という最高意志決定機関により統治される。
地球連邦軍
地球連邦内部の治安を守る軍隊。
陸海空軍が各自治州ごとに一括して7つの軍に編成され、さらにデロイアに駐屯している第8軍が存在する。中には私設の傭兵部隊も存在する。
地球から遠く離れたスタフェラス二重太陽系の第5惑星。ワームホール航法によって移民が出来るようになったことで植民地惑星として開拓された。
自治権が与えられずに地球側に資源を搾取されている状況である為、住民であるデロイア人により独立運動が行われている。地球連邦としてもデロイアの資源が必要なので安易に独立を認められない状況であり、両者は平行線を辿っている。
後にデビット・サマリン博士が率いる”太陽の牙”グループの活躍によって独立運動が本格化し、デロイアは革命戦争の時代を迎えることになった。
Xネブラ
デロイアに時折やってくる帯電性ガス星雲の一種。
未観測要素が多く、コンピューターの性能を大きく低下させてしまう。
今作におけるロボット兵器の名称。陸戦用に開発された。
- 初期構想では太閤記を模したサクセスストーリーとして考えられ、一ゲリラ兵士(足軽)が出世し、最終的には指導者(太閤)になる展開も考えられた。
- 一年の予定が放送延長が決まり、最終展開案の一つに「太陽の牙がデロイア独立の内容に不満を抱き自ら地球でテロ活動を行う」展開も考えられたが、主人公側が悪役に見えるとの事で不採用になった。
森藤よしひろ版
『コミックボンボン』(講談社)にて、1981年11月号から1983年4月号まで連載。原作のストーリーに沿っているが、優勢な敵相手のアクションシーンを中心としている。デイジーとラルターフは登場しない。単行本はボンボンKC版、大都社版、コンビニコミック版が存在する(いずれも現在は絶版)。
岡崎優版
『冒険王』(秋田書店)にて、1981年11月号から1983年4月号まで連載。
ボンボン版とは逆に原作の複雑なストーリーの要点を押さえ、コンバットアーマーのバトルは簡略されている。ジョルジュは最終話で背景にまぎれて登場しているのみである。単行本は2011年3月にマンガショップにて『サンライズロボット漫画コレクションVoi.2 』として「ボトムズ」とのカップリングで発売された。
太田垣康男版
TV放送開始から40周年を記念したコミカライズ。表題は「Get truth 太陽の牙ダグラム」。
朽ち果てたダグラムのシーンから物語が始まらず、戦闘シーンから始まることが大きな話題となった。クリンのゲリラ参加の経緯が回想シーンとして描かれたり、本編では無敵であるはずのダグラムが苦戦するどころか破損するレベルで描かれたりするなど、アニメ版とは大きく異なるところが多い。戦闘シーンを重点的に描かれてはいるが、政治関連にも手を緩めない作品となっているのが大きな特徴である。
作詞 - 高橋良輔 / 作曲 - 冬木透 / 編曲 - 武市昌久 / 歌 - 麻田マモル(下記4曲全て)
主題歌
オープニングテーマ「さらばやさしき日々よ」
エンディングテーマ「風の行方」
挿入歌
「EXODUS(エキソダス)」
「父よ」
- 放送当時は何かにつけてSFマニア層から叩かれていた。そもそもダグラムという作品は【機動戦士ガンダム】が起こしたガンプラブームに触発されて制作されたところがあり、大まかな設定はガンダムと似通っている(高橋監督自身ガンダムを参考にしたと公言している)ことからガンダムファンからは後追い作品として批判されることが多かった。加えて高橋監督は本作がロボットアニメ初挑戦だったこともあり、ロボットの魅力よりも作劇の完成度を優先したことから、従来のロボットアニメファンからも不評を買った。ただし主人公の立場がガンダムと逆転している点と裏での取引の演出に関しては称賛する声が上がっている。
- 1982年、アニメ雑誌「アニメック」(ラポート)27号に「ガンバレ特集太陽の牙ダグラム」と称した悪口特集が掲載され、28号では副編集長による「あの記事が掲載されてしまった裏には、担当記者が「副編集長に見せると没にされる」と恐れ勝手に入稿してしまい、こちらが気づいた時にはすでに校正段階-といった恥ずべき背景があるのですが、いずれにせよ弁解の余地はありません。」という謝罪文が掲載された。
- タカラから発売されたダグラムのプラモデルはガンプラブームの影響もあって売れに売れた。ダグラムを筆頭とするコンバットアーマーの無機質な造型とリアルな世界観は戦車や戦闘機のプラモに慣れ親しんでいたモデラー達にとっては非常に馴染みやすいものであり、ミリタリーファン層からは熱い支持を受けた。アニメ雑誌に酷評されていたダグラムであるが、対照的に模型雑誌では度々特集を組まれるほど推され、従来のファン層と異なる方面で人気を得ていたことが窺える。ダグラムが賛否両論ありながらも75話まで制作が続けられたのは、このプラモ人気に後押しされていたという側面があった。
- 第1話の内容については最終的に全話を通して見た時にどの時間軸にも合わないという矛盾が発生している。これは上記の通り物語序盤にダグラムの活躍が無かった事が関係しており、急遽挿入した結果であった(しかもその後のサンライズ作品でも同じことをされることに)。当時シナリオが第6話までしか出来ていない時点で第15話前後の展開を予想して初回のストーリーを作り、その後の展開でこの第1話と擦り合わせようとしたものの調整しきれなかったことが原因。高橋良輔監督はこの点を踏まえて第1話を「歌劇なんかで幕が開く前に流される序曲のようなものだと思って下さい。」と説明しており、第1話は作品の概要を説明した部分であって物語の一部分ではないと明言している。
放送当時のメインスポンサーはタカラ(現:タカラトミー)。主力商品は、金属を用いた内部フレームとプラスチック製の装甲との二重構造により、合金玩具の重量感とプラモデルの緻密さを両立させた「デュアルモデル」である。「デュアルモデル」は後番組の『装甲騎兵ボトムズ』でも引き続き展開された。
プラモデルはタカラと日東科学(ニットー)から発売。またカバヤからは食玩として「ダグラムガム」が発売されていた。
タカラから発売されたプラモデルはコンバットアーマーから周辺機器まで商品化されている。1/72というスケールモデルでも使用されている縮尺比を採用しており、一般兵等のフィギュアが同梱されるなどタミヤのMMシリーズといったミリタリーモデルを意識したような商品内容になっている。またタカラは、そのPR目的で雑誌「デュアルマガジン」を発行し、『機甲界ガリアン』でキャラクターモデル関連からタカラが一時撤退するまで続いた。
日東科学が廃業した際に、日東科学の金型を利用した復刻版が童友社より発売された事もある。
後にマックスファクトリーにて新規で発売されている。
チョロQダグラム - こんなシリアスな作風の中生み出された公式が病気な代物。
戦場まんがシリーズ - 松本零士による第二次世界大戦を題材にした短編集。『鉄の竜騎兵』の冒頭に登場する朽ち果てたサイドカーが、『太陽の牙ダグラム』の冒頭に登場する朽ち果てたダグラムのモチーフであるとされる。後に『ザ・コクピット』というタイトルでOVA化された際、高橋良輔はまっさきに『鉄の竜騎兵』の監督を希望したという。
銀河烈風バクシンガー - 機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ -共にレジスタンスを扱った作品であるが、本作とは逆の結末となった(この二作は主人公勢が一部を除いて戦死する)。
太閤記・ゴッドファーザー -本作の原案を作る際に参考にした作品。
朽ち果てたダグラム - 余りにも有名な第1話冒頭と最終回ラストシーンで、何度かパロディになった。
鉄の腕は萎え、鉄の脚は力を失い
埋もれた砲は二度と火を噴く事はない
鉄の戦士は死んだのだ。狼も死んだ、獅子も死んだ…
だが砂漠の太陽に照らされながら巨人は確信していた
若者は今日も生き 若者は今日も走っていると
巨人は若者の声を聞いた
吹き渡る砂漠の風の中に確かに聞いた
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