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CV:広瀬正志


概要

当初は独立ゲリラ組織の一角のリーダー格だった、眼鏡をかけたインテリ風の男性。

元は真摯に理想を追求する真面目な人間であり、その演説は酒場の酔客ですら感銘を受けるものであり、太陽の牙のメンバーと親しかったリタ・ベレットの思想に大いに影響を与えた人物だった。


しかし、プライドが高く見栄っ張りな面や自身の持論に頑固で融通が利かない上に、実戦においては脅えて物陰に隠れるだけである等、参謀或いは思想家・論客としては兎も角、現場指揮官としての資質は皆無。結局の所、口先だけが達者な男という印象が目立っていく事になり、その本質に気付いた太陽の牙の面々に呆れられるのを始め、周囲のゲリラ組織からも孤立していく。

ゲリラ開放都市『ボナール』でのゲリラ弾圧を切っ掛けにゲリラ達とは完全に袂を分かつ事となってしまい、挙句の果てには金目当てにラコックの情報屋へと成り下がってしまう事になる。


ラコックの元で地球とデロイアの全面戦争へと仕向けるべく暗躍を重ねていた所で、太陽の牙を罠に嵌めるために利用したリタと再会。(直前にデスタンはリタからの信頼を利用する形でニセ情報を掴ませており、リタはゲリラ側から逃げ出してきていた。)

リタからは騙した事を咎められず、逆に「一緒に逃げよう」と血生臭い世界から逃れ静かに暮らそうと誘われ、彼女の健気さにかつての自分を思い出したことから葛藤をしたものの、結局誤解からリタを殺害してしまい、完全に後戻りの出来ない状態になる。その後は罪悪感から情報屋を廃業したが、常連となっていた食堂の女主人オレナの為に情報屋を再開。ラコックの出世栄達に貢献し大金を得た後にオレナの下に帰るが、この事で完全に味を占めてしまう事になる。


地球とデロイアの和平への仮調印が結ばれた後、ラコックが更なる出世をしたと聞き、オレナの制止を振り切って更なる利益と社会的地位を得ようとラコックに会いに行く。

しかし、元々金の為だけにかつての仲間達を平然と売るデスタンに激しい嫌悪感を抱いていたラコックからは相手にされなかったうえに「寄生虫めが!」と痛烈に罵倒されてしまう。その言葉に逆上したデスタンは懐にしまっていた拳銃でラコックを射殺してしまい、狂った笑い声をあげながら取り押さえられる。

背後からとはいえ、大勢の衆人観衆やマスコミ、兵士達のいる中で卑屈な態度を取っていたデスタンが突然自身を射殺しようとするのは、ラコックにとっても全く予想だに出来なかった事と言え(実際、射殺時のデスタンは寄生虫呼ばわりされたショックのあまり、発狂状態に陥っていたと言える)、結果的にこの蛮行がラコック主導による地球傀儡政権になりかけていたデロイアの趨勢をデロイア側に取り戻す事となり、図らずもかつて自身が抱いていた理想を実現する事となってしまった。一発の銃声から始まった独立運動は、一発の銃声によって終わりを告げたのだった

尤も、その後のデスタンを待っていたのは、決してデロイアを支配下に置こうとしていたラコックを討ち取った英雄としての称賛の声などではなく、極刑と思われるが…。


総じて言えば、やることなすことが行き当たりばったりの男である。当初は理想に燃える活動家ではあったのだが、次第に「周囲から認められたい、もっと賞賛されたい」という欲望に取り憑かれてしまい、迷走した末に体制側に寝返った挙げ句かつての仲間を裏切り続けることになってしまった。しかし裏切者としての立場に納得はしつつも苦悩が無かったわけではなく、ヤケ酒をしたり、上記のようにリタの説得に心動かされるなど根からの外道というわけではない。リタを騙した件についても「これが俺の今の姿なんだ」と、未だに信じてくれているリタに半ば自分の事を諦めさせるように振舞っているフシも見られた。他者との衝突が避けられない独立運動において、大小様々な武力戦争・弁舌論争による精神的ストレスに耐えられるだけの精神力を培えなかったことが、彼が迷走していった最たる要因だろう。

ある意味、デスタンは理想家・活動家の負の側面を体現した人物であり、大変生々しいキャラクター造型をしている。声を担当した広瀬正志氏の哀愁漂う演技もデスタンというキャラクターに厚みを与えており、ままならぬ男という生き物の悲しさを巧みに表現している。


余談

劇場版ではワイアード・デスタンと名前が変わっている。

また、デスタンタグの物も多い。

ちなみに上記では「一発の銃声」と書いてはいるが、実際のところは半狂乱となったデスタンがラコックに向けて1発、立て続けに5連発しハチの巣にしている。

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