作業用ザク
さぎょうようざく
型式番号 | MS-06W |
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所属 | ジオン公国軍 |
開発 | ジオン公国軍地球攻撃軍 |
生産形態 | 現地改修機 |
全高 | 17.5m |
本体重量 | 51.8t |
出力 | 不明 |
推力 | 不明 |
装甲材質 | 超硬スチール合金 |
装備 | 大型スコップ、ウィンチ他 |
型式番号MS-06W。
一年戦争の中で、戦闘で損傷を受け実戦に出られなくなったザクⅡや旧式化したザクⅠを、運搬や陣地構築、モビルスーツ(MS)の回収といった作業用に改修した機体。
正式な開発計画に則った機体ではなく、アジア西部からアフリカにかけての範囲で活動したジオン公国軍地球攻撃軍各部隊の工作作業中隊が現地改修によって生み出したものである。そのため、型式番号も正式なものではない。
その開発経緯から地球上での運用が主と思われるが、中にはサイド3などのスペースコロニーで用いられた機体もあった。
一年戦争後には地球連邦軍に接収された機体もあったようだが、その後の顛末は不明。
その製造経緯から各々の仕様はバラバラで、中にはグフのパーツが用いられた機体や、MS不足を補うために再武装化された機体もあったという。呼称も「作業用ザク」の他「一般作業型ザク」「ザク・ワーカー」など安定しない。
一番広く知られているメイン画像の機体も頭部にザクⅠの面影が強く見られるが、便宜上MS-06Wの型式番号で統一されている。以降、断りの無い限りはこの機体を軸に解説する。
先述の通り頭部こそザクⅠそのものだが、首から下は全身に渡って改修を受けている。
センターマウント式の胸部コクピットは目視での操縦がしやすいよう建設作業車のものを流用しているため、ガラス張りで胸から張り出しており、そのすぐ下から伸びる動力パイプは胸部左右ブロックに接続されている(ただし「窓」は単なるモールドとして解釈される場合も多い)。
両肩にはショルダーアーマーの代わりにハンガーユニットが設けられている。また、腕部関節の可動域も増やされており、腕部のみを後方に向けて作業することが可能になったという。
両腕に装着されたツールは左右で異なり、左腕には資材などを吊り下げるために関節ギアを流用して作られたフック付きのウインチ、右腕には塹壕掘りなどに用いられる大型スコップ(ショベルとも)が付いている。
マニピュレーターはザクⅡのパーツを流用しているとされるが、小指が親指と同様に取り付けられた左右対称の形状で、残り3本の指はミトンのように一体化している。
背部にはスラスターの付いた推進用ランドセルではなく、コンテナラックとしても機能する2段式の荷物デッキが設けられており、ザク系MSとしては珍しく背部が露出している。
ふくらはぎは高機動型ザクⅡのものにも似た角張った外装で覆われているが、ここには作業用オプションや整備用具を収めるバケットが設けられており、特に推進器は付いていない。
また、脚部の動力ケーブルはオミットされるのが作業用ザクの基本仕様であり、ザクⅡの脚部を改造元とする場合、大腿部の側面にはケーブルの通し穴を塞いだ跡と思しき円盤状の突起が見受けられる。
なお、荷物デッキ、ウィンチ、大型スコップの3つを有する点は作業用ザク全体の共通仕様とされ、これらを含む作業用オプションパーツが前線部隊へ支給されていたとも推測されている。
地球上では、ザクと共に重力戦線を展開したマゼラアタックの車体「マゼラベース」を改修に取り入れた作業用のザクも多く存在した。胸部コクピットの仕様など共通点も存在するが、これらの現地改修機は基本的には「ザクタンク」の名前で作業用ザクとは区別され、型式番号も「MS-06V」と別になっている。
「MS BOYS」と呼称された機体のように、「作業用ザクをベースにしたザクタンク」も存在する。
その他のザクの作業型としては、空間作業用のマニピュレイションシステム装着型ザクや工兵作業用のザクMS工兵仕様などがあった。また、ブリティッシュ作戦時にはロケット燃料および冷却剤のタンクを増設したザクⅡが工作作業に投入されている。これらの開発経緯に作業用ザクとの直接の繋がりはない。
一年戦争後には、民間に放出されたザクⅠを農地開拓用に改修した機体が「ランド・ザック」と称して復興作業に使用された。
その後、宇宙世紀0091年時点での火星では、ティターンズ残党を吸収したジオン残党の一派閥「レジオン」が、本機種と同様の経緯で改修を受けたハイザックを「ローザック」と称して運用している。
その他、指導者アリシア・ザビの履行した火星における飛行禁止令によりモビルアーマー(MA)形態の価値を失ったバウンド・ドック、ハンブラビなどの可変MS・MAも「リバウンド・ドック」「ノンブラビ」とその在り方を揶揄した名を付けられ、作業用の機体として改修・運用されている。
同時期の地球圏でも、ザクの頭部パーツを流用して製作された作業用ポッド(プチモビルスーツ)が「ザクヘッド」と称して民間で使用されている。
宇宙世紀0110年時点でも、ザクはアナハイム・エレクトロニクス社などでモビルワーカーとして納入されているが、それを逆手にとられてモビルワーカーとなったザクに偽装した機体をテロ行為に利用する事態も起きている。
当時展開されていた『MSV』でガンプラ化される予定ではあったが、1/144スケールの設計図面が製作されたのみでその機会は結局流れてしまい、キットとしては1/144の旧キットをさらに1/2に縮小したという体裁の「ガンプラコレクション」に新規造形で収録されているに留まり、現在入手困難。
1/144相当サイズのアクションフィギュアは、過去にROBOT魂<SIDE MS>Ver.A.N.I.M.E.が魂ウェブ商店の受注生産限定で発売されていた。
漫画作品では『機動戦士ガンダム オレら連邦愚連隊』等々いくつかの作品に出たことがある。
『虹霓のシン・マツナガ』ではシン・マツナガがある事情で本機に搭乗した事があった。
ゲームでは『機動戦士ガンダムオンライン』に「ザク・ワーカー」名義で登場している。作業用ということを考慮してか支援カテゴリでサービス開始から実装された。色と頭部の見た目で「ひよこ」の愛称を付けられている。