機体データ
概要
火星移住者(「マーシャン」と呼ばれる)の内、オーストレールコロニーが開発したモビルスーツ(MS)。
開発の際には、地球圏との交流を経て独自に昇華した持ち前の技術のみでは限界があったからか、友好関係にあったD.S.S.D.やプラントの技術や火星へ来訪したロウ・ギュールたちジャンク屋組合の協力を得て完成させている。
C.E.73年の当時まだMSを保有していなかったマーシャン初のMSでもあり、「マーズファーストガンダム」とも呼ばれている。上記の経緯から察するに、ガンダムと言う言葉はロウ達から伝えられた模様。
マーシャン側では開発時のコードネーム「デルタ」のまま呼ぶ予定だったが、開発に携わったロウがこの機体を『人を助けるためのMS』と見て「デルタアストレイ」と勝手に呼んだことで改名されている。
ロウが関わった「アストレイ」の名を冠した機体で、オーブ製アストレイと全く関係ないのはXアストレイ(ドレッドノート)とアストレイ アウトフレームに次いで3機目に、地球圏以外のMSとしては初になる。
構成
ヴォワチュール・リュミエール
背部に搭載された惑星間航行用システム(以下、VL)。
本機の最大の特徴であり、スターゲイザーにも搭載された物だが、本機は「核エンジンの出力による緊急時の推進システム」として搭載されており、機動兵器としては最速と言われるほどの加速力を発揮する。しかし、かかるGも尋常ではないため、本機には「専用のコクピットで身体を固定」や「専用のパイロットスーツの着用」と言ったブラックアウト対策が必要になる。また、戦闘用MSの推進システムとして改良されたことでシステムが不安定になってしまい、展開された光の翼には「千切れ飛ぶ」という特有の現象が発生している。
この「戦闘用MSのVL」はデスティニーやストライクフリーダムと言った高性能MSの新型推進システムとして昇華されていくことになる。
胴体
コクピットはマーシャン独自の設計となっており、「戦闘用MSのVL」に伴うブラックアウト対策としてパイロットをコクピットに固定するなどVLを有人で運用するために特化しており、ZGMF-Xシリーズの物とは全く異なる。
OS
核エンジンを運用する都合なのか、M.O.SはZGMF-Xシリーズと同じタイプが使用されている。OS・NJC・核エンジンの共通点から、ZGMF-Xシリーズとは親戚の様な機体とも言える。
ちなみに、ロウ達は過去にZGMF-XシリーズのコクピットとOSを有するMSに関して改良・調整を2度行ってきた実績があり、その実績を見て本機の開発に招かれたとされる。
動力源
ニュートロンジャマーキャンセラー搭載型核エンジンを搭載している。火星圏ではザフト艦艇のようなニュートロンジャマーの展開でも起きない限りは核エンジンに制限は無くNJCは不要だが、本機は地球圏で活動する「使節団」に配備されるのでNJCが搭載されている。
しかし、本機の地球圏活動には隠された意図があった。
本機に与えられた真の役割
本機の正体は、マーシャン上層部(火星圏の政府機関)が地球側の動向を図るために用意したブービートラップである。
本機が核エンジンを搭載していることは上記したが、実は本機の大破が確認された時点で『本機の核エンジンを暴走させて爆弾にする』トラップが仕掛けられているのである。本機の建造意図やこのトラップなどは、開発を携わったロウ達にも秘匿されている。
これは、火星圏においてNJCの原料となるレアメタルが採掘されたことを受け、これが原因で地球圏の争いが飛び火して来ることを恐れたためであり、本機と母艦アキダリアが無事に火星圏に帰還できるか否かで地球の様子を見定める意図による。尚、地球上でデルタが破壊された時点でアキダリアも連動して爆発(※)、火星圏は地球と断絶する姿勢を取るとの事。
※:連動している事を考えるに、アキダリアが沈んだ場合もデルタの爆弾が起動する可能性がある。
さらに、第三者にデルタが悪用されない様、エンジン部付近を触れただけでも爆発する仕組みとなっている。これは、修理目的の接触であろうとマーシャン側の関係者であろうと問答無用で起動するので、ストライクノワールとの交戦で中破したデルタの修理をアグニス達が始めようとした際に、事前に上層部から事実を告げられていたナーエが止めに入り上層部の意向をアグニスたちに伝え、結果デルタは修理そのものができず放置せざるを得なくなってしまっていた。
このため、その後少ししてセトナからアグニスに後継機「ターンデルタ」が渡されたが、エンジンの移植もできずバッテリーでヴォワチュール・リュミエールを使いつつ、デルタ側のヴォワチュール・リュミエールを用いて遠隔で動力を供給するという手間を踏むハメになった。
武装
ビームライフル
標準的な携行型ビーム兵器。核エンジン搭載MSの出力を有する。
ソード
主武装の実体剣。大型刀とも呼ばれる。
バリエーション・関連機
MMF-JG73L ターンデルタ
民生機のMWF-JG73 シビリアンアストレイJGカスタムを素体として、ロウ・ギュールが自身の持つ技量と火星移住者(マーシャン)から得た技術をフルに投入して作り上げたデルタアストレイの事実上の後継機。
GSF-YAM02 ガードシェル
オーストレールコロニーが、デルタと共に開発したもう一体のモビルスーツ(MS)。使節団で運用されており、副官であるナーエ・ハーシェルの乗機。
火星の作業用MA「マーズタンク」を開発のベースとしており、「トライポッド」と呼ばれるMA形態が酷似している。「攻撃」に特化して開発されたデルタの対をコンセプトとして「防御」に特化した機体で仕上げられており、「トライ・ソーサー」と呼ばれるラウンドシールドは実体盾としての対ビームシールドに加えてビームシールドの機能も兼ね備えている。さらに、レーザーソードとロケットアンカーを3基ずつ搭載しており、ソードは展開して格闘兵装として扱うことも可能。
また、敵対者の油断を誘うためか基本的にはMA形態で偽装しており、戦闘の状況に応じて偽装を解除した人型MSへ変形する事で対応する。MS形態では腕部のレーザーロッドと接続してヨーヨーの要領でトライ・ソーサーを操り、ソーサーの周囲にあるレーザーソードを展開しながら振り回して攻撃する。
余談
本機の呼び方はデルタもしくはデルタアストレイであり、デルタガンダムでは無い。なお、デルタアストレイにガンダムアストレイとしての名を付けた場合の呼び方は不明。
民間用のスターゲイザーと戦闘用のデスティニー及びストライクフリーダムの技術的な関連を持たされた機体として扱われているが、「戦闘用MSにおけるヴォワチュール・リュミエールの運用」と言う点では本機が始祖に位置する。
TCG『ガンダムウォー』では「双極の閃光」に収録されているが、能力欄にフェイズシフト装甲が記載されている。ゲームバランスの都合だろうか。
Gジェネシリーズの『クロスレイズ』などの他の作品では、フェイズシフト装甲は保有していない。
関連タグ
機動戦士ガンダムSEED 機動戦士ガンダムSEED ASTRAY 機動戦士ガンダムSEED C.E.73 Δ ASTRAY