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核エンジン

かくえんじん

アニメ『機動戦士ガンダムSEED』シリーズに登場する動力炉。本項では主にプラントで開発されたMS用の小型核エンジンについて記載する。
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曖昧さ回避編集

本項では『機動戦士ガンダムSEED』シリーズに登場する核エンジンについて解説。

一般的なものについては原子炉核融合炉熱核エンジンを参照のこと。


概要編集

C.E.ではニュートロンジャマー(以下、NJ)の地球投下によって核分裂の抑制が起きる前は、原子力発電所などで核分裂反応によるエネルギーを供給する方法が一般的であった。

NJによる抑制で多くの原子炉が機能しなくなったためか『不要品』として市場に流れ、民間組織でも容易に入手する事が可能となっている。NJの効果が届かない宙域、特に外宇宙などでは核動力が機能するため、需要が完全に消失したわけでもない。


ニュートロンジャマーキャンセラー搭載型核エンジン編集

C.E.71年2月中旬から5月初頭にかけて開発されたZGMF-Xシリーズの動力源として、プラント(ザフト)のヴェルヌ局によって開発されたモビルスーツ用の小型核エンジン。搭載型の名に反してエンジンとニュートロンジャマーキャンセラー(以下、NJC)との一体化はされていない。

エンジン自体のサイズは冷却機構等の周辺機器も含めても1辺4mの立方体に収まる程度であり、リジェネレイトを除いて機体胴部に内蔵されている。具体的には、ドレッドノート・ジャスティス・フリーダムは腹部、リジェネレイトはコア・ユニット、テスタメントとプロヴィデンスは胸部に内蔵している。

核駆動戦士ガンダムSEED


ザフトはこのエンジンの試験とデータ採集ためにわざわざドレッドノートを試作している。このドレッドノートのNJCはエンジン暴走時に外部から物理的に切り離して強制停止できるようにエンジンから離れた頭部へ分散配置されていたが、自機を中心としてNJCの効果を広範囲に適用してしまう問題が生じた。試験によりエンジンの安全性が証明されたこととこの反省の結果として、ジャスティス以降はNJCの効果範囲を自機の核エンジンのみに絞るような構造となっており、NJCそのものは機体の中心に位置する腰部に内蔵している。


搭載機編集

ザフト製編集

ZGMF-Xシリーズ


その他


地球連合製編集

MS

MA


オーブ連合首長国編集


マーズコロニー製編集


ライブラリアン編集


仕組み編集

NJCの機能によって中性子運動を活発化させた核分裂式の原子炉を導入、NJCによりNJの影響を相殺し、安定した稼動を実現している。

電力への変換は、核分裂連鎖によって発生した熱の電力変換はMHD発電と呼ばれる、パイプに対して垂直な方向にかけた磁界と、パイプを流れるプラズマ流体による電磁誘導を用いた熱電変換を用いて行っている(このプラズマ流体の流れを核分裂の熱によって生み出している)。

また、核エンジンの臨界に必要な所要時間は定かではないが、核エンジンを搭載しているデルタアストレイは戦闘中に核エンジンを稼働させてバッテリーから切り替えている。


出力編集

作中にてジャスティスとフリーダムが共通して「Capacity 8826kw」と表記されていたことから、ZGMF-Xシリーズの出力は全機共通して8,826kWである可能性が高い。


余談編集

現実の原子力発電所の世界最大出力は柏崎刈羽原子力発電所の7,965MWであり、それと比較すると小型故に低出力であることが分かる。もっとも、冷却装置を含めたエンジン一式が1辺4mの立方体に収まるサイズであり、それで現実の世界最大の1/900程度の出力がある時点で技術力自体は非常に高い。ちなみに、日本の一般家庭の年間消費電力量は4,175kWh、出力換算で平均476Wとなるため、単純計算で18,536世帯の電力を一基で補える計算となる。


優位性編集

理論上は「絶えず給電され続ける」ためエネルギー切れが起こらなくなり、無限にも近い(※1)非常に高い継戦能力を有するのみならず、高出力ビーム兵装の無制限な併用が可能となり、バッテリー駆動である地球連合軍のGAT-Xシリーズにおいて弱点とされていたフェイズシフト装甲ミラージュコロイドステルスの時間的使用制限等はほぼ解決され、連続稼働や機体出力は基本的な戦闘ソーティの間は途切れなくなった。

一方、機関砲やレールガンといった実弾兵装の弾薬や推進剤、宇宙空間においては酸素の量に限りがある他、パイロットの生理的な限界も加味した場合、戦闘時間には制約が伴う(これは別に固有の欠点というわけではなく元来MSとはそういうものである)。設定と作中描写的には少なくとも3日間は無補給にて活動可能である。


※1.核エンジンからは半永久的にエネルギー供給されるが、時間あたりのエネルギー供給量には上限があるため、消費量が供給量を上回ってしまうとその間はパワーダウンに陥る。当然そうならないように各種調整は施されているが、フリーダムがミーティアの試運転にて未調整のビームソードを使用した際は想定した長さの3倍まで延長されたにより想定を超えるエネルギー消費が起きたため、パワーがレッドゾーンまで落ちた一瞬だけとはいえフェイズシフトダウンを引き起こしている。


ZGMF-Xシリーズは多くの高出力・高威力な武装を搭載しているが、目玉のビーム兵器については高火力を実現するために核エンジンからの膨大なエネルギー供給を前提としている。そのため、武装単位のエネルギー効率はほぼ度外視されており、フェイズシフト装甲も相まって総合的な燃費自体は非常に悪い。仮にこれらの武装をバッテリー駆動で実現した場合、短時間でエネルギー切れしてしまう。例えば、フリーダムの搭載する「M100 バラエーナ・プラズマ収束ビーム砲」は2発撃つだけでエネルギー切れを引き起こし、比較的エネルギー消費の小さい武装構成であるジャスティスのものでさえ5分ともたずにエネルギー切れする。だが、この事実は裏を返すと、劣悪な燃費を一発で解決できてしまう核エンジンが持つC.E.における優位性が如何に高いかがよくわかる事例とも言える。


上記の通り、核エンジンのもたらすエネルギーの恩恵は機体パワー(出力)よりもスタミナ(持久力)の比重が大きく、従来型バッテリー機とはディーゼル潜水艦と原子力潜水艦のような関係性となっている。しかし、あくまで比重が小さいだけであり、フリーダムに初めて乗ったキラ・ヤマトは「ストライク4倍以上のパワーがある」と述べるように、バッテリー駆動よりも高い出力を有していることが幾度も語られている。ムルタ・アズラエルもそのパワーの高さを遠めに見ただけで核動力もしくはそれに近い新型動力の可能性を見抜き、フレイ・アルスターを経由してNJCのデータを入手するまではフリーダムもしくはジャスティスの拿捕を指示している。しかし、そのパワーに機体の方が耐えられないためか、モーターのパワーまで4倍にはなっていないようであり(※2)、パワーの大部分は大気圏内を飛行可能な高推力スラスター(超伝導電磁推進方式)や劣悪燃費なビーム兵器に割かれている。

ZGMF-Xシリーズのフリーダムが、セカンドステージシリーズと互角以上に戦えたのもこの動力の恩恵が大きく、単純な出力に限れば上回っている。しかし、用いられているノウハウや技術自体はセカンドステージの方が上であり、フォースインパルスセイバーがフリーダムと同等以上の空戦能力を有しているように、特定の能力に限れば拮抗ないし凌駕されている。


※2.アラスカ戦ではフリーダムがデュエルアサルトシュラウドと取っ組み合いをして互角であったり、同じくフリーダムがフォビドゥンのニーズヘグによる一撃をシールドで受けた上で吹き飛ばされたりしている。そもそも、リジェネレイトを除いてベースはバッテリー駆動を想定したゲイツのフルスペック版なため、核動力のパワーを活かしきれない本体構造だとしても不思議ではない。


その出力の高さと核エンジンありきの兵装故に機体のポテンシャルを発揮しきるには相応の操縦技術が要求され、その要求レベルは当時のハイエンド機体であるセカンドステージシリーズを駆るザフトの赤服でさえ感嘆するほどに高い。


運用上のリスク編集

核分裂炉であるため放射能漏れの危険性があり、MSが人型である都合により核エンジンの直近にコクピットが存在するため、パイロットの被爆が心配される(作中でも発進シークエンスに放射線量に関する項目が存在する)。パイロットの安全を考えて十分なシールドは施されているものの、初めて開発された核動力機の名がドレッドノート(勇敢な者)なのも一説には、ここに由来する皮肉ともされる。なお、核エンジンそのものの安全性は高く、戦闘中に核エンジンが勝手に暴走・爆発した事例は、小型艦船用の核エンジンを外付けしたスーパーハイペリオンと、バッテリー機として設計された機体に後付けしたエクリプス2号機以外に存在しない。


NJが既に拡散してしまっているため、エンジンよりも先にNJCを破壊ないし停止させれば核分裂反応は即座に停止して最悪の事態は避けられるが、核分裂炉であるためにNJCが健在のままエンジン部を攻撃されれば核爆発を起こす危険がある。前述の通り、ジャスティス以降の機体はNJCの効果範囲を自機の核エンジンのみに絞るような構造とするために核エンジンとNJCが近い場所にあり、NJCだけをピンポイントで破壊することは困難を極め、エンジン部を破損した瞬間に核爆発を起こす。そのため、搭載機が撃墜されれば周囲を核爆発に巻き込むことになり、隊列を組む前提の量産機では扱いづらいことこの上なく、また撃墜する側も核爆発に巻き込まれる危険性を被る。特に後者については、高機動かつフェイズシフト装甲を持つフリーダムが全力でその場から脱しても大破を免れないほどである。

NJCのオンオフはコクピットから手動で行うことができる。フリーダムはその撃墜タイミングに合わせてNJCをオフにすることでNジャマーの影響下に入り原子炉を閉鎖(作中のモニターでは「NUCLEAR REACTOR CUT OFF」と表記)することにより核爆発を防止し、コクピットを含めたバイタルパートだけは原形を残したままパイロットを生還させている。なお、これは自機の撃墜タイミングを完璧に読み切り冷静に対処したキラの手腕によるところが大きく並みのパイロットでは真似できない。


上述の通り扱いが難しいためか、主にエースパイロット専用機等に搭載されており、大量のMk5核弾頭ミサイルにNJCを搭載できるほど資源に余裕のある連合でさえもこれは例外ではない。

また、ユニウス条約が締結されたことを契機としてビーム兵器のエネルギー効率が大幅に改善されたことにより、核エンジンのスタミナ面における優位性は薄れセカンドステージシリーズのようにZGMF-Xシリーズのスペックに一部追随ないし凌駕しつつある機体群が登場している。それに加え、核エンジンの兵器運用自体が公的には禁止となったため「ミラージュコロイド・ステルスの常時展開」といった特殊な用途に特化した機体に搭載されることが主となった。

さらに、ハイパーデュートリオンエンジンのように核エンジン自体の性能も向上し、それを活かそうと武装も過多傾向となって火器管制が複雑化していき、尚更量産機に向かない仕様となっていった。


C.E.73年11月に実戦投入されたニュートロンスタンピーダー(核兵器を強制的に誘爆させる兵器)が天敵であり、その照射を浴びれば即座に核爆発してしまう。なお、ニュートロンスタンピーダー自体は生産性に難があり運用上の制約も多いため、戦場にて遭遇する可能性は極めて低い。


その他編集

戦艦等に格納されている際に、機体(核エンジン)を即時稼動可能なアイドリング状態で維持できていることから、NJCの出力を調整する等により、エンジン内の核分裂反応をある程度制御可能なことがうかがえる。

また、コクピット側からの操作により意図的に暴走させ、自爆という形で核爆発させることができる。その威力はコロニーサイズの構造物を内部から完全に破壊できるほどに高い。この自爆も前述の出力制御の応用だと考えられる。


関連のある技術・用語編集

ハイパーデュートリオンエンジン

サードステージシリーズの系列機、及びターミナル製ZGMF-Xシリーズの系列機に搭載される新型ハイブリッドエンジン。デュートリオンビーム送電システムと掛け合わせた本エンジンの発展型にあたる。詳しくはリンク先参照。


余談編集

  • 良く誤解される事だが、ユニウス条約には核動力・核エネルギーの軍事利用を禁じる条文は無い。条約違反に該当するのは『兵器へのNJC搭載』である。
    • このためかMSにNJC無しで核エンジンを搭載・外付けすること自体が条約違反に当たらず、NJの範囲外の火星圏などで核エンジンを運用することも条約違反に該当しない。
    • その諸々を踏まえると、火星圏のマーズコロニー群からすればNJCは『地球圏での活動を除けば、基本的に無用な物』であると言える(火星全土にNJを埋め込まれたら話は変わるが)。

関連タグ編集

機動戦士ガンダムSEED 機動戦士ガンダムSEED DESTINY 機動戦士ガンダムSEED FREEDOM

機動戦士ガンダムSEED ASTRAY 機動戦士ガンダムSEED MSV 機動戦士ガンダムSEED ECLIPSE


プラント ザフト

ニュートロンジャマー ニュートロンジャマーキャンセラー ニュートロンスタンピーダー

ZGMF-Xシリーズ ハイパーデュートリオンエンジン ナスカ級高速戦闘艦

フェイズシフト装甲


 原子炉 チートアイテム

核融合炉 熱核エンジン ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉

核融合ジェネレーター プラズマ・リアクター


GSX-401FW スターゲイザー︰OVA『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 -STARGAZER-』の主人公機。パイロットのセレーネから「Nジャマーの影響下ではパワーセル(バッテリーのこと)しか使えない」なる台詞があり、核エンジンを搭載している可能性が高い。

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