「貴様に撃たれるならそれもまたとも思ったが…ここで!だがどうやらその器ではないようだ。所詮子は親には勝てぬということかな…?」
諸元
機体名 | ゲイツ(GuAIZ) |
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型式番号 | ZGMF-600 |
全高 | 20.24m |
重量 | 80.20t |
開発 |
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装備 |
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搭乗者 |
概要
C.E.69年に公開された第一期機種のジン、C.E.70年3月15日に公開された第二期機種のシグーに続く、ザフト第三期の主力量産型モビルスーツ(MS)。ザフトのMS分類上は無重力戦闘機(全領域機種)であるZGMFシリーズに分類される。
C.E.71年1月23日の東アジア共和国カオシュン宇宙港陥落からほどなくしてラゴゥやゾノといった機体群と共に発表された。
開発経緯
元はプラントの民間兵器メーカーであるマイウス・ミリタリー・インダストリー社がザフトの次期主力MS選定コンペティションに提出するために開発した機体であり、同コンペティションにてアクタイオン・インダストリー社が提出したゲル・フィニートと採用を争った。そして、ゲル・フィニートが装備の特殊性による汎用性の低さと機体スペックの凡庸さを理由に落選したため、本機が正式採用の座を勝ち取った。その後は、マイウス・ミリタリー・インダストリー社をリーダーカンパニーとし、ハインライン・アジモフ・クラーク等の主要設計局をまとめた統合設計局により開発が進められた。なお、従来のザフト製MS開発は複数の設計局が各々割り当てられた機種ごとに担当していたが、本機の場合は民間を巻き込んだコンペティションを経たためか、(国策企業の面を持つとはいえ)民間企業をリーダーカンパニーとした上で統合設計局が開発を行うという独特なものとなっている。
他の第三期機種と同様に基本設計は比較的早期に完了していた機体だったが、C.E.71年1月25日にクルーゼ隊が地球連合軍から強奪した第1期GAT-Xシリーズ(イージス、デュエル、バスター、ブリッツ)の技術を目の当たりにし、連合の本格的なMS配備を想定する必要性に迫られ、奪取した技術の導入が急遽決定する。その調整に時間を要したことで、実戦投入は遅延し、先行型はC.E.71年7月上旬からラウ・ル・クルーゼや赤服隊員等のエースパイロットや指揮官の搭乗機として優先的に配備されたが、本格的な実戦配備は第1次連合・プラント大戦終盤のボアズ攻防戦(C.E.71年9月23日)前後となった。
また、初期設計段階ではより高性能な機体だったが、量産の観点からオミットされた部分が多い。一方、試験機なため量産を考慮しなくて済んだZGMF-Xシリーズ(リジェネレイトを除く)の基礎設計には本機の初期設計が用いられている。
性能
ザフト製量産機としては初めてビーム兵器を標準装備しているだけでなく、本体性能も高い運動性を持つストライクと取っ組み合いができるほどに優れており、総合的な性能は自軍主力量産機のシグーはおろか連合軍のストライクダガーさえ上回っている。パイロット次第では、武装面の優位があったとはいえ単機にてランチャーストライクを無力化することもできる。しかし、本格的な実戦配備の時期にはMSの「基本性能」よりも一撃で敵機を撃破出来る「火力面」の方が重要視されていたといえ、それ以前に兵力については人的リソースに優れビーム兵器の標準装備を先駆けて成功させた連合の方が明確に上回っていたため、戦局の不利を覆せるほどの成果は出せておらず、第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦では性能に劣るはずのストライクダガーやM1アストレイにあっけなくやられてしまう場面も目立っていた。
おまけに、本編では明かされていないがMSV系のストーリーでは連合軍側はストライクダガーとは異なる高性能なエースパイロット搭乗機を幾つも実戦投入しているため、余計にザフトの方が不利に見えてしまっている。
構成
頭部
モノアイやセンサーアレイなどの意匠はジンのものを引き継いでいる。
一方、センサーアレイが大型化してレーダー性能が向上している他、顎の形状や側頭部の機関砲は第1期GAT-Xシリーズの影響を受けている。
コックピット
腹部に配置されている。
コックピットハッチは分厚い装甲によって覆われており、この装甲が上部へスライドすることによりハッチが現れる構造となっている。そのため、他の量産機と比較してパイロットの生存性が向上している。
背面
姿勢制御用のウイングを搭載している。さらに、ウイングの上部にスラスターノズルが露出した形状となっている。
スラスター
背面中央に2基の噴射ノズルからなるメインスラスター、背面のウイングにも2基の噴射ノズルからなる大型スラスターを左右に1基ずつ搭載している。
また、ショルダーガードの内側、脚部裏、足裏にもサブスラスターを内蔵しており、高い機動性を持つ。特に、足裏のサブスラスターはジンやZGMF-Xシリーズと異なり4基内蔵している。
背面中央に設置された2基の噴射ノズルからなるメインスラスターやサブスラスターの設置個所はZGMF-Xシリーズの一機ZGMF-X10A フリーダムへ強い影響を与えている。
武装
MMI-GAU2 ピクウス76mm近接防御機関砲
頭部に内蔵されている機関砲。マイウス・ミリタリー・インダストリー社。
鹵獲した第1期GAT-Xシリーズの「75mm対空自動バルカン砲塔システム イーゲルシュテルン」を参考にした装備で、ザフトの汎用量産型MSに初めて搭載された固定式火器でもある。開発系譜的に火器運用試験型ゲイツ改からの流用であり、ゲイツ改にて兵装の運用試験を行ったZGMF-Xシリーズ(ジャスティスを除く)にも同型が搭載されている。
MA-M21G ビームライフル
本機の主武装となるビームライフル。ゲイツ改にて運用試験を行った「MA-M20 ルプス・ビームライフル」の量産発展型(スペックダウン型)。マティウス・アーセナリー社。
第1期GAT-Xシリーズから入手した小型ビーム兵器の技術検証のために開発したシグーディープアームズの「JDP8-MSY0270 試製指向性熱エネルギー砲」を技術的基礎としている。それに伴い、量産機用の兵装としては初めて機体側からの電力供給方式を採用しており、ザフト製ビームライフルとしては試験的なものとして位置付けられている。
省エネのために原型からはスペックダウンしているとはいえ、威力はストライク等の第1期GAT-Xシリーズが持つビームライフルと大差なく、通常装甲のMSであれば一撃で破壊できる。
余談
『SEED』終盤にクルーゼが受領した本機を撃墜された後にシグーで出撃した時にこの武装を持っていたこともある。
MA-MV03 二連装ビームクロー
対ビームシールド先端に内蔵された接近戦用武装。マティウス・アーセナリー社。
爪状に湾曲した2本のビーム刃を出力し、装備を持ち替えることなく素早く格闘戦に対応できる。
このコンセプトはドレッドノートやプロヴィデンスの複合兵装防盾にも継承されている。
第1期GAT-Xシリーズを鹵獲する以前は通常シールドとして開発されていたが、ブリッツの「攻盾システム『トリケロス』」を参考にしてMS対策として仕様を一部変更することとなり現在の形に至った。
EEQ7R エクステンショナル・アレスター
両腰部に設置されるビーム砲内蔵型ロケットアンカー。連合軍の量産機が圧倒的な実弾耐性を持つフェイズシフト装甲を採用してくることを想定して追加装備された。
先端にはビーム砲を持ち、粒子を滞留させることでサーベルも展開できる。また、ケーブルの長さは数十メートルに及び、敵機に巻き付けるという用途にも使用できる。なお、ケーブルの巻き取り装置は背面に設置されており、この巻き取り装置の中央にメインスラスターが存在する。
ブリッツの「ピアサーロック『グレイプニール』」から着想を得た装備であり、アンカーを敵機へ射出・捕捉後、ゼロ距離射撃による確実な撃破を目的としている。しかし、現場からは「使い勝手が悪い」としてエースパイロット以外使いこなせず、本機の改修型であるゲイツRでは「MMI-M20SポルクスIV レールガン」に換装された。
バリエーションと関連機体
クルーゼ専用ゲイツ(指揮官用ゲイツ)
C.E.71年7月1日にプラントへ帰国したクルーゼ隊にラウ・ル・クルーゼ専用機として配備される。そのため、クルーゼのパーソナルカラーであるシルバーに塗装されている。また、このカラーが指揮官機として扱われることが多い。あくまで先行配備されたものに過ぎないため性能は一般機と変わらない。
作中での活躍
エターナル追跡の任務を受けたクルーゼ隊が、C.E.71年7月12日にエターナル含む三隻同盟をヴェサリウスはじめザフト艦隊と挟撃するためにイザーク・ジュールが搭乗するデュエルアサルトシュラウドと共に出撃し、三隻同盟が拠点としていたコロニー・メンデル」内部に侵入する。しかし、それを察知したムウ・ラ・フラガと彼が搭乗するランチャーストライク、それを追いかけたディアッカ・エルスマンが搭乗するバスターが迎え撃ってきたため、バスターをデュエルに任せてストライクと交戦する。兵装面での優位もありストライクに対して優勢に立ち回り、それに痺れを切らしたストライクが近接戦に持ち込もうとランチャーストライカーをパージしてアーマーシュナイダーを装備した隙を狙ってエクステンショナル・アレスターを命中させることにより、右腕を切断、左脇腹(コックピット内部も含む)を破損させて戦闘不能(中破)に追い込む。そうして地表に墜落したストライクに止めを刺そうとビームライフルを向けたところに駆けつけたキラ・ヤマトのフリーダムによる死角からの不意打ちを受けビームライフルを撃ち落とされた挙句、追撃の射撃で頭部を破壊され、止めを言わんばかりにすれ違いざまにビームサーベルで両脚も切り落とされて機体バランスを制御できなくなり地表に墜落した。なお、その残骸はパイロットのクルーゼ共々デュエルによって回収され、クルーゼは無事ヴェサリウスに帰投することができた。
上述の通り最終的には大破したものの、前期主人公機であるストライクを戦闘不能に追い込む大金星を挙げている。
ZGMF-Xシリーズ
ニュートロンジャマーキャンセラー(NJC)搭載型核エンジンを搭載したザフトの試作モビルスーツ群。全てが本機と同時期に開発されている。
本機の基本設計が優秀だったことから初期設計時点のものを開発母体としている。特に、核エンジンの運用テスト機だったドレットノートについては開発時間を短縮するために頭部以外はほぼ本機(初期設計ではない)のパーツが流用されている(NJCを内蔵した頭部が奪われた際は本機の頭部を代用品として使ったこともある)。
YFX-600R 火器運用試験型ゲイツ改
ジャスティス、フリーダムに搭載予定だった火器の運用試験を目的として建造された実験機。そのため型式番号に「ZGMF」を冠していない。
その名前とは対照的にC.E.71年2月中旬頃にはロールアウトされていた。
ZGMF-601R ゲイツR
機動戦士ガンダムSEEDDESTINYに登場する本機の改修型。機体名の「R」は「Reinforce(強化する)」の頭文字となる。
C.E.72年3月10日のユニウス条約締結後に開発され、C.E.73年中頃にザクウォーリアをはじめとするニューミレニアムシリーズが量産・配備されるまでの間、主力量産機として運用された。
関連動画
余談
公募デザイン
- このMSは一般公募「機動戦士ガンダムSEEDメカコンテスト」で寄せられたもので、オリジナルの名前は「アラウクネ」であった。
- アラウクネはTVアニメーション賞を受賞し(投稿者はTVで女優・上戸彩氏に表彰された)デザインをリライトされてゲイツとして登場する事となる。
- この時に電撃ホビーマガジン賞をとったデザインがSEED外伝作品に登場する「ゲル・フィニート」となる。
- アラウクネも含め文芸設定上「競合メーカーによってトライアルされた」というメタ的な設定が付加されている。
ガンプラの商標
- 「SEED」シリーズ敵メカの低価格プラモデル「コレクションシリーズ」は、「モビルジン」「モビルシグー」等、「モビル○○」という商品名がついている(前作∀ガンダムのプラモデルはターンエー以外の名前の最初に「モビル」と付けられていた。)が、何故かこのゲイツだけは「モビルスーツゲイツ」の商品名になっている。
- これに対してサンライズでSEEDシリーズの設定を担当していた下村敬治氏は、書籍『機動戦士ガンダムSEED RGB』のコラムにおいて「窓屋をされている方とバッティングするのはまずい」為「モビルゲイツ」と言う表記を避けた事を説明している。
作中での扱い
調整が遅れた原因
- 本機は発表から半年近く再調整に時間を要しているが、この時の統合設計局は本機以外にもZGMF-Xシリーズ(インフィニットジャスティスとストライクフリーダムの原型機を含む)とゲイツ改を並行して開発している。
「関俊彦 in ゲイツ」はガンダムだけでなく仮面ライダーにも存在する
- ゲイツの代表的パイロットラウ・ル・クルーゼの声優は関俊彦である。
- そのSEEDアニメから16年後、仮面ライダーシリーズにおいても同じく関俊彦演じる某キャラクターがこの機体と同名の資格者に憑依する形で、同名の仮面ライダーも演じると言う偶然が発生した。→Mゲイツ
- さらにその戦闘で突如割り込んできたモールイマジンの声優は元クルーゼ隊でコロニー・メンデルにも居合わせていたディアッカと同じ笹沼晃だったりする。
- ちなみにゲイツは四肢完全可動のガンプラ(要するにHG以上のブランド)は未だに発売されておらず、可動式プラモデルとしては同名の仮面ライダー(figurise-standard)の方に先を越されてしまっている。