MS(大西洋連邦製)
コズミック・イラ(ガンダムSEEDシリーズ、略称はC.E.)において最初にガンダムに当たる『G兵器』を開発したのは地球連合軍である。
地球連合軍では宇宙戦闘機・スペースポッドの延長戦に位置する機動兵器「メビウス」が主力を務めていたが、ザフトが人型機動兵器であるMS「ジン」を導入するとこれを1:3~1:5、場合によってはそれ以上のキルレシオで圧倒。単機における戦力ではMS開発が急務である実態が露呈する。
この連合軍MS開発計画「G計画」の先導を採ったのがデュエイン・ハルバートン准将である。
ハルバートンは連合軍上層部に同計画を打診するものの、癒着する軍需産業複合体との繋がりからこれは棄却される。
上層部は人的損害を容認して大量生産されたMAによる物量戦を固辞していたのだ。
これに業を煮やしたハルバートンは私的なコネクション、ロビイストを回り、中立の諸外国を通してG計画の進捗を図る。
同時期、オーブ連合首長国国内でのMS制式化に焦りを感じていた五大氏族の一家・サハク家はこの流れを察知し接近。
両者の利害は一致し、オーブのコロニーであるヘリオポリスにおいてG計画は本格始動する。
G計画で開発された機体はGATシリーズと呼ばれ、GATはGressorial Armament Tacticalの略である。
GAT-Xシリーズ
大西洋連邦で開発された試作MS群の呼称であり、開発時期の関係から、第1期GAT-Xシリーズと第2期GAT-Xシリーズで分けられる。
第1期GAT-Xシリーズとは、大西洋連邦のMS開発計画「G計画」で開発された機体、通称『G兵器』とも呼ばれるGAT-X102 デュエル、GAT-X103 バスター、GAT-X207 ブリッツ、GAT-X303 イージス、GAT-X105 ストライクの合計5体からなる機体群。機体を操縦する際のM.O.S.の起動画面に「G.U.N.D.A.M.」が使われている。パイロットの生存に特化しつつ、新技術の実験的な部分も有り、全体的に荒削りな機体として開発されている。
第2期GAT-Xシリーズとは、前述の5体で得られたデータを基に、アズラエル財団傘下の国防連合企業体(デトロイト)の主導で発展機として開発、決戦兵器としてワンオフの機体に仕上げたGAT-X131 カラミティ、GAT-X252 フォビドゥン、GAT-X370 レイダーの合計3体からなる機体群。与えられたコンセプトに特化するように設計されており、その影響で機体を操縦する際の専用OSは処理が複雑化し、地球連合軍では生体CPUにしか扱えなくなっている。
ユニウス条約締結後には、ファントムペイン主導のMS開発計画「アクタイオン・プロジェクト」が始動。
パイロットに合わせたカスタマイズを施して、特化を意図したワンオフ機が完成している。
また東アジア共和国のフジヤマ社がMS産業の売り込んだ、コンセプトモデルとして自社開発したMSも完成している。
該当機種
X100フレーム
GAT-X102 デュエル
GAT-X1022 ブルデュエル
GAT-X103 バスター
GAT-X103AP ヴェルデバスター
GAT-X105 ストライク
GAT-X105E ストライクE
GAT-FJ108 ライゴウ ※1
GAT-X131 カラミティ
GAT-X131B ブラウカラミティ ※2
GAT-X133-1 ソードカラミティ初号機
GAT-X133-2 ソードカラミティ2号機
GAT-X133-3 ソードカラミティ3号機
GAT-X130 エールカラミティ
X200フレーム
GAT-X207 ブリッツ
GAT-X207SR ネロブリッツ
GAT-X252 フォビドゥン
GAT-X252R ロートフォビドゥン ※2
GAT-X255 フォビドゥンブルー
X300フレーム
GAT-X303 イージス
GAT-X303AA ロッソイージス
GAT-X370 レイダー(先行仕様)
GAT-X370G ゲルプレイダー ※2
GAT-XX370 ブーストレイダー ※3
※1 厳密には東アジア共和国製。ユーラシア連邦とは違い、GATシリーズとして名を連ねている。
※2 開発プロジェクトの延長線としてアクタイオン・インダストリー社で開発されているが、厳密には地球連合軍で運用された事は無い。
※3 機体の運用はテロ組織「アンティ・ファクティス」が行っている。しかし、専任パイロットはブルーコスモスの工作員であり、機体の出自も大西洋連邦である。
GATシリーズ
第1期GAT-Xシリーズの完成を皮切りに、普及品として開発された制式採用型のMS群。
第1期GAT-Xシリーズで検討されていた部隊運用や、後続機での有用性を検証するトライアルは、ヘリオポリスにおける強奪事件によって早々に頓挫した経緯から、開発ベースはストライクに絞られた。
これを元に設計されたフルスペックの主力量産機がダガー(105ダガー)であったが、戦局の推移に伴い性能をダウングレードしてでも戦力の普及が求められた為、簡易型としてストライクダガーが開発される。
ダガーの他にレイダーやフォビドゥンのバリエーションも含まれる。
該当機種(GATシリーズ)
100系フレーム
GAT-01 ストライクダガー
GAT-01D ロングダガー
GAT-01D1 デュエルダガー
GAT-01A2R 105スローターダガー(スローターダガー)
GAT-A01/E2 バスターダガー
GAT-S02R NダガーN
GAT-02L2 ダガーL
GAT-04 ウィンダム
300系フレーム
GAT-333 レイダー(制式仕様)
GAT-X399/Q ワイルドダガー ※1
700系フレーム
GAT-706S ディープフォビドゥン
GAT-707E フォビドゥンヴォーテクス
※1 この中でワイルドダガーのみは鹵獲したガイアの可変機構を模倣した技術検証機であり、本来はGAT-Xシリーズである。
しかしながら、生産パーツの多くはダガー系列のものに置き換えられている他、技術検証機でありながら多数が配備され相応の機数を持つ。
鹵獲機
厳密には連合の機体では無く、他勢力から奪取した機体。
試作機であるテスタメントやセカンドステージシリーズの一部機体は、RGXナンバーを冠される。
該当機種(鹵獲機)
ZGMF-1017 ジン (鹵獲機)
RGX-00 テスタメント
RGX-01 カオス
RGX-02 アビス
RGX-03 ガイア
RGX-04 プロトセイバー
MS(ユーラシア連邦製)
X計画
GATシリーズの開発は全て大西洋連邦によって行われていた為、これに危機感を覚えたユーラシア連邦が、戦後の主導権を巡った戦争を想定して開発したMS開発計画およびその機体群。
開発参画企業はユーラシア連邦内の軍需企業アクタイオン・インダストリー社で、MS開発ノウハウはザフト系の技術を元に同社から齎された。
それ故にOSや世界規格の兵装ハードポイント等の部分には第1期GAT-Xシリーズと同規格も見られるが、技術的な繋がりは希薄である。
地球連合内において大西洋連邦が核カードを握り、開発を担当していたアクタイオン・インダストリー社の計画継続を退ける形でユーラシア連邦がこの計画を撤廃、ダガーシリーズの輸入を決定すると機体そのものも凍結されていく。
一方でアクタイオン・インダストリー社の一部では性能を惜しんで地球連合の陸軍に打診、少数の量産試作機のテストが承認される……だけのはずだったが、第2次連合・プラント大戦後はアクタイオン・インダストリー社において本格的な量産化が行われ、地球連合軍・ユーラシア連邦宇宙軍の戦力として登場する。大西洋連邦が弱体化したタイミングで投入されているので、水面下では計画を継続していた事がうかがえる。
X計画で開発されたハイペリオンに当てられたCATはComposition Armament Tacticalの略である。
該当機種(X計画)
CAT1-X1/3~3/3 ハイペリオン
CAT1-XG1/12~12/12 ハイペリオンG
その他、ハイペリオンGのマイナーチェンジ機も複数存在。
MA
初期型MA
地球連合の前身と成る理事国軍では宇宙作業に従事するスペースポッドが普及しており、これに戦闘装備を換装可能なモディファイを施した機体がミストラルである。
ミストラルでMAの萌芽が見られた後、ザフトとの戦争期運が高まるにつれ、地球連合では前時代的なスペースポッドを捨て、より戦闘色の強い宇宙用戦闘機型のMA開発が始まる。この流れで完成したのがメビウスゼロ、メビウスである。
この2機種の内、ゼロは主力兵装であるガンバレルに特殊な才能が必要で有った為に生産は早々に打ち切られ、装備換装型のメビウスが主力機に選定される。
スラスターをベースとした古典的な空間戦闘機であり、人型ならではの姿勢制御システムを採用したMSに圧倒される。この流れからMAそのものが連合軍内において前時代的な遺物と成り、主力兵器としての地位をMSに取って代わられる。以後は蓄積したビーム兵器のノウハウや、最新式無線端末を導入したMAも作られはしたが、その数は少数に留まった。
該当機種(初期型MA)
MAW-01 ミストラル
TS-MA2mod.00 メビウスゼロ
TS-MA2 メビウス
TS-MA4F エグザス
TSX-MA717/ZD ペルグランデ
大型MA
前述の通り地球連合軍ではMSが主力の座を務め、一定の成果を得た。しかし、特有の半自動制御に対する戦闘ドクトリンをザフト側が構築し、コーディネイターとの身体差によるナチュラルパイロットの能力面での不利もあり、1対1での戦力比の穴埋めが課題として残された。
この流れを受け、地球連合で新たな主力機構想として立ち上げられたのが、MSの技術を取り入れた大型MAである。機体サイズを肥大化させて高出力ビームや、陽電子リフレクター等の要塞クラスの装備積載を可能とし、パイロット能力の差はガンナーやドライバー、オペレーターに分割した複数人の操縦で埋めてこれをカバー。高性能な大型MAを主力に、普及生産されたMSを僚機とするハイローミックス構想で、ザフトの次世代高性能MSへの対処を図った。
この特色が最も色濃いのが空海両用機動兵器であるザムザザーと、拠点防衛型であるゲルズゲーである。これらの延長戦上としてMS形態への可変機構を盛り込んだ機体がデストロイであるが、これは単独のパイロットに合わせた徹底的な高性能化が為された少数生産機であり、コンセプトは寧ろCE73年からの戦争期に見られた、意図的なカスタムメイド機のものに近似する。
逆にザムザザーやゲルズゲー等の機体の持つ特化性能さえスポイルし、リフレクターとビーム等の砲撃能力に特化した機動戦闘機がユークリッドである。量産化に対応する構成であるが、そのコンセプトはメビウスに先祖返りしているが、火力・機動力・防御力は大きく向上し、大気圏内での運用も可能。更に50mを超える巨大ながら生産性にも優れている。
大型MA開発にはユニウス条約のリンデマン・プランの影響もあると思われる。このプランは各国に軍事制限を課しており、軍艦やMSやMAの保有数制限が定められている。しかし、この制限は国力比から算出されるため、国力と経済規模が巨大な地球連合に有利な内容であり、締結時にはプラント最高評議会でも問題視され、カナーバ臨時評議会の総辞職に繋がった程だった。
ザフト軍は高性能MSの開発と配備、コーディネイターとしての能力で戦力差を埋めようとしたが、地球連合軍では新型汎用MSを大量配備しつつ旧世代の機動兵器としか思われていなかったMAの性能を大型化や高性能化する事で戦力全体の向上を目指したと思われる。もし、リンデマン・プランでMSとMAが別枠でカウントされている場合、有力な機動兵器数を稼ぐためにMAの高性能化は合理的な判断であったと思われる。
尚、開発は何れの機体もユーラシア連邦に本社を置くアドゥカーフ・メカノインダストリー社が担当している。
該当機種(大型MA)
YMAF-X6BD ザムザザー
YMAG-X7F / YMFG-X7D ゲルズゲー
GFAS-X1 デストロイ
TS-MB1B ユークリッド
戦闘機
地球連合軍において、MSの登場以前に制空戦闘機として機能していた。
スピアヘッドを原機としてスカイグラスパーも開発されるが、これも主力に返り咲く事態はなく、専らストライカーシステム搭載型MSの支援機に留まる。
この内コスモグラスパーはスカイグラスパー同様の活躍に加えて、メビウスの後継機としての運用も視野に入れられていたもので、分類上はMAに属する。
F-7D スピアヘッド
FX-550 スカイグラスパー
FXet-565 コスモグラスパー