イザーク・ジュール「だからこそ…こんなことはもうやめねばならんのだ……!」
機体データ
型式番号 | ZGMF-1027M |
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所属 | ザフト |
全高 | 17.5m |
重量 | 71.08t |
装甲材質 | ヴァリアブルフェイズシフト装甲 |
動力源 | 核エンジン(MHD発電) |
パイロット | イザーク・ジュール |
概要
第一次連合・プラント大戦後、行方不明だったGAT-X102 デュエルに大改修を施した機体。改修はライトニングバスターと同時期に行われており、事実上の兄弟機とされている。
廃棄予定だった原型機をアイリーン・カナーバやエザリア・ジュールを中心とした一派が極秘に改修。改修作業の方は、クライン派が非常時に備えて整備していた宇宙要塞ボアズにて、ユーリ・アマルフィ主導の元で行われた。予備兵力というよりは試験目的の改修機であり、モルゲンレーテ社で改修されたストライクフリーダム弐式などと同様、実戦での使用は想定されておらず、そのまま埃をかぶって忘れ去られることを期待されていた(実際に型式番号にも実戦運用想定の試作機を示す「Y」も「X」も含まれておらず、防御兵装も搭載していない)。
ハイパーデュートリオンエンジンを搭載していない、コクピットはニューミレニアムシリーズであることを含め、用いられている技術は最新のものでもセカンドステージシリーズまでとなり、その点においてはファクトリー製ZGMF-Xシリーズに通ずるものがある(とはいえあちらはハイパーデュートリオンエンジンを搭載している上素体はZGMF-Xシリーズ系列のため、技術レベルはこちらの方が低い)。それでも、高いポテンシャルを持つ初期GAT-Xシリーズをベースに大改修したことによって、少なくともザクウォーリア等C.E.73年製の主力量産機を上回る性能は獲得している。
機体構成
動力
バッテリーから核動力に交換されており、無限に近い稼働時間と高出力を実現した。核動力を搭載したことからミーティアとのドッキングも可能になっており、ターミナルと連携を取った際にはエターナルから借り受けて07号機を使用した。
コクピット
ザクウォーリア等のニューミレニアムシリーズのものが流用されている。
外観
デュエル&増加装甲(アサルトシュラウド)と言う組み合わせ特性の影響か、増加装甲で防御されていない部分、つまりデュエル本体には外観の変更が無い。ただし、本体のフェイズシフト装甲は発展型のヴァリアブルフェイズシフト装甲に更新されている他、上記のように内装については魔改造レベルの大改修が行われており、ほぼ新造と言ってよい。
本機のアサルトシュラウド(AS)は大戦期のASの武装構成をその名の通りにしているが、丸みがあったデザインから鋭角的なデザインに変更され、一部形状や武装構成に関しては、今は亡きイザークの仲間であるニコル・アマルフィが搭乗していたGAT-X207 ブリッツを彷彿とさせるものに変更している。
背部へ伸びるスラスターなどもブリッツの設計を参考にしているが、ファントムペインで運用されたGAT-X1022 ブルデュエルのフォルテストラにも似た形状になっている。
武装
75mm対空自動バルカン砲塔システム イーゲルシュテルン
原型機から引き継がれた近接防御機関砲(CIWS)。劇中未使用。
詳細は75mm対空自動バルカン砲塔システム「イーゲルシュテルン」を参照。
175mmグレネードランチャー装備57mm高エネルギービームライフル
原型機から引き継がれたビームライフル(設定画やバトルスピリッツのイラスト等参照)。
ミーティアパージ時に射出されているが、使用しない判断をしたのかキャッチしなかったため劇中未使用。
本機で唯一の携行式の射撃武器であり、他の武装は後述のアサルトシュラウド搭載のものばかりなため、実は重要な兵装である。
ビームサーベル
バックパックの上部両端にマウントされた斬撃用ビーム兵器。
アサルトシュラウドの背部パーツと干渉するため普段は外されている。
アサルトシュラウド
追加装甲。C.E.71年時代で使用されたアサルトシュラウド(AS)の改良版であり、鋭角的かつ両腕部の装甲などにブリッツから受け継いだ各種武装が採用された。スラスターの形状もブリッツを参考にしているが、ブルデュエルのフォルテストラにも酷似している。
右肩アーマー内部には高エネルギービーム砲が内蔵されており、左肩アーマー内部に「自律誘導中距離空対空ミサイル トーレンス」と、「ビームサーベル マグナセクティオ」1基が搭載されている。
C.E.71年実装時は40t以上あった旧型ASは凄まじい技術の発達からか、約9tと1/4以下にまで軽量化された。これにより100tを超す重量だった本体はフリーダムと同程度になった。
XM53S ピアサーロック グレイプニールII
左腕装甲に搭載された有線式ロケットアンカー。
スラスター付きである為、ある程度自在に動かせる。先端が展開してクローに変形するため柔軟に運用できる。
XM61 超高速運動体貫徹弾 ランサーダートII
右腕装甲に搭載された貫通力が高い杭状のロケット推進弾。
装甲を貫徹し、内部で炸裂してダメージを与える。なお、ブリッツのランサーダートはトリケロス搭載の3連装だったが、こちらは追加装甲の2連装に変更されている。
MA-M1600/D2 高エネルギービーム砲
右肩部アーマーに搭載されたビーム砲。使用時に砲塔が展開される。マティウス・アーセナリー社製。
各媒体ではビーム兵器と明記されているが、形状は旧型ASに装備されていた115mmレールガン「シヴァ」に酷似しており、劇中では黄色い稲妻を帯びた弾が飛ぶレールガン的エフェクトとなっている。
ビーム砲は着脱可能でグリップを展開させて手に持って使用することもできる。
AIM-627G 自律誘導中距離空対空ミサイル トーレンス
左肩部アーマーに2発搭載されたミサイルランチャー。軽量化の一環か、旧ASと比べて搭載数が減少している。
インフィニットジャスティス弐式のフォランテスに搭載されている「AIM-1913D 自律誘導中距離空対空ミサイル スコルピオ」の近縁種と思われる。
MA-M99E ビームサーベル マグナセクティオ
左肩部アーマーに搭載された近接格闘戦用の斬撃武装。マティウス・アーセナリー社製。
アサルトシュラウドとの干渉によって本体バックパックのものが使用できなくなるためか、左肩部アーマーに追加の1基が格納されている。
劇中の活躍
ファウンデーション王国の蜂起とラクス・クライン拉致に同調し、ザフトのデスティニープラン賛成派を率いてクーデターを起こしたプラント国防委員長のハリ・ジャガンナートを止めるべく、ディアッカ・エルスマンのライトニングバスターと共にミーティア装備で出撃。イザークは「よくもまぁこんな古い機体をとっておいたものだ……」と悪態をつくも、その表情はどこか嬉しそうであった。
キラ・ヤマト達によるラクス救出が成功し、ジャガンナート派の兵士も多く逮捕されたためクーデターは失敗。ミーティアで多数のジャガンナート派を一網打尽にし、投降を呼びかける。それでもジャガンナートが投降に応じなかったため、ミーティアをパージして彼の乗るナスカ級高速戦闘艦に肉薄。ミレニアムに突貫しようとしていたところにランサーダートをブリッジに叩き込んで撃沈させた。
その後はミーティアを再装備し、ファウンデーションの旗艦グルヴェイグに突貫しようとするミレニアムをヒルダ・ハーケンのゲルググメナースと共に援護した。
立体物
2024年7月にHGCEとして立体化。
SEEDアクションシステムを採用した完全新規造形で、ランサーダートIIやグレイプニールIIなどの各種武装もしっかり再現されている。さらにアサルトシュラウドは着脱可能なので、対ビームシールドがない点を除けば素のデュエル状態にもできる。ランナーのパーツ構成やスイッチの存在から、今後TV版のアサルトシュラウド装備もHGCE化されるかもしれない。
同年5月末にはプレミアムバンダイ限定でGフレームFAでもライトニングバスターとのセットでの発売が決まった。機体データはガンプラの説明書ではなく、このGフレームの情報が先という非常に珍しい例である。
余談
- 本機はザフト軍所属なので、核動力となった本機の存在は思いっきりユニウス条約に違反しているが、プラント最高評議会議長であるワルター・ド・ラメントによりクーデター鎮圧の為の超法規的措置として特別に使用許可が下りているとのこと。
- どのような経緯でブリッツの名前と武装を受け継いだかは不明だが、デュエルを強化改修するにあたってブリッツのデータが流用しやすかったのだと思われる。或いは、ザフトで生産されたブリッツの補給物資が余っていた可能性も考えられる。
- デュエルは元々白兵戦機として設計され武装も装甲も少なくプレーンで汎用性の高いMSで、悪く言えば火力も防御力も足りていないため第一次大戦時にはアサルトシュラウドが追加装備されて運用を続けていた。
- そもそもデュエル自体、ブリッツの兄に当たる機体なので弟のデータを逆輸入したとも取れる。
- しかし、ブリッツのメインともなる武装だった攻盾システム「トリケロス」は扱いづらさとデュエルの汎用性が低くなる考慮からかオミットされ、ランサーダートのみが取り入れられた。
- ブリッツの装備の内、特殊装備ミラージュコロイドステルスは採用されていない(これもユニウス条約違反)。
- 小説版及びガンプラの解説によると、ニコルの父であるユーリの主導で改修が行われており、彼の意向から息子の遺志を機体へ込めた可能性もある。息子を失った事からニュートロンジャマーキャンセラー(NJC)の開発に踏み切り、結果的に息子が一番望まないであろう絶滅戦争に深く関わってしまった彼にとって、息子の乗機の意匠と自身が開発したNJCを搭載した本機を息子の親友に託し全面戦争になる前に止めさせる事で『償い』としたのかもしれない。
- デュエルは元々白兵戦機として設計され武装も装甲も少なくプレーンで汎用性の高いMSで、悪く言えば火力も防御力も足りていないため第一次大戦時にはアサルトシュラウドが追加装備されて運用を続けていた。
- これまでの強化機体は「ブル“デュエル”」や「レーゲン“デュエル”」とベース機の名前が後に付けられていたが、本機は「“デュエル”ブリッツ」と前に付けられており、命名法則が異なる。
- イラスト集のRGBで大西洋連邦に返却されたと噂されていたが、現状は不明である(返却関係はソースが無い)。
- GAT-X1022 ブルデュエルの初期設定では『イザークが搭乗していたデュエルをベースとした改良型』とあり、『SEED C.E.73 STARGAZER』の公式サイトにもヴェルデバスターと共に"そのように受け取れる表現"で解説されている。
- 紆余曲折あり、オフィシャルブックの解説にて「ストライクノワールと同様のアクタイオン・プロジェクトにおける再生機」と設定が整理されている。
- あくまで推測の域を出ないが、型式番号の7Mの7はブリッツ、Mはミーティア07の略称である可能性がある。
- ジャガンナートを粛清する際、腰を大きく捻ってランサーダートを放つ動作はブリッツがとっていたモーションと同じである。
- 実質的な兄弟機であるライトニングバスターとその原型機に次ぎ、防御兵装を一切持たない珍しい機体である。
- 福田監督は当初、映画中に本機とライトニングバスターを登場させるとは考えていなかったが、制作担当の池谷浩臣氏が「古い機体の商品(ガンプラ)があると皆さん(ファン)が喜ぶのでは?」との意見を受けて登場させる決断をした旨を語っている。