ディアッカ・エルスマン「忘れてねえよ……」
機体データ
型式番号 | ZGMF-103HD |
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所属 | ザフト |
全高 | 18.86m |
重量 | 99.77t |
装甲材質 | ヴァリアブルフェイズシフト装甲 |
動力源 | 核エンジン(MHD発電) |
パイロット | ディアッカ・エルスマン |
概要
第一次連合・プラント大戦後、廃棄予定ながら行方不明だったGAT-X103 バスターに大改修を施した機体。改修はデュエルブリッツと同時期に行われており、事実上の兄弟機とされている。
廃棄予定だった原型機を旧クライン派のアイリーン・カナーバらが極秘裏に入手し(これにより行方不明に)、同派閥が非常時に備えて整備していた宇宙要塞ボアズにて、ユーリ・アマルフィ主導の元による改修作業が行われた。この際に型式番号もザフトの「ZGMF」に改められている。予備兵力というよりは試験目的の改修機であり、モルゲンレーテ社で改修されたストライクフリーダム弐式などと同様、実戦での使用は想定されておらず、そのまま埃をかぶって忘れ去られることを期待していた(実際に型式番号にも実戦運用想定の試作機を示す「Y」も「X」も含まれておらず、防御兵装も搭載していない)。
コクピットがニューミレニアムシリーズ止まりであることを含め、用いられている技術は良くてセカンドステージシリーズまでとなる。それでも、高いポテンシャルを持つ初期GAT-Xシリーズをベースに大改修したことによって、少なくともザクウォーリア等C.E.73年製の主力量産機を上回る性能は獲得している。
機体構成
動力
バッテリーから核動力に交換されており、無限に近い稼働時間と高出力を実現した。核動力を搭載したことからミーティアとのドッキングも可能になっており、ターミナルと連携を取った際にはエターナルから借り受けて08号機を使用した。
コクピット
ザクウォーリア等のニューミレニアムシリーズのものが流用されている。
バックパック
原型機とは大きく異なり、腰部の代わりに大型サブアームによって大型携行砲と接続している。これに伴い、腰部の接続アーム類はその可動域を活かす形にて「MA-X60S/D 複列砲身多目的砲」に換装された。
また、中央部にはミサイルポッド「77式多目的誘導弾発射筒」が追加された。
本機と原型機の外見的差異はこのバックパックによる各装備の再配置によるものであり、それ以外は原型機と全く同じである。
武装
原型機と同様に砲撃戦用の装備が充実しているが、近接戦用の装備を一切持たない点も原型機から受け継いでいる。
- MMI-KX815 高エネルギービームガン
腰部脇に設置されているグリップ付きの小型ビーム砲。マティウス・アーセナリー社製。
元々ガンランチャーと収束火線ライフルが設置されていた部分に新造されたものであり、未使用時の砲身は胴体裏で折れ曲がっている。
- MA-X60S/D 複列砲身多目的砲
バックパックに装備された折りたたみ式の大型ビーム砲。マイウス・ミリタリー・インダストリー社製。
二つに折り畳んだ状態でさえ機体全高より一回り小さい程度の長さがあり、伸ばし切ると全高を優に超える長さとなる。そのため、デスティニーの『M2000GX 高エネルギー長射程ビーム砲』に似たコンパクト化およびマウント方式を取っているが、デスティニーの物と異なり砲身の折れ曲がった状態でも使用可能であり、砲身を伸ばし切った状態の両形態で使い分ける事ができる(原理としてはケルディムガンダムのGNスナイパーライフルⅡに似ている)。ただし、砲身の方向の関係上折れ曲がった形態は両腰、伸ばし切った形態は両肩で抱えた状態でないと使用出来ず、この点はブラストインパルスのケルベロスとミサイルランチャーの関係に近い。また、保持の仕様を変更したことによりミーティア装備中も展開できるようにしている。その代わりに連結合体機構は廃止されている(砲身を伸ばし切った形態を連結形態と言えなくもない)。
左右1門ずつ装備しているが1門だけでも、元々バスターが持っていたガンランチャーと収束火線ライフルの役割を果たしており、より素早く両腰・両肩に展開、砲撃が可能になっている。
その長さと太さに相応した重量があるのか、本機の重量はヴェルデバスターと並ぶほどに重く、原型機から15t以上増加している(参考として、ランチャーストライカーが18.90t)。
- 77式多目的誘導弾発射筒
バックパック中央に計2基装備されている6連装ミサイル発射管。
元々両肩アーマーに内蔵していたものをバックバックに移設したものとなり、肩アーマー側はセンサーユニットらしきものに換装されている。
バックパック(背面)に装備されていることから発射管が正面を向かないが、ミサイル自体が高度な誘導機能を有しているため射角を気にせず使用できる。
活躍
ファウンデーション王国の蜂起とラクス・クライン拉致に同調し、ザフトのデスティニープラン賛成派を率いてクーデターを起こしたプラント国防委員長のハリ・ジャガンナートを止めるべく、イザーク・ジュールのデュエルブリッツと共にミーティア装備で出撃し、ミーティア側のスラスターを吹かしてクーデター軍のいる月面へ急行する。
イザークが半ば冗談交じりに「よくもまぁこんな古い機体をとっておいたものだ…」とボヤいた際、ディアッカは「俺は気に入ってるけどな?ザクのコントロール系は使いやすい」と笑って返している。
クーデター軍のミサイル攻撃をミーティアと自身の兵装を放って迎撃しながら何度も攻撃停止を呼び掛けるがジャガンナートには全く聞き入れてもらえず、そこへファウンデーション軍も合流したことから痺れを切らしてミーティアを分離、砲門を一斉展開して彼の乗艦の攻撃能力と動力をまとめて吹き飛ばした。戦艦をも一瞬で無力化する大火力は健在である。
イザークによってジャガンナートが倒された後はレクイエムの破壊へ向かうシン・アスカ達に合流し、ルナマリア・ホークのインパルスSpecⅡに自身のミーティアを託し、破壊を見届けた。
立体物
2024年9月にHGCEが発売。
デュエルブリッツと同様に完全新規造形で、SEEDアクションシステムによって劇中のギミックやアクションがほぼ再現可能となっている。やはりランナーには複数のスイッチが存在し、今後バスター系列機のバリエーション展開も期待できるものになっている。
同年5月末にはプレミアムバンダイ限定でGフレームFAでもデュエルブリッツとのセットでの発売が決まった。機体データはガンプラの説明書ではなく、このGフレームの情報が先という非常に珍しい例である。
余談
- 兄弟機のデュエルブリッツはイザークとディアッカの亡き友の愛機の名である「ブリッツ」を受け継いでいるが、ライトニングバスターもそれに肖っている可能性がある。
- それはブリッツはドイツ語で「電撃、稲光」という意味だが、ライトニングも英語で「稲妻、雷光」を意味する言葉であり、どちらも雷に関連した言葉である。
- 型式番号の「HD」だが、ハイパーデュートリオンエンジンの略である可能性もある。ハイパーデュートリオンはC.E.73時点ではザフト最新型の核動力であるため、搭載されていても不思議ではない。ただし、デュエルブリッツには含まれない文言であるため一概には言えない。
- イラスト集のRGBで大西洋連邦に返却されたと噂されていたが、現状は不明である(返却関係はソースが無い)。
- GAT-X103AP ヴェルデバスターの初期設定では『ディアッカが搭乗していたバスターをベースとした改良型』とあり、『C.E.73 STARGAZER』の公式サイトにもブルデュエル共々"そのように受け取れる表現"で解説されている。
- 紆余曲折あり、オフィシャルブックの解説にて「ストライクノワールと同様のアクタイオン・プロジェクトにおける再生機」と設定が整理されている。
- 福田監督は当初、映画中に本機とデュエルブリッツを登場させるとは考えていなかった(核エンジンさえあれば武装盛りだくさんのミーティアが使用できるためガワを変える必要はないという判断)が、制作担当の池谷浩臣氏が「古い機体の商品(ガンプラ)があると皆さん(ファン)が喜ぶのでは?」との意見を受けて登場させる決断をした旨を語っている。
- ニューミレニアムシリーズのコントロール系を採用していることから、ガンダム顔ながらGUNDAM呼びのM.O.Sを採用していない可能性がある。