機体データ
型式番号 | MVF-X08R2 |
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開発 | モルゲンレーテ・エアロテック社 |
所属 | オーブ国際救助隊「ODR」→アンティ・ファクティス |
全高 | 23.1m |
頭頂高 | 23.1m |
本体重量 | 62.0t |
全備重量 | 70.8t |
装甲材質 | フェイズシフト装甲 |
動力源 | 核エンジン |
パイロット | ケン・ノーランド・スセ |
概要
オーブ連合首長国のモルゲンレーテ・エアロテック社が極秘裏に開発したワンオフ仕様のモビルスーツ(MS)「MVF-X08 エクリプス」の2号機。所属はオーブ国際救助隊「ODR」、パイロットはケン・ノーランド・スセ。通称は「2号機」。
ニュートロンジャマーキャンセラー搭載型核エンジンを搭載しており、オーブ連合首長国にとっての真の太陽を蝕む者である。
開発経緯
はじめから生産性が考慮されていないエクリプスは2機分のパーツのみ製造されており、1号機を組み立てた後に、核動力の実験機かつ政治的パフォーマンスとして残ったパーツをニュートロンジャマーキャンセラー搭載型核エンジンを組み込んだ上で組み上げたものが本機となる。また、このニュートロンジャマーキャンセラーは修復中のフリーダムを除いてオーブが唯一保有している物だった。
あくまでパフォーマンスなため組み上げた段階で役目を終えており、M.O.Sすらインストールされずに1号機のパーツ取り用としてODRの母艦ではなくオーブ本土の方に保管されていた。
型式番号
最初の「MVF」は「主要可変戦闘機(Main Variable Figure)」、「X08」は「試作8号機 (eXperiment 08)」、「R」は「原子炉(Reactor)」、「2」は「2号機」を意味する。
まとめると「主要可変戦闘機 試作8号機 原子炉搭載型2号機」という意味になる。
ちなみに、ザフトは核動力MSに「R」ではなく「A(核動力:Atomic)」を付けている。
機体構造
基本的には1号機と同じなため、相違点のみを記載。
機体色
夜間迷彩を兼ねた黒色を採用しており「爆撃機」としての機能を強めている、また、白と青を基調とする1号機とは対のカラーリングとなっている。
ヴァリアブルフェイズシフト装甲ではないため、仮に1号機が本機の装甲パーツを使って修理を行った場合、修理箇所が黒くなると思われる。
頭部
頭頂部にはGAT-X303 イージスの多目的センサーユニットを改良したものが採用されており、高い索敵能力を有する。その代わりに補助翼がオミットされており、全高と頭頂高が同じになっている。また、V字アンテナもオミットされており、代わりにバイザー状のパーツが額に追加されている。
頬部分にCIWSの銃口と思われる物が左右で2門ずつ追加されているが詳細は不明である(仮にCIWSである場合、開発時期的に「M2M5 トーデスシュレッケン12.5mm自動近接防御火器」と思われる)。
動力
腹部にニュートロンジャマーキャンセラー搭載型核エンジンを備えている。これにより、パワー(出力)においてバッテリー駆動の1号機を大きく上回っている(1号機がマニューバストライカーを装備して漸く機動性なら互角なほどの差)だけでなく、フェイズシフト装甲、ミラージュコロイドステルス、各種ビーム兵器などのエネルギー消耗の激しい装備をエネルギー切れを気にすることなく運用可能となっている。
変形
頭部の変形手順が変更されており、首の部分から180度回転するところまでは同じだが、本機は頭部の側面も180度回転することでツインアイが露出する構造となっている。
武装
初期装備こそ代替パーツとして1号機と同じだが、専用装備が予定されており実際の武装構成はビームシールド以外が別物となっている。特に1号機には存在しなかった実体剣が追加されており、対ビーム装甲に対する攻撃手段を得た。
R2-W1 ビームライフル
専用のビームライフル。
フリーダムの設計データを基にして開発された核エンジン搭載機用のビームライフルであり、上下に追加されたパーツを除けば形状は同機が搭載している「MA-M20 ルプス・ビームライフル」に酷似している。
核動力機でなければ運用できないほどの劣悪燃費なため1号機ではなく本機が装備する予定だったが、本機の運用中止に伴って開発が中断され、R2-W2(後述)と共に名称は与えられず、データベースに開発ナンバーと設計データのみ残されることとなった。後に、ケンがデータベースにアクセスして入手したデータを渡されたアンティ・ファクティスが製造し、奪取した本機に搭載されていたジンライ(後述)から換装した。
ジンライと異なりMA形態時に銃口が前方を向くため攻撃オプションとして使用できる。
R2-W2 実体剣
長身のジャマダハルのような形状をした実体剣。エクリプスが持つ唯一の非ビーム兵器であり、ソードストライクのデータを基に開発された。
長い刀身を持ち、その先端部分には試験的にジンの「MA-M3 重斬刀」の刀身がそのまま組み込まれている。また、小型シールド(後述)とクランク状のジョイントにより接続しており攻防一体となっている。
R2-W1と共に開発が中断された装備であり、同様の経緯によりアンティ・ファクティスにて製造、ジンライから換装された。
専用シールド
矢じり状の小型シールド。
R2-W1とR2-W2の付属品であり、R2-W1とは360度回転するジョイント、R2-W2とはクランク状のジョイントを介してそれぞれの後部と接続している。そのため、本装備のみ開発ナンバーが存在しない。一応グリップは付いているため、本装備のみを携行することもできる。
未使用時は両腰部にマウントされ、サイドアーマーを兼ねる(つまり本装備を介してR2-W1とR2-W2は両腰部にマウントされる)。この時、コンパクト化するためにジョイントを軸に180度回転させる。また、MA形態時にはジンライの代わりに機体側部の補助翼(安定翼)を担っている。そのためか、換装前に機体そのものの調整が必要となった。
PS-02 ビームシールド
両肘裏のハードポイントに装着された、前腕を覆うほど大型なガントレット状の防御兵装。光波シールド(アルミューレ・リュミエール)の一種。機能的には1号機の物と同等だが、カラーリングが異なりビームの色も黄色になっている。
ガントレット前方にある黄色い発生器をポップアップさせて、発生器を先端とする楔状のビームシールドを展開する。エネルギー消費の激しい装備だが核エンジンによる半永久的なエネルギーによって際限なく使用でき、動力の出力の高さも相まってブーストレイダーの最大火力のビーム(本体が融解するほどの熱量)さえ完全に防ぎきる。
さらに、アームソードとして発生器から前方へビームを伸ばすこともできる。リーチは他の白兵武装に劣るが切れ味はビームサーベル相当であり、持ち替えを必要としない取り回しの良さを誇る。武装の換装によりビームサーベルがオミットされた上に相手がフェイズシフト装甲の類ばかりだったこともあり、白兵武装として多用された。
オプション装備
72E4式ビームライフル「ジンライ」
専用のビームライフル。1号機と共通であり、カラーリングのみ異なる。
流線的な形状は既存のビームライフルとは大きく異なり、「長銃身のビーム砲」といった印象を受ける。上面と下面には小型の補助翼が折り畳まれており、MA形態には安定翼としての役割も果たすが、銃口が後方を向くため火器としては使用できない。MS形態の携行火器として使用する際にはグリップを引き出す。また、銃口も従来のビームライフルような円形ではなく細長い楕円形をしており、発射されるビームはジンの前腕を溶断するほどの幅がある。
本装備も1号機の予備パーツ扱いだったのか、初期装備として両腰部に1丁ずつマウントしていたが、アンティ・ファクティスに奪取された後にR2-W1とR2-W2へ換装された。
72式ビームサーベル
ジンライのグリップおよびストックの一部を兼任している専用のビームサーベル。その構造上、腰に懸架している鞘(ライフル)から抜刀するように使用する。
従来の筒状ビームサーベルより大型となっており刃の向きが存在する。また、ビームの色はビームシールドと同じ黄色となっている(他に黄色なのはイージスとストライクダガー程度)。
アンティ・ファクティスによりジンライがR2-W1とR2-W2へ換装されたため、実質オミットされた。元々、ビーム白兵武装としてビームシールドと役割が被っていたため、オミットされても支障は無かった。
その他
抜塞剣「リヒトシュヴェーアト」
ジングラディエイターに搭載された、敵陣地破砕を目的とした大型実体剣。使用されている金属の密度と硬度は「MA-M3 重斬刀」を上回り、刀身も大型化されている。
元々の装備ではなく、1号機を追い詰めるエールカラミティへ致命傷を与えないようにしつつ牽制を行うために、ジングラディエイターの予備を持ち出した。なお、核動力機である本機のパワー(出力)はジングラディエイターの比にならず、トランスフェイズ装甲のエールカラミティを殴り飛ばした際に折れてしまった。
EW452HM マニューバストライカー
高機動戦闘用のストライカーパック。運用時は正式な名前も付いてないほど試作段階であり、正式導入後は「フウジン(ストライカー)」と命名される予定である。
多軸構造の可動アームにより接続された4基のブースターユニットを備えており、MS形態でも空中を自由に飛行可能になるだけでなく、高速飛行状態においての変幻自在な高機動戦闘を可能し、さらにはMA形態に大気圏離脱能力まで付与する。追加武装として各ユニットにはビームキャノンが付属している。
元々は1号機が装備していたが、大気圏離脱を行うために外部からハッキングして強引に奪い取って装備した。
バリエーション
MVF-X08 エクリプス
タツミ・ホーリが搭乗する1号機。本機のバッテリー型。
詳細はエクリプス2号機を参照。
ZGMF-X10A フリーダム
本機の基礎となったザフト製の最新鋭機にして、C.E.71年時点にて最強とされたMSの一機。
核エンジンと核エンジン用ビームライフルと、1号機よりも本機との関連性が深く、「フリーダムの技術的後継機」に最も該当するのも本機である(同じ名前を冠しているストライクフリーダムやライジングフリーダムはフレーム構造の時点で別物)。
劇中での活躍
シンガポールでの戦闘によりエクリプス1号機の左肩アーマーが損傷したため、代替パーツとしてその修理に使用するためにオーブ連合首長国本土からナウル島整備ドックに空輸された。
1号機を整備ドックへ輸送するODRより一足先に到着して収容されていたが、タツミの1号機がテロ組織「アンティ・ファクティス」所属のジングラディエイターとの戦闘により左腕を失い、さらに同組織のエールカラミティとの連戦による操縦の負担によってタツミが吐血して危機的状況に陥ったため、ケンに説得されたミヤビが本機にエクリプス専用M.O.Sをインストール、ケンによって実戦投入された。
ケン「あのバカは絶対に死なせない。それだけは約束する」「行くぞ……REACTOR2(2号機)」
海上を高速ホバー飛行しながらエールカラミティが1号機へ止めを刺そうとしたタイミングで参戦し、道中回収したジングラディエイターの抜塞剣でエールカラミティを殴り飛ばして1号機の窮地を救う。
しかし、ケンはアンティ・ファクティスへ寝返っており、また一連の戦闘そのものがエクリプス2機を奪取するための同組織による茶番劇であり、本機はそのまま奪取されてしまう。さらに、本機に追従しうる1号機の右前腕部をビームシールドで切断、敢えて隙を晒してタツミの覚悟を問うも攻撃してこなかったため、そのままビームシールドで腹部を貫いて機能停止に追い込む。
ケン「あれほど言っただろうが......『次はちゃんと殺せ』とーーーだからおまえはここで死ぬ」
1号機を撃破直後、エールカラミティがODRの母艦を狙撃しようとしたため、すんでのところで射線上に左手をかざして外れさせ、オーブ海軍のMS部隊が迫ってきていたことからMA形態に変形、ジングラディエイターを乗せてエールカラミティと共に戦闘宙域から離脱する。
その後はアンティ・ファクティスの拠点であるボズゴロフ級潜水艦に収容され、専用のビームライフルと実体剣に換装するために調整を受ける。この調整により、ケンのエクリプスとの適合率が80%から82%に上昇している。
アンティ・ファクティスが本機を奪取した目的は、ハワイにある大西洋連邦の軍事基地へ2号機を特攻させて核エンジンの暴走による爆発で基地を破壊させるためだったが、そういった事態も想定してOSに組み込まれていた自壊プログラムにより猶予は1週間しか残されていなかった。また、その際の最大の障害になるとして当初は1号機も奪取する予定だったが、ケンがタツミを助けるために予定を歪めたため叶わなかった(この件についてケンはジョエルから詰められるも、「タツミを追い込み過ぎたら道連れにされていたかもしれない」「予備パーツが無いため1号機を1週間以内に修復するのは不可能」と理由を並べ、ジョエルもケンの本心を察したため穏便に終わった)。
1号機を撃破してから6日後、ボズゴロフ級の場所を特定したODRが接触してきたため、特攻計画を前倒しして出撃する。核動力である本機のパワーをもってしても、マニューバストライカーを装備した1号機の追跡を振り切ることができなかったため、交戦に移行する。MA形態による超音速のドッグファイトを繰り広げ、途中から後ろを取って優勢になるも、突如急加速・急上昇する1号機に一歩出遅れて高度差をつけられる。その高度差を活かしてMS形態に変形して精密射撃を行おうとする1号機に対して同じくMS形態に変形して射撃にて応戦しようとするも、1号機の精密な一斉掃射によりビームシールド以外の武装をピンポイントで破壊され、動力付近(右脇腹)も狙撃されたため瞬間的に機能停止にさせられた。
機能停止して落下しかけるが、1号機に右手を掴まれて近海にあった岩礁へ共に不時着した。
タツミ「ケニー諦めるな! 生きられるのに! 死のうなんて思うな!」
ケン「……だから、そう呼ぶなと言ってるだろ。なんで同じことを言うんだこいつは……俺の負けだ」
一段落も束の間、重症のヴァレンティーナから通信が入ってジョエルの正体を知らされたため、強引に再起動を行ってMA形態に変形、彼女の駆るエールカラミティの下へ急行する。この時、ダメージを負って故障していた核エンジンを強引に再起動したため、コックピットには警告アラートが鳴り響いた。
エールカラミティを索敵範囲内に捉えた直後、同機がブーストレイダーに撃墜されてしまい、墜落中のエールカラミティへさらに接近、MS形態に変形して右手を伸ばすがブーストレイダーのシュラークにより目の前で爆散させられてしまう。
そのままブーストレイダーへビームシールドで斬りかかるがあっさり回避された上に裏拳のカウンターを食らう。
ケン「狂ってやがる!!」
ジョエル「世界に言え」
即座にMA形態になって姿勢を立て直し、今度はミラージュコロイド・ステルスで上空からの奇襲を行うが事前に察知されて対空砲火のカウンターを食らって右前腕を失う。分が悪いと判断してMA形態になって距離を取ろうとするも、加速前にMA形態のブーストレイダーに追いつかれて体当たりを食らい姿勢を崩される。
そこに1号機が合流し、共闘を開始する。それでもなお劣勢だったが、ブーストレイダーの弱点に気付いてMA形態による陽動とカウンターを狙う。それ自体は読まれて偏向ビームの連射により対応されたが、本機が囮になることにより1号機を接近させて大ダメージを与えることに成功する。
それでも戦闘を継続するブーストレイダーに1号機が拘束され、至近距離からミーミルを接続したツォーンを食らいそうになったため、海中から飛び出して割って入りビームシールドでブーストレイダーの右腕を切断して1号機を解放する。その直後に標的を本機へ変更したツォーンを食らうがビームシールドで耐え抜き、ブーストレイダー側がツォーンの熱量に耐えきれずに爆散した。
しかし、高出力でビームシールドを使ったことにより動力へ負担をかけてしまったため、故障した核エンジンの暴走=核爆発が決定的になった。
ケン「勘違いするなホーリ。俺は死を選ぶんじゃない、アイツとは違う。これが俺の生き方なんだ」
大西洋連邦が領土としている岩礁に接していたため本機をその場で放棄してはオーブとの戦争の口実(大西洋連邦への核攻撃扱い)になることから、苦肉の策として1号機が装備していたマニューバストライカーにハッキングを仕掛けて強引に奪い取って装備し、MA形態になって大気圏外まで急上昇して自爆した。
なお、ケンは本機が飛び立つ寸前にコックピットハッチを強引に引き剥がした1号機に回収されて無事であり、本機はリモート制御により大気圏外まで飛んでいた(ケンからは「確実さに欠ける」として最後まで反対された)。
余談
デザイン
トサカ状センサーを持つ頭部からアスラン・ザラ(この時期はアレックス・ディノを名乗っている)が搭乗したイージスやジャスティスを意識したデザインとなっている。加えて、両腰部にマウントした専用シールドはイージスのサイドアーマーと似ている。そして、可変機という点も踏まえるとオーブ版イージスとも呼べる機体となっている。なお、イージスの頭部はC.E.75年5月下旬になっても放置されたままなことから、モルゲンレーテ社にてイージスを製造した際のデータを用いたものと思われる。
一方、隠密というコンセプトや装備の傾向から、ある意味ではオーブ版リジェネレイトとも言える。
そして、本機の末路は、大西洋連邦に自爆特攻をしかけようとし、それ自体は止められたものの、今度は核エンジンの暴走により自爆する(パイロットは無事)という、イージスやジャスティスの血を色濃く引き継いだものだった。特に、核自爆・親しい者の説得によりパイロットが生還と、ジャスティス味が強い。
カラーリング
1号機と違って初登場以降もカラーリングは不明なままであり、イージスやジャスティス似ていたことから赤色主体と思われていたが、第61回静岡ホビーショーにて出展されたプレミアムバンダイで発売予定のMGのサンプルにより初めて確認された。
重量
C.E.の機体は基本的に装備が固定なため全備重量を「重量」として扱っている場合が殆どだが、本機の場合は武装を換装したためか、機体重量と全備重量が別々に設定されている。
立体物
「MG 1/100 エクリプスガンダム2号機」として、2023年9月発送でプレミアムバンダイより発売した。
新規装備として「R2-W1 ビームライフル」と「R2-W2 実体剣」とそれに付属する専用シールドが付いてくる。
関連タグ
エクリプス1号機:バッテリー駆動のエクリプス。
ジャスティス:パイロット含めて末路がよく似ている。
リジェネレイト:特殊な装備、強力なビーム兵器、機体の大型化など共通点が多い。