概要
ハーフコーディネイターたちのテロ組織「アンティ・ファクティス」の一員。愛機はザフトが開発したジングラディエイター。エクリプス1号機との戦闘で愛機が大破した際に、修理するための予備パーツが足りなくなり、リーダーのジョエルからエールカラミティを譲渡されている。赤道連合では公表前のザクウォーリアにも搭乗している。
アンティ・ファクティスの他のメンバーたちと同じく、ジョエルが語る"安住の地であるプラントが自分たちハーフコーディネイターを受け入れる"と言う理想を夢見て、テロ行為に勤しんでいた。
赤道連合内のテロ組織「港湾労働者組合」へMSを提供した際に、不審者として捕まったミヤビ・オト・キオウから小型の拳銃を没収、彼女を"観光客を装うスパイ"と疑う(実際にミヤビはODRの活動で潜入していた)。しかし、赤道連合の特に治安の悪い地域だったことからテロ組織に「護身用の拳銃だろ? この辺は持ってるのが常識だ」と指摘され、その治安の悪さを目の当たりにし唖然としている。
かつては地球連合軍・大西洋連邦所属のMSパイロットで、前大戦の最初期に創設されたハーフコーディネイターのMS部隊の隊員だった(当時の階級は准尉扱い)。しかし、MS部隊の役目が「ザフトの識別のまま機体に乗り込んで敵陣で暴れ、そこをザフトごと自軍に制圧される”存在しない者”」であり「弾避けの肉壁にされるコーディネイター部隊の扱いすらマシな方」と言わしめるもので、味方からも敵からも「裏切り者」として扱われる日々に絶望、大西洋連邦から脱走している。
アンティ・ファクティスによる大西洋連邦のハワイ基地へ核攻撃する計画も目前のタイミングで、ODRに拠点を割り出されてしまい、エクリプス同士での戦闘が発生。拠点のボスゴロフ級にODRの指揮官であるミヤビが乗り込んでくる。その際に赤道連合で捕まえた彼女を尋問しなかった事を後悔している。
ミヤビから組織の拠点を教えたのが他でもプラント政府であることと「プラントはアンティ・ファクティスを"火種"と判断して受け入れることは無い」と言う事実を突きつけられる。プラントの"答え"を突きつけられる。
「ジョエル…! やり直そう…。 きっと他の生き方が…」
希望を打ち砕く現実を目の当たりにしたが、ミヤビからの「裁判に掛けられてなお罪を償う覚悟があるなら、オーブへの受け入れは用意する」と伝えられ、ハーフコーディネイターたちの居場所を提示したオーブを"真の安住の地"と信じ、人生のやり直しを決意。リーダーのジョエルへ説得を試みるものの…。
余談
- 部隊規模のヴァレたちに与えられた階級は准尉止まりで、それも正式な階級ではなく「軍事行動のために准尉として扱う」と言う措置である。
- 前大戦の初期に創設された部隊には、地球での在住権を求めたコーディネイターたちを鹵獲したザフトのMSに乗せ、前線の弾避け・肉壁とするMS部隊も存在する。
- 『SEED MSV』で登場する「煌めく凶星J」ことジャン・キャリーはその部隊の隊員であった。
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「アタシらのリーダーが反コーディネイター? 同じハーフコーディネイターなのに? 頭がおかしくなりそうだ…」
「じゃあナニか!? 連邦の人間がハワイ基地ーー 自国領土へ核攻撃しようとしたってのか!? どこの世界にそんなバカな話が」
リーダーであるジョエルから凶弾を撃ち込まれる。彼はオーブへの受け入れを拒否、それ以前に仲間に語り続けた「プラントへの受け入れ」も端から求めておらず、その正体はブルーコスモスの工作員、つまり自分たちハーフコーディネイターを忌み嫌う連中の仲間であることが発覚する。負傷した身体を起こしODRのミヤビを脱出させようとする中で、もっとも信頼してたリーダーが心の底では同胞のハーフコーディネイターたちを侮蔑していたこと、そのリーダーが何の感情も無く仲間を射殺しようとした事で絶望に陥る。
「……ははっ。結局はソレかよ……。 またアタシらは利用されたわけだ…」
アンティ・ファクティスは「地球連合が対プラントへ開戦するための"大義名分"を作り出す」ためにブルーコスモスによって作られたテロ組織であり、ハーフコーディネイターを利用するだけ利用してテロリストとして処分することで、自分たちのコーディネイターに対する行いを正当化する「地球連合に都合がいい組織」であった。
さらに、組織の仲間が苦しむ姿を見て空調設備へ毒ガスが撒かれたことに気づく。拠点に潜水艦のボスゴロフ級が選ばれた理由が「組織のハーフコーディネイター全員を毒ガスで虐殺する」だったためである。
ミヤビから着用していたオーブ国防軍のパイロットスーツなら毒ガスに耐えられると譲られるものの、ミヤビの生存を優先して固辞、格納庫のエールカラミティで脱出する。
「なんで…なんでこんなことに…なったんだ…。 アタシらはただ…人間扱いしてほしかっただけなのに…」
全速力で飛ばしてエクリプス2機にジョエルの本性とその真の目的を伝える矢先、その行動を予測していたジョエルのブーストレイダーによる追撃が襲いかかる。「忘れ物」としてアドラーによる攻撃で飛行モジュールを破損させられてバランスを崩してしまい、一矢報いようと内蔵武装をすべて使い反撃に出るものの実弾は当たらず(当たったとしてもTP装甲に阻まれる)、ビーム兵器のスキュラはエネルギーを偏向する新装備に防がれてしまう。
そして、エクリプス2号機が助けに入ろうと動くものの、先にブーストレイダーのビーム砲(カラミティのシュラーク)が発射されて直撃、エールカラミティは撃墜されてしまう。
余談
ザクウォーリアでエクリプス1号機と戦って返り討ちにあった際に、証拠隠滅として乗機をエールカラミティのビーム砲に破壊されていたが、破壊される寸前で脱出に成功していた。しかし、今回は撃墜寸前までコクピットに居たので生存は絶望的と思われる(まあ、脱出している可能性もゼロでは無いが)。