エクリプスガンダム
えくりぷすがんだむ
「オーブ連合首長国」が極秘裏に開発した隠密型のカスタムモビルスーツ。所属はオーブ国際救助隊「ODR(オーダー)」。
機体名称の「エクリプス」とは、「日食」や「月食」など天文現象における「蝕」を意味する英語であり、「オーブのシンボルである太陽が陰る」ことになぞらえて、「もし表沙汰になればオーブを闇に落とすもの」というニュアンスが込められている。
ヤキン・ドゥーエでの終戦後、戦後の混乱に介入し大規模化する前に「紛争の火種自体をなかったことにする」ための一騎当千の機体として開発されたが、その過剰戦力のために書類上は存在しない機体とされた。
戦闘機型MA形態への変形機構を持つ可変機で、最高速度は音速を超える程で、C.E.72までのMS,MAにおいて比類ないほどの圧倒的な最速。
元々は、一時期オーブ内で計画されていた戦略爆撃機からの発展であり、「戦闘機の類からMSへ」と計画上変化した機体でもある。
同国の量産機であるムラサメ(MVF-M11C)とは技術的な繋がりこそ無いが、可変機の強みを示した先輩的な存在とも言える。
モルゲンレーテ社がフリーダムを修理する際に解析したデータを基にしているためか、当時最新鋭にあたるZGMF-Xシリーズのフレーム設計を一部流用している。
また、コックピットの設計も流用したようで、シートの形状に加えてメインコンソールに半球型の立体モニターを採用するなど、ベース機の属する機体群と同一規格である事が確認できる。
一方で原型機と異なり試験的な可変機構のため、イージスのように他と異なる特徴的な構造の箇所も多い。
特に足先は常に爪先立ちをしているように見えるが、脚部に見える部分は巨大なアンクルアーマーで中に小さな脚部が隠れており、変形時にはアンクルアーマーに収納される。
こうした構造上の都合のためか、一般的に18m級のモビルスーツの中で22mという大型の機体となっている。
さらに、隠密性を高めるためにミラージュコロイドステルスを採用し、防御面はフェイズシフト装甲と両腕部のビームシールドによって高い防御力を持ち、多彩な任務に対応するため背部にストライカーパックシステムに対応したコネクタを備えている。
所謂、技術てんこ盛りMS。前出したように、コックピットが同一規格であるので、マルチロックオンシステムにも対応している。
エクリプス用の専用設計されたOSの起動画面は、アカツキに採用されたオーブ製OSに類似している。このOSのマスタープログラムはキオウ家の管理の下、ミヤビ・オト・キオウに委ねられている。
武装面ではビームシールドによる物理的な盾の廃止や、大型装備の非搭載により、高速飛行のための軽量化が図られている。ZGMF-Xシリーズのフレームによる機体強度の確保もあり、大型な機体でありながら重量はむしろ他のモビルスーツより軽くなっている。
一方で、一騎当千の任務内容に対し武装面が貧弱という矛盾点が生じており、この点はストライカーパックを必要に応じて追加装備できることで対処された。そのためか、ストライカーパックは基本装備ではなく、追加のオプションの位置付けである。なお、ストライクやインパルスとは異なり、本体の標準装備はそれらより充実している。
ストライカーパックについては、本機用に新型のストライカーパックが製作されている。なお、ストライカーパック全般に関しては劇中での発言から「一応」対応すると言うニュアンスが強い。本機用ストライカーパックも未完成である。
肩の形状はストライクと大きく異なるが、肩にはオプションが取り付け可能となっており、ランチャー・ソードの肩ユニットも拡張パーツを介して装着可能である。前腕についても、ビームシールドユニットとの交換でストライク用の腕部オプションにも対応する。
また、ストライカーパックのような背部換装が可能な機体として初の可変機であり、可変機構はストライカーを装備しても干渉しないよう上半身を後方に据えた特徴的なものとなっている。
生産数は不明。1号機が大破した際に備えて、2号機をパーツ取り用に保管しているため。1号機と2号機しか存在しないと思われる。
本記事では特筆しない場合1号機に関して記載する。
オーブで開発された試作のストライカーパック、基本未完成で本来のスペックに達していない。
分離時は自律飛行形態があり、後のオオトリと同じ系列のストライカーパックである。オオトリに培われた末にオオワシに繋がるものと思われる。
EW452HM マニューバストライカー
試作段階で自律飛行機能付き高機動型のストライカーパック。正式配備後はフウジン(ストライカー)と命名される予定。4基の可動式ブースターを備えており、追加装備のビームキャノンが4基付属している。
EW453R ライジン(ストライカー)
長射程攻撃用のストライカーパック。ライトニングストライカーのコンセプトを活かし、これに自律飛行機能を加えて再設計したストライカー。
高性能の大型バッテリーとミラージュコロイド制御能力を活かしてビームを曲射できる『71-XX式曲射型ビーム砲』を2門装備。
センサー類を強化する『頭部ユニット』を仮面のように装着。
左右の翼に取り付けられた『コンポジットポッド』は変形展開してブースターを全開にして瞬間的に推力を高めるオーバードライブ機能が使用できる。
2021年8月に「MG 1/100 エクリプスガンダム」が発売。
別売のストライカーパックシステムに当然対応しているが、本体単体での発売であり、マニューバストライカーはプレミアムバンダイによる別売りとなっている。
外伝機体がいきなりMGという破格の待遇であるが、これはSEEDの商品展開においてストライカーパックはMGが中心で展開されており、その互換性を活かすためと思われる。
また、シルエットシステム、ウィザードシステムに対応させられるジョイントパーツがそれぞれ付属する。
一部のサイトで如何にもシルエットシステムとウィザードシステムを作中でも使用するような記述も見られるが、プラモオリジナルのギミックであるとも明記している記述もある。
開発時期の設定を考慮すると、インパルスやザクウォーリアよりも前の開発であるため、現時点ではプラモオリジナルの可能性が高い。(作中で時間経過により登場する可能性は否定できない)
SEED関連の様々な企画が大量告知される中での目玉の一つとしての高速商品化であったが、情報解禁と発売の近さのために、「名称も出典も不明の謎のMGキット」として数ヶ月前に予約されており、時勢柄の事情もあって、情報解禁時にはすでに予約終了している事態となってしまった。そのため、発売直後に再販が発表されている。
「MG 1/100 エクリプスガンダム2号機」は2023年9月発送でプレミアムバンダイより発売。
新規装備としてR2-W1 ビームライフルとR2-W2 実体剣が付属する。
マニューバストライカーは2021年11月発送、ライジンストライカーは2022年11月発送でそれぞれプレミアムバンダイより限定発売された。ライジンストライカーはMS本体とのセット版も発売されている。
情報解禁時に絶賛公開中であった『閃光のハサウェイ』の主役機であるΞガンダムとは、特徴的な三角形の肩前面や張り出した胸部、全体的に尖ったシルエット、高機動タイプの主役ガンダムである等、共通点が指摘されている(実際はそこまで似ているわけではないが、ぱっと見ではよく似ていると思う人が多かったようだ)。
ザクウォーリアや、同陣営のムラサメの可変機構等、SEEDの機体には宇宙世紀の機体をリファインしたようなデザインや構造のものも少なくないため、意識した可能性もあるが、詳細は不明。
度々、『キラ・ヤマトがオーブにもたらした』と言う話になるが、厳密に言えばキラはフリーダムの修理を依頼したわけでも無く、モルゲンレーテがフリーダムの持ち主から依頼されて修理の際の解析を行った、と言うのが実態である。ちなみに、この持ち主と呼ばれるのもキラでは無い。話しの流れとDestinyでフリーダムの封印を解く鍵の所持から、フリーダムの持ち主と呼ばれているのはラクス・クラインの事だろう。
オーブ内でも存在が秘匿されたMSであるため、ビジュアル初公開時に「またカガリの知らないMSが増えてる…」と思われたのはご愛嬌。
「核兵器を積んだステルス爆撃機」として開発されているが、2号機は核エンジンを積んでることを除けば核攻撃が可能な武装は積まれていない。もっとも、地球連合軍に核ミサイルを運用可能なマルチランチャーと言うストライカーパックが存在するので、エクリプス用の核ミサイル運用オプションを開発すれば解決する話しでもある。
フリーダム(フレームとコックピット周りのベースのため)
ムラサメ(開発国が同じもの同士かつ、型式番号にも類似性が見られる)
ストライク(CEにおける、武装換装システム搭載機の代表的MS)
ブリッツ(CEにおける、光学ステルス搭載機の代表的MS)
イージス(CEにおける、可変機の代表的MS)
※ここから先は本機及び機動戦士ガンダムSEED ECLIPSEのネタバレになります
本機は上述した通りODRが秘密裏に作戦を行うべく開発したとされているが、実はそれは本来の目的を隠すための建前である。
そもそも今現在ODRで運用されているエクリプス1号機はとある理由で意図的に作られた欠陥機である。
というのも劇中で運用されているエクリプス1号機は最新技術を過剰なほど盛り込んだ高性能機にも拘らず、搭載されている動力が何故かバッテリー駆動という矛盾した機体となっている。
更にその機体の性能上、高い能力と身体を持つパイロットが必要にもかかわらず、選ばれたのはナチュラルの軍属ですらない民間人という(桁違いの高い適性があったとはいえ)普通に考えればまずありない人選であり、事実その欠点を付かれたことで敗北を喫している。
このようなあまりにも矛盾した運用方法こそが『真のエクリプス計画』の本体である。
その計画の目的とは地球連合及びザフトに対する一種の抑止力である。
オーブは中立の理念の関係上、連合やザフトのように強力な兵器を持つことは難しかった。
しかしたとえ兵器を有していなくとも、それを開発できる技術・資材・設備がありすぐにでも運用できる状況ならば実質有しているのと同義である。
後に判明したエクリプス2号機の仕様を加味すれば、エクリプスの存在理由とはつまり技術的な抑止力である。
なお事実上の抑止力としながらも、実機として1号機を製造し実際に運用している理由もこれに関連しており、あえて間違った使い方をすることで各陣営にエクリプスを調べさせ、あえて本機の正しい使い方を察しさせることであった。
オーブが国として存在する限りエクリプスは本来の使い方(2号機)はされない。
しかし万が一オーブが滅ぼされ生き残った国民が報復を行えば、エクリプスは恐ろしい殺戮兵器となりかねない。
こうした脅威を各国の為政者に植え付け疑心暗鬼に陥らせることで、結果として国家を守る……これが真のエクリプス計画なのである。
ODRの存在とはつまりエクリプス計画を隠す為の隠れ蓑にして各国をおびき寄せる餌である。
このオーブの理念を踏みにじり人の悪意を押し固めたような冷酷な計画は、カガリはもちろんウズミすら知らせないように極秘裏に勧められ、計画者であるウミトの意向により万が一計画が露呈した場合は「全ては奸賊ウミト・ミツ・キオウの独断で行ったものである」となるように工作している。
もっとも、当のカガリも、数年の後にはエクリプス2号機と比べてもなおもっとずっとやばいものを複数機制作し、更にそのうち一機を"一番うまく使える"コンビに運用させるほど清濁併せ持つ当主に成長している。
72年当時のカガリは清濁併せ持つ器ではなかったであろうが…少なくとも、あえて実体を伴わせずに十分な抑止力を作ろうというこの計画は、オーブの理念と国防の両立を目指した計画であったことは間違いない。
結果的事実として、73年の大戦で、オーブは再び亡国の危機に立たされたわけで、このときに、何らかの強大な抑止力があれば存亡の危機は事前に回避できた可能性もなくはない。
なお、このエクリプス計画が"言葉どおり"なら2号機は「架空の存在で無ければならない」はずだが、何らかの伝手でオーブはニュートロンジャマーキャンセラーのベースマテリアルを入手済みであり、エクリプス2号機の製造にもストップが掛からず行われている。
75年のオーブがファウンデーション王国からの宣戦布告に対して様々な策を準備していた事を考えると、71年時の占領下のような望まない未来を想定して、2号機の製造を始めとする「出来る備えは可能な限り用意した」結果とも言える。