諸元
概要
『DESTINY』HDリマスター版で登場したMBF-02 ストライクルージュ専用のストライカーパック。
P.M.P社から開発を引き継ぐ形で統合兵装ストライカーパックAQM/E-M1 I.W.S.P.の設計データを入手したオーブ連合首長国(モルゲンレーテ社)がその設計を見直し、独自の技術を取り入れて完成させた。なお、I.W.S.P.も「P202QX I.W.S.P.」として完成させている。
ベースとなったI.W.S.P.の基礎設計から改変することにより、当初抱えていた信頼性や整備性の問題点を解決したことに加え、島国故に海上戦を国土防衛の要とするオーブ国防軍の戦略に対応し、大気圏内での動力飛行を可能とした推進システムと4発のエンジンを搭載したX状の空力推進翼(後退翼)を駆使することにより高度な飛行能力を有している。この推進システムは宇宙(無重力)環境における高度な機動性にも寄与している。
また、他のストライカーパックと同じく追加バッテリー(パック上面にある白い突起部位)も搭載しているが、他のストライカーパックと異なり後部にストライカーパックの接続用コネクタがあり、別のストライカーパックを追加装備できる仕様となっている。
分離状態では前方に折りたたまれた機首を展開することにより、スカイグラスパーのような支援戦闘機としてパック単独での作戦行動が可能である。この時の操作は機体本体から遠隔にて行うようである。
ストライクルージュと同時に開発が開始されたものの、オーブ脱出後のクサナギでは開発が難航してしまい、ストライクルージュが実戦投入されたC.E.71年9月27日の第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦には完成が間に合わずこの時はエールストライカーで代用された。大戦終結後にも開発は続けられたが完成には時間がかかったようで、戦後に行われた数多くの式典にてストライクルージュにI.W.S.P.が装備されていた。
明確な完成時期は不明だがC.E.73年12月には実戦投入可能な状態となっていた上に、C.E.74年初頭には発展型のオオワシも実戦投入されたため、遅くとも73年初頭頃には完成したと思われる。
なお、実際の運用はカガリ・ユラ・アスハとストライクルージュを乗せてオーブを脱出したアークエンジェルで行われた。そのまま損失したため、当初の想定であるオーブの国土防衛戦では一度も使用されていない(再生産された個体も戦闘は行っていない)。
武装
全装備がパックにあるため、運用の際はストライクルージュ側に「57mm高エネルギービームライフル」と「対ビームシールド」を追加装備している。
レールガン
パック左舷の可動式アームに装備されている電磁加速砲。
パックの保持アームを用いることにより機体本体のマニピュレータを用いることなく使用でき、圧倒的な実弾耐性を持つフェイズシフト装甲さえ破砕することが可能とされる。また、右舷のビームランチャーよりも速射性・連射性に優れている。
なお、オーブにおけるレールガンの呼称は「電磁加農砲」とされるが、本装備では単に「レールガン」と呼称される。
ビームランチャー
パック右舷の可動式アームに装備されている高出力ビーム砲。パックの保持アームを用いることにより機体本体のマニピュレータを用いることなく使用でき、左舷のレールガンと同じく長い射程と高い威力を誇り(作中描写を見る限りは射程・威力共にレールガンより優れている様子)、敵機の索敵範囲外からでも正確な長距離狙撃が行える。
カラーリングはフリーダムの「M100 バラエーナ・プラズマ収束ビーム砲」に酷似しており装備としても似通っているが関連性は不明。
大型対艦刀
ビーム刃部と実体剣の刃先を備えた近接兵器。パック上面右舷にマウントされている。
元は名称通り対艦用の装備であったが、他の近接用装備を持たないためか、後に対モビルスーツ用にも位置付けられた。
I.W.S.P.の対艦刀は省エネのために完全な実体剣となっていたが、本パックは想定している装備元のストライクルージュに搭載された大容量バッテリーパック「パワーエクステンダー」によりエネルギーに余裕があることから、実体刃を備えつつもビーム刃を発振する仕様となっている。
外見はソードストライカーの「15.78m対艦刀 シュベルトゲベール」と似ており、機体本体の全高に匹敵する長さを持つが、ストライクルージュレベルのマニピュレータでも片手で振り回せるほど軽量化されている。また、シュベルトゲベールと比較すると、柄部分のレーザービーム砲が完全にオミットされ、片手で使う想定となったためか柄部分も短くなっている(両拳がギリギリ並んで入る程度の幅しかない)。また、内部に予備バッテリーを内蔵しているのか、マニピュレータから離れてエネルギー供給が途絶えても数秒であればビーム刃を維持している。
ミサイルランチャー
オオトリ上面左舷に装備された小型ミサイル用の4連装ランチャー。
任務に応じて機関砲や電子戦装備への交換もできる。
3連小型ミサイル
翼下のハードポイントに懸架されているミサイル。3基のミサイルが1セットとなり片翼あたり2セットずつ(両翼合わせて計12基・4セット)接続される。
その他
ドロップタンク
両翼下ハードポイントに懸架されている。ミラージュコロイドを利用した一種のステルス支援システムとされているが、その詳細は明らかになっていない。
劇中では
アークエンジェルのオーブ連合首長国脱出時にストライクルージュ共々艦載されており、キラ・ヤマトのフリーダムに半ば拉致される形で乗艦したカガリ・ユラ・アスハによって運用される。ただし、カガリは大西洋連邦との同盟に基づいて派遣されたオーブ国防軍の戦闘行為を止めることを主眼としていたために本パックの多彩な武装も活かされることはなく、専ら大気圏内を飛行するためだけに取りつけられていた。
本パックの本領はストライクルージュにキラが搭乗してエターナルを救援に向かった際に発揮された。最も取り回しの良い武装である機体本体のビームライフルをアンドリュー・バルトフェルドのガイアに投げ渡してもなお、射撃の雨を高機動で掻い潜りながら対艦刀・レールガン・ビームランチャーを駆使して多数のザクウォーリアやグフイグナイテッドを無力化していく。ストライクルージュのカタログスペックはザクウォーリアやグフイグナイテッドに劣っている上に数的不利さえ取っていたが、それでも渡り合えていたのはキラの卓越した操縦技術もあるが本パックの性能によるところが大きい(TV版『DESTINY』では本パックではなくエールストライカーを装備していたが1機小破・4機無力化が精一杯だったのに対し、本パックを装備したHDリマスター版『DESTINY』では2機小破・6機無力化している)。
最後はガナーザクウォーリアの砲撃からエターナルを庇うためにストライクルージュからパージされ、機首を展開して支援戦闘機形態となりストライクルージュに先行して射線軸上へ向かい、オルトロスの直撃を受けて爆散しながらも受け止め切ってエターナルまでの貫通は許さずに相殺しきっている。一方、本パックを失ったことによりストライクルージュの火力と機動性は大幅に低下してキラの操縦技術をもってしても性能と数の差を埋められなくなり、唯一残された対艦刀でエターナルを狙ったガナーザクウォーリアへ斬りかかっていたところを別のガナーザクウォーリアのオルトロスに狙われ、避け切れずシールドで受けたために左腕を損失(負けじと右手の対艦刀を投げ返して無力化はした)、その後バルトフェルドの指示によりエターナルへ着艦しようとした際も攻撃を避け切れずに両脚を損失した。
結果的に失われたが、ストライクルージュ本体と共にストライクフリーダム搭乗までの繋ぎとしての役割は十分に果たした。
C.E.75年5月(『FREEDOM』)までに再生産されており、物語最終盤にてインフィニットジャスティス弐式と並走するストライクルージュの傍らで単独飛行していた。
改修を受けておらず型落ちのストライクルージュ単体では戦闘力が低い上に大気圏内飛行ができないために用意されたものと思われる。ストライクルージュは今回司令塔として運用されるべくキャバリアーアイフリッドとドッキングしていたため特に役目はなかったが、今後何らかの理由でアカツキを使えずストライクルージュが戦闘に出る場合は使用されるのだろう。
バリエーション
『SEED』シリーズ
大気圏内航空戦闘装備 オオワシ
オオトリの流れを汲むORB-01 アカツキ専用の大気圏内用ストライカーパック。
翼は通常の後退翼になったものの、ジェットエンジン4基とロケットブースター2基を搭載しており、機体本体を亜音速まで加速させることができる。また、本体から分離・変形することにより遠隔誘導、もしくはAIによる自律行動が可能な支援戦闘機として運用できる。
大気圏内飛行能力を重視したためか、「73F式改 高エネルギービーム砲」以外の固定装備は有しておらず、統合兵装ストライカーパックというコンセプトを失っている。もっとも、統合兵装の火器管制は複雑であり、アカツキの想定パイロットであるカガリでは扱い切れないため、妥当な選択ではあった。
装甲にはアカツキ本体と同様ヤタノカガミが用いられている。
EW454F オオトリ(AP)
オルタナティブ・プロジェクトにおいて製造されたデッドコピー。あくまでデッドコピーであるためオリジナルの性能をどの程度再現しているかは不明とされているが、こちらではドライグストライクと同型のジョイントがパックの上面と下面に増設されており、ソードストライカーやランチャーストライカー等の武装を増設できる。
実際に、ドライグストライクにオオトリ・ソード・ランチャーを同時装備することでマキシマムパーフェクトストライクというとんでもない形態とすることができる。
M2X32E フォランテス
モルゲンレーテが開発したインフィニットジャスティス弐式用のバックパックで、オオトリの発展形。X字のユニットに名残が見られる。
オオトリの基礎設計をベースにしつつ、インフィニットジャスティスの「ファトゥム-01」の実運用上の後継としてウイング部には格闘武装を搭載。一方でビーム砲やミサイルの採用により火力はファトゥムよりも向上している。詳細はインフィニットジャスティス弐式の記事を参照。
改造ガンプラ
ビルドブースター
『ガンダムビルドファイターズ』に登場。
ビルドストライクガンダムが「フルパッケージ」として完成を見た際に追加されたバックパックで、オオトリをベースに製作されている。多彩な武装はオミットされたが、懸架式のビーム砲と自律飛行機能は受け継いでいる。
なおこのビルドブースター、設定上はHGのオオトリを改造したものとなっており、ビルドファイターズの世界ではHGオオトリが発売されているようだ。
余談
- マルチプルアサルトストライカーと並んでHDリマスター版限定のストライカーパックだが、あちらより作画コストが低いためか、ストライクルージュが出撃する度に装備していたため出番は多い。
- なお、オオトリの登場しないTV版では大気圏内飛行ができるよう改修されたエールストライカーを装備していた。このため、TV版とHDリマスター版でストライクルージュの戦闘シーンには違いが多い。
- 本装備の設定はほとんど無くほとんどMG Ver.RMが初出であるが、フェイズシフト装甲を破砕するレールガンやパワーエクステンダーの設定の相違等々の矛盾が多数存在している。
関連タグ
機動戦士ガンダムSEED DESTINY 機動戦士ガンダムSEED FREEDOM
I.W.S.P.…ベースとなったストライカーパック。モルゲンレーテ社における開発史では同時期に開発されていたため兄弟にもあたる。
EW452HM マニューバストライカー…C.E.72年に試作されたモルゲンレーテ社製ストライカーパック。
マルチプルアサルトストライカー…類似コンセプトのストライカーパック。最大火力以外はこちらの上位互換となる。
AQM/E-X09S ノワールストライカー…地球連合軍においてオオトリ同様I.W.S.P.を発展させたストライカーパック。近接戦闘を重点に開発されており、オオトリに比べてシンプルに仕上がっている。