ザウート
ざうーと
宇宙での建設作業に用いられていた作業機器をベースとして、機体設計は局地対応型機の開発を専門とするザフトのクラーク設計局が担当した。ザフト初の汎用量産機であるZGMF-1017 ジンは、外骨格・補助動力装備型の宇宙服から発展しており、開発もハインライン設計局である為、開発系統も開発元も全く異なる。なお、ザフトにおいてジンを祖先に持たない系譜は、本機とTMF/A-802 バクゥの2系譜のみである。
C.E.におけるモビルスーツは格闘戦を主眼に置いた人型兵器であるのに対して、作業機器をベースとした本機は格闘兵器を持たず、辛うじて人型ではあるものの機動力は乏しい。その為、厳密にはザフトの考えるモビルスーツという概念には当て嵌らないが、戦闘兵器として特化した設計によりモビルスーツの枠に加えられる事と為った。
結果として、その機動力の低さが問題と成り、戦争緒戦においては機動性に優れたアジモフ設計局製のバクゥがより大きな戦果を挙げ、陸戦用モビルスーツの主力として君臨する事と成った。一方で、装甲と火力についてはバクゥと比較して秀でるものがあり、緒戦においてはバクゥとの連携作戦における囮役として活躍した上、地上戦艦では砲台役として陸上戦艦の甲板に乗って運用されていた。また、武装には遠距離からの砲撃を想定したものが多く、ジンなどの前線の友軍機を援護する後方支援において真価を発揮する。そのため、用途は限定的だが、その限られた用途の中では十分な戦力となり、第1次連合・プラント大戦では多くの個体が確認されている。
機体としてはジンより旧式だが、公式発表されたのはC.E.70年3月15日であり、C.E.69年に公開されたジンより1年遅かった。これは、ザフトが地球侵攻に舵を切ったのがC.E.70年2月18日からであり、その一環である「オペレーション・ウロボロス」採決の折にプロパガンダの意味を込めたモビルスーツ発表だった事に由来する。更に、ザフト上層部の意向によりプラント内での自然環境保護の観点から運用試験が満足に得られないまま実戦投入が行われており、その開発中から既に時代遅れの機体とされていた。そういった経緯により、ヘリオポリス崩壊(C.E.71年1月25日)時点ではさらに旧式化が進んでおり、増援に送られた本機を見たバルトフェルドは「なんでザウートなんて寄こすかねぇ…」と呆れていた。
一方、世界公表の折には犬型のバクゥよりも外観から高い火力が容易に想像出来る本機の方が連合軍から脅威とみなされた。その後、実戦において両者の評価は逆転しており、連合軍からも「(戦車で)ザウートなど仕留めてみせろ」と言われ、実際に脚部をあっさり破壊されて行動不能に陥っている。
C.E.72年以降、陸戦用モビルスーツの開発はバクゥを開発したアジモフ設計局が担当する事に成り、ザウートの開発を担当したクラーク設計局はUMF-4A グーンやUMF-5 ゾノと言った海中戦用モビルスーツの開発に舵を切り、後継機として開発したTFA-4DE ガズウートを最後に陸戦用モビルスーツの開発から外れている。その為、本機の系譜(ザウート目)は、作業機器→本機→ガズウートのみという、C.E.においても非常に短いものと為っている。
映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』では後継機のガズウートを差し置いて登場し、プラント経済特区オルドリン自治区の防衛隊としてジンと共にブルーコスモス残党の襲撃に対応している。
立体化されていない程度には『SEED』シリーズでもマイナー寄りな機体だが、作中や設定面でのあんまりな扱いから、コアなファンからの(ネタ的な)人気は高い。
ショートバレル重突撃機銃
ザウート用の携帯火器。重突撃機銃の1つだが、ジンの「MMI-M8A3 76mm重突撃機銃」とは異なる。
バナナマガジンから弾丸が供給される。また、2連副砲に比べて低威力であることから、その用途は対ミサイル防御や敵機牽制となる。
マイナー扱いなのかゲーム作品での登場は少ない。
「スーパーロボット大戦」シリーズ
機動戦士ガンダムSEEDシリーズが参戦する機会は多いが、ゲーム内で登場した事は1度も無い。
「Gジェネレーション」シリーズ
2004年の「SEED」から2009年の「ウォーズ」まで5年ほど参戦していたが、以降の作品での登場は無くなった。
しかし、12年経った2021年の「クロスレイズ」においてガズウートと共に復活している。
「機動戦士ガンダムSEED 連合vs.Z.A.F.T.」シリーズ
低コスト機体として参戦。機動性が非常に悪く、対人戦は元よりCPU戦でさえも苦戦を強いられる玄人向けの機体。
- 変形機構は『機動戦士ガンダムF91』に登場した可変MSガンタンクR-44を基にしていると双方をデザインした大河原氏によって公言されている。
- 前述の通り、本機は消極的な理由によりモビルスーツに分類されているが、バクゥもまたC.E.におけるモビルアーマーの定義に該当しないという理由によりモビルスーツに分類されている。
- その見た目に違わず『SEED』に登場する量産機の中で最も重量がある。
- 『SEED』に登場するザフト製量産機の中で唯一ストライクとの交戦が無い。