諸元
機体名 | ザウート(ZuOOT) |
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型式番号 | TFA-2 |
全高 | 17.86m |
重量 | 83.59t |
動力 | バッテリー |
開発 | ザフト(クラーク設計局) |
武装 |
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概要
宇宙での建設作業に用いられていた作業機器をベースとして、機体設計は局地対応型機の開発を専門とするザフトのクラーク設計局が担当した。ザフト初の汎用量産機であるZGMF-1017 ジンは、外骨格・補助動力装備型の宇宙服から発展しており、開発もハインライン設計局である為、開発系統も開発元も全く異なる。なお、ザフトにおいてジンを祖先に持たない系譜は、本機とTMF/A-802 バクゥの2系譜のみである。
C.E.におけるモビルスーツは格闘戦を主眼に置いた人型兵器であるのに対して、作業機器をベースとした本機は格闘兵器を持たず、辛うじて人型ではあるものの機動力は乏しい。その為、厳密にはザフトの考えるモビルスーツという概念には当て嵌らないが、戦闘兵器として特化した設計によりモビルスーツの枠に加えられる事と為った。
結果として、その機動力の低さが問題と成り、戦争緒戦においては機動性に優れたアジモフ設計局製のバクゥがより大きな戦果を挙げ、陸戦用モビルスーツの主力として君臨する事と成った。一方で、装甲と火力についてはバクゥと比較して秀でるものがあり、緒戦においてはバクゥとの連携作戦における囮役として活躍した上、地上戦艦では砲台役として陸上戦艦の甲板に乗って運用されていた。また、武装には遠距離からの砲撃を想定したものが多く、ジンなどの前線の友軍機を援護する後方支援において真価を発揮する。そのため、用途は限定的だが、その限られた用途の中では十分な戦力となり、第1次連合・プラント大戦では多くの個体が確認されている。
機体としてはジンより旧式だが、公式発表されたのはC.E.70年3月15日であり、C.E.69年に公開されたジンより1年遅かった。これは、ザフトが地球侵攻に舵を切ったのがC.E.70年2月18日からであり、その一環である「オペレーション・ウロボロス」採決の折にプロパガンダの意味を込めたモビルスーツ発表だった事に由来する。更に、ザフト上層部の意向によりプラント内での自然環境保護の観点から運用試験が満足に得られないまま実戦投入が行われており、その開発中から既に時代遅れの機体とされていた。そういった経緯により、ヘリオポリス崩壊(C.E.71年1月25日)時点ではさらに旧式化が進んでおり、増援に送られた本機を見たバルトフェルドは「なんでザウートなんて寄こすかねぇ…」と呆れていた。
一方、世界公表の折には犬型のバクゥよりも外観から高い火力が容易に想像出来る本機の方が連合軍から脅威とみなされた。その後、実戦において両者の評価は逆転しており、連合軍からも「(戦車で)ザウートなど仕留めてみせろ」と言われ、実際に脚部をあっさり破壊されて行動不能に陥っている。
C.E.72年以降、陸戦用モビルスーツの開発はバクゥを開発したアジモフ設計局が担当する事に成り、ザウートの開発を担当したクラーク設計局はUMF-4A グーンやUMF-5 ゾノと言った海中戦用モビルスーツの開発に舵を切り、後継機として開発したTFA-4DE ガズウートを最後に陸戦用モビルスーツの開発から外れている。その為、本機の系譜(ザウート目)は、作業機器→本機→ガズウートのみという、C.E.においても非常に短いものと為っている。
映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』では後継機のガズウートを差し置いて登場し、プラント経済特区オルドリン自治区の防衛隊としてジンと共にブルーコスモス残党の襲撃に対応している。
立体化されていない程度には『SEED』シリーズでもマイナー寄りな機体だが、作中や設定面でのあんまりな扱いから、コアなファンからの(ネタ的な)人気は高い。
構成
頭部
ジンと同じくモノアイとトサカ状のセンサーアレイを備え、戦況をリアルタイムでコックピットに送っている。
両側部にはスモーク・ディスチャージャーを備えている。
胴部・脚部
腰部リアと脚部裏に無限軌道が2基ずつ設置されている。
コックピット
大きく突き出た胸部の下に設置されている。
パイロットの乗降用ロープはコックピットハッチに内蔵されておらず胸部先端から懸架されている。
変形
タンクモード(タンク形態)という簡易的な変形機構を持ち、砂漠などの環境における移動砲台としての機能を発揮し、高い運用性を実現している他、砲撃時の安定性を高める効果を持つ。それに対して人型形態は全方位の警戒に長けており、戦艦の甲板上にて固定砲台を行う場合に適している。
タンクモードへの変形の際は、脚部を機体前方に倒して脚部裏の無限軌道を接地させ、腰部リアの無限軌道を下部に展開する。
武装
2連キャノン砲
両肩部に搭載された主砲。
砲弾をバラ撒く形で支援砲撃に用いられる他、拠点爆撃にも用いられる。
2連副砲
左腕部に搭載された副砲。
機銃
敵機の接近を許した際の対処の一つとして胸部に4門設置された小口径の牽制砲。正式呼称は不明。
ショートバレル重突撃機銃
ザウート用の携帯火器。重突撃機銃の1つだが、ジンの「MMI-M8A3 76mm重突撃機銃」とは異なる。
バナナマガジンから弾丸が供給される。また、2連副砲に比べて低威力であることから、その用途は対ミサイル防御や敵機牽制となる。
スモーク・ディスチャージャー
頭部側面に設置されている発煙弾発射機。
関連動画
ゲーム等での扱い
マイナー扱いなのかゲーム作品での登場は少ない。
「スーパーロボット大戦」シリーズ
機動戦士ガンダムSEEDシリーズが参戦する機会は多いが、ゲーム内で登場した事は1度も無い。
「Gジェネレーション」シリーズ
2004年の「SEED」から2009年の「ウォーズ」まで5年ほど参戦していたが、以降の作品での登場は無くなった。
しかし、12年経った2021年の「クロスレイズ」においてガズウートと共に復活している。
「機動戦士ガンダムSEED 連合vs.Z.A.F.T.」シリーズ
低コスト機体として参戦。機動性が非常に悪く、対人戦は元よりCPU戦でさえも苦戦を強いられる玄人向けの機体。
バリエーション
TFA-4DE ガズウート
ビーム兵器の搭載など近代化改修を施した本機の強化改修機。
詳細はガズウートを参照。
作業用ザウート
ジャンク屋組合が作業用に改修した本機。
非武装であり、主砲を作業用のクレーンに交換している。
ギガフロート建設に参加していたが、建設を妨害していたゴールドフレーム天を発見し、他の作業用MSと共に取り押さえようとしたが問答無用で撃墜されている。
なお、前述した通り本機は作業機器をベースとした可変重モビルスーツなため改修により先祖返りしたと言える。
余談
- 変形機構は『機動戦士ガンダムF91』に登場した可変MSガンタンクR-44を基にしていると双方をデザインした大河原氏によって公言されている。
- 前述の通り、本機は消極的な理由によりモビルスーツに分類されているが、バクゥもまたC.E.におけるモビルアーマーの定義に該当しないという理由によりモビルスーツに分類されている。
- その見た目に違わず『SEED』に登場する量産機の中で最も重量がある。
- 『SEED』に登場するザフト製量産機の中で唯一ストライクとの交戦が無い。
関連タグ
機動戦士ガンダムSEED 機動戦士ガンダムSEED DESTINY 機動戦士ガンダムSEED FREEDOM
ザフト ザフト製MS・戦艦 ガズウート 可変機 バクゥ ラゴゥ 量産機
ザウォート:『水星の魔女』に登場する名前が酷似したMS。デザイン等の関連性はない。