概要
元・地球連合軍大佐で、C.E.75時点におけるブルーコスモス残党の指導者。
これまでのブルーコスモスの指導者であった若手のムルタ・アズラエルやロード・ジブリールとは対照的な厳つい顔付きの老齢の男性で、これといった特徴のない普通のモブ兵士然とした風体をしている。
人物
前作におけるブルーコスモスのトップであったジブリールの後釜としていまだに地球上に存在するコーディネイターの多い地域に対して武力侵攻を行なっている。
その活動はプラントとの戦争状態が一応は落ち着いている現在では新たな戦端の要因になりかねないとして各国から非常に危険視されている。
前者の二人と異なって実業家や資本家ではなく、あくまでも元軍人に過ぎないためか彼等ほどの資本力は有しておらず、両者と比べて組織的な権威もないが、統率力と人望はあり、彼のブルーコスモスとして掲げる思想に賛同し、正規軍を脱走してブルーコスモスに加入した者も多い模様。
また、かつてのブルーコスモスは世論や地球連合軍を味方につけて武力行使を正当化していたのに対し、ジブリール亡き後は純粋なテロ集団に成り果てているのだが、ミケールはそんなテロ集団と化した組織を纏め上げ、むしろ「国や軍に縛られなくなったこと」を逆に活かして神出鬼没に動き回っては各地で散発的な無差別テロ(パルチザン)を続けていた。
このため、優れた状況判断能力や洞察力を持ちながらも精神的な脆さを抱えていたアズラエルや、後先考えず行き当たりばったりなやり方を繰り返し都合が無くなれば自己保身に走ろうとするジブリ―ルよりも、非常に厄介な人物であったと言え、実際に前作のC.E.73年からの約2年間、戦争犯罪者として国際指名手配を受けながらも一度も逮捕されること無く、世界に混乱をもたらし続けていた。
一方で両者と比べれば陰険な言動も抑えられがちで、仲間や部下を顧みないような真似も見られない(少なくとも作中では)。
劇中の様相
母艦を出さずにモビルスーツ部隊だけ送り込み(部隊の帰還は想定してない)、プラント関係の居住地や施設への攻撃を繰り返し、そして自身が他国の国境の向こう側にいると見せかけて、プラント側に国境侵犯させて新たな戦争の火種にしようとした。
その企みはコンパスによって阻止されていたが、休むこと無く続くテロ行為はコンパスの戦力を疲弊させていた。
ユーラシア連邦の軍事緩衝地帯に潜んでいる可能性が高いと割り出されていたが、ユーラシアはコンパスを承認しておらず、また国内ではなく軍事緩衝地帯な為にユーラシアも手が出せなかった。
しかし、コンパスとファウンデーション王国が共同作戦を展開。ミケールは追い詰められる事になる。
ところがその最中、アコードの能力によりせん妄状態に陥ったコンパスのモビルスーツ部隊隊長キラ・ヤマトが、戦場から脱出しようとしたミケールの幻影を誤認してユーラシア連邦に領空侵犯してしまったことで状況は一変。
彼の捕縛はそっちのけで、侵略行為を行ったキラ及びコンパスモビルスーツ部隊への粛清が開始されることとなる…。
顛末について
劇場アニメでは、その後のミケールはどうなったのか、その場に彼が実際に居たのかすら曖昧なまま物語からフェードアウトしていくが、実際は2機のウィンダムと2人の兵士と共に3発目の核で焼かれるシーンがしっかりと描かれている。しかし一瞬のカットであった上、視聴者がミケールと判別できる前に他の兵士と同様に火だるまになったため生死不明になってしまったのだろう。
そのため公式サイトでのキャラ設定公開や小説版の補足が入るまでは、架空の存在なのではないかと実在すら疑われていた。
補足された小説版では、ミケール本人は当初の潜伏先と見られていた砦跡に実際におり、コンパスとブラックナイトスコードの戦闘が始まり混乱する戦況のどさくさに紛れて本当に脱出しようとしたが、ファウンデーションがユーラシア連邦の仕業に見せかけて放った核ミサイルの炎に巻き込まれ、死亡した。
輸送機に乗り込もうとして核の炎に晒される兵士のシーンはPV(本予告)でも発表されており、それがミケールだった。
「二度あることは三度ある」と言うべきか、アズラエル、ジブリールに続いてミケールもまた「コロニー・メンデル」に関わる者達によって踊らされた末に非業の最期を迎えてしまったのだった。
余談
- 名前の由来は前任者たち同様天使からで、「Michael=ミカエル」を由来とした『マイケル』のイタリア語圏の『ミケーレ=Michele』と思われる。尚、ミゲル・アイマンも由来は同じで、マイケルのスペイン語圏の『ミゲル=Miguel』となっている。
また、ミカエルは四大元素において「火」を司る天使となっており、「世界中に戦火をもたらした」という点を見れば、相応しい名前と言える。
- 一介の軍人にしてはあまりにも優秀であること、ミケール捕縛作戦時のファウンデーションの戦力投入のタイミングが良過ぎること、さらに作戦自体どさくさに紛れてラクス・クラインを拉致するのが最終目的だったことから、ファウンデーションがブルーコスモスを操るために立てた傀儡では?という推測もされている。事実、小説版ではファウンデーションからの工作員がブルーコスモス残党内に潜入しているらしいことが示唆されていた。ミケールに策や情報を与えるブレーンの様な人間が寄越されていたのかもしれない。
- 皮肉にも「血のバレンタイン」を始め、ブルーコスモス派が戦争に散々乱用してきた核ミサイルを、今度は逆に自分達に向かって撃たれることで破滅する羽目になり、ミケールの最期は因果応報とも言うべき形となった。
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