機体データ
概要
オーブ国防軍の主力量産型可変モビルスーツ「MVF-M11C ムラサメ」を原型とする改良型。主なパイロットは、ムウ・ラ・フラガやオーブ国防軍パイロットなど。
C.E.74年初頭の第2次連合・プラント大戦の終結後に、オーブ連合首長国の国策軍事企業「モルゲンレーテ社」でムラサメのマイナーチェンジ版として開発された。C.E.75年5月時点にてオーブ国防軍の主力機として更新されている他、コンパス所属のアークエンジェルにもオーブ国防軍から供出されたものが配備されている。
型式番号も原型機の「MVF」から変更され、新規の「STTS」が採用されている。なお、STTSの意味は不明となっている。
機体構成
全体的に原型機からの変化は少なく、全長も6cm増えただけだが、重量の方は7t近く増えている。
頭部
形状は原型機とほぼ共通している。
胴体部
基本構造は原型機そのままだが、全体的に角張った形状に変更されており、肩アーマーも小型化する等よく見ると元とかなり異なる外観となっている。
胸部アーマーに装備されている小型の可変ウイングレットはMA形態時にバックパックのインテークへの吸気を調節する整流板の機能を持つ。
左の腰部サイドアーマーの側面に「72式ビームサーベル カナヤゴ」用のマウントラッチを備えている。
腰部フロントアーマーの内部には「71式短距離誘導弾」用のミサイルポッドが搭載されている。
コックピット
従来のMSと同じく腹部に搭載されている。
コックピットのコンソールや内装部分は原型機から一切変化が起きておらず、設計そのものは4年前のM1アストレイや初期GAT-Xシリーズと同じ神経接合方式用の共通仕様となっている。しかし、これは逆に言えば「内装の変更が必要ないレベルで完成度が高い」や「変更なしでバージョンアップに対応可能な程、汎用性・拡張性・互換性が高い」と言う裏返しでもある。
変形構造
機翼や変形機構などにマイナーチェンジやアップデートが施されている。外見上の原型機との分かりやすい相違点がMA形態時の主翼であり、原型機が前進翼であったのに対して後退翼へ変更されている。
また、翼基部に増槽の追加装備が可能となっており、MA形態ではシールドとサイドアーマーの間にあるスペースに収まるよう配置される。
腹部にシールドを設置することにより底部とし、脚部を少し折り畳み、頭部を胴部へ格納することにより変形する。原型機と設計が同じであれば、戦艦に着艦できるようにMA形態の下部にランディングギアが装備されている。
武装
マイナーチェンジ機にもかかわらず全種更新されている。
M2M5DE 12.5mm自動近接防御火器
頭部に装備されている近接防御機関砲(CIWS)。原型機のM2M5D 12.5mm自動近接防御火器から更新された改良型。
原型機では翼基部にも装備されていたが本機ではオミットされている。
73式高エネルギービーム砲「ホノイカヅチ」
中距離射撃用のビームライフル。原型機の「72式改ビームライフル イカヅチ」から更新された改良型で、ムラサメ改の専用装備。
MS・MAの両形態での運用に配慮した改良が加えられており、イカヅチでは排除されていたフォアグリップが復活する形で追加されたことでMS形態時での精密射撃が可能となり、メイングリップは折りたたみ式になったことでMA形態時に畳めるようになり空気抵抗の軽減に寄与する。
MA形態時での取り扱いが基準にされたのか、呼び方はビーム砲へ変更されており、「ビームライフルに変形するビーム砲」というニュアンスが強い。
72式ビームサーベル「カナヤゴ」
左腰部に1本装備されているビームサーベル。原型機の「70J式改ビームサーベル」から更新された改良型。
新たにペットネームが付与されている。
73式改攻盾ビーム砲「イワツツノヲ」
背部のテールスタビライザー基部に1門装備される単装式ビーム砲。原型機に装備された「72式高エネルギービーム砲」をベースに更新された改良型であり、ペットネームが付与されている。
なお、攻盾とはあるものの外見はただのビーム砲なため『シールドとしての機能』があるのかは不明となっている。
71式短距離誘導弾
左右の腰部フロントアーマーに2門ずつ計4門内装された発射筒に装填されている小型ミサイル。原型機の「68A式空対空ミサイル ハヤテ」に代わり採用されている。
MS形態でも機体前方に射線が通るため問題なく使用できる。
シールド
対ビームコーティングが施された実体シールド。原型機に装備された「シールド」の改良型。
MA時の機首を兼ねている点はそのまま引き継がれているが、主に横幅がひとまわり小型化され表面積が減少した代わりに取り回しが向上している。一方、機首部の収納式カナードはオミットされている。
爆装オプション
- 70式空対艦誘導弾
- 68式空対空誘導弾
翼下パイロンに懸架される爆装オプション。70式は2連装、68式は3連装で1セットの運用形態を取る。
射角の問題から主にMA形態時の武装として使用され、これらを用いた対地爆撃はMA時の機動性も相まって強力な制圧力を持つ。
試製35式改レールガン
『FREEDOM ZERO』の予告で使用している携行式のレールガン。モルゲンレーテ社製。
MA形態時にはホノイカヅチの代わりに機体右舷にマウントされる。
『FREEDOM』の物と比べてジンのアサルトライフルのような連射をしていることや同型機との戦闘から、装填された弾倉は模擬戦用と思われる。
バリエーション
ムウ・ラ・フラガ専用機
ムウ・ラ・フラガが搭乗する本機。
外観やカラーリングこそ一般機のままだが、彼の技量に合わせて現場判断でOSを始めとした各種電子機器のプログラムやパーツ等が変更され、安全マージンの切り詰めと引き換えに機体の性能を限界まで引き出すためのチューニングが施されている。結果として、ムラサメ隊の他機とかけ離れた性能を誇るものの、ムウ以外が操縦して制御することは難しいピーキーな機体になっている。
ムラサメ改(仮)
『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM ZERO』に登場する機体。
ホノイカヅチの代わりに試製35式改レールガンを装備しており、カラーリングはオオツキガタに酷似している。予告編ではMA形態のみの登場だが、形状はムラサメ改と全く同じである。
試作機もしくはライジングフリーダム、イモータルジャスティスのテストベット、ある人物の専用機と様々な考察がされている。
劇中の活躍
オーブ国防軍の所属機及び世界平和監視機構コンパスに出向したアークエンジェルの艦載機として活躍する。アークエンジェルにはムウ機を含めて少なくとも6機が配備されており、シキシマ隊、マホロバ隊の2小隊に分かれている模様。
ムウ機はブルーコスモス本拠地襲撃戦においてマホロバ隊を率いてライジングフリーダムと共に本拠地へ強襲を仕掛けた。途中、デストロイの参戦したことで当初の予定が狂い、なし崩し的に陽動担当のイモータルジャスティスらとそれを援護していたシキシマ隊が合流、そのまま全機で本拠地に攻め入った。
ファウンデーション王国の罠に嵌められた際には、ライジングフリーダム救援のために勝手に飛び出したイモータルジャスティスとそれを追ったギャンシュトローム(ヒルダ機)に代わって前線を維持していたが、状況が悪化してからはMA形態となり前線から離脱してアークエンジェルの下へ急行、同艦を撃墜した直後だったブラックナイトスコード ルドラ2機(リュー機とダニエル機)と交戦する。
「お前らーッ!!!」
ビームライフルにて応戦するも圧倒的な性能差に翻弄されてリュー機に右腕を斬り落とされ、直後に後ろからダニエル機から斬りかかられる。フラガ家特有の勘で咄嗟に反応し、頭部機関砲による迎撃を試みるもフェムテク装甲には一切通じず、頭部も跳ね飛ばされる。
そのまま返す刀で胴体を狙われるも、斬られるより早くフロントアーマーの誘導弾を零距離から放つことでカウンターに成功し、ダメージこそ与えられなかったが衝撃により重斬刀を取り落とさせた上に自身を爆風を食らって撃墜したように見せかけ、燃えるアークエンジェルから発せられた煙の中に落下していくことで追撃を免れた(ちなみに、エルドア自治区戦でブラックナイトスコード相手に損耗を与えられたのは本機のみである)。
その後何とか持ち直してアークエンジェルの元に辿り着き、甲板まで逃げ延びていたマリューをコックピット内に収容、MA形態に変形して戦域から離脱した。
「すまん、待たせた!」
「...遅いわよ」
この時、頭部と右腕を失った上にミサイルの爆風により全身にダメージを負っていながらも変形できていたことから、変形機構がかなり頑丈になっている事が覗える。
ムウ機以外のコンパス所属機5機はブルーコスモス本拠地襲撃戦の際、1機が半壊したデストロイに、1機がダガーに撃墜されており、残り3機はブラックナイトスコードからの攻撃や核爆発から逃れて戦域から離脱できており、ムウ機と共にアカツキ島の秘密ドッグまで辿り着いた。
また、オーブ国防軍所属の機体はレクイエムの攻撃から国民を避難誘導する際や最終決戦の際の増援として多数登場した。
立体物
2024年10月19日にHGCEで一般発売した。HGムラサメが2006年(18年前)のキットということもあり新規造形となっている。そのため、比較するとディテールや色分けが段違いな他、オレンジの色味も若干異なる。また、MA形態への変形はHGムラサメとは異なり、HGUCΖガンダムと同様の変形用ベースへのパーツ組み換えとなっている。ただしHGムラサメに付属していたランディングギアは付属してないため着地・待機状態は再現できない。
全身の差し色や頭部の色分けはパーツ分割により再現される。ビームライフルのフォアグリップは収納・展開が可能で、MA形態時にはライフルを右腰に接続することができる。
なお、本体の背面と変形後ベースにはバックパックの接続がユニバーサル規格で、なんとHGムラサメのバックパックを装着できる(MA形態では少々隙間と干渉できてしまうが余程でない限り気にならないレベル)。
余談
- 型式番号には新規型番として「STTS」が採用され、ザフトの従来機「ZGMF」・地球連合の従来機「GAT」・オーブの従来機「MBF」「MVF」の何れにも当てはまらないものが使用されている。
- オーブ国防軍の所属機の他にはコンパスの所属機であるSTTS-909 ライジングフリーダムとSTTS-808 イモータルジャスティスの型番としても使われている。
- ムウ機の「安全マージンの切り詰めと引き換えに機体の性能を限界まで引き出すためのチューニングする」点に関しては、過去に専用のウィンダムに装備したジェットストライカーのリミッター解除という形で似たようなことをやっていた。
- 現時点では、本機をベースとした偵察型やオオツキガタに相当する宇宙用局地戦型は確認されていない。
- 宇宙用局地戦型に関しては、原型機やM1アストレイでも通常仕様機が宇宙での戦闘における主力機として使われることもあり出番はあまり多くない。
- マイナーチェンジ機ということもあり、連合とザフトよりも一足先に次期主力量産機の更新を達成している。
- C.E.75年5月時点にて、ザフトはゲルググメナースとギャンシュトロームの試験運用段階、連合は不明(ユーラシア連邦軍は105ダガーを運用)となっている。
- 『FREEDOM ZERO』がフリーダム強奪事件を描いたものである(少なくともストライクフリーダムが現役である)場合、C.E.74年12月前後の段階で完成していたことになる。
- C.E.75年5月時点にて、ザフトはゲルググメナースとギャンシュトロームの試験運用段階、連合は不明(ユーラシア連邦軍は105ダガーを運用)となっている。
- 改良点の一つである「前進翼を後退翼に置換した」という点の理由として考えられるのが「耐久性の向上」で「前進翼は速度が出る代わりに耐久性が低く、後退翼は前進翼よりも速度は出しにくいが耐久性で勝る」という点があり、コンパスの過酷な任務に対応するための改良と思われる。
関連タグ
機動戦士ガンダムSEED FREEDOM 機動戦士ガンダムSEED FREEDOM ZERO