終わらない明日へ
おわらないあすへ
- 「機動戦士ガンダムSEED」最終回にあたるTV版PHASE-50(第50話)/HDリマスター版FINAL-PHASE(第48話)のサブタイトル。
- 同アニメ原作のプレイステーション2用ゲームソフト。
ここでは両方解説する。
あらすじ(ネタバレ注意!!)
M1アストレイ隊、ムウ・ラ・フラガを失いつつも、フォビドゥン、カラミティ、ドミニオンを撃破した三隻同盟。だが、多くの犠牲を出しても、戦いはまだ終わらない。
そんな中、ラウ・ル・クルーゼが乗るプロヴィデンスがアークエンジェルに接近。ディアッカ・エルスマンのバスターが迎撃を試みるが、ドラグーンシステムによるオールレンジ攻撃を受けて大破してしまう。
そこへキラ・ヤマトのフリーダムが駆け付け、クルーゼのプロヴィデンスと激しい死闘を繰り広げる。
一方、イザーク・ジュールのデュエルが大破したバスターのもとへ向かうが、そこへγグリフェプタンの効果が切れて禁断症状となったクロト・ブエルのレイダーが現れて2機へ攻撃を仕掛けてくる。
クロトの攻撃によってライフルを破壊されたイザークは、バスターの連結ライフルを剥奪し発射。同時にレイダーもツォーンを発射する。
その結果、連結ライフルのビームがレイダーを貫き、クロトはレイダーの爆発と共に戦死した。
その頃、ドミニオンを退艦したフレイ・アルスターは、キラへの断ち難い思いに引き摺られるかのようにフリーダムとプロヴィデンスの死闘の場へと紛れ込む。
そしてキラの眼前で、キラの精神を壊そうと企むクルーゼの非情の一撃により、キラの眼前でその命を絶たれてしまった……。
守るべきものをまたも守れなかった悔恨に、キラは咽び泣く。
そんなキラに対して、魂となったフレイは、キラが素直に見えるようになっていた。
『…ずっと…あやまりたかった…』
『苦しかった…怖くて、ずっと…。知らなかったから…私…何もわかってなかったから…』
『でも、今…やっと自由だわ。とても素直に…あなたが見える』
キラの前に現れたフレイは今までの仕打ちを謝罪し、 『あなたはもう泣かないで』『わたしの本当の想いがあなたを守るから』 と願い消えて逝った……。
この時の彼女は生前のものとは違うとても素直な表情であった。
しかし、死ぬことで自由を得るのではなく生きて幸せになることで自由を掴むことを願っていたフレイの声が聞こえないキラは絶望と憎悪のまま、この戦争の元凶であるクルーゼに決戦を挑むことになる……。
一方、パトリック・ザラはジェネシスの標的を地球へと向ける。
しかし、ラクス・クラインの停戦勧告を聞いていたことで、ザフトの中にも、パトリックの行為を制止しようとする者が現れる。
そして、アスラン・ザラは父の凶行を阻止すべくカガリ・ユラ・アスハと共にヤキン・ドゥーエに突入。
しかしそこで見たものは、ジェネシスによる虐殺を止めようとしたかつての恩師「レイ・ユウキ」に撃たれたパトリックの姿だった。
パトリック「撃て…ジェネシ…我等の…世界を奪っ…報い…」
アスラン「父上…!」
死の間際にも、ナチュラルへの呪詛に満ちた言葉を呟き、パトリックは息絶えた。
だが、パトリックの死を以ても暴走は止められなかった。
ヤキン・ドゥーエの自爆に連動して、ジェネシスが発動を開始してしまう。
アスランは単身ジェネシスへ向かう。彼はジャスティスの核エンジンを暴走させ、ジェネシス諸共破壊しようとしていた。
父を止められなかった罪悪感と自責の念に囚われていたアスランは自らの命を絶とうとしたが、カガリに 「逃げるな!! 生きる方が戦いだ!!」 と諭され、ジャスティスをジェネシス内部に残して彼女と共に脱出した。
同じ頃、キラは身勝手な人の業から産まれたが故に世の全てを憎み、分かり合うことなどの一切を拒むクルーゼの言葉やプロヴィデンスの性能に翻弄されつつも、それでも世界を守りたいという思いから諦めず戦い、フリーダムを大破されられつつも、プロヴィデンスのコクピットにビームサーベルを突き込んで撃破することに成功した。
同時にジャスティスが自爆し、ヤキン・ドゥーエとジェネシスは核の光に包まれ破壊された。
爆発したジェネシスの光を見たラクスは、思わずキラの名を叫んだ。
プラントではアイリーン・カナーバら旧クライン派により、停戦の呼びかけが行われ、漸く和平への道が開けるかに思われた。
無残な戦場跡に涙を流すアスランとカガリ。
その時、トリィが宇宙へと飛び出した。
その先にあるのは残骸と化したフリーダムの機体と、キラの姿…希望は、まだ残されていた。
そして、フリーダムのコクピットから宇宙空間に流れ出ながら、キラはこれまでの戦いに思いを馳せて涙を流す。
キラ「僕たちは…どうして…こんなところへ、来てしまったんだろう…」
そんなキラを救出しに現れたカガリとアスランが乗るストライクルージュに発見されたところで、『SEED』の物語は一旦の幕を下ろした。
キラ「僕達の…世界は…」
AFTER-PHASE 星のはざまで
戦いが終わってから数ヶ月後、プラントと連合の間に終戦協定が結ばれた。
先の大戦で心に拭い難い傷を負ってしまったキラは、ラクスと共に地球のマルキオ邸に住むようになった。
そこへカガリとアスランが来訪し、カガリはラクスと、アスランはキラと会話をする。
「僕は何でこうして生きているのか」とアスランに問うキラ。
「みんな同じだ」「生きることが償いだ」とアスランは返答する。
プラント評議会の一員となったイザーク、ムウのことを思いながら一人コーヒーを飲むマリュー、部屋でPCを打ち込むサイ、オーブの面々と仕事をするバルトフェルド、一人悲しみに暮れるミリアリア、深く刻まれた戦場の傷跡。
そして夜空には、幾多の流れ星が…。
やがて、時は流れ運命の物語へと続いていくこととなる…
実はこの「終わらない明日へ」には、シナリオの初期稿が存在している。それによると、
- パトリックがアスランと対峙。ナチュラルであるカガリと共に自分を説得しようとする息子を完全否定し彼を撃ち殺そうとしたところをカガリに撃たれる。
- その後、「ジェネシスの発射はもう止められない」と呪詛の言葉を吐いて、パトリックは死亡する。
- ジェネシスの第3射を止めるためにキラがフリーダムと共に自爆して物語は終わる。
というものだった。
これは最終回の2ヶ月前に発売されたオリジナルサウンドトラック4に「フリーダム自爆」という曲目があることからもうかがえ、監督の福田己津央氏も講演会やDVDのコメンタリーなどで「キラを殺して終わるつもりだった」ことを認めている。
しかし、続編が正式に決定したことでバンダイの意向によりキラの生存が決定。それにより自爆する機体がジャスティスになり、アスランとパトリックの対峙シーンもボツになった。
もしも上述の初期稿が採用されていたら、キラは彼よりも先に平成ガンダムシリーズ史で初めて死亡した主人公として、名前を刻んでしまったのかもしれない。
PS2用ゲーム
ベック開発で2004年10月7日にバンダイから発売されたアクションゲーム。
これ以前に発売された「機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙」のシステムをベースに開発された。
SEED本編完結後に発売されたため、本作より前に発売されたSEED題材のPS2用ゲームと異なりストーリーは最終回まで描かれ、キラとアスランそれぞれの視点でSEEDのストーリーを追体験出来る。
ステージ開始前に導入されるアニメーションは基本的には本編からの流用だが、アスランモードに関してはアスラン視点の新規アニメが製作され、中には本編で語られなかった三隻同盟合流後のアークエンジェルクルーとの交流といったシーンも新たに描かれた。
ミッションモードはアニメ本編キャラとSEED MSVやASTRAYのキャラクターを交えたモードで、それぞれのキャラで異なるストーリーをクリアしていく。
オープニングは本作のためにアニメーションが新規で起こされ、アバンタイトルでミゲル・アイマンによるナレーションの後にT.M.Revolutionの歌う『Zips』をバックにMSVのモビルスーツとキャラの活躍がふんだんに描かれた。
本オープニングでミゲル専用ジンが装備するシールドは『機動戦士ガンダムF91』に登場するダギ・イルスが装備していた物と同デザインだが、これは当オープニングに関わったスタッフが「デザイナーが同じだから」という理由で考案したもので、2024年に発売決定したマスターグレードのミゲル専用ジンでもダギ・イルス本体を差し置いてMGでシールドも立体化。
また、当商品のイメージ画像もミッションモードのOPのタイトルバックを飾ったミゲル専用ジンをイメージしたポーズと背景だった。