「私の子供だ! 最高の技術で、最高のコーディネイターとするんだ!」
CV:柳沢栄治
人物
博士号を持っている遺伝子研究の専門家で、キラ・ヤマトとカガリ・ユラ・アスハの本当の父親。ナチュラル。
コーディネイター作成禁止法下で、不正にコーディネイターを制作していたG.A.R.M.R&D社の研究所が存在するコロニー・メンデルにて、主任研究員として妻のヴィア・ヒビキと共に夫婦で勤務していた。
依頼人が要求するコーディネイターの制作を行っていく中で、要望された通りの子が誕生しないケースも発生し、その最大の原因は「妊娠中の母胎」がある事を突き止め、「人工子宮」を開発する。だがいつからか自身の理想を叶えるべく、数多の胎児の生命を使い捨てにした人体実験を繰り返し、この件でヴィアからは「あれは物ではない!生命(いのち)なのよ!」と激しく非難されるも「より良きものをと、人は常に進んできたんだ!それは、そこにこそ幸せがあるからだ!」と止ままらず、ついには妻の胎内に宿った自らの二卵性双生児(受精卵)の内、男児の方を最終実験体にする事を決定する。 【自身の息子を最高の技術で最高のコーディネイターにする】という野望の為の人工子宮研究の研究資金と引き換えに、資産家アル・ダ・フラガの依頼で彼のクローンを生み出した。
(しかし、テロメアの短さから失敗作の烙印を押され、これが後々の悲劇の遠因となってしまう)
そして、ようやく最高のコーディネイターたるキラ・ヤマトが誕生した直後に、ヴィアと共にブルーコスモスの襲撃を受けて生死不明となった。
生まれて間もないキラとカガリはその直前にヴィアによって、彼女の妹のカリダ・ヤマト夫妻に託されて、彼らと共にメンデルを脱出して一命をとりとめていた。
そしてキラはヤマト夫妻に、カガリはユーレンの学生時代の友人であり、ヴィアとも生前交流のあったウズミ・ナラ・アスハにそれぞれ引き取られた。
なお、ブルーコスモスの襲撃事件については宇宙での事件だった為に、遺体が確認されていないので記録上は「生死不明」と言う形だが、確実に2人とも死んでいるとされている。
しかし、主人公・キラの出生に関する黒幕的な存在でもある点から、一部のファンからは「実は何らかの形で生存していてどこかで暗躍しているのではないか?」と推測されたりもしている。
『SEED FREEDOM』では本人こそ登場しなかったものの、ある人物と関わりがあった。その人物の詳細は当該項目に譲るが、作中で見せた人間性と所業により一部のファンから「ユーレンの方が遥かにマシ」と評されている。
ただ、キラが誕生するまでの過程である疑惑が浮上しており、更に、キラの恋人となったラクス・クラインの出生もメンデル絡みであり、研究員だった彼女の母とも何らかの関係があった可能性が浮上している。
その所業の是非について
まず彼の犯した罪を単純に羅列すると大きく分けて、以下の3つが挙げられる。
- 「完全な調整を行う」という大義名分で胎児の遺伝子を弄くり回し何十人と死なせ、その過程で失敗作も生み出した
- 資金欲しさに世界の破滅の引き金となる違法クローン、ラウを作った
- 妻に無断で受精卵を取り出し(当時)成功率0%の施術を行った
そしてその目的が「自分の子供を最高のコーディネイターにするため、そしてそれこそが子供の幸せに違いないと決めつける」というエゴに塗れたものである。
なるほど、確かにイかれたマッドサイエンティストと言える。
しかし、一つ一つ分解して、C.Eの価値観に当て嵌めてみると、実はかなり情状酌量の余地があるのである。
まず「胎児を大量に死なせた」点だが、実は一番情状酌量の余地があるのがここ。
理由として、C.Eには「コーディネイターの捨て子が尋常でない程多い」という社会問題が存在する。(「兵士なんてそこらに落ちてる野良コーディネイター拾って洗脳すればいいじゃん」と平然と宣い、それを部隊規模で運用している組織もある程)
その動機として有名なのがSEED屈指の迷言「目の色が違うわ!!」、要するに遺伝子調整の失敗(というより、生育環境が母胎である以上母の影響を受けてしまい、せっかく調整しても揺らぎが発生し顕在遺伝子に上書きされてしまう)である
それによって「思い通りの子供でなかったから」と言う理由で捨てられる事案が多発していた。
完全な遺伝子調整とはつまりこう言った「不完全な調整によって起きる悲劇を未然に防ぐ」という大義によって始まった研究であるため、仮にユーレンがやらなくとも別の誰かが行っていた可能性が高く、人倫を優先するが故にやらなければならなかった研究でもある。
(人倫に配慮するなら遺伝子調整などするな、とは言えないのがC.Eなのでそういった反論や批判はお門違いである)
「資金欲しさに違法クローンのラウを作った」も上記の大義名分の結果致し方なかったとも言えるし、クローニング自体は別にユーレンでなくともできた以上、やはり研究資金に困っている誰かがやったことであるため、彼だけの責任ではなく、むしろ依頼しに来たアル・ダ・フラガが一番悪い。
そう考えると情状酌量の余地がない「妻に無断で受精卵を取り出し失敗例しかない施術を行った」だけが彼が犯した、犯す必要も犯される余地もなかった罪ということになるが、これ自体も(歪んでいるとは言え)彼なりの愛の結果とも取れる。
その根拠として「より良きものをと、人は常に進んできたんだ!それは、そこにこそ幸せがあるからだ!」という台詞があり、つまり彼が子を実験台に選んだのは「我が子の幸せのために」でもあったのである。
キラは「やろうと思ったことはなんでもできる」多くの才能を持っている。しかし、あくまでユーレンは生まれてくるであろうキラの生き方については具体的には口を出していない(ユーレンが生存したままであったら、キラの人生に口出ししていた可能性も否定できる材料はないが)
メンデル内に「運命で適性や役割を何もかも決めてしまう方が幸せ」という理論を提唱する者がいたことを考えれば「そんな世界になっても自分で"道を選べる才能"を与える」というのは(彼がその理論を知っていたかはともかく)見方によっては「最高の贈り物」でもあるとはいえる(もっとも、あってほしくなかった適性があったせいでキラは苦しむことになったが)
容姿は遺伝子調整の成否として一番わかりやすいバロメーターである以上弄っていないわけがないため「最高のコーディネイター」の「最高に優れた容姿」が「妻の生き写し」というのはこの上ない愛の表現ではあると思われる。
更に、ヴィアと幼いキラとカガリ、ヤマト夫妻が笑顔で映る写真が存在し、ユーレンが映っていない事、たった一例の成功体を連れ出しヴィア達に引き渡せる立場にいたのはユーレンしかいない事から、これを撮ったのがユーレンという説の根拠になっており、つまりその後妻とも和解したと思われる事からも、やはり愛情自体はあったと言える。
なお視聴者から美少年、イケメン、女顔、母親にそっくりなどと称されてるキラであるが、実は公式的には別段顔が良いといった設定はなく、また母親に似ていると言われた事もない。
小説版SEED FREEDOMよるとメンデル時代、アウラ・マハ・ハイバルとライバル関係でともによりすぐれた人類を創り出そうとしていた。
その過程で「「人間の域を超えた能力を持っている上位者」を作った彼女と比べれば、「側から見れば人外じみているとはいえ、あくまでもその個体の持つ遺伝子のポテンシャルを最大限引き出しただけ」で、それなりに金が掛かっている人類上位層クラスなら模倣できる程度(=人としての枠の中)にちゃんと納めているユーレンは遥かに理性的と言える。
ギルバート・デュランダルとの関係は不明だが、彼らの計画に否定的で「遺伝子を操るだけじゃ満足できずに、他人すべてを操ろうなんて、きみはとことん傲岸だね」と発言していた事がアウラ側の回想で明らかになっており、「自分の息子を実験台にした」以外は本当に「人道的」科学者であった事が判明した。
結論として「狂っているし、見下げ果てた奴であるのは確かだが、少なくとも愛だけはあったはず」という評価になり、「マトモな方」という評価になってしまう。
関連タグ
キラ・ヤマト カガリ・ユラ・アスハ ラウ・ル・クルーゼ カナード・パルス ヴィア・ヒビキ
全ての元凶 だいたいこいつのせい マッドサイエンティスト 毒親
ザッパーザク…声優が共通するガンダムキャラクター