概要
アニメ『機動戦士ガンダム水星の魔女』のオープニングテーマ、「祝福」のラストを締めくくるワンフレーズ。
水星の魔女最終話のネタバレを含みます!未視聴の方はご注意ください!
そして、『機動戦士ガンダム水星の魔女』の最終回のタイトルでもある。
エピソードとしての概要
本作の最終回はサブタイトルが伏せられており、エピローグでこのタイトルが明記された。
シリーズでも珍しい戦闘を全く行わない最終回である。
あらすじ
呪いの終わり
宇宙議会連合が独断で放ったL1惑星間レーザー送電システム「ILTS」による大出力レーザーにより大破してしまったエアリアル。
スレッタはすぐさまエリクトの安否を確かめに向かうが、キャリバーンに乗り続けていた影響でデータストームのダメージを受けてしまい昏睡状態に陥ってしまう。
スレッタが目を覚ますと、そこは艦の中で目の前には回収されたエアリアルが。
体はすでに限界に近づいていたが、それでもエリクトを助けるためにスレッタは、キャリバーンでエアリアルを再びクワイエット・ゼロへと届けようとする。連合の議長からの命令で出撃した議会連合のモビルスーツ部隊と鉢合わせしてしまうが、彼らもレーザーに自分たちも巻き込もうとした上層部には腹を立てており、見逃してくれたため、無事にクワイエット・ゼロ内部に到着。
管制室にいたプロスペラはクワイエット・ゼロにエアリアルを接続するように諭すが……
スレッタ「やだ。エリクトは渡せない」
スレッタは生まれて初めて自分の意思で母に逆らう。プロスペラはスレッタに「自分の身体はデータストーム汚染の影響でもう長くはない」ことを伝え、愛するエリィが幸せな世界で暮らせればどうなっても構わないことを主張し……
プロスペラ「スレッタ!エリィを思うならあなたも進めるでしょ?」
対してスレッタは、
スレッタ「違うよ、お母さん。私はお母さんも失いたくない。エリクトもお母さんを失うこときっと望んでない。だから……クワイエット・ゼロなんか……なくったって!」
スレッタは身を挺して自力でエアリアルを起動させようとする。
しかし、これ以上スコアを上げる力はもう残っておらず、データストームにより苦しめられる中、彼女の前に現れたのは……
エラン4号「また…困ってる?」
目の前には、ペイル社に処分されたはずのエラン4号の姿が。実はクワイエット・ゼロには、強化人士のオルガノイド・アーカイブ(簡単に言えば強化人士のデータ)が組み込まれており、これにより4号はエリクトと同じように『データストームの先』から姿を現すことができたのだ。
4号の協力を得て、データストームを発生させ宇宙へ出たスレッタはエアリアルを再起動させエリクトを呼び覚ますことに成功する。
スレッタ「私…欲張りだから。お母さんともみんなともやりたいこと、いっぱいあるから!」
エリクト「……うん」
エリクトはスレッタの想いに応えるように、エスカッシャンをキャリバーンに接続した瞬間、キャリバーンのシェルユニットが虹色に輝き出し、虹色のデータストームを展開。すると、ILTSのレーザーが発射されそうなことを察知し、一同に避難を促す。
それを聞いたミオリネは、連合の武力侵攻の動機をなくすため、ある声明を流す。
ミオリネ《ラグランジュ4および、周辺宙域内の全ての人聞こえますか?私はベネリットグループの代表取締役、ミオリネ・レンブランです。ベネリットグループは先ほど、グループ解散と清算手続きの申請を行いました。弊社の資産は先のグラスレー社と同様地球側の企業へ売却、もしくは合併を行う形で合意に至りました。一連の事件に関与していたという証拠資料をシャディク・ゼネリの宣誓供述書とともに公表することをお約束します》
シャディク「やっぱり君には敵わないな……。Alea jacta est(賽は投げられた)」
なんと、シャディクを通してベネリットグループの解散手続きを既に済ませていたのだ。資産は既に売り払われており、議会連合と手を組み高みの見物をしていたペイルCEOの4人は混乱。すると4人の前に辞表が。
オリジナル・エラン「ヘッドハンティングって奴?ペイルグレードの下じゃ飼い殺しだからさ。じゃ♪」
オリジナル・エランもペイル社を見限り、辞表を出してその場から去っていく。ペイルCEOの4人はあっけに取られた表情でそれを見送ることしか出来なかった。
しかし、議長はまだ諦めておらず、クワイエット・ゼロが健在であることを理由にレーザー砲を発射しようとする。
アリヤ「スレッタ!逃げろ!」
スレッタ「いえ……止めてみせます!」
そう啖呵を切ると、その声に応えるように格納されていたファラクトとシュバルゼッテが無人で起動。4機のGUND-ARMで巨大なデータストームを展開し、ILTSのシステムにオーバーライドし、機能を強制停止させることに成功した。半ばオカルトじみた展開に議長は呆然とするしかなかった。
データストーム空間の中には、これまでGUND-ARMに関わってきて命を落とし、データストームの先に至った人達の姿が。
夫であるナディムやヴァナディース機関の仲間に、もう終わらせるように諭されたプロスペラだが……
プロスペラ「…できない。私が私を許せない。ナディムを…先生を…みんなを失ってエリィまで失ったら…」
間違っていると言われてもいい。もう何も失いたくない。心からの想いを吐露し、その想いを肯定したのは他でもないスレッタだった。
スレッタ「エリクトのために『復讐』じゃなくて、『未来』を選んだんでしょ。みんなが否定しても、間違ってるって言っても、お母さんの選択を私は肯定します」
瞬間、背後にエリクトが現れ、プロスペラを『魔女』から『母親』へと戻した。
エリクト「僕はスレッタとこれからも一緒にいたい。お母さんとも」
エルノラ「ごめんね…エリィ…スレッタ…」
すると、データストームの展開によって過剰にパーメットが使われすぎたせいか、クワイエット・ゼロとGUND-ARMが粒子分解されていく。
宇宙空間に放り出され漂うスレッタをミオリネが救出に向かうも、返事がない。
最悪の結末がよぎったのか、涙を流し、声を荒げながらミオリネはスレッタに抱き着き、はずみで互いのヘルメットがぶつかる。
すると……。
スレッタ「……あだっ…ミオリネ…さん」
ミオリネ「…さっさと返事しなさいよ…バカ」
こうして、21年にも渡って行われてきたGUND-ARMの呪いを巡る物語は幕を閉じた……。
それぞれの選択の先
それから、3年の月日が流れた。
テロの協力者として自首していたニカは刑期を終えて釈放され、大人になった地球寮の面々と再会。資格試験にも合格し、学校も復学。これからは仕事と学校を両立して頑張っていくようだ。
一人その場に居合わせていなかったチュチュは、ロウジと共にモビルクラフトを扱った企業に就職。なんやかんやで上手くやっている様子。
ペイル社から解放され自由になったエラン5号は、ノレアの遺した絵の場所を探す旅をしていた。
5号「場所くらい書いとけよな…」
ベネリットグループに関する一連の事件の黒幕だったシャディクは、クワイエット・ゼロの一件も自分に責任があると嘘をつき罪を背負い、全ての罪を償っていく決意を固めていた。公判前に面会に来たミオリネに、もしかしたら最後となるかもしれない別れの挨拶をする彼の表情は、つきものが堕ちたかのように穏やかなものだった。
シャディクの元を去るミオリネは、首元についた端末を介してエリクトと会話していた。
なんとエアリアルが粒子分解された時、スレッタがホッツさんのキーホルダーにエリクトのデータを移していたという。小姑として甲斐甲斐しく世話を焼いているようだ。
高校襲撃時に重傷を負ってしまったペトラは、脚をGUND医療による義足にして復活。ラウダと共に過ごしているようで、株式会社ガンダムのテスターになることが決まったという。そしてラウダも、兄だけに頼らず独立していく決意を固めたようだ。
自分の責任にひたすら向き合ってきたグエルは、ジェターク社とアスティカシア高等専門学園の再建に成功。ビジネスパートナーであるオリジナル・エランとその秘書になったセセリアに振り回されながら、多忙な毎日を送っている。
そしてミオリネは、釈放されたシャディクガールズを伴い、地球でのデモ相手の交渉などに奔走していた。3年経った今でも、地球の情勢が変わる気配はなく、ベネリット解散で分配された資産もまた宇宙に吸い上げられるばかり。
何が正しいのか苦悩するサビーナに対し、ミオリネは答えた。
ミオリネ「人の数だけ『正しい』があるもの。いつか必ずどこかで間違うのよ。それでもできることをするの。この先も」
そう言って車を降りた先には……
地元の子供達とリハビリ生活に励むスレッタの姿があった。
データストーム汚染の影響でまだ身体はうまく動かないものの、地球の片田舎でプロスペラと穏やかに過ごしているようで、地球にも学校をつくる目標を立てたという。
そこに、株式会社ガンダムの仲間たちが迎えに来る。
ミオリネ「帰りましょう」
スレッタ「はい」
スレッタ「私、おなかすいちゃいました」
ミオリネ「…私も」
手を取り合う二人の薬指には、おそろいの指輪が光っていた。
This is where the story concludes…
"the Witch from Mercury"
ここで物語は終わります…
"水星から来た魔女"
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』最終回ネタバレ解禁!感想会SP』
第24話放映後、通常は放送後に配信される『魔女ラジ』に代わって『『機動戦士ガンダム 水星の魔女』最終回ネタバレ解禁!感想会SP』が配信された。スタジオのメンバーである市ノ瀬加那、Lynn、大塚剛央の三人はその場で視聴していたようで、涙のあまりメイクが崩れてしまったのか予定より開始が5分遅れた18:05となっている。
告知自体は放送前に行われたもののグエル役の阿座上洋平がCOVID-19感染のため、出演がキャンセルされるという悲劇も。兄さんが風邪をひいたのは水星女とトマト女のせいだ。幸い症状自体は軽微であったため配信の最後にコメントを寄せている。
第24話について、語りつくせないとしつつも冒頭から感動し熱い展開がありスレッタのエリクトを守りたい信念が感じられたと冒頭から述べられ、ラウダもグエルやフェルシーの説得の甲斐あって水星女へ最後の最後でようやくねぎらう言葉をかける事が出来たとした(チャット等ではラウダ・エールともじった声も)。
まさかのエラン全員集合に関しても、「ヤバかった」と声を荒げ感慨深い展開と語った。『PROLOGUE』のヴァナディース機関の面々に関してもエルノラを救った点と合わせ触れられ、エリクトをデータストーム空間とはいえようやく触れ合えたため全てを失った事に起因する復讐から解放されたと総括した。
キャストからのメッセージでは、シャディク役の古川慎、エラン役の花江夏樹、マルタン役の榎木淳弥(ボイスメッセージとして)、プロスペラ役の能登麻美子(直筆の手紙として)らから贈られた。
シャディクが受ける公判は「“最後の仕事”」とされており、意味深な発言であるとともに読み上げたLynnが涙していた。花江のメッセージは例によって「エランとエランとエラン役」となっており(イメージ画像は5号)、第23話でプロスペラを制圧するシーンについて盛り上がっていた。当初はマルタンが一話限りのモブと思っていた榎木も最終決戦まで参加するという絶妙な役どころになった事で作品にも思い入れが出来たと語り、最終回も視聴中はまさかの全滅エンドの可能性があったとしつつもハッピーエンドで締められ気持ちいい作品になったとした。そして大トリの能登は結末に「熱い涙をこぼしています。」と率直な感想を述べ(同時に「お前がこぼすなよって言わないで下さいね(笑)」と自虐している)、「母親」としてスレッタらに「祝福」を贈り「進めばふたつ♡(原文ママ)」と手紙を締めた。プロスペラ自身は(身に訪れた不幸の結果全てを失ったため)決して悪ではなく、悲しみに寄り添える人間が必要であったと総括した。
番組も佳境に入り、出演者フリートークとして市ノ瀬、Lynn、大塚が演じたキャラや名シーンについて語る事に。
フリートークに対するチャット返信で、スレッタの「やりたいことリスト」は卒業までに達成出来たのかとの質問があったが「ミオミオ」呼ばわりを拒否されているため厳しいだろうとの見方を示した。
水星の魔女フェス「アスティカシア全校集会」についての告知もあり、WebCM第2弾となるグエルとスレッタVerの映像とキービジュアルが公開された。描きおろしイラストを用いたグッズに関しても出演者へ先行公開され、「夏感がすごい」「グエルがヤバい」「ラウダがイケイケ(大塚本人も苦笑い)」といったリアクションがみられた。
最後には出演者からのメッセージが送られ、……るはずだったのだが先述の阿座上からのメッセージが届き受け取った大塚が動揺のあまりグッズのうちエランだけがテーブルから落ちたり感嘆極まった市ノ瀬の涙が止まらないといったハプニングも発生するも、市ノ瀬に視聴者から目一杯の祝福(拍手)が贈られ幕引きとなった。
余談
データストームのその先で次回は待っていません
水星の魔女はハッピーエンドで幕を閉じた。しかし、完結を認めたくない者達がデータストームの先へと干渉した結果、彼らの脳内でデータストーム汚染が発生して、水星の魔女25話という集団幻覚がTwitter上で発生してしまった。
ほどほどにね?
雑多なもの
- Season2ではこれまで用いられていなかった本作のメインテーマ『the witch from mercury』が15話ぶりに使用され、『感想会SP』でも大塚が触れていた。
- Season2ED『Red:birthmark』は用いられず、代わりに同曲のアーティスト、アイナ・ジ・エンドの『宝石の日々』が挿入歌として用いられている。場面は3年後のテロップ以降。
- 放映日の前日の2023年7月1日には、Twitterの大規模障害が発生し認証済みアカウント(Twitter Blue等利用者)でも告知当初は6000件、第24話放送時点で10000件までの厳しいツイート読み込み制限(一般ユーザーはこの十分の一である1000件まで)が課されたため実況等が危惧されていたが、その逆境ですら跳ね返しトレンド入りを果たした。しかしマーキュリアン達の怒りは頂点に達しており、先述の『感想会SP』のチャットではTwitterプレゼント企画が発表されるや否や「やめなさい」「パーメットスコア上げろ」「汚したな」などと某CEOへの呪詛が唱えられていた……。
チュチュ先輩もお怒りです。
- 放送後の2023年7月9日以降も『魔女ラジ』の配信が継続されると発表されており、第38回ではプロスペラ役の能登麻美子が2023年3月21日の第23回以来の出演。
- ラジオの出演者も最終回までにプロスペラかエリクトのどちらかが退場するのではないかと予測していたが杞憂に終わったとコメントしている。プロスペラの仮面が砕けていく演出にはオンエア時に実際に目にして感動したという。
- また、ナディム役の土田大が市ノ瀬と入れ替わりでアフレコ現場に訪れた際は『PROLOGUE』以来の出演であったが市ノ瀬に対して「がんばってね!」と激励したとのこと。
- 視聴者からのメッセージの返答で強化人士4号の再登場に見返すたびに涙したと市ノ瀬が語り、『PROLOGUE』と最終回の対比に関しても「エルノラ」を否定するデリングと肯定するスレッタとなっていると触れられた。
関連タグ
Gガンダム大勝利!希望の未来へレディ・ゴーッ!!:機動武闘伝Gガンダムの最終話。水星の魔女とは対照的に、予告の時点で(肝心な部分は伏せてはいるが)「主人公が勝ってヒロインも無事に救出されてハッピーエンド」という盛大なネタばらしをぶちかました。なんならナレーションも「全宇宙の運命やいかに!?」と危機を煽った後すぐに「Gガンダム大勝利!」と高らかに勝利宣言する始末である。でも今川だからしょうがない。
彼等の居場所:前作「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」の最終話。
目一杯の祝福の先に映りしもの
後番組の告知が終わった後、流れる一本のCM。
「シリーズ最新作」の文字が表示され、その後に映るのは水の中で手を伸ばす存在、燃える戦場の中で戦闘しているモビルスーツ、2人の男女——
そして最後に出てくるその作品の名前は——