「ジャズが聴こえたら、俺が来た合図だ」
CV:中村悠一
人物像
地球連邦軍ムーア同胞団の空母「ビーハイヴ」のエースパイロット。階級は少尉。
一年戦争初期に壊滅したサイド4「ムーア」コロニーの首長の息子であり、同郷のクローディア・ペール、コーネリアス・カカとは幼馴染の間柄。
鼻炎持ちであり、そんなイオにコーネリアスがポケットティッシュを渡すのは殆ど習慣となっているようである。
自身の「首長の息子」という立場を疎んじており、また大きな意味で自分自身の立場に縛られることを嫌い、自由に宇宙を飛ぶモビルスーツという存在に惹かれ、それを自在に操る事が出来る「戦争」に取り憑かれている。
クローディアとは一度恋仲になったが、一年戦争開戦後はイオ自身がモビルスーツに傾倒していった事もあり、次第に疎遠になっていった。
パイロットとしての腕前は確かであり、ジオン系モビルスーツの操縦訓練も受けている。
劇中、サンダーボルト宙域ではフルアーマーガンダム単騎でリビングデッド師団を壊滅寸前に追い込み、更には南洋同盟との戦いでも試作兵器であるアトラスガンダムを手足当然に操り、不慣れな水中戦でもグラブロに圧勝、更には味方のSFSを足場にしながら敵側のSFSに飛び乗って飛行能力だけを奪い、敵指揮官の乗るSFSにタッチダウンを決めるなどその腕前を遺憾なく発揮している。
規律違反の常習犯で、視聴が厳しく検閲されているゲリラ放送「サンダーボルト放送局(ステーション)」を任務中ですら聴いている。
好きな音楽のジャンルはジャズで、味方だけなく無線を傍受した敵機にまで知れ渡っており、畏怖の対象にもなっている。
ドラム演奏の心得もあるらしく、南洋同盟との戦いでは艦内のレクリエーションルームにてビアンカ・カーライルの弾くピアノとの見事なセッションを披露している。
出撃前にはコックピット内でドラムを叩く真似をしたり、またいくつかの作戦では、任務中でもドラムスティックをコックピットに持ち込んでいることが確認できる。
死を望まれた『英雄』
サンダーボルト宙域での過酷な任務の最中で次々と指揮官を失い、上官パイロットが居なくなった事でフルアーマーガンダムのパイロットに任命され、ダリル・ローレンツの属する「リビング・デッド師団」と交戦する。
イオを任命した上官、グラハム副長は親連邦を貫きムーア壊滅を招いたイオの父とその一族を憎悪しており、復讐を兼ねてイオを「英雄的な死」に陥れつつ士気高揚に利用する算段であった。
グラハムの思惑とは裏腹に、イオはリビングデッド師団を単騎でほぼ壊滅に追い込むほどの活躍を見せ、ダリルの乗るサイコ・ザクとの戦闘で相打ちになり機体は大破。
その後、リビング・デッド師団の増援として派遣されたセイレーン機動艦隊によって他のビーハイヴクルーらと共に捕虜となり、フル○ンで拷問を受ける羽目になるが、ア・バオア・クーでの戦闘の混乱に乗じて見張りを射殺し、仲間たちと共に脱走した。
アトラスガンダムの専任パイロットに着任
戦後は「ガンダムを鹵獲された」「少年兵らを盾にした」という誹りを受けながらも、南洋同盟に対する「サンダーボルト作戦」の決行に際し、アトラスガンダムを与えられ戦場にカムバックした。
しかし戦いの最中に、かつての上官で幼馴染みのクローディア・ペールが南洋同盟の信徒となって指揮を採っていた事が判明する。
更にその後、作戦参謀のモニカ・ハンフリーから、交戦以前から敵にクローディアがいることを知っており、クローディアの戦意を削ぐためにイオをスパルタンに配備したことと、南洋同盟の指導者レヴァン・フウの正体がニュータイプであることを明かされている。
その後はスパルタンの乗員としてサイコ・ザク復活を企む南洋同盟を追うが、タール島火山基地にてジオンを裏切り、南洋同盟へと鞍替えしたダリル・ローレンツのサイコ・ザク試作機と再び相まみえる。
そうだ英雄。お前が、殺した。
激闘の末にダリルを撃墜寸前に追い込むが、その行方をクローディアに阻まれ、そのままクローディアを手にかけてしまう。
クローディアを手に掛けたというショックは大きく、イオは愕然とした表情で顔から出る液体ほぼすべてを垂れ流しながら「ころした…おれが…クローディアを…おれが…」と呟き、雑誌掲載時にはそれに答えるように「そうだ英雄(イオ)。お前が、殺した。」という容赦のない煽り文が掲載されており、このエピソードが収録された単行本の発売予告にも使われている。
錯乱状態に陥ったイオはダリルを逃してしまい、ダリルは新型機であるサイコ・ザクMk-2に乗り換えてスパルタンのブリッジを破壊。スパルタンはその余波でクルーを逃してブリッジに残ったパイク艦長もろともそのまま爆沈してしまう。
その後イオは重度のPTSDを患い、人事不省となってしまう。完全に心が折れ、病室のベッドに横たわるイオだったが、南洋同盟のスパイと判明したコーネリアスが現れ、イオに正体を明かし、せめてもの情けと毒薬を投与し殺そうとする。
徐々に毒が注入され、毒が致死量に達したその瞬間、イオは拳銃を握りコーネリアスの頭を撃ち抜く。毒の効力はスパルタンの乗員でニュータイプであるシェリーナ姉妹の妹、イースが感応能力で肩代わりしており、致死毒を請け負ったイースは息を引き取ってしまう。
直前にイースと感応したイオは本当に大切な人を失う哀しみを知り、その後、イオのために力を尽くした妹を失った姉のリリーと兄妹の契りを結ぶ。
失う悲しみを超え、全てを終わらせる為に。
イオとスパルタンクルーの生き残り達は今は亡きパイク艦長の最後の命令を完遂するべく動き始める。
行き先は、サイド3…
搭乗したMS
リック・ドム(帰還のために強奪して使用した)
ジム改陸戦型
余談
演じる中村悠一氏は、ガンダムシリーズではグラハム・エーカーを演じているが作中では別人のグラハム(咲野俊介氏が、演じている)が登場している。
またガンダムシリーズにおいて「ダリル」と名の付くパイロットと関係する役を演じるのは三度目となる。参考ツイート
アニメ版ではダリルの仲間であるショーン・ミタデラの半壊したザクを盾にし、ダリルの狙撃を妨害して近づき、さらにミサイルで爆破し、ダリルの目眩しの飛び道具にするといった主人公とは思えない残忍性が強調されている。まさに「白い悪魔」。
ムーア同胞団首長である父の名前はオットー・フレミング。
アナハイム・エレクトロニクス社の重役アンディー・ウェリントンとは旧知の仲であり、一緒にジュピトリスで木星へ行った事がある。
帰還後、オットーは自身の全財産を投げうってフォン・ブラウン市に「月のテラリウム」の異名を持ち、巨大なタイムカプセルとも呼べる地球環境(絶滅危惧種の動物・植物等)を保存する施設を建設し、地球環境を回復する技術が確立されるまで保管する目論見であったが、一年戦争で地球が荒廃した事に絶望し、拳銃自殺してしまう。その後、ウェリントンは現在に至るまでこの施設を守り続けている。
ウェリントン曰く、父の形見であるこの保存施設はイオにとってある意味兄弟のような存在ともいえる。
一年戦争でムーア同胞団にフルアーマーガンダムが投入されたのもこのコネによるものかもしれない。
もうダメだ………この仕事してたらおかしくなる…
イオが本編で言ってないセリフ。
元々は漫画『チェンソーマン』のキャラクター『東山コベニ』のセリフなのだが、某画像掲示板のカタログ表示のサムネ画像に偶然このセリフのフキダシとクローディアを殺す瞬間のイオの絶望顔が並んでしまい、あまりにもかみ合いすぎていたため「この仕事してたらおかしくなる」の検索候補に本家を差し置いて「イオ」が並ぶほど広まった。