月光蝶
げっこうちょう
機体内のナノマシンを大量に放出し、それを使用して破壊や攻撃などを行う兵器である。ナノマシンの展開時は、それらが光を反射して虹色の奔流となり、その形が蝶の羽を思わせるためにこの名前がついた。
作中の最重要キーワードである「黒歴史」を生み出した元凶であり、ガンダムシリーズの中でも最も凶悪な兵器。
『スーパーロボット大戦シリーズ』などへ客演した際にも飛びぬけて攻撃力が高く設定されている。
アニメ版「∀ガンダム」と小説版(福井晴敏の「月に繭、地には果実」)では若干世界設定などが違ったりするため、本兵器の性能にも多少の差があるのだが、共通しているのは「全ての文明を砂に還すことができる」という点だろう。
小説版は世界観からして福井氏の独自設定が多分にあるため、ここではアニメ版を基本とする。
このナノマシンには、物質やエネルギーを無条件に分解するというとんでもない能力があり、作中では過去に世界の文明をすべて分解し、一度白紙に戻したことがあるほど(また月光蝶により滅ぼされる以前の文明や歴史を作中ではまとめて黒歴史と呼んでいる)。
敵の放ったビームを吸収してしまったり、ミサイルや森林等も分解したりと、攻防共に凄まじい性能を誇る。
一時的にIフィールドバリアで防ぐことはできるが、そのIフィールドのエネルギーも吸収してしまうため、一時的に押しとどめることしかできない。
本編においての被害はメリーベル・ガジットが搭乗時に発動させたが、このころはまだ不完全状態だったため、被害は街を中壊する程度に留まった。月光蝶が完全体となった最終決戦では、ロランの誘導により、大自然に囲まれたマウンテンサイクルで発動した為、かつてのような最悪の事態は何とか免れている。
アニメ本編の月光蝶には「人工物を砂へ変える」以外の効果を暗示している描写がある。
- 第20話「アニスパワー」にて老婆アニスが語るところによると、劇中の1500年前までは作物が全く育たない不毛の土地だった。しかし、山師から「黒い粉」を買いそれを使って土地を育てたと言っている。
- 冬の宮殿に記録されていた黒歴史時代の∀ガンダムや、ギンガナム艦隊に鹵獲され、メリーベルによってテストされた不完全な月光蝶、このどちらも黒い砂嵐が発生している。
上記の描写から、月光蝶は人工物を砂に変えた後に黒いナノマシンへ変質し、自然環境を回復させるという機能が推測できる。
月光蝶が文明を無に返した時期ははっきりと語られてはいないが、アニスの言う「1500年前」が黒歴史と正暦の境目、つまり最終戦争アーマゲドンで荒廃していた時代と、文明が崩壊し自然環境が回復し始めた時代であれば辻褄が合う。
プラモデル「マスターグレード ターンX」の解説にもターンタイプ同士の戦いの果てに月光蝶が発動し、環境汚染や自然環境を破壊する大規模戦争に終止符が打たれた、とある。
∀ガンダムは地球に対する外宇宙からの脅威に対抗する機体であったにもかかわらず、その『脅威』が人類同士の戦争であったこと、そして滅びかけていた地球を救ったのが『兵器』である∀ガンダムとターンXの月光蝶であったのは皮肉としか言いようが無い。
- 他作品の自然回復機能を持ったガンダムはアルティメットガンダムが代表格。
- 『Gのレコンギスタ』に登場したG-ルシファーにも搭載されている。監督の富野由悠季が言うには有用技術であるために継承されてきたからで、技術保存の為に搭載されてきたらしい。しかし、具体的な威力や範囲など具体的な性能、年代的に矛盾もあるため、∀ガンダムと同じシステムかは不明。
- 『第3次スーパーロボット大戦Z天獄篇』では攻撃手段のほかにエネルギーを吸い取る特殊能力も実装されている。スーパーロボット大戦シリーズにおいて敵のエネルギーを吸い取る手段は非常に少なく、そもそも用意されていないことが大半。