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グリーン・ワイアット

ぐりーんわいあっと

グリーン・ワイアットとはアニメ「機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY」に登場するキャラクターである。
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概要編集

声優は田中秀幸


地球連邦軍所属の軍人で階級は大将。連邦軍の主導者の一人で自ら派閥を持つタカ派の人物。

ただし、同じタカ派でもジャミトフ・ハイマンらが所属していたジーン・コリニー大将らとは派閥が異なる。

イギリス出身であるらしく、演説にイギリスの故事を引き、決まった時間に紅茶を飲むなど英国紳士風の振る舞いに固執している。


腐敗した連邦軍の将校として描かれてはいるが、それと同時に大艦隊の司令官としては一定の有能さを見せる面も描かれている。

大艦巨砲主義が主流でモビルスーツを軽んじる風潮が残っていた当時の連邦軍にあって、モビルスーツによる艦隊直掩の利点をしっかりと把握していた。

またデラーズ・フリートによる星の屑作戦に際してひそかにシーマ・ガラハウと密約を結んで情報を引き出そうとし、暗礁宙域での密会を試みるなど戦術レベル以上の手を打てる人物であることも分かる。

しかし密会に向かう道中アルビオンに遭遇するというイレギュラーな事態に遭遇するも深く捉えず放置してしまう。結果、シーマ艦隊がアルビオンの逆探に引っかかってしまい、緊急出撃をかけられ密会が成立しない事態に陥る。

その旨の緊急入電を受けると、半ば自業自得にもかかわらずアルビオンに怒りを露わにしつつ、シーマ艦隊の旗艦に当たらないように砲撃を行いながら撤退する。

これにより「アルビオンには同艦の想定通りの緊急事態という認識を維持させる」、「シーマにはしっかり交渉の意思を示す」、そして何より「自分達は限りなく安全な立場で逃走に成功する」という、凄まじく複雑な政治的判断を短時間で上手くやってのけるやり手な一面を見せた

これにはシーマも「いい男だったかな」とその手腕を褒めていた。(状況的に一番立場が弱いシーマがこのアクシデントの詳細を正確に把握しているほうがよほどすごいのだが)


全ての人民に連邦軍の威容を誇ると共に、宇宙に潜むデラーズ・フリートをおびき寄せ一挙に掃討するため、自らルナツー方面軍第二守備艦隊旗艦のバーミンガムに乗艦。コンペイトウにて宇宙艦隊のほぼ全てを集めた観艦式を行い、観閲官として参加。モビルスーツと防御衛星により幾重にも防衛網を張り巡らして待ち構える。

そして読み通りに襲来するデラーズ・フリート襲撃部隊を水際で食い止める事にも成功するが、アナベル・ガトーの操縦するガンダム試作2号機は阻止できず、彼の卓越した操縦技術と大出力機体の機動性により防衛網は突破される

そして観艦式艦隊の中央に座していたバーミンガムが核攻撃の目標となり、ガトーの放った核弾頭の直撃を受け戦死してしまった。


一年戦争にも参戦しており、当時の階級は中将

最高幕僚会議の一員としての立場にあり、ア・バオア・クーを直前にして倒れたレビル将軍の指揮権の一部を引き継ぎ、ア・バオア・クー攻略戦の指揮を執り、勝利の一翼を担った。


なお、ゲームギレンの野望においては劇中では無能として強調されていたこともあり、ゴップエルランと同じく高い階級のくせに底辺に近い能力値の持ち主。強いて言えば利点はずっと連邦軍所属のため連邦を選んだ場合は別勢力に移動せずずっといること……だが、弱いので居てもしょうがないとしてジャブローでお留守番になることも多かった。

映像内で描かれた活躍が敵との密約か連邦の数を笠に着た恫喝に近いものばかりだったのが運の尽きと言った所だろう。

…が、近年ではある程度の再評価が進み嘗てか、連邦三大無能将軍仲間だったゴップとともに新ギレンの野望では司令塔としてなんとか使えるレベルに上方修正された。そのため三人の中で新ギレンの野望では相変わらず無能ポジなのは、原作でもスパイ行為という利敵行為をしておりORIGINにていざという時の小心者な言動の連続で醜態を晒しまくったエルランのみとなった。


因みにワイアットはイギリス系で見られる苗字で、英国紳士的な立ち振る舞いを好む彼には良くも悪くもふさわしい苗字である。


再評価について編集

OVA当時は劇中での流れ通りシーマと独断で密約を交わそうとして失敗。結果としてバニング大尉を死なせる遠因を作り、自らも滅んでいったという立ち位置。ただ彼の狙い自体は上手くいけば星の屑を潰せるものだったこともあり、思い通りになればMVPになれる可能性があった。これを理由にワイアットを再評価し、アルビオン=シナプスを極端に貶める視聴者が一時期非常に多かった。


ただこれらの主張は彼の非公式な交渉が滞りなく進んでいれば星の屑が綺麗に解決していたという結末を知る俯瞰視点=神視点からくる主張が中心である。ただこの主張は本編でわかりやすく強調して演出されている連邦軍やワイアット側のミスや怠慢を無視した横暴な論調が主であり、現在は再検証により、少なくともアルビオン側に対し失敗の責任を押し付ける論は否定されつつある。


まずバーミンガム=ワイアットは「政治的野心から独断で行動している」という大前提がある。当然軍には無断=非公式である以上、事情を知らない、しかも所属違いの友軍に対し指示もなく「便宜を図れ(忖度しろ)」と要求をするのは例え大将が相手でも横柄かつ無茶である。それがまかり通る方が組織としては問題であろう。おまけに交渉時期は観艦式直前というタイミングで、その状態であのシーンに出くわせば敵対組織の襲撃(奇襲、暗殺etc)の可能性を考慮し、緊急事態と即断するのは当然である。つまりアルビオンの密約への戦闘介入について咎められる要素は一切ない。通信で状況確認をすべきという指摘も、元はと言えばバーミンガムにも言えることである。同話のバニングの「一秒の行動の遅れが艦を沈める」という認識も考慮すれば通信の必要や義務はなかったと断言できるだろう。


結局このアルビオン戦犯論は「交渉が成功すれば丸く収まった=それを邪魔したアルビオンのミス」とするただの結果論であるし、事の順番を考えれば完全に的外れである。バーミンガムは裏取引を行う現場に向かう最中にアルビオン隊のMSに遭遇し存在も認知済、かつ交信可能な距離だった。秘密裏な活動を望むバーミンガム側が第三者との接触のリスクを誰一人認識していない方がよほど異常かつ非常識である。アルビオンを制止するタイミングも数度あり、密会のキャンセルも密約の露見を嫌っての保身に過ぎず、密約の崩壊は単なるワイアット側が密約をする意識に欠けていたという論外さが原因である。


ワイアット個人の評価点としては、政治面にスポットを当てればいくらか肯定可能な部分がある。シーマの取引に安易に応じたと見られる点はリスキーだったが、星の屑打倒の手段としてだけ見れば独断でさえなければ極めて妥当な判断であった。また、先の通り、アルビオンの乱入時には憤慨しつつも損失の少ない方向に持ち込んだ手腕はシーマの称賛通りであろう。そしてコンペイトウで観艦式を行うことで半ば自身を囮にしデラーズをおびき寄せる計画を立て、一定を成功を収めている。ただこれらの評価点は楽観主義的な部分が台無しにしている。特に観艦式では最大限注意すべきだった試作2号機の進撃を止められなかったのは己の詰めの甘さが招いた破滅で、自業自得である。


総合すると単なる無能ではないが、自身の判断を過大評価して、根回し等を疎かにする楽天的思考が足を引っ張っている政治家、であろうか。もっとも、僅か2話しか登場していない以上、端的な部分だけで全てを推し量ろうとするのもまた早計だが。もしアルビオンと遭遇せず、シーマ艦隊を上手く転がせていれば、非合法な手段とはいえワイアットは他の有力者を出し抜いて大手柄をあげ、道義的問題を突かれても大出世てきていたはずである。対比されやすいシナプスと、実は「不運のせいで輝かしい未来を掴み損ねた人」として、似た者同士なのかもしれない。


REBELLION編集

原作監督が監修している漫画「0083 REBELLION」においてはジオン海兵隊を厚遇することでジオンの暗部について世に広め、連邦の正義を強調する戦略を立てており、広い視野の持ち主としてしっかり政治的有能さによりフォーカスを当てて描かれている。

この戦略が上手く行けばシーマ達の未来は明るいものとなっていた可能性が高いが、一方でデラーズ紛争において早い段階からジャミトフが暗躍する様子も描かれているため、ワイアットの死、もしくは排斥がジャミトフの計画の一部であった可能性もまた高く、取引が成功したとしてもシーマ達に未来があったかどうかは怪しい。


一方でシーマとの取引において、本作では、パトロールしているアルビオン隊にシーマ艦隊が見つかるという凡ミスをしており、このパトロール時にはシーマ艦隊と確認が取れているため、本編以上にアルビオンの非の部分を潰しており、なおかつアルビオン隊から状況の説明を求める動機を作っている。

この時に説明をしておけば取引自体うまくいった可能性があったにもかかわらずにシーマ艦隊に攻撃をして逃げだしているなど、本編とは打って変わりとっさの判断力に乏しい狭量な人間として描かれている。

このためシーマからも「ワイアットめ!」と憎まれ口をたたかれるなど真逆の評価を受けた。

先のように、アルビオンの行動の正当性をわかりやすく際立たせられたのは良いが、ワイアットの株自体は少し下がってしまっており、少なくとも軍事面や機転の面では明らかに劣っている。


関連タグ編集

機動戦士ガンダム0083 地球連邦軍 バーミンガム(ガンダム)

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