概要
言動や主張に一貫性がなく、その時々の当人の置かれた場の状況や雰囲気、所謂ご都合に流されて行動する様。転じて、創作において、物語の進行に都合のよいように作られた強引もしくは安直な設定・展開のこと。
本記事では後者について説明する。
現実においては、「予期せぬ幸運や不運」「自分の知らないところで話が進んでいた」「他人の突然の変わりっぷりなどに驚く」というのは、よくある事である。
しかし、「神の視点」から人物や世界の動きを追う物語においては、十分な伏線、因果関係、合理的説明が準備できていないと、適当に取ってつけたような脈絡のない展開と化してしまい「都合が良すぎて不自然」と見られてしまう。
大抵はストーリーが十分練られていなかったり、尺の都合などで説明を省かれてしまったりすることが原因で生まれるが、時には元々想定していなかった展開を無理矢理後付けした結果ご都合主義になってしまうこともある。
また、作劇をわかりやすくしたり盛り上げたりするための所謂「お約束」は、よくご都合主義として指摘されやすい。大抵の場合、特に理由付けがされないからである。後述する一例も、ほとんどがこれに当てはまる。
これらを逆手に取り、制作者側がそのような展開に作中でツッコミを入れたり、ギャグとしてわざとらしさが強調されたりすることもある。
ご都合主義の一例
※いずれのケースにおいても作中では相応の理由付けがなされていることも多く、安易にご都合主義と決めつけるべきではない。
補正
- 他のキャラなら死んでいるような危険な目に遭っても主要人物はなかなか死なない。 → 主人公補正
- ゲストキャラクターもピンピンしている作品もある(同じ世界観の作品でも次回作では補正が無くなるというパターンもある)
- あくまでギャグなので怪我をしてもすぐに治るor軽くなるなど、深刻に描かれない。→ ギャグ補正
- ジャイアンが頼れる漢になったり、のび太が本領発揮する。 → 大長編補正
世界線
- 整合性がなくなったら雑にパラレルワールド化。
- 展開に困ったら適当なところで夢オチ。
- 超常的な存在が急に現れて話を強引に畳む、あらゆる不合理を適当に解決するデウス・エクス・マキナ。
設定
- 後付け設定
- キャラクターやアイテム設定で「○○はありえない」とされているのに突然例外ができてしまう。
- 特定の設定だけなかった事になる。
- キャラクターや舞台に変化が生じた結果としてそうなる場合もある。
破壊からの復活
キャラクター
- 唐突に便利キャラが登場して困難を解決してしまう。
- ピンチの際に前置きもなく新兵器や対抗策を披露する科学者。 → こんなこともあろうかと
- 一般庶民ばかりのグループにいるお金持ちや権力者、またその親族(旅行要員や事件の揉み消しなど)
- 絶対日常生活において役に立たないであろう知識を即座に解説する物知りキャラ。 → 知っているのか雷電
- 実は裏で密かにあるキャラをサポート/暗躍していた。あるいは黒幕であった。→ それも私だ
- 新キャラが登場すると元いたキャラクターの扱いが雑になる。
- 例:アーサー王伝説
- 強敵や心強い味方が仲間に加わったり、ストーリーが進んだりするごとに弱体化
- 何を確認したのかわからない死亡確認。
- メディアミックスの影響で大きく人物像が変わっているキャラクターがいる。
- 『イナズマイレブン』などレベルファイブ作品やホビーアニメでよくある光景。
- 敵なのに何の説明もなく突然味方にカウントされる。
- 相応の悪事を犯し、何一つ償う気配のないキャラクターなのに味方になると何故か全て赦される(司法取引と言うわけではない)。
- 何の伏線も無く出現するラスボス。黒幕を倒した直後に突如として登場したり、何の根拠も無く探していた敵の親玉が唐突に現れたり。
- 清純で従順な草食系女子しかいない鬼畜凌辱系エロゲーの学園。
- アリバイ工作を行える協力者や戸籍の手続き等の信頼の築きを無視して記憶操作だけで主人公の通う学校へ転校してくる。
- 例:プリキュアシリーズに度々見られ、敵のみならず味方でも起こり得る。後者においては、近年はきちんと信頼関係を築いて行われたりもする。
特定のキャラ
事件・邂逅
- 刑事ドラマなどでよくある「偶然重要な会話を立ち聞き」。
- 名探偵の行く先々で事件が起こる。→歩く死亡フラグ
- 名医が旅先で怪我人や病人に遭遇する。
- 特定の回だけいつもはポンコツなキャラクターが名推理を披露する。
- 事件と無関係の会話や事象が必ず事件解決の鍵となる。
- そもそも、本当に事件に関係無いものはわざわざ描く必要が無いため、関係のないように「見える」というだけのことである(ミスリード狙いならともかく)。
- 凄惨な死体が不自然に隠された状態で発見される。目潰しされたのにサングラスをかけていたり、腐乱死体がブルーシートに覆われていたり。
通貨・単位
- 舞台が外国なのに通貨が自国と同じ、海外を転々としているのにどこでも同じ通貨が使える。
- 明らかにその国の通貨ではないものを貨幣として取引に使うことができるパターンもある。例として、女神転生シリーズのマッカやイナズマイレブンシリーズのねっけつポイントなど。
- 異世界なのに単位系がメートル法、ヤードポンド法などが使われている、もしくは名称だけ違って同じスケールを指している(ただし、転移・転生した人物が「そのように解釈しているだけ」や「外部からの関与により『翻訳』されている」ケースも多い)。
- 異星なのに日、月、年などの地球という天体の条件を前提にした時間単位が通用する。
武器・道具
- 何かが欲しいと思うと、なぜかたまたまそれが道に落ちていたり、空から降ってきたりして簡単に手に入る。
- 変身アクションで、初変身でも満足に戦える/新武器などを初めて手にした時点で完璧に使いこなせる。
- 元々素養がある、血統や転生など隠された能力や秘密がある、というのが多いが、本能に身を任せている、スーツが戦い方を教えてくれるなどの理由付けがされる事も。
- 変身前に先に変身した味方の様子を見て立ち回りを判断していることも。
- これについては「武器と人との相性」で説明されやすく、何らかの理由で間に合わせの武器を使用している時は主人公でも苦戦しがち。
- 初変身完了直後、考えてもいなかったのに名乗り口上を喋れる。
- 決定的な効果のある道具や能力を持っているのに、危機に陥った時に限ってそれを使わない。
- 後述の販促や尺調整の都合上という場合もある。
- 随伴歩兵も遮蔽物もなく対象に接近する戦車や、至近距離で戦う戦闘機。
- ロボットアニメや怪獣映画に登場する。
- 暴走形態、精神汚染など、技術的にコントロール不可能で使うこと自体があまりに危険すぎるにもかかわらず、差し迫った特別な理由もなくなぜかそのアイテムを無理やり使いたがるキャラ。
- と、何も調整されていないのにそういうキャラが次回使う時に限ってなぜか完璧にコントロールされている暴走アイテム。
- 近年では「力に溺れている」「アイテムに操られている」などの理由が後に判明することもある。
- また、新たに開発された外付けの制御アイテムや、精神力などによる調整に由来しない制御方法が使われることも。それでも表面的な制御に留まる例もある。
- 銃弾がゴムだった、本物の血ではなく血糊だったなど、主人公や味方の時だけ殺傷能力が低くなっている。
- 逃げる人物がちょうど出てきた車に轢かれる。
- 肝心な時に限って大事な装置が故障する(必殺武器だったり、脱出装置だったり)。
言葉・言語
- 日本を訪れて間もないのに日本語がペラペラな外国人、逆に外国語がペラペラの日本人。
- 地球を訪れて間もないのに地球語ペラペラな宇宙人。
- そもそも世界のどこに行っても主人公の言語で通じる。イナズマイレブンやリングにかけろなど世界を股にかけるスポーツ作品ではありがち。なんなら異世界でも通じる。(一応、外国語という概念は存在する)。
- 高性能な翻訳機がある、詳しい描写はないが必死に勉強している、何らかの特殊能力や神からの加護など。設定上は別の言語で話しているものを吹き替えの要領でわかりやすくしているだけというパターンもある。
- 「話せる」かは別として、動物が人間の言葉を理解しているかのように振舞う。
舞台・場所
- 地方の駅というわけでもないのに行為が終わるまでは何十分経っても次の駅に到着しない痴漢系エロマンガ・エロアニメ・AVのバスや電車。
- 舞台作りに困ると、戦争物だろうとファンタジーであろうと、とりあえず学園もの。
- 中世ヨーロッパ風の世界観なのに時代設定が変。 → ジャガイモ警察(そもそも中世ヨーロッパ風異世界でしかないため、これをご都合と呼ぶのはいささか酷であるが)
- プレイヤー視点では街の様子がたった数ヶ月で大幅に変わっているのに何事もなく日常を過ごすキャラクターたち
- 止めたいことや気を逸らしたいことがあると、それに関わる現象ばかり発生する。→マーフィーの法則
謎理論・理屈
- 説明や展開に困るとトンデモ理論がまかり通る。 → 例:ゆで理論、民明書房
- 個々の理論の筋は通っているが、そこに至るまでの過程が唐突、意味不明に見えるパターンもある。→風が吹けば桶屋が儲かるの理論
- 主人公が何か失敗すると、何の説明もなく時間がその前に戻る(回想ではなく、リセットである)
- 試合中でも普通に仲間と喋ったり、途中で回想に入ったりするスポーツアニメ・マンガ。
- 住宅地や人通りの少ない道なのに狙い澄まして突撃してくるトラックに轢かれる転生もの主人公。→転生トラック
- 人智を越えた力でタイムパラドックスを強引に解決(なお完璧に解決されていなくともその先はなかったことにされる)。
交配・年齢
- 異種族との間でも普通に子供が生まれる。
- 人に限りなく近い種族ならまだしも、ケモノなど明らかに人外要素が強い種族とも子を成せるなど。尤も神話時代から見られるものでもある(最初からそのように遺伝子設計されていた場合や、また神が態々手を加えている場合もある)。
- 何度も季節が巡り、時代も変わるが登場人物だけは年をとらない。 → サザエさん時空
- ただし生まれたての赤ちゃんなど一部のキャラだけ年を取ることも。
- 子供キャラの精神年齢が異常に高い(例:2歳で弟を抱え追手から逃げた一輝など)
- 微笑んだだけで相手を惚れさせる。 → ニコポ
- 挿入して責めただけで相手の女性を完堕ちさせるエロ作品。 → マジカルチンポ
- 何も対策せずに行為を繰り返しても、なぜか子供ができないエロ作品。しかも種無しとは限らない。
- 逆に関係を持った相手との間に、必ず子供ができているパターンもある。
- 最終回付近あるいはエピローグで脈がなかったキャラ同士が急にカップル・夫婦になる。場合によっては次々と乱立することも。 → 最終回発情期
特撮系
- 悪の組織が作戦を始めたら、たまたまヒーローもそこを訪れていた。 → 特撮ワープ
- 似た例に人々が敵に襲われている所にヒーローがすぐ現れるなど。と言うより、ヒーローがすぐ駆け付けられる場所にしか敵が出現しない。
- 敵がヒーローやその近親者の利用・抹殺を目的としている、全国にある支所の一つなどごく狭い地域を拠点としているような場合は例外。
- 長ったらしい名乗り口上や変身シーン中に危害を加えない悪役。
- 変身については、バリアが展開される、変身エフェクトも攻撃してくるなどして、妨害したくてもできないからというパターンが多い(平成以降は特に)。
- これを破ったキャラは創作の歴史上でも確認されている(というか変身妨害の類は初代『仮面ライダー』の時点で存在する)。
- 類似例として、ヒーロー達の戦闘とは関係ない会話が終わるまで危害を加えない悪役。「茶番はそこまでだ」といった、さも会話をする余裕を与えていたかのような台詞で締められることもある。
- 自分や他者に攻撃が目の前まで飛んできている時のような、明らかに1秒たりとも時間の猶予がない状況でも、いつもの長ったらしい変身手順を踏んで変身し、普通に間に合ってしまう。
- 時間の流れが違う空間に入って変身している場合もある。
- 発動に時間がかかる必殺技を避けようとしない(それどころか自ら喰らいにいく)悪役。普通そのまま敗北して退場。
- ヒーローの変身前の姿を知っているのに、なぜか正体を周囲にバラさない悪役。
- ヒーローの活動拠点を知っているのにそこに攻め込まない悪役。
- 大抵はヒーロー達の最大の危機を演出する終盤に起こる。
- もっとも、攻め込むとまでは行かずとも、潜入して悪事を働く展開は多い。
- 再生能力や敵の力を吸収する能力の唐突な限界
- 上限無しのチートキャラはほぼ確実にラスボスか中ボスになるし、そんなボスキャラでも決着をつける必要があるので。
- 武器やアイテムを投げ捨てたり破壊されたりしても次の戦闘では元に戻っている。
- 新アイテムが毎週のように雨霰のごとく出てくる。特にアイテム商法が確率されてきた21世紀以降の作品にみられる。
- 稀に本当にみんなで探す描写が入る場合もある。
- 世界征服を企む悪役が日本ばかり襲撃する
- 悪役が巨大化する迄ヒーローが巨大戦力を投入しない。
バトル系
- 戦いで致命的な傷を負い、かつ回復していないはずなのに、次の戦いで普通に動ける。→例:照井竜
- 死の危機があったはずなのに元気に動き回っていたのを別人という設定に変更されて、本人は瀕死というケースもある。
- 都合の良い機械や魔法によって時間はかかるが回復する。(尺稼ぎを兼ねる場合もある)
- 「殺すには惜しい」「興が削がれた」などと言い、ヒーローを始末できる状況でも始末しない悪役。
- ヒーローが現れるとすぐに気付き、周囲に危害を加えるのを中止する悪役。
- 無論、大抵はヒーローが自ら悪役の前に立ちはだかったり、呼び止めたりする。
- 尺調整のために敵キャラがしぶとく生き延び続ける。→例:ノスフェル
- 味方もしぶとく生き延びている。あるいは死んだはずが生きていた事にされる。
- 悪役やメインキャラのバレバレな変装に全く気が付かない。→ばいきんまん
- ピンチになると奇跡が起きて逆転する。→その時不思議な事が起こった
- または先輩ヒーローが助けに来る(主人公が最後まであきらめずに抵抗を続けていたなら「主人公が持ちこたえ続けたからこそ、助けが間に合った」とも解釈できる)。
- 追い詰められた主人公が叫び声と共に何らかの力に目覚める。 → イヤボーン
- 叫び声の他、強い思いや決意を抱いた場合にも見られる。単純に覚醒とも。
- プリキュアシリーズにおける敵幹部の浄化。 → 妖精無罪
- 主人公が一人で行動している時に、何故か偶然出会ったキャラと親しくなるも、後に敵として戦うことになる。→レゼ、桃寺神門
- 視聴者や読者からすると不自然なタイミング、不可解な理由で敵側にトラブルやアクシデントが生じて主人公側が勝つ。
- 敵側が圧倒的に多いのにもかかわらず主要人物が無双する。
- 精鋭などと呼ばれている癖に実際集団でかかると案外クソAIMだったりする。→ストームトルーパー効果
リセット系
- シリーズもので(世界観が同じであるにもかかわらず)歴戦のキャラクターの強さがリセットされる。
- サトシリセット、手に入れた特殊武器やバトルチップがリセットされるロックマンシリーズなど。
- ロックマンDASHシリーズでは前作で集めた装備が無くなる理由が「ロール・キャスケットが売却したから」と説明されている。他にもエバーブルーでは「仲間を助けるために損傷した」と説明がある。
ご都合主義への対策
正当化させる手法
「ご都合主義」を逆手に取り、強運の持ち主という設定のキャラを登場させ、上記のような現象が発生するのはその強運故のことと説明できる作品もある。例:「宇宙戦隊キュウレンジャー」のラッキー、「とっても!ラッキーマン」のラッキーマン。
「装甲騎兵ボトムズ」のキリコ・キュービィーはその究極系とも言える「異能生存体」である(生存を義務付けられ、自分の意思で死ぬことすらできない)。
この他、「ご都合主義」と呼ばれるような設定に作中で理由がなされている作品もないわけではなく、例として宇宙刑事で敵が変身妨害できないのは「実際の変身が極めて短時間で完了するので、敵が妨害する隙が無い」、轟轟戦隊ボウケンジャーで直ぐに巨大戦力を投入しないのは「敵だけでなく味方にも被害が出る為」、月が導く異世界道中で美男美女が多いのは「世界を管理している女神の趣味趣向に左右されているから」と説明されている。他にもゾハルや全知全能の書のように世間でご都合主義と呼ばれる展開が作中設定に組み込まれている作品もある。
都合よく人手や装備が集まる事を「上層部が根回ししてくれているからだろう」と登場人物が推測する形で説明された作品もある。
Conker's_Bad_Fur_Dayのような、ご都合主義の展開を持ち出してなお打開できない状況を作り出すことで、事態の大きさを見せ付けるという手法もある。
また、一見ご都合主義に思える要素が、実は最終章への壮大な伏線だった作品もある。
削ぎ落す手法
ご都合主義をあえて削ぎ落とし、超常的な描写であっても説得力のある設定を持たせた上で、リアリティも追求する事で作品としての魅力に昇華する作品も存在する。
特に有名な例は仮面ライダークウガであり、子供でも容赦無くモブ厳、警察が無能ではない、特撮ワープが存在しないなど、お約束が廃止された。
このご都合主義の排除の極致として「主人公も、(守るためとはいえ)暴力を振るった側なのだからラスボスと相討ちになるべきだ」という案も考えられていたが、「あくまでも子供達に夢を与える番組なのだから」とプロデューサーらが反対した事でボツになった。いかにご都合主義を廃そうとする作品であっても、因果関係や合理的説明にこだわりすぎると話が面白くなくなるのは事実で、常識的に起こりにくい・起こり得ないことが起こるからこそ創作物はエンタメ足りうるのである。
結論
ご都合主義は、ある程度であればお約束として許容されるし、むしろ様式美として愛されたりもする。極論を言ってしまえば、普通に暮らしていて高確率で起こりうる事だけを淡々と羅列していても物語性や面白さは生まれにくいのであり、平々凡々とした日々を送っている者からすれば物語になっている時点でご都合主義的展開は既に発生しているとも言えよう。
「人間は数メートルもジャンプできない」だの、「吹っ飛ぶほどの力で殴られたら先に穴が空く」だの「宇宙で爆発音なんか聞こえない」と言われて面白いかという話で、「俺の宇宙では音が出るんだよ」の精神は大事である。
しかし、だからと言って何事にも限度というものがある。色々な事情等があるとはいえ、必然性も無しにあまりに多用し過ぎれば物語の緊張感を落としてしまうし、あまりにも突拍子のないものであれば読者を置いてけぼりにしてしまうこともあるため、作劇において使い所には注意すべき所でもある。
物語に理路整然とした筋は必要か、整合性とエンタメ性はどちらが重要か。有史以来あらゆる戯作者が頭を悩ませたであろう疑問と不安だが、結局の所行き着くのはその物語を通じて何を伝えたいか、与えたいか、示したいかである。そういった目的、目標がハッキリした上で受け手側がそれを納得できる過程であった場合は、たとえどれほどご都合主義的展開であったとしても、それはお膳立てという形で了承されるのである。
逆に言えば、そうした目的や目標がハッキリとしなかったり、途中でブレたり、それが受け手側にとって納得できないような渡し方であった場合は、どれほど整合性や筋が通っていたとしても駄作や迷作、あるいは記憶に残らないモノとして舞台から静かに去って行くのだ。
関連タグ
奇跡 その時不思議な事が起こった カードゲームではよくあること
負のご都合主義:主人公(ヒーロー)が理不尽に不幸を被ったり、人助けをしても誤解によって悪解釈され嫌われたり、主人公たちと敵対する(もしくは危害を加える)悪役・クズモブにとって都合のいいご都合主義のこと。シナリオフックのレパートリーが少ないと起きがちで、トラブルには事たらないが、たった一回話し合うだけで終わる誤解をダラダラ延々引き伸ばすためにすれ違い続けさせるなどの焦ったい通り越してイライラさせられる不愉快な展開になることが多く、読者や視聴者、プレイヤーから不評を買うタイプのご都合主義はコチラが大半。
デウス・エクス・マキナ:やりすぎて収拾がつかなくなったご都合主義を無理矢理終わらせる究極のご都合主義、当時の哲学者達からも批判されていた辺り創作のおおまかな展開は昔も今も変わっていない模様
ツキの月:『ドラえもん』のひみつ道具の一種。簡単に言えばご都合主義な展開を起こすための道具。材料はゴツゴーシュンギクという薬草。