イヤボーン
いやぼーん
主人公の少年・少女がピンチに陥った際、「イヤーッ!!(嫌ーっ!!)」と叫ぶと同時に秘められた力(超能力)が目覚め、そのあり余るパワーに敵が「ボーン」と吹き飛ばされるというパターンのこと。
語源は『サルでも描けるまんが教室』において「エスパーまんが」の第一話をどうするかと言う相原弘治の質問に対する竹熊健太郎の言葉。
要するに、キャラ(主に主人公)が何らかの感情の爆発がきっかけで突然パワーアップし、そのままの流れで敵を倒す…という展開のことである。
普通に考えればなかなか燃える展開であり、一種のお約束として使われ続けるのも納得。
ただし、「なんとなく話が盛り上がるから」と言って安易に用いるのは禁物。きちんと伏線や必然性を演出できていなかったり、上手く観客を作品に没入させるだけの描き方が出来ていなかったりすれば、陳腐・ご都合主義だという批判を浴びることもある。
そもそも語源からして、『バビル2世』を嚆矢として1970年代後半から1980年代にかけてブームとなったエスパーもの(ある意味、後の異能バトルものの原点)の漫画やアニメにおいて、「それまで普通の日常生活を送っていた主人公がある日突然イヤボーンして戦いに巻き込まれていく」というテンプレ導入がもうウンザリするくらい濫用されたことを踏まえた上での、揶揄的な意味合いである。
また、感情の爆発のきっかけとして、主人公と関連の深い人物(親友や家族など)が死亡する…という悲劇的な展開が用意されていることも多く、場合によっては、敵を倒せたとしても後味の悪さが残る結末となってしまう…ということも少なくない。
『AKIRA』や『紅い牙』のようにイヤボーンすることによって能力が暴走、自分自身までも完全に見失って悪魔になってしまうという展開もエスパーものの頃からのお約束のパターンである。