曖昧さ回避
概要
週刊ヤングマガジンで1982年から1990年まで連載された。
題字は平田弘史が担当している。
翌年開催の東京オリンピックを控えた2019年の荒廃した「ネオ東京」を舞台とした本格サイバーパンクSF作品であり、圧倒的な画力と緻密でリアルな描写、独特の演出などで1980年代以降の漫画およびアニメーションに多大な影響を及ぼした。
タイトルの「AKIRA」は大友自身がファンであり、影響を受けた映画監督黒澤明に由来する。
クリストファー・ノーランの『インセプション』なども本作の影響を受けたものであり『レディ・プレイヤー1』に金田のバイクが登場するなど、映画界にも影響を与えている。
1988年に公開された劇場版アニメは興行的にはふるわなかったが、ソフト化されて以降は特に欧米で広く人気を集めるようになり、現在は押井守の「攻殻機動隊」と並び、クールジャパンの先駆け的存在となったアニメ(ジャパニメーションなる造語を生み出した)として、世界中でカルト的な人気を得ている。
長らく進行が伝えられていたハリウッドで実写版を制作するプロジェクトは無期限休止となったが、リアルでも東京オリンピック(2020年)を翌年に控えた2019年に、新アニメ化のプロジェクトが発表されている。
タイトルの「AKIRA」は誤解されがちだが主人公の名前ではなく、作中で最重要人物である脇役の名前である。
また、登場人物の名前には『鉄人28号』のオマージュが多々見受けられ、何の因果かアニメの制作会社も同じ東京ムービー(現:トムス・エンタテインメント)となった。
ストーリー
1982年、東京において「新型爆弾」が大爆発を引き起こし東京は消滅。
世界のパワーバランスはこれを契機に崩れ去り、第三次世界大戦が勃発した。
大戦は終結した後も社会に歪みをもたらし、世界は荒廃の一途をたどっていた。
それから30年以上が経った2019年。
消し飛んだ東京湾には埋め立てによって新たなメガロシティ:ネオ東京が建設されていた。
かつてない繁栄と引き換えに人心は荒廃し続け、テロリズムと官憲の戦いが後を絶たない騒然とした街になっていた。
そんなネオ東京をひた走る暴走族のヘッド・金田正太郎とその仲間・島鉄雄は、ある日皺くちゃの老人のような顔をした謎の少年と接触する。
それがやがて世界の根幹に関わる事件になろうとは、彼らは知るよしもなかった・・・・。
2020年のオリンピックに纏わる出来事
作中で描かれた近未来を現実が追い越してしまったため、所謂レトロフューチャーと化した作品ではあるが、図らずも現実とリンクしてしまった出来事も多数存在しており、中でも代表的なものが東京オリンピック(2020年)に纏わる出来事である。
開催地の的中
本編では2020年にオリンピック開催を控えた2019年の東京が舞台となっているが、現実世界でも2013年に2020年のオリンピックが東京で開催されることが決定した。
伝染病の流行とオリンピック開催の危機
「AKIRA」の舞台である「ネオ東京」は作中で壊滅的な被害を受け無法地帯と化し、オリンピックどころではなくなってしまう。
原作漫画の3巻末に収められた次巻の予告ページには『WHO、伝染病対策を非難』と書かれた新聞記事が掲載されており、おそらくは無法地帯と化したネオ東京で赤痢やペストなどの伝染病が流行、WHOが問題視していることが窺える。
現実でも新型コロナウイルス(COVID-19)の流行によりオリンピック開催が危ぶまれ、WHOに「最も懸念する国だ」と問題視されている。
中止だ中止
作中で描かれたオリンピックの競技場の建設現場には「中止だ中止」という落書きがあるが、あろうことか現実の「オリンピック中止派」がAKIRAのこの場面をシンボルに掲げて「中止だ中止」と叫ぶという異常事態に発展した。
開会式に金田のバイクが登場する予定だった
現実のオリンピックは紆余曲折を経て一年延期の後に開催されたが、今度は開会式の演出に大幅な変更があったことが問題視された。
それを受けて閉会後に演出の初期案が公開され、その中ではプロジェクションマッピングで2020年のネオ東京が描かれ、AKIRAのシンボルキャラクターとも言える「金田のバイク」を実際に走らせる予定だったことが判明した。
関連イラスト
外部リンク
芸能山城組 公式サイト(本作の音楽を担当)
関連タグ
SPRIGGAN:大友克洋総監督の劇場版では脳改造を受けた超能力者という共通点からか、あるキャラクターにAKIRA同様の構造物に身体から延びたケーブルが侵食していく演出が追加されている。
メガゾーン23:PARTⅡに於ける東京の街並の描写は本作の影響を受けたと当時のスタッフが公言。序でにメガゾーン23PARTⅡの公開は1986年でアニメAKIRAの公開は1988年であった。
All Engines Go:この作品で登場しているカナは、当初は本作に影響して「アキラ」という名前にする予定だったが、権利関係で使用することが出来ず、現在の名前に変更されたということがプロデューサーのリック・サバルのポストで判明されている。
岸本斉史:幾度となく本作を絶賛しており、劇中の一部人物・描写にオマージュが見受けられる。