記事名について注意
新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的流行により延期が固まったため、実際の開催は2021年以降になることが決定したが、IOCと組織委員会は「東京2020」の名称は維持するとしている。
招致活動
ライバルとなる立候補都市にはトルコのイスタンブール、スペインのマドリードがあった。東京は、「震災から復興してきた姿を見せること」をテーマの一つとして招致活動に挑んだ。
前回の計画を改善した事や、治安の良さ、財政面で高い評価を受け、立候補都市中唯一「非常に質が高い」という評価を受けている。
一方で、他の開催地に比べて国民の支持が少ない事と、原発事故による放射能汚染、そしてピーク時の電力不足が課題として挙がっていた(第一次選考より)。
前者については、平成28年度東京オリンピック構想の時も大きな課題であった。そして今回の支持率は前回よりも低く、3カ国中、唯一賛成が50%もなかった。これについて、石原都知事(当時)が「都民は五輪に来なくていい」(のちに「言葉が足らなかった」と釈明)と逆ギレ発言し、物議を醸した事もあった。ただ、ロンドンオリンピックで活躍した選手を宣伝に起用するなどの戦略の転換により、最終的に支持率は70%にまでアップしたとされており、この課題はある程度解決された。後者については、汚染水問題が海外メディアで報道されるなど大きな懸念材料となっており、今後政府がどのような方針を打ち出すかが大きな課題となった。
東京都は今回の招致活動では、知事が猪瀬直樹に交代しており、猪瀬を含む招致活動のメンバーがプレゼンテーションのトレーニングを受け直すなどし、決選投票のアピールに備えた。
開催決定へ
決選投票近くにはトルコに治安悪化(および隣国シリアの政情不安)、スペインに財政事情の不安、日本に東京電力福島第一原子力発電所の汚染水処理問題という懸念がそれぞれ浮上し、日本もこれらの状況に対抗するため、安倍晋三首相自ら下記の総会に森喜朗オリンピック競技委員会会長、太田雄貴ら五輪経験選手や滝川クリステルらのプレゼンターと共に参加。「福島の状況は全体としてコントロールされており、汚染水は完全にブロックされている」とアピールした。
平成25年(2013年)9月7日の国際オリンピック委員会総会において投票が行われ、中間選挙でマドリードが敗退、イスタンブールと決選投票の末、東京での開催が決定した。東京でのオリンピック開催は昭和39年に行われて以来56年ぶり2回目(昭和15年にも一度開催権を得たものの、第二次世界大戦の影響で開会出来なかった)で、日本国内では4度目のオリンピック、アジアでは史上初の「過去に開催経験のある都市における二度目のオリンピック開催」となる。
大友克洋の『AKIRA』は、2020年オリンピック開催を控えた東京が舞台であったので、開催決定時に話題になった。なお、後述の開会式の初期決定案では、AKIRAの映像をオープニングに使用する予定であった。
開催日程
開催予定日は当初、令和2年(2020年)7月24日~8月9日の予定であった。競技数は28競技予定で、レスリングは残留したもののソフトボール、野球はいったん外されたままとなった。しかし追加競技の枠で野球・ソフトボールと空手・スポーツクライミング・サーフィンの5競技が追加となった。
さらに2017年6月に追加種目に卓球・混成ダブルス、柔道団体戦、3人制バスケットボールが追加された。
しかし2020年の全世界的なCOVID-19のパンデミックにより、練習どころではなくなった国が続出。2020年3月24日に、一年を目途とした延期が決定したため、正式な日取りは一旦白紙に戻ることになった。
そして、オリンピックが2021年の7月23日に、パラリンピックが同年の8月24日に開催される事となった。
なお、試合は先行して7月21日より開始されている。
結果的には史上初となる西暦奇数年の開催となった。
問題点
東京オリンピックの招致については、安倍首相(当時)が「アンダーコントロール」という語句を使用し、原発に関する不安を払拭すべく努力した。しかし、震災直後より状況は改善したとは言え、依然福島第一原発の廃炉が完全に成された訳ではないため、まずその事への批判があった。
また、開催地の選考中に猪瀬直樹がイスラム圏への侮辱・イスタンブールへのネガキャンと取れる発言を行っただけでなく、その後も海外メディアに証拠を突きつけられるまで開き直りを続け、謝罪までにかなりの時間を要して無意味に反日感情を煽るということがあった(参照)。
また、明石家さんまや平尾剛(元ラグビー日本代表)など、開催に反対を表面する著名人も見られた。
さらに、「五輪の政治利用」や会場の建設作業員を中心とした「劣悪な労働環境」など、始まる前から五輪憲章に既に違反があるとの指摘もあった。もっとも、悪い意味で他の大会も同レベルであったこともまた事実であり、少なくともIOCは別段それらを問題視してはいない(以下に述べるように、IOC自体の健全性・透明性に疑問符が付く点も多々あるのではあるが)。
「暑い」オリンピック
誘致の際、日本側は開催される7~8月は「競技を行う上で快適な気候である」と紹介していたが、そんなわけがないことは都民なら誰もが知るところであった。
実際のところ、同時期は東京が一番暑くなる季節であり、選手や観客、プレス、スタッフなどを問わず現場にいる人々に大きな負担がかかることは避けられなかった。
当然、世界の有識者からも反論が寄せられることとなり、イギリスのタイムズ紙は2018年1月の報道で「死人が出る」と警告。気象庁も「2018年7月の日本は例年の平均気温を4度も上回り、もはや災害である」と発表し、懸念が強まることとなった。
pixivの住人ならば、「夏コミ」と言うだけそのリスクをご理解いただける方も多いだろう。
真夏の東京で行われる巨大イベントである夏コミでは、毎年多数の熱中症患者が発生しており、その多さから通称「ジェノサイドコミケ」と言われるレベルにまで達した年すらある。
鍛え上げられたアスリートならまだしも、一般人、まして屋外競技の観客ともなれば甚大な被害を出す「ジェノサイドオリンピック」になりかねない。
つまり、下手したら40℃にもなる高温多湿な真夏の日本でオリンピックを開くのは危険では?という疑念があった。
なお、前回の東京五輪は10月だった。当時は現在ほど地球温暖化が進んでおらず、日本でスポーツや屋外イベントをするには絶好のシーズンといえ、賢明な判断であったといえよう。
しかし、IOC(国際オリンピック委員会)は秋開催は欧米のプロスポーツのシーズンと重複するという理由で、日程の変更には消極的であった。
特に北米の大手メディアが有力スポンサーである関係上、彼らの中継の都合に合わせるため秋開催は通りにくい状況にあった。
日程の変更は結局叶わなかったものの、マラソンなどの一部屋外競技は朝6時からスタートさせるなど猛暑を避ける工夫は一応考えられていた。
そのような中、2019年10月になって、IOCはマラソンを比較的気候が冷涼な北海道の札幌市で開催することを突如提案した。これは、同年9月にカタールのドーハで開催された陸上世界選手権で、酷暑の中実施したマラソンで棄権が相次いだ問題を受けて考えを改めたものであったが、準備を進めてきた東京はこのことを事前に知らされておらず、関係者の間では困惑の声が相次いだ。
「打ち水をする」「アサガオを植える」といった対策も提唱されたが、文字通りの焼け石に水と失笑を買う一方であった。特にアサガオは高温に耐えられず開会式前に枯れ果てて撤去されており、夏の東京がいかに危険であるかを改めて証明したのみに終わっている。
そして、いざ開催されると、案の定、あまりの暑さに体調やコンディションを崩す選手が続出することになり、「こんなとんでもない暑さの中で競技を行わせるなんてどうかしている」という批判の声がアスリート側からも噴出することになった。
コミケ会場問題
上で触れたコミケことコミックマーケットであるが、その会場であった東京ビッグサイトもオリンピック会場の1つとして使用されることとなった。
開催期間が被っており、コミケ側の参加者からは同年の夏コミはどうするのかとも懸念された。
もっとも、これもコロナの影響でそもそも開催不能となり、悪い意味で杞憂に終わっている。
市民や学生の動員と資材の供出
組織委員会は、オリンピックの開催にあたりボランティアを積極活用する方針。大会の運営に直接関係する大会ボランティアは8万人、交通案内や観光案内などを行う都市ボランティアは3万人必要とされるが、いずれも原則無給である。このため「勤労奉仕」「やりがい搾取」と悪評が広がり人材は集まらず、文部科学省は、学生にボランティアとして参加してもらうため、大学には期間中は授業や試験を控えるよう通知し、「学徒動員」と揶揄されている。さらに各企業に対し「ボランティア休暇制度をつくってほしい」、「オリンピック中はネット通販を控えてほしい」などと通知し、五輪は災害と揶揄される結果となった。学生のボランティアへの参加を半強制的にさせていたと思わしき話もある(参照)。
一方で、2012年のロンドンオリンピックの際もボランティアは動員されており、今大会に限った話ではない点もある。また、オリンピックのボランティアをした実績は就職活動などにおいて有利に作用する事が期待できるため、一概にデメリットだらけという訳ではない。
また、五輪関連費用が膨張する中(後述)、組織委員会はリサイクル金属をメダル製作に活用するとして小型電化製品の提供プロジェクトを実施。東京都は全国自治体に対し木材の提供を求めており、「資材供出は地方に負担がある」と批判もあった。
水上競技の危険性
東京湾は大腸菌が多いなど、人間がウォータースポーツやレジャーを行うには向かない水質である。2013年、東京都は50年ぶりに葛西海浜公園において海開きを行ったが、「水に顔をつけない」という条件付きで発足し、改訂されても自己判断および大雨の後は特に注意という状態だった。また、防護用のネットを張るかもしれないとは言え、毒針を持つアカエイが生息している。
これらのことから、この地でトライアスロン含む水上競技を行うことに懸念する声もあったが、特に何事もなく無事終了した。
買収疑惑と国内メディアのコントロール
招致に当たってコンサルティング会社から、決定に影響を及ぼすラミン・ディアク氏に約2億2000万円の裏金が渡った疑惑が取りざたされ、多くの海外メディアで報じられている。
また、国内において電通の名前は伏せられ、相関図においても電通は「D社」と表記されるか、あるいはごっそり削除されているという一線を越えた報道の仕方も注目された。
日本国内においても調査委員会を設けたが、その報告内容は要約すると「資料が確認できなかった」というものとなっており、事態の究明には一切の進展が見られなかった。
2017年10月、疑惑渦中の人物であるディアク親子間での当疑惑を後押しするメールのやり取りが判明した。その内容とは、「(東京と開催都市を争っている)マドリードへ投票するようアフリカ諸国への働き掛けが全力で行なわれている。休憩時間になんとかせねばならない。」というものであった(参照)。
フランスとブラジルの当局は、リオオリンピックと東京オリンピックが買収されたものだと結論し、リオオリンピック組織委員会の会長は逮捕、同委員会も資格停止となった。
2018年、シンガポールの汚職捜査局はブラックタイディング社の代表を本問題で起訴した。また、フランスのル・モンド紙等が続けて捜査をフォローアップしている。
長野五輪との関連性
1998年の長野五輪の際も同様の疑惑が持ち上がっているが、証拠となるべき会計書は当初「紛失」とされ情報公開されることなく、のちに焼却処分されたことが発表された。また、当時の関係者が渦中に死亡している。
また、西武グループの元オーナーの堤義明氏は元JOC会長でもあり、長野五輪招致に際して、過剰接待、芸者遊び、ファーストクラス航空券、オリンピック博物館の建設費用の寄付など、数億円にも上る根回しを行って炎上した過去を持つ。そして、その提氏が今回の裏金が送金される3カ月前にJOCの最高顧問に就任した(参照)。
お金絡みだと、ソルトレイクオリンピックの際にNHKにも醜聞の疑惑が挙がっている(ちなみに、この内情を暴露したNHK職員が、後にN国党の代表となる立花孝志である)。
表現規制・政治利用
東京都青少年条例騒動の記憶が新しい時代であり、オリンピックを口実にした表現規制も恐れられた。警察や治安政策の動向も目が放せない課題となっている。オリンピック開催に伴う監視社会化については、北京オリンピックでネット検閲が強化されたり、ロンドンオリンピックでロンドン市民が自由に商売できなくなったり、といった先例もある。
オリンピック決定からしばらく「オリンピックで東京が世界一の都市に!」「東京オリンピック開催決定で日本経済が一気に復活しバラ色ハッピーエンド、ついでになんやかんやあって韓国経済は滅亡する」といったような異様なナショナリズムが高まり、外国人を連れてきて凄い凄い言わせるという、ほんとにすごかった頃からすると情けない報道・番組が増加。さらにオリンピック反対派は非国民扱いされるようになった。
一方、各種の問題が明らかになるにつれ反対派も巻き返すようになり、コロナウイルスによる社会的混乱が決定的になるとむしろ賛成派の方が「このご時世にオリンピックとは何事か」とバッシングを受けがちになった。
大会本番を迎えると、多くの報道が「平和」や「友好」といったオリンピックの理念を前面に押し出した内容となった。過去の例と比較してもそれほど変わりは無かったが、アメリカでBLM騒動が発生するなど世界的には人種や思想信条間の対立は激化する傾向にあり、現実を見ていない、リベラル派におもねっていると不満を抱く向きもあった。
ではリベラル派が留飲を下げたかと言うとそうでもなく、問題追求から逃げている、運営への忖度ではないかなどとやはり不満は上がっており、終始平行線であった。
新国立競技場問題
メイン会場となる国立競技場は建て替えられる事となったが、その建設を巡っては建設費が当初想定した1300億円を大幅に膨れ上がり倍近い2520億円となることがデザイン決定後判明し、最終的に建設計画は白紙撤回に至った。もともとこの案には競技場周辺の景観との調和が崩れるなど、専門家の間で競技場改修に疑問や反対の声が挙がっていた。
なぜそれほどまでに建設費が膨れ上がったのか、なぜそのようなデザインが選ばれたのか、そもそも責任の所在はどこにあるのか等々、検証すべき点は山ほどあるのだが、結局、全てはうやむやのままコンペがやり直され、2015年末に隈研吾らの設計案に決定。着工は翌12月までずれ込み、タイトなスケジュールの中で過労死が発生している(労災にも認定済み)(参照)。
出来上がってみるとコストと工期を抑えるために空調の設置は見送られ、屋根も可動しなくなったので内部の芝に日光を当てるために半端に透明な部分が設けられたと、露骨にみすぼらしくなったという意見が多く聞かれ、当初案を惜しむ声やいっそ旧競技場の改築で良かったのではという声も上がった。
そうまでして間に合わせたにもかかわらず、結局コロナ対策でこの競技場内には観客を入れないこととなり、一層の残念さが漂った。観客席の色を一席ごとに変えるデザインであったことが、遠目には人が座っているように見えて空虚さが抑えられると言われたのがせめてもの慰めであった。
また、競技場内でスタッフ間の性犯罪が発生した、発注したスタッフ向け弁当が適切に配布されず大量廃棄されたといった問題も取り沙汰されており、どういう管理体制なのかと運営にも批判が向けられている。
自然破壊
当初はエコな五輪を謳っていたが有名無実と化している。国内では、会場建設のために古くからの街路樹や自然公園の木々を大量に伐採して池の水も抜き、その内容も、樹齢100年以上を470本、低木1万7450本は「産廃」という有り様である(参照)。さらに、自然の再生を目指して創設された野鳥の生息地である葛西臨海公園を破壊する可能性が浮上して国内だけで100近い団体が反対の意を表したりした。
国外でも、主に東南アジアの森林を伐採、先住民等の権利を侵害したと見られ、14万人もの反対署名が集まり、NGOなどの47の団体が木材の調達中止をIOCに申請 &「このままでは東京オリンピックは環境破壊と人権侵害の象徴になる」と警告(参照)、マレーシアの一村の村長が木材調達を廃止するように嘆願書を送るなど、国際的な非難を浴びている。また、新国立競技場や有明アリーナにて既に「シンヤン社」による木材が発見されている。同社は約20年間も該当地域にて、違法伐採や自然破壊、人権侵害の疑いのある活動が指摘されてきた。
ポスターの盗作疑惑
デザイナーの佐野研二郎氏によってデザインされたオリンピックのポスターのロゴがベルギーのとある劇場のマークと似ていることが指摘されるという問題が発覚。佐野氏本人はデザインの盗用を否定したが、その後、佐野氏の手がけた他のデザインにも多数同様の問題が浮上してきたため、事態を重く見た組織委員会はポスターデザインを白紙撤回することとなった。このコンペの応募条件自体、殆ど一般からの応募が不可能で出来レース前提だったのではとの批判が高まった。
そこでエンブレムのデザイン募集は再度審査方法などを改めて一般公募で行われ、建築デザイン等で活動するアーティストの野老朝雄が手がけた紺色の組市松紋デザインのロゴが採用となった。
なお、この再審査でも最終選考候補のうち数点に既存作品との類似問題があり落とされ、敗者復活の候補作品が数点繰り上がっていたことが明らかになっている(野老作品が敗者復活か否かは非公表)。
「コンパクト」は何処へ……
競技会場の約85%を選手村から半径8km以内に配置する。というコンパクトさを売りに招致レースを勝ち取ったが、舛添要一都知事は都議会の所信表明演説で、建築資材費や人件費の高騰などを理由に会場計画を速やかに改めると表明。その後、運営にあたるオリンピック組織委員会の森喜朗会長も見直しが必要とのコメントを出した。
具体的に挙がったのは以下の通り。
競技会場が見直された競技
競技 | 当初案 | 変更案 | 理由 |
バスケットボール | 夢の島ユースプラザ(江東区) | さいたまスーパーアリーナ(さいたま市) | 近隣に既存の施設があるうえ、建築費が膨大 |
バドミントン | 同上 | 武蔵の森総合スポーツ施設(調布市) | 同上 |
カヌー・スラローム競技 | 葛西臨海公園(江戸川区) | 公園に隣接する都有地(同区) | 環境と生態系の破壊に繋がるとの批判や大腸菌などが多い劣悪な水質下での開催への憂慮 |
ちなみに残りの約15%は当初から遠隔地も想定されており、特に自転車系競技の静岡県での開催が目立った。新しく高規格なコースを持つ事が決め手になった形で、中でもマウンテンバイク向けの「伊豆MTBコース」は伊豆半島の形をしたセクションがある、コース上から富士山が見えるなど、誰がどう見ても静岡なネタコースでもあった。
これによって東京とは異なるコロナ対策が適用でき、感染者の少ない地域では観客を入れての開催もできたという点は、見方によっては不幸中の幸いであったとも言える。
その他、先述の通り暑さ対策で札幌となったマラソンなどもあった(参照)。
開会式・任命責任問題
特に、オリンピック直前になっての開会式を巡る人材登用問題では、組織委員会の身辺調査の甘さや、問題への対処の仕方などに大きな問題があり、国民から大きな不満を買った。
2020年に開催される際のオープニングセレモニーでは、本来、狂言師の野村萬斎を中心に、歌手の椎名林檎、振付師のMIKIKOを中心として開会式を主宰する予定であったが、21年にオリンピックが延期されることを受けて当初の開会式を開催するチームは解散し、新たに開会式を主宰するチームが組まれた。
しかし、野村萬斎の代わりに開会式の演出チームの統括を担当することになった佐々木宏は、後に渡辺直美を豚に見立てた容姿差別発言を行ったことで、五輪開催まで三か月を切った時点で辞任し、新たに日置貴之が着任した。
一方で、これが企画段階のリークであったことから、過剰反応である、告発者の方に何らかの意図があったのではとする擁護意見もあり、にわかに場外乱闘の様相を呈した。前後して同様の構図で森喜朗が失脚していたことも、政治的対立を呼び込みやすい土壌があった。
ところが、オリンピック開催まで一週間を切った段階で、今度はオープニングセレモニーの作曲を担当することになったミュージシャンの小山田圭吾に中学・高校時代に障碍者をターゲットとした暴行・虐待を行っていた過去があることが大きく取りざたされ、彼が登用されたことで海外メディアにも報道される大きな問題となった。
小山田の場合、隠していた過去をすっぱ抜かれたという形ではなく、28年前にインタビューで大々的に自身の学生時代の過去を明らかにしており、その後も度々ネット上で炎上を繰り返していた。少しばかり身辺調査を行えば分かるほどに悪い過去を持つ人間に重大な国家事業を任せた上に、当初五輪組織委員会は過去が問題となりながらも登用を続ける意向を示したことから、委員会そのものに対して国民から大きく不満と不安を集めることになった。その後、小山田は辞任に追いやられ、この際に彼の作曲した音楽は使用を取りやめることになった。
これに関しても、一度起用を決めたからには最後まで守り通すべきだった、二転三転や蜥蜴の尻尾切りと取れるような態度が一番良くないといった理由での委員会批判もあったりする。
開催直前になっても辞任ラッシュは終わらず、開会式のディレクターに就任していた元ラーメンズの小林賢太郎も、お笑い芸人時代のコントでユダヤ人の大量虐殺、いわゆるホロコーストを弄ったネタがあるとして問題となり、解任に追いやられることとなった。
その他
- 日本代表が37年(五輪歴代追加7回)以来の優勝したともされた野球競技が追加種目になるのも疑問視されたこともある。ワールドゲームズでも採用されないほど世界的には少数派で、アメリカもMLB選手は出さなかった(準優勝のアメリカ代表はその下のMiLB(マイナーリーグ)出身である、然も五輪当競技歴代獲得最終成績数も終われば日本代表が当該五輪で上回る事に...)。ただし、2008年の北京五輪の際もアメリカはMiLB主体のチーム編成をしている。これはMLB真っ只中の夏に有力選手の派遣はまず無理なため、東京五輪だけの話ではない(現在MLBで活躍している若き頃の1人も投手で活躍するも日本代表は4位だった)。また、此の五輪の夢の続きとされる7年後の五輪の当競技ではMLB選手出場確約届を出した為、5年後のWBCでテスト大会としての側面が出ている。
- コロナ禍の中、日本国民の意思を無視した発言としてIOCのバッハ会長も批判された事があった。
オリンピック中止の危機
2020年、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により、世界中でオリンピックの予選大会を含むスポーツイベントが中止または延期に追い込まれた。こうした中でも森喜朗組織委員会長らは「延期はあり得ない」と強弁していたが、その後、IOCと組織委員会は延期を含めた議論に入り、3月24日、ついに共同声明を出し「1年程度」の延期を発表した。
そして3月30日、IOC、東京都、日本政府はオリンピックが翌年の2021年の7月23日に、パラリンピックが同年の8月24日にそれぞれ開幕することで合意した。
近代五輪の124年間の歴史で、2回の世界大戦の戦時中だった1916年と1940年(幻の東京オリンピック)、1944年に開催が中止されたことはあっても、開催が延期されるのは今回が初の出来事である。
しかし、五輪の競技会場の施設は他のイベント開催などで2〜3年後までスケジュールが埋まっており、開催時期が後ろ倒しになるとこれらのイベントも全て影響を受けるため混乱は避けられない。他にも分譲マンションとして売却予定の選手村の入居が1年遅れるなどの損失も大きく、そもそも2021年の開催までにCOVID-19の感染が全世界で収拾しているかどうかは極めて怪しい状況であり、果たして21年に本当に開催できるかは、開催まであと1年となった2020年7月中旬現在でも不透明であった。
ただ、今回の開催延期は、カナダとオーストラリアとイギリスなどのアングロサクソン諸国が「延期しなければ東京五輪をボイコットする」と半ばIOCとJOCを脅迫した結果だと言う指摘もある。これに関しては、東京オリンピックを中止においやることで連鎖的に北京オリンピックも潰すという作戦だったとの説もある。もっとも、コロナ禍に大規模なイベントを開催するのは無謀というのが延期した最大の理由ではある。
開会式
その後観客を入れるかで最後まで紛糾した末、史上初の無観客試合が決定。予想した経済効果やインバウンド需要は大きく減少する事になった。
開催直前には開催派と中止派がお互いに罵倒合戦をするという悲惨な状況にあった。
ようやく7月21日より試合が開始され、23日に開会式が実施。
ルールブックも本大会独自の基準が設けられ、試合以外は基本的にマスク装着で選手村と会場往復のみとなった(試合中の控えメンバーや随行スタッフもマスク着用が義務付けられ、理由なく外した者にはイエローカードが出たこともあった)。
開催前の時点で既に多くの批判があったが、開会式を開いてみれば、コロナによって活躍の場を失ってしまったアスリートの復活をイメージしたOP映像や火消し、歌舞伎といった日本らしい伝統芸能にタップダンスやピアノを組み合わせた文化の融合など、決して完全とは言い難いが不安を吹き飛ばす静かめながらも力強いパフォーマンスが披露された。
特に選手入場のシーンでなんとドラゴンクエストシリーズのメインテーマ(序曲)から始まりその後もファイナルファンタジーシリーズ、モンスターハンターシリーズ、キングダムハーツシリーズ、クロノ・トリガー、ソニックシリーズなど、日本を代表し、日本が世界に誇るゲームの曲が流れ、日本だけでなく世界中の視聴者を大きく盛り上げた。
使用楽曲一覧
作品名 | 曲名 |
---|---|
ドラゴンクエスト | 序曲:ロトのテーマ |
ファイナルファンタジー | 勝利のファンファーレ |
テイルズオブゼスティリア | スレイのテーマ~導師~ |
モンスターハンター | 英雄の証 |
キングダムハーツ | Olympus Coliseum -The Shining Sun |
クロノ・トリガー | カエルのテーマ |
エースコンバット | First Flight(ナンバリング5作目の曲) |
テイルズオブグレイセス | 王都-威風堂々 |
モンスターハンター4(モンスターハンター4G) | 旅立ちの風 |
クロノ・トリガー | ロボのテーマ |
ソニック・ザ・ヘッジホッグ | Star Light Zone |
ウイニングイレブン | eFootballwalk-on theme(公式youtubeチャンネルのリンク) |
ファイナルファンタジー | MAIN THEME |
ファンタシースターユニバース | Guardians |
キングダムハーツ | Hero’s Fanfare |
グラディウス | 01 ACT I-1 |
ニーアレプリカント | イニシエノウタ |
サガシリーズ | 魔界吟遊詩-サガシリーズメドレー2016 |
ソウルキャリバー | The Brave New Stage of History |
なお、eスポーツ連合に加入していないからか、はたまた電通と不仲だからか、ゲーム業界の王様と言われる任天堂の曲は入っておらず、前回のリオオリンピックの閉会式では安倍晋三元総理がマリオのコスプレをしたこともあって非常に残念がるファンが多かった。
選手入場の国名プラカードは漫画の吹き出し(あるいはそれをモチーフにしたコラ素材画像)風、背景は白黒トーンを意識するなど、日本の文化であるマンガの意匠も組み込まれていた。
各国海外選手団も話題となり、イタリア国旗を日の丸に合わせたマークを衣装に入れたイタリア、富士山カラーのキリバス、伝統衣装に桜を加えたキルギスなどリスペクトが見られた。
他にはカザフスタンは旗手が白い正装とドレスのコンビで、偶然にも彼らの入場時にファイナルファンタジーシリーズのメインテーマが流れたことから完全にファイナルファンタジーの世界が再現された(続くカタールも白魔導士と黒魔導士に見えたという声がある)、衣装のカラーではコソボ代表の衣装がテニスの王子様の青学ジャージと似ているという話題が出ている。
また、ドイツはTシャツの背中側にカタカナで「ドイツ」とマッキーで描いていた。
ちなみに平昌オリンピックで話題となった上半身裸にテカテカボディ、トンガ王国のピタ・タウファトフア選手も健在である。
全参加国集合後は再びロトのテーマが演奏され、この時上空から見た選手たちの配置が偶然にもロトの紋章と一致した(本来はおそらく東京都紋章の再現)。
【東京五輪の開会式を盛り上げた1824台の「CLASSIC DRONE」:Intel製「Shooting Star」】
入場後のパフォーマンスでは小道具とカメラアングルを使って全種目のピクトグラムを再現(正体はパフォーマーコンビ『が~まるちょば』と弟子の3人によるもので、仮装大賞と呼ばれた)。
その後は無数のドローンで実際に競技場の上に地球を作る、劇団ひとりの演出(と言う設定)でスカイツリーが特殊な色で光るなどの粋な演出も多かった。
競技場内での聖火リレーには日本のメダリストとして名高い吉田沙保里や野村忠宏から始まり、国民的プロ野球選手だったの王貞治と長嶋茂雄、そして松井秀喜が登場。長嶋は体の麻痺が完治していないため、松井に支えられながらのリレー参加となった。リレーはテニスのトッププレイヤーである大坂なおみによって点火された。
一方で、感染対策や経済状況が万全でない中で強行したことや、そのために多くのイベントや飲食店が犠牲になったことに関しては開催後もなお批判の声が絶えず、特にその責任の大半を担う1人であるIOCのバッハ会長には、彼が登壇しただけで悪印象を抱く視聴者が多かった。
さらに、そのバッハ氏のスピーチが13分間にも渡り、校長先生以上に長いと不満の声が相次いだ。ちなみに本来の持ち時間は2分半のはずだったようだ。
流石に疲れたのか、スピーチの最中にはその場にいた選手団ですら、カメラにふざけて映ることを楽しんだり、自撮りやSNSへの投稿に勤しむという光景が出来上がった。
尚、その後に天皇陛下が大会開催を宣言した際には約十秒しか時間を使わなかった為、バッハ会長の長々としたスピーチと対比する声も上がった。
また、開会式のクオリティに対する不満もそれなりにあり、ビートたけしは「退屈で寝ていた」「海外に行くのが恥ずかしくて嫌になった」などのコメントを残し、デーブ・スペクターは「日本らしい要素が何一つない。侍も忍者もアニメも漫画もない」とコメントした。
オリンピックの閉会式後には、週刊文春によって最初の演出チームによって主催されるはずであったオリンピック開会式の初期案が公開され、その構想からTwitterではこの開会式が潰れたことを惜しむ声があふれた。
各種目別使用曲
開会式でもゲームオーケストラで話題となったが、日本の音楽文化は各試合でも話題となっており、入場曲やプレー中断中に以下のような楽曲が使われている。
- アーチェリー:『進撃の巨人』主題歌『紅蓮の弓矢』
- バスケットボール3x3:『SLAM DUNK』主題歌『君が好きだと叫びたい』
- バレーボール:『ハイキュー!!』主題歌 『イマジネーション』
- 柔道:『攻殻機動隊』『謡』
- 水泳:B'z『ultrasoul』
- アーティスティックスイミング:アルトネリコ『謳う丘』
…なんというか、日本始まりすぎである。
閉会式
残念ながら感染して出場できない選手も現れたが、目立ったトラブル等には見舞われず、8月8日に閉幕するまで全日程を無事に終了した。
しかし閉会式は顔にストッキングを被った謎のダンスから始まり、踊りのほとんどがビデオなど、低予算が目立ちあまり評判がよろしくない。それでも突然の東京音頭には全国のスワローズファンが歓喜したらしい。
入場行進では、1964年のオリンピックに使用された古関裕而氏作曲の「オリンピックマーチ」(とそのアレンジ曲)が使用され、当時オリンピックを見た人々にとっては感慨深い演出となった。
さらに、最後は当時のフォントで「ARIGATO」と表示され、大会を締めくくった。
総評
開催直後の反応
一応オリンピックは無事に完遂できたわけだが、これが「大成功」なのかどうかは意見が大きく分かれている……というよりむしろ「完全な失敗」と悲観している国民の方が圧倒的に多い傾向にある。
その要因としては
- コロナ禍
- 利権問題
- 中抜き
- 開閉会式
の4点が挙げられることが多い。
さすがに「完全」というには少しオーバーとは思うが、実際に参加国の中でコロナのせいで実力を発揮するどころか夢の舞台に上がることすら叶わなかった選手やせっかくの大金を叩いて購入した観戦チケットがお釈迦になったりとコロナ禍のせいでせっかくのオリンピックを純粋に楽しめなかった国民も多く、上記の不祥事や不利益に加え無観客試合等といった唐突な仕様変更、さらに身勝手な判断でオリンピック以外の年内のイベントのほとんどが中止に追い込まれた挙句、それに関して関係者の「その辺のガキのピアノ発表会よりもオリンピックの方が1000倍大事」という不謹慎な発言から国民の怒りを買ったりと最後まで悲惨な状況が続いており、その上、開会式の途中で居眠りする等、オリンピックが始まってからもずっと醜態を晒し続けていたはずの小池都知事と菅総理大臣がバッハ会長の判断で「名誉勲章」を取得した一報は国中から多大な疑問と批判の声が上がった。
しかもコロナ禍の現状において改善の兆しが見えない中での開催強行に加え、オリンピックを優先するあまり感染対策等の他のことをおざなりにした結果、大規模クラスター発生でコロナ感染者が最大二万人以上にまで増え、さらに「自宅療養」と称して国民に丸投げしたりもはや時間稼ぎにすらならない緊急事態宣言を引き伸ばしてばかりと、こんな事態になっても尚、感染対策に後ろ向きな姿勢が続いた結果、学業や経済面にも深刻な影響をもたらしたりと、オリンピックが閉幕して以降も悲惨な状況が続き、さらに大会の関係者である自民党議員が「オリンピックの開催と感染拡大は何の関係もない」と発言したことで国民からさらに不満の声が上がった。
開会式においても、より日本文化やキャラクターを強調した豪華な演出が電通のせいで中止になり、任天堂が出演しなかったのはそのためとされている。そして、その電通が用意した代わりの演出担当も、女性蔑視やいじめなど次々と問題を起こしていたことが明らかになった。このため特に任天堂のファンからは電通に対する批判の声が強い。
さらには予算の中抜きが横行したせいで国立競技場や開会式のパフォーマンスが貧相なものになったため、その辺を取り仕切っていた電通やパソナに対する批判は大きい。
総じて、せっかく数十年ぶりに開催され、多くの日本国民にとって希望の象徴となるはずだった東京オリンピックがコロナ禍といい加減な運営方針、電通など一部企業の我田引水的な利益独占の動きのせいで台無しになったというのは紛れもなく否定しようもない事実である。
もっとも、招致の段階で肯定的な意見を持つ国民は少なく、一部極端に否定的だったりそもそも無関心な国民も多かった。招致委員会や政府はこの問題を事実上無視して進めていたため、なるべくしてなった結果なのかもしれない。
さらに開催までのグダグダっぷりに国民も辟易してしまい、これから先、日本がオリンピックを招致するのは不可能になったのではという悲観的な意見もある。実際、札幌市は2030年の冬季オリンピック招致を目指して活動していたのだが、2023年12月19日に招致活動を停止すると発表しており、その要因の一つにこの東京オリンピックの失敗も数えられている。
少なくとも、ヒルの様に五輪利権に群がって中抜きで予算を貪り、開催によって発生する利益も独占しようとする電通やパソナのような利権屋を一掃し、五輪開催による利益で多くの国民が潤うような体制を構築できない限りは招致活動が国民の支持を受けることはできないだろう。
それでも、選手たちからは「大変な時期ではあるが一選手として大会が開かれたことに感謝している」という声があり、海外からも「このような未曽有の状況でもオリンピックができた国は日本くらいしかなかっただろう」と少数ながら肯定的な評価もされている。
大会の中で笑顔や涙を見せた選手たちの姿こそが、この大会の数少ないレガシーと言えるだろう。
このような有様のため、この後に続くパラリンピックも同じような事態になるのではという懸念が多く出ていたが、パラリンピックの演出は利権などのにおいがしない、しっかりとメッセージ性がある、オリンピックより素晴らしいと称賛の声が多く、競技関連では無人運転の車が選手と接触事故を起こす大問題を起こしたが、それ以外に大きな不祥事は起こらず円滑に閉幕を迎えている。
大会後の警察沙汰
2022年7月以降、スポンサー契約の際に大会組織委員会の理事の1人が、大会スポンサーであったAOKIホールディングスやKADOKAWAから賄賂を受け取っていたという疑惑が明らかになった。
さらに、開催前の2018年に行われたテスト大会計画立案業務の入札で、広告代理店、番組制作会社、イベント会社などが談合し、不正に入札価格を上げているという疑惑が浮上した。これを受け、2022年11月25日から29日にかけて、東京地検特捜部と公正取引委員会は独占禁止法違反の疑いで、電通、博報堂、ADKホールディングス、東急エージェンシーの広告代理店各社と、フジ・メディア・ホールディングスグループの番組制作会社であるフジクリエイティブコーポレーション、イベント会社のセイムトゥー、セレスポの本社などを家宅捜索したと報じられた。
このように当初から疑惑が付き纏ったオリンピックは、結局多くの問題を大会後も出してしまった。言うまでもないが、この出来事はコロナウイルスが流行する前の事であり、「コロナ禍だったから」という主張は当てはまらない。前述のようにアスリートの努力が評価点として挙げられる位であり、大会全体としては成功とは言い難い結果になってしまった。
3年後には
大会全体として成功とは言い難いと評価された東京オリンピック2020であったが、パリオリンピック(2024年)が開催されると、少々見直されることになった。
この大会は、選手村への入村段階から二つの大きな不満が沸き起こった。
それが、猛暑への対策不足と食事事情の貧窮ぶりである。
パリオリンピックではエコをテーマにしており、その一環として選手の使用する寮にはクーラーをつけない(そもそも北欧では温帯未満と普遍的では無い事が一因)、食事は肉食を避けて野菜中心に構成する。と言う方針が取られ、冷房をつけたい場合や食事に不満がある場合は参加国が自費で対処するという処置が取られた。これにより、出場選手がコンディションを調整する為には自国からの支援が必要となり、その負担に耐えられない貧しい国の選手は出場の時点で不利になるという問題が起きた。
そうした問題が起きず、むしろ食事事情はコンビニを中心にポジティブな情報が発信されまくった東京オリンピックは、この点では大きな成功ではなかったか?という評価がされるようになった。
また、開会式での政治的パフォーマンスに対する批判や、選手村での盗難が起きたなどの治安面での問題、誤審や忖度疑惑、挙句の果てにメダルの欠陥まで相次ぎ、そうした問題もほとんど起きなかった点でも、少なくとも選手にはよく配慮できていた大会だったのではとする声が各所から上がった。
ただ、これを受けてかIOC高官が「近い将来、また冬季大会などの開催地になるだろう」と発言したことが報じられると、空気は一変して軽く炎上するまでに至っている(参照)。
言うほど悪くはなかったかもしれないが、もう一度やりたいわけではないというのが正直なところなのだろう。
加えて、このような見直しも、あくまでも「比べたら」というものであって、根本的な再評価ではなく、パリ五輪があってこそ生まれた意見(パリ五輪に依存した評価)であり、妥当ではないということは忘れてはならない。
Pixivでは
五輪とキャラを絡ませたイラストのほかは、五輪に便乗して行われる表現規制の動きに反対したり、問題を起こした人物や事物(舛添要一、佐野研二郎、新国立競技場など)を風刺するイラストが大半を占める。当初は招致成功を祝賀するイラストも多かったが、その後は上述の通り次から次へと問題が噴出したため、Pixivユーザーの間でも冷ややかな見方が広がっていったことがうかがえる。
開会式以降は種目を表す青いピクトグラムのパロディやどうしてこうならなかったイラストが多数投稿されている。
マスコット
ア案、イ案、ウ案が候補となり、小学校20万人による投票の結果、谷口亮氏のア案が採用された。2018年7月22日に正式な名前が発表され、オリンピックキャラクターが「ミライトワ」、パラリンピックキャラクターが「ソメイティ」と決定された。しかし開会式・閉会式にはほとんど登場しなかった。
なお上記の無観客化や参加選手・スタッフの人員減少等によりこの「ミライトワ」も含めた公式グッズが大量に余ったらしく、オリンピック終了後に公式ロゴの入った選手用デオドラント・ボディシート、クールジェルシート、抑汗シートなどが相当な数で日本赤十字社に送られたようでありその一部が献血時の返礼粗品として献血者に(季節を問わず)配られている事がSNSで確認されている。(夏季の災害に対する備えという意味では悪くは無いが・・・)
聖火リレー
※東京2020オリンピックの聖火リレーが、2021年3月25日、福島・Jヴィレッジからスタートしました。グランドスタートセレモニーの様子とヘリコプターから見る聖火リレーのもようをお伝えします(動画は日本テレビ報道局・運営 公式YouTubeチャンネル『【公式】日テレNEWS』より転載)。
開会期間中
IOCの予算でファイザーワクチンが全選手に接種されたが、一部選手はポリシーにより拒否したり随行医師が反ワクチンだったため接種済みと虚偽報告をした事案もあった。
基本的には選手村の外へお遊びに行くことはできなかったため、選手や外国プレスの楽しみは食事だったようでありSNSで多数飯テロ報告が投稿されていた。
また、福島県内で開催された野球・ソフトボールの出場者や随行スタッフには福島県産の桃が振る舞われ、ドミニカ共和国野球チームは合計60kgも平らげたと言う。
期間中のCOVID-19感染者は関係者を含め総計430人以上となったが、同時期にデルタ株の猛威により東京都内の感染者数が爆増していたものの大会運営に支障をきたすほどのクラスター発生はなかった。
また、コロナ対策も兼ねて競技の終了した選手は2日内に退村帰国する規程となっている。
諸国の出場選手の中には日本に合わせて衣装を工夫した者も多く、新体操ではイタリアチームが忍者モチーフ、ウズベキスタンがセーラームーンをモチーフとした衣装や主題歌を使用して話題を呼んだ。
実施競技
過去最多の33競技が実施された。
野球・ソフトボールは北京五輪以来3大会ぶりに復活。空手(男女3階級別の「組手」と演舞で正確さを競う「形」)・ローラースポーツ(スケートボード・ローラースケート)・スポーツクライミング・サーフィンが新しく正式採用された。
なお、野球・ソフトボール・空手は本大会のみの採用で、次回のパリ五輪からは再び競技から外れることが決まっている。
- 陸上競技
- 体操
- バスケットボール/3x3(3人制が追加)
- 重量挙げ
- 水泳
- サッカー
- テニス
- ボート
- ホッケー
- ボクシング
- バレーボール
- 体操
- セーリング
- ハンドボール
- 自転車競技(マウンテンバイクが追加)
- 卓球(混成ダブルスが追加)
- 馬術
- フェンシング
- 柔道(団体戦が追加)
- バドミントン
- 射撃
- 近代五種
- カヌー
- アーチェリー
- トライアスロン
- テコンドー
- ゴルフ
- 7人制ラグビー
- レスリング
- 野球・ソフトボール(3大会ぶりの採用)
- 空手
- ローラースポーツ
- スポーツクライミング
- サーフィン
日本人メダリスト
日本選手団が参加したオリンピックにおいて、大会期間中に金メダル獲得数が27個を記録しており、これは日本選手団の金メダル最多獲得数を記録とした大会となった(ちなみに、これまでに金メダルの最多獲得数を記録していた大会は、前回の東京五輪と2004年のアテネ大会の16個)。国・地域別のメダル獲得数で見ても、日本の金メダル獲得数は1位のアメリカ、2位の中国に次ぐ3位となっており、開催国として十分な成績を残したと言えよう。
ただ、開催前に日本選手団の設定していた金メダル獲得数の目標は30個であり、それにはわずかに及ばなかった。
また、メダルそのものの獲得数も58個と、大会期間中にリオ大会で記録した41個を大幅に更新することとなり、メダル獲得数そのものが日本が参加した歴代大会の中でも過去最多となっている。
この他にも、兄妹・姉妹での金メダル獲得や、最年少金メダリストと最年少メダリストの誕生、新種目による初代王者の誕生が相次ぐなど、様々な面で金メダル以上の記録が果たされた大会となっている。
もっとも、すべての競技が好調であったかと言うともちろんそうでもなく、柔道、レスリング、スケボー、卓球、体操等で躍進が目立った一方、水泳、バドミントン等長らく日本が“お家芸”としていた一部の競技ではメダル獲得数が大きく伸び悩んだ。また、陸上競技も競歩での2個のメダル獲得が唯一となり、世界との差を改めて痛感させられる結果に終わっている。
4位とされたサッカー男子のように、選手の状態が好調でメダル獲得が十分期待されていながらも、あと一歩及ばなかったケースもあった。
メダリスト一覧
太字は該当種目(or階級)で初のメダル獲得
金メダル(27個)
- 高藤直寿(柔道男子60キロ級)
- 大橋悠依(競泳 女子400m個人メドレー、女子200m個人メドレー) ※1
- 堀米雄斗(スケートボード 男子ストリート)
- 阿部詩(柔道女子52キロ級) ※2
- 阿部一二三(柔道男子66キロ級) ※2
- 西矢椛(スケートボード 女子ストリート) ※3
- 四十住さくら(スケートボード 女子パーク)
- 大野将平(柔道男子73キロ級) ※4
- 水谷隼、伊藤美誠(卓球 混合ダブルス) ※5
- 永瀬貴規(柔道男子81キロ級)
- ソフトボール日本代表(ソフトボール) ※4
- 新井千鶴(柔道女子70キロ級)
- 橋本大輝(体操男子個人総合、体操男子鉄棒)
- 濵田尚里(柔道女子78キロ級)
- ウルフ・アロン(柔道男子100キロ級)
- 素根輝(柔道女子78キロ超級)
- フェンシング男子エペ団体(見延和靖、山田優、加納虹輝、宇山賢)
- 入江聖奈(ボクシング 女子フェザー級) ※7
- 川井友香子(レスリング 女子フリースタイル62キロ級) ※8
- 川井梨紗子(レスリング 女子フリースタイル57キロ級) ※4 ※8
- 喜友名諒(空手 男子形) ※7
- 向田真優(レスリング 女子フリースタイル53キロ級)
- 乙黒拓斗(レスリング 男子フリースタイル65キロ級)
- 須﨑優衣(レスリング 女子フリースタイル50キロ級)
- 野球日本代表(野球)
銀メダル(14個)
- 渡名喜風南(柔道女子48キロ級)
- 体操男子団体(萱和磨、谷川航、橋本大輝、北園丈琉)
- 五十嵐カノア(サーフィン男子)
- 本多灯(競泳 男子200mバタフライ)
- 柔道混合団体(新井千鶴、向翔一郎、素根輝、ウルフ・アロン、芳田司、大野将平、濵田尚里、田代未来、永瀬貴規、阿部詩、阿部一二三、原沢久喜)
- 文田健一郎(レスリング 男子 グレコローマン60キロ級)
- 開心那(スケートボード 女子パーク) ※9
- 清水希容(空手 女子形)
- 野中生萌(スポーツクライミング 女子複合)
- 池田向希(男子20km競歩)
- 卓球女子団体(平野美宇、石川佳純、伊藤美誠)
- 稲見萌寧(ゴルフ 女子)
- 梶原悠未(自転車トラック女子オムニアム)
- バスケットボール女子代表(バスケットボール女子)
銅メダル(17個)
- 中山楓奈(スケートボード 女子ストリート)
- 武藤弘樹、古川高晴、河田悠希(アーチェリー男子団体)
- 芳田司(柔道女子57キロ級)
- 都筑有夢路(サーフィン女子)
- 安藤美希子(ウエイトリフティング女子59キロ級)
- 伊藤美誠(卓球女子シングルス)
- 渡辺勇大、東野有紗(バドミントン 男女混合ダブルス)
- 古川高晴(アーチェリー男子個人)
- 萱和磨(体操 男子あん馬)
- 村上茉愛(体操 女子ゆか) ※6
- 屋比久翔平(レスリング 男子 グレコローマン77キロ級)
- 並木月海(ボクシング 女子フライ級)
- 田中亮明(ボクシング 男子フライ級)
- 山西利和(陸上 男子20km競歩)
- 卓球男子団体(張本智和、水谷隼、丹羽孝希)
- 野口啓代(スポーツクライミング 女子複合)
- 荒賀龍太郎(空手 男子組手75キロ超級)
※1 どちらの種目も日本勢初の金メダルであり、2冠も初。
※2 実の兄妹で、同日に2人揃って金メダルを獲得。きょうだいが同日に金メダルを獲得したのはオリンピックに出場した日本選手としては史上初の快挙(世界全体で見てもあまり例がなく非常に珍しいことらしい)。
※3 日本人選手で最年少となる13歳での金メダル獲得(それまでは競泳の岩崎恭子の14歳(バルセロナ五輪)が最年少だった)。なお、最年少メダル獲得者の座は大会期間中に関心那に更新された。
※4 2大会連続の金メダル獲得
※5 卓球で日本選手が金メダルを獲得したのはこれが初の快挙。
※6 体操女子個人では初のメダル獲得。
※7 今大会まで鳥取出身の選手と沖縄出身の選手による金メダル獲得はなかったが、ボクシング女子の入江によって鳥取、空手男子の喜友名によって沖縄と、47都道府県で金メダル獲得が制覇されることになった。
※8 実の姉妹で、2人揃って金メダルを獲得。姉妹が同じ大会で揃って金メダルを獲得したのはオリンピックに出場した日本選手としては史上初の快挙。
※9 西矢椛を抜き、五輪日本人史上最年少(12歳11か月)でのメダル獲得。
話題となった海外選手
いざ種目が始まると、SNSでは選手たちの話題で持ちきりになり、日本人選手だけでなく、何人もの海外選手が話題となった。
- オルガ・リパコワ(カザフスタン)
ロンドン五輪陸上三段跳びの金メダリストで、開会式の入場時に登場したリアルにファイナルファンタジーのプリンセス。インスタグラムではマスクを外した姿も披露している。なお、美しすぎる美貌で話題となった彼女だが、この当時36歳で2児の子を持つ母親である。
- ジュリアナ・アルサーディク(ヨルダン)
ヨルダンのテコンドー代表で、同国の旗手も務めた。容姿がレディー・ガガに似ていたため、日本を含む世界中の視聴者の間で話題となる。
- ダリア・ビロディド(ウクライナ)
柔道女子48キロ級の選手で、同階級で銅メダルを獲得。モデル顔負けの美貌とスタイルの持ち主で(実際、過去にはモデルに勧誘されたこともあったとか)、日本でもインスタグラムのフォロワーが続出する等話題に。
- バレンティナ・アコスタヒラルド(コロンビア)
コロンビアのアーチェリー代表選手。ビジュアルだけでなく、弓を構える姿も美しいと評判になり、心を射抜かれてしまいファンになってしまった日本人も多数存在。
- アフマド・ハフナウィ(チュニジア)
競泳の男子400メートル自由形の金メダリスト。年齢18歳、予選8位でギリギリ通過、他の国に比べて明らかに少人数のスタッフ、しかもコースは一般的に不利とされている外側という環境から自己ベストを3秒近く更新して優勝という漫画や映画でも盛りすぎな展開で日本人を感動させ、「チュニジアの選手」としてトレンドワード入りした。同時に喜びすぎてカニ歩きしていた彼のコーチもトレンド入りしている。
- 楊勇緯(ヤン・ヨンウェイ)(チャイニーズ・タイペイ)
柔道男子60キロ級の銀メダリスト。惜しくも高藤直寿に破れ銀メダルとなったが、なかなか技を決めさせず、延長戦までもつれ込ませた末に指導3回による反則負けと、いつ逆転してもおかしくない奮闘ぶりだった。まるでアイドルのようなイケメンでもあり、試合後には彼のインスタグラムをフォローしにいった日本人も多かったという。
- ダニエル・カルグニン(ブラジル)
柔道の男子66キロ級準決勝で阿部一二三と対戦し、敗れるも、三位決定戦を制して銅メダリストとなった。彼の胸には漢字で「家族」というタトゥーが刻まれており、柔道の母国である日本へのリスペクトとその文字から伝わる彼の人間的な温かさが賞賛された。
- シモーネ・バイルズ(アメリカ)
前回リオ五輪で女子団体・個人総合・跳馬・床で金メダルを獲得し4冠を達成したアメリカ女子体操の大エース。当然本大会でも大活躍することが期待されていたのだが、コロナ禍による開催の延期や無観客開催、大会期間中におばが急逝した事による精神的ストレスを理由に、団体総合決勝を途中で棄権、さらに、個人総合、種目別跳馬、種目別段違い平行棒を棄権した(その後種目別平均台には出場し銅メダルを獲得。この時、順天堂大学で練習施設を借り受け、個人で極秘のトレーニングを行っていたことも明らかとなった)。彼女の行動は出場選手のメンタルヘルスの問題に大きな一石を投じることとなり、日本を含む世界各国で大きく報道されることになった。
- トーマス・デーリー(英国)
男子シンクロ高飛び込みの金メダリスト。実は男性のパートナー(飛び込みでペアを組んだ選手とは別人)がおり、(代理出産)で息子もいるというイクメンパパでもある。編み物が趣味でメダルを入れるポーチも自作しており、優勝後その様子がインスタグラムに投稿されるとハイクオリティで非常にかわいいと評判になり、「編み物王子」と称された。その後もいくつもの作品を完成させており、ファッション業界からも注目されているらしい。
- パリ五輪にも出場し、開会式では旗手を務めた。同大会でも男子10mシンクロ高飛込で銀メダルを獲得しており、出番の後はまた編み物をしていた。
- モニカ・アボット(アメリカ)
ソフトボールアメリカ代表の投手。13年前の北京オリンピックで日本代表最大最後の壁として立ちふさがった身長191cmの超大型サウスポー。実はソフトボールが五輪種目から消えた後、2009年からトヨタのソフトボールチームに在籍しており、本大会で日本の新生エースとして活躍した後藤希友の師匠的存在だった。13年の時を経て13年前のチームメイトであったオスターマンと共に登板。同じく13年前、日本のエースとして投げ続けた上野由岐子と対決するという奇しくも北京五輪を再現するような対戦カードとなった。ちなみに試合では腰の後ろにタオルを下げたスタイルが相撲のまわしのようだと話題になった。
- エドガルス・クルミンシュ(ラトビア)
今大会初登場種目バスケ3x3のメンバー。決勝戦の試合途中足を捻挫するが、「いいからテーピングだ!」と言わんばかりに何度もぐるぐるにテーピングし、意地でも試合に出るという覚悟と執念で復帰、その姿は完全に彼と重なっていた。終盤にはとうとう足が動かなくなるが、最後まで戦意は失わず、鼓舞されたラトビアチームはROC(ロシア)との接戦を制し、見事初代王者に輝いた。
- 鄧宇成(チャイニーズ・タイペイ)
アーチェリー男子団体のチャイニーズ・タイペイ代表メンバー。実は日本のゲームやアニメが大好きなオタクであり、矢を放つかけ声にソーシャルゲーム『Fate/GrandOrder』に登場するアーラシュの宝具「流星一条(ステラ)」を使用している事がFacebookの質問で判明している。日本ではニュース番組にて試合でも使っている様子が元ネタのキャラクター紹介付きで放送され、10点を連続で叩きだし見事銀メダルを獲得した。この一報によりSNS上では「アーラシュ」の名前がトレンド入りしたり宝具演出風に加工した鄧選手の画像の他、「現代のアーラシュ」、「台湾のアーチャー」、「リアルサーヴァント」といった通称の投稿が大量に飛び交った。ちなみにプライベートではリゼロキャラクター塗装の痛バイク写真をインスタに上げている。
- ミハイン・ロペス・ヌネス(キューバ)
レスリング・グレコローマンスタイル130kg級金メダリスト。北京大会から4大会連続金メダル、個人種目では史上7人目のオリンピック4連覇を成し遂げた。レスリングでは前回リオ大会で達成した女子の伊調馨に次いで2人目、男子では霊長類最強の男と呼ばれたアレクサンドル・カレリンですら達成できなかった大記録である。
- スカイ・ブラウン(英国)
新種目スケートボード女子パークで活躍した13歳の若き銅メダリスト。実は英国人の父と日本人の母を持つ宮崎県生まれのハーフ。現在はアメリカのカリフォルニアを活動拠点としているが、英国のスケボー選手権大会でも優勝しているれっきとした英国代表である。オリンピック競技の間に流れる「Galaxy」のcmにも出演している。ちなみにスカイは漢字で「澄海」表記であり、名前の通りサーフィンも嗜んでいる才女。同競技銀メダリストの開心那とも仲が良く、国際大会の度に遊ぶほどだという。
- 岡本碧優(日本)
スカイ・ブラウン同様に新種目スケートボード女子パークで4位に入賞した日本人選手。ちなみに、名前の読みはみすぐ。彼女は予選を堂々の一位追加した後に決勝に挑み、そこでも高得点を叩き出した。そして、演技の最終段階で安全策を取ればほぼ銀メダルは獲得している中でも、敢えて安全策を捨てて高難度の技を決めに冒険に出て失敗し、あえなく四位に終わった。しかし、そんな彼女に対して女子パークに出場していた選手たちは全員彼女を称え、まるで優勝選手であるかのように担ぎ上げた。その姿は、選手同士でリスペクトし合うスケートボード競技のすばらしさと、本来のオリンピック精神そのものの体現であるとして、数多くの人々に感動を与えた。なお、このシーンが評価され、岡本以外の7選手にフェアプレー賞が贈られた。
- ダミアン・キンテロ(スペイン)
新種目空手男子形の銀メダリスト。彫の深い顔立ちで、渋くワイルドなひげを生やしたイケオジな風貌から格ゲーのキャラや映画俳優の様だとTwitterで話題になった。ちなみに、ダミアン選手に限らないが、空手の形に出場する選手そのものが美男美女が多いと話題になった上に、形の動きそのものが格闘マンガのバキを彷彿させるとしてTwitterをにぎわせた。
男子走り高跳び金メダリストの二人。冗談ではなく二人共本当に金メダリストである。走り高跳びは選手の記録が並んだ場合、全体の失敗数で勝敗が決まるが、そこでも同じだった場合、ジャンプオフという優勝決定戦が行われる。しかし、対象者が全員棄権するとそこで最終記録となり、複数人の一位が成立する。国籍は違えど二人は同じ競技を通して熱い友情で結ばれており、「ジャンプオフしますか?」という審判員の問いかけにバルシムは「金メダル2つって可能か?」と逆に問う。可能という返事を聞いた瞬間二人は手を取り、喜びを分かち合った。ちなみにオリンピックの陸上競技で同記録による複数人の金メダリストが誕生するのは、1912年ストックホルム五輪以来実に109年ぶりである。
- チーム・ウズベキスタン(ウズベキスタン)
新体操団体予選ボールでメンバー5人が大人気アニメ『美少女戦士セーラームーン』の主人公風衣装で登場。演目BGMにも主題歌「ムーンライト伝説」の伴奏アレンジが使われ大きな話題になった。
- イタリア代表チーム(イタリア)
新体操団体予選ボールで黒と桃色の着物風衣装で登場。インスタグラムにもメンバー5人が鮮やかな浴衣を着たオフショット写真を上げている。
- 自転車競技男子イタリア代表もイタリアオリンピック委員会の公式Twitterでギニュー特戦隊のポーズを披露。ちなみにこの5人、ギニューを担当したエリア・ヴィヴィアーニ選手はオムニアム銀メダル、後ろ4人はパシュートの金メダルチームとフリーザもビックリなエリート集団である。
- アーティスティックスイミングスペイン代表(スペイン)
デュエットテクニカルルーティンの種目にて野球のユニフォーム風衣装と野球をテーマにした演目を披露。「イチロー」「松井秀喜」「大谷翔平」といったメジャーリーグ日本人スターの実況やアナウンスが登場し、彼らの走攻守揃ったナイスプレーを水面の上で見事に表現した。この斬新なアイディアはスペイン代表ヘッドコーチに就任していた藤木麻祐子コーチによるもの。残念ながらメダルには届かなかったが、ネット上では観客がいなかったことを非常に悔やまれた名演技として記憶に残された。
- ミルティアディス・テントグルー(ギリシャ)
男子走り幅跳びの金メダリスト。左手をグーにして地面に拳を付け、もう片方の手を膝に付けるというルフィのギア"2(セカンド)"のパフォーマンスで入場。実は彼、インスタグラムにアニメアイコンを使ったり、自分のインスタネームで自分の名に「D」を入れてしまうほどのアニメファン。インタビューで何のポーズかわからなかったインタビュアーには「わかる人にはわかる」とはぐらかしていたが、「教えてくださいよ」とインタビュアーにせがまれ、「ワンピースの"ギアセカンド"。ルフィのパワーアップ技だよ」と嬉しそうに語っていた。ちなみに公式も把握済み
- ペイトン・オッターダール(アメリカ)
男子砲丸投げの選手。こちらはフランキーの「スーパー!!!」の掛け声とポーズで入場している。腕のグルグルまで再現するこだわりっぷりである。
- 400mリレー参加チーム
かめはめ波(中国)、ジョジョ立ち(ドイツ)と漫画ポーズを再現する国や、ジャマイカのようにお辞儀で入場する国など、それぞれの思う日本っぽさを競うような入場パフォーマンスが話題となった。そういう種目じゃねぇからこれ!
男子マラソンの銀メダリストと銅メダリスト。熾烈なメダル争いとなったレース終盤、前を走るナゲーエ選手が後方のアブディ選手に対し「お前も来い」と手招きするような仕草で鼓舞し、これに応えラストスパートをかけ共にメダルを勝ち取った。実はこの両選手は治安が非常に悪いことで知られるソマリアからの難民であり、現在も同じチームで練習している間柄である。亡命先は違えど変わらぬ絆が大きな反響を呼んだ。
- レーベン・ソーンダーズ(アメリカ)
女子砲丸投げの銀メダリスト。
髪の毛を半分緑と紫に分けて染め、モンスターのような大きな口をデザインしたマスクで競技に挑む姿が超人ハルクのようだと大きく話題になった。
黒人で同性愛者という複雑な経緯を抱えており、表彰式では腕を大きく×の字にしたことで禁止されている表彰台での抗議活動にあたると問題視されたが、調査は中止となり現状はおとがめなしとなっている。
- 南スーダン選手団
建国から10年、初のオリンピック出場となった南スーダン代表。
国内に十分な練習環境がない事から日本の群馬県・前橋市に2019年11月14日に1週間の合宿を行う為にオリパラ含む4選手とコーチ1人の5人が来日。偶然TV番組の密着を受けた事で話題に。
しかし世界的パンデミックにより帰国は不可能になり、滞在も危ぶまれる中オリンピックも延期。そんな中で前橋市はクラウドファンディングやふるさと納税で滞在費の協力を全国に要請。更にTV番組も密着を続行した事で知名度も広まり資金が集まり期間にして1年9ヶ月、2度の年越しをする超長期合宿を行った。この件は開会式、競技の選手紹介でも前橋市との繋がりを紹介された。
結果は全て予選敗退となったが、男子1500mのアブラハム選手がナショナルレコードを更新。そして前橋市から惜しまれつつ、多大な支援を受け沢山の友情を育んだセカンドホームから1年10ヶ月ぶりに南スーダンへ帰国した。
競技以外で話題になった人
- 瀬尻稜
スケートボードのストリート種目の解説者。ビタビタ、ゴン攻めなどの独特のワードセンスと緩い若者言葉を使いながら、技そのものにはわかりやすい解説を入れることから、Twitterで話題になった。また、実況を担当したアナウンサーのコンビ芸にもハマる人が続出した。
- 慣れてくると技の後彼が言う「いいっすねぇ」や「やばいっす」でおおよその採点が分かるらしい。
- 3年後のパリ大会でも解説を担当し、相変わらずの馴染みやすいトークで「地獄ヒート(大混戦状態)」という新たなフレーズに加え、「スケボーがあれば世界の誰とでも仲良くなれる」「コンテストも最高だし街中で滑るのも最高。好きな人が続けられる環境が続いてほしい」など、心が温まるいくつもの名言を残した。
- クリスツィナ・ツィマノウスカヤ(ベラルーシ)
100mと200mの短距離走専門の陸上選手で活躍する、はずだったが彼女の名はスポーツではなく政治問題で有名になった。開幕後にコーチ陣から予定外だった400m走への出場を強要され、嫌がる旨やコーチ陣の不手際が原因の問題だと批判をSNSの動画で投稿。ところが8月1日にコーチ陣や本国関係者は彼女を無理やり羽田空港へ連行し強制帰国させようとした。空港へ向かう車中で祖母からの帰ってきてはいけないという警告の連絡を受け、ベラルーシはルカシェンコ大統領による独裁国家であるため、帰国後の身の危険を感じた彼女は空港で日本の警察に亡命目的の保護を求めた。この時空港には事態を察知した支援者やジャーナリスト、五輪組織委員会職員もおり、彼らの手助けもあって彼女は無事保護され、ホテルでの宿泊後に亡命を受け入れた駐日ポーランド大使館に到着。8月4日にポーランドへ向け出国した。21世紀でありながら冷戦期さながらの亡命劇が今大会で起こってしまった。
元サッカー日本代表で、今は引退して解説者となっている。今大会ではピッチレポーターとしてサッカー日本代表の試合後インタビューを行った。
代表のキャプテンであった吉田麻也との仲は現役時代からも知られており、インタビューの日はチームが勝利したこともあってTV放送の最中でありながら選手とレポーターの域を越えたフレンドリーなやり取りが話題となった。
一方インタビューの質も選手たちから専門的かつ聞き甲斐のある回答を引き出すなど、サッカーファンを納得させる素晴らしい内容だったと高評価を得ている。
正確にはユニコーンガンダム。トライアスロンのコースやスポーツクライミングの会場で背景に見える巨大なオブジェクトとして異彩を放ち、ガンダムファンを喜ばせた。
ところが世界的にはガンダムと言われてもわからない実況アナウンサーも多く、更には変形するシステムもあることから、イギリスでは世界的に有名なロボット作品トランスフォーマーと勘違いされ、ファンから怒りの声が飛びかい、謝罪までする騒ぎとなった。しかし、そこからただで転ばないのが紳士の国英国。ついでに「ガンダムとトランスフォーマーのオリンピックでの戦いでは、どちらが勝つでしょうね?」と両作ファン同士が対立しかねない疑問まで投げかけてしまった。
ちなみにトランスフォーマーはアメリカの作品ではあるが、オプティマス・プライム(所謂コンボイ司令官)をはじめとするメインキャラクターの数体は日本がルーツだったりする。
余談
・大会の環境や設備の関しては選手や諸外国からも評価が分かれ、ウリにしていたおもてなしも満足にできなかった本大会だが、ラグビーワールドカップ2019と同じくコンビニに関しては海外記者から絶賛されている。
試合模様もさることながら、海外記者のSNSアカウントでは「人生で過去最高のタマゴサンドを食べた」、「アイスコーヒーの種類が豊富過ぎる。天国かここは」、「どこのトイレも綺麗すぎる」と本職そっちのけでレポートしている事も。
また、とあるレポーターがコンビニおにぎりの開け方がわからず苦戦しているという投稿を上げた時には日本人からアドバイスするリプライが多数届き、後で無事に開けることができるようになったと感謝していた。
意外なところで日本のおもてなし精神が発揮されたようである。
・選手村の食事の質は選手たちが「持ち帰りたい」と太鼓判を押すほど美味しかったという。パリ五輪では量や食堂の整備があまり整っていないという報道があり、イギリスの選手が「前回大会より格段に悪い」と愚痴る程だった。
・上記の中国の他にも『ドラゴンボール』のかめはめ波のポーズをしていた選手は複数おり、世界のトップアスリート達にも日本の漫画・アニメ文化が親しまれている事を改めて知らしめた大会だった。ちなみに次期五輪開催国となるフランスの国賓として五輪開会式に参列していたマクロン大統領はその後ゲームクリエイターや漫画家と面会していたらしい。
・陰でこのオリンピック一番の功績は、ゲーム音楽を大衆文化として認めてもらえた事ではないかという声がある。これまでゲームという媒体発信である都合上、どうしても音楽業界では距離を置かれたゲーム音楽が世界的発信の場で堂々と使われたことで、ゲーム音楽、更にはゲーム文化が大きく地位を上げた。テレビ朝日では21年の12月に、『テレビゲーム総選挙』というテレビゲームの特集番組まで組み、そのランキングがガチ度具合からファンに高く評価された(もちろん冒頭にはオリンピックで使われたことも取り上げている)。そのせいか、任天堂が降板させられたことはより一層悔やまれる事になった。
このオリンピックの後、「ドラゴンクエスト 序曲:ロトのテーマ」の作曲者であるすぎやまこういち氏が9月30日に死去。その時には多くのファンがこのオリンピック入場曲を思い浮かべていた。
別名・表記ゆれ
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外部リンク
https://togetter.com/t/東京五輪・東京オリンピックに山のような問題点(の一部)がまとめられている
もしくはニコニコ大百科も参照のこと