概要
2016年リオデジャネイロオリンピック閉会式での2020年東京オリンピックへの引き継ぎセレモニーにおけるPVで、赤いボールをリレー形式で受け取った安倍晋三内閣総理大臣。朝9時30分、公務車に乗って国会議事堂を出発し、閉会式へと向かうが、このままでは到底間に合いそうにない。そこで首相が座席に置かれていた「TOKYO」の文字が入った大きな赤い帽子を手にすると…
なんと、マリオに変身してリオデジャネイロに向かおうとする。
ボールを手に東京の街を駆けるマリオを、タイミング良くタケコプターで空を飛んでいたドラえもんが発見する。ポケットから「地球の裏側まで通す土管」を取り出し地面に設置、土管の先に付いたドリルは地下を掘り進み、地球の反対側、リオへと到達する。
マリオは「RIO(リオ)」と書かれたパンフレットを取り出すが、広げると「MA RIO(マリオ)」になるという言葉遊びが。そして、ブラジルと日本の国旗を手にしたドラえもんに見送られながら、マリオは勢いよく土管の中に飛び込む。 重力の関係からか、途中でマリオは上下反転。カウントダウンとともに近づく光の出口、その先には…
土管からパワーアップの効果音とともにマリオが姿を現したのは、閉会式真っ最中のスタジアムのド真ん中。地球の中心を通過するという大技により、セレモニーに無事間に合ったのだ。マリオから元の姿に戻った安倍総理は、帽子を振って観客に挨拶をした後、リレーされてきたボールを高く掲げた。ここにゲーム界のスーパースターと一国の首相という前代未聞のコラボレーションが果たされたのである。
あくまでもこの安倍マリオはセレモニーの一部分に過ぎないが、非常にインパクトあるものとなった。
ちなみに、「安倍首相がマリオの衣装を着て土管から登場」というパフォーマンスを発案したのは、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長の森喜朗氏。直接首相にお願いしたところ、快諾してもらったらしい。
このパフォーマンスに世界中から驚きと称賛の声が相次ぎ、安倍マリオというワードがツイッターのトレンドにもなった。
また、海外の一ユーザーが一連のパフォーマンスを観て、「なんて時代に生きているのだろう」という感想を残している。
それほど人々の記憶に強烈に残るパフォーマンスだったと言える。
その他
ちなみにこのセレモニーにはきちんとしたタイトルがあり、「トーキョーショー」というタイトルである。
安倍マリオの登場前には、日の丸に見立てた赤いボールを北島康介などの日本人アスリートや大空翼やハローキティなどのキャラ達がリレーするという構成になっている。
セレモニーのラストには花火と共に『スーパーマリオブラザーズ』のゴールのファンファーレで締めくくるという粋な演出が行われた。
プロデュースには椎名林檎、クリエーティブディレクターの佐々木宏や菅野薫、振付師のMIKIKOが参加。椎名の他に中田ヤスタカも音楽で参加。
余談
- 何故マリオが選ばれたのかについての疑問は少なくなく、「メディアミックスが盛んな(特に大会直前に世界規模で大フィーバーを起こしていた)ポケットモンスターの方が適任では?」との声もあったが、マリオシリーズの方が累計販売数が多く、世界的な知名度が遥かに高い事から選出されたらしい(そもそもこのショーの検討チームが発足したのは2016年1月のことであり、その時点で7月の『ポケモンGO』ブームを見越すことは不可能であろう)。また、宗教上否定すべき“偶像崇拝”と“進化論"に抵触するとして『ポケットモンスター』を認めない国があることへの配慮ではないかとする見方もあるが、確たる裏付けはない。
- マリオが赤いボールを持つといった作品として過去に8bitPCでハドソンが任天堂の許諾の下に制作した『パンチボールマリオブラザーズ』というゲームが存在する(『マリオブラザーズ』のシステムにボールで攻撃する要素を採り入れたもの)。その為この作品をネタにする人もいた。
- 安倍マリオの他に地球の中核層を通り抜けた演出で「内核通り大臣」と呼ぶ人もいる。
- 安倍首相のインパクトが強すぎてあまり話題になっていないが、マリオとドラえもんが映像内で共演したのも今回が初めてのことである。
- 閉会式から約二週間後、中国・杭州で開催された20カ国・地域(G20)首脳会議では、各国首脳が安倍首相に、「マリオ!」と呼びかける場面が多々あった。特に世界銀行のジム・ヨン・キム総裁は、「思春期で普段は口をきいてくれない息子が、セレモニーを見て『日本の首相はクールだ』と言っていた。『安倍は親しい友人だ』と答えると、親子の会話が戻った」と感謝したという。(日経新聞9/6付記事より)
- 翌年に発表・発売された「スーパーマリオオデッセイ」において、帽子(カブロン人)のキャッピーを被せることによりマリオが他者に乗り移れるキャプチャーの能力が登場し、実はこのときの安倍首相は本物のマリオにキャプチャーされて操られていたのだ!というネタも生まれた。
- セレモニーではここまで大きくフィーチャーされたマリオだったが、東京オリンピック開会式の選手入場で日本のゲーム音楽が使用された際には、何故かマリオをはじめとする任天堂の楽曲は一曲も使用されず、視聴者の間では残念がる意見も少なくなかった。閉会式での使用に期待する声も相次いだが叶わなかった。理由は明らかにはされていないが、一部では「任天堂がJASRACやeスポーツ連盟に加入していない」ことや、「電通の佐々木宏が演出統括になった際、本来出演予定だった任天堂キャラを排除した」ことなどが挙げられ、さまざまな憶測を呼んでいる。
関連タグ
安倍晋三 マリオ(スーパーマリオ) リオデジャネイロオリンピック
パックマン …セレモニーに登場したもう一人のコンピューターゲーム出身のキャラクター。
エリザベス2世 …ロンドンオリンピックでボンドガールをやってのけた御方。こちらはイギリス王室である。