東京23区の東部にある特別区。隅田川と荒川に囲まれた地区の南半分(北半分は墨田区)。
区内は、門前仲町や木場、東陽町、豊洲に代表される深川地区、砂町や亀戸、夢の島に代表される城東地区に二分される。深川地区の北部は江戸の昔からの市街地であるが、隣接する城東地区や墨田区ともども、大戦中に激しい空襲(東京大空襲)を受けて壊滅、数万人の死者を出す甚大な被害を受けた。
区内は全体に平坦で山や丘はないが、大小の川や運河が縦横に走り、水辺空間が豊富。江戸の面影をわずかに残す下町あり、埋立地の工業地帯あり、タワーマンションが林立する人口密集地あり、広大な公園やオフィス街もありと様々な表情がある地域。
1990年代までは都心への移動には東西を横断する交通手段しか存在せず、江戸川区・杉並区と似たような惨状だったが、2000年代に都営大江戸線開通・半蔵門線が延伸した事で南北の縦断も容易になった。
その結果区内に(同じ住所の別路線の駅をまとめて1つと数えても)26もの駅があり、千代田区・中央区・港区にほど近く、また世田谷区ほど広くない分乗り換えにも苦労しないので交通アクセスには非常に恵まれている。このため高層マンションが激増しており、ベッドタウンとして区民を増やしている(2015年に住民が50万人を突破)...が、子どもが増えすぎて保育園や小学校不足に陥り、2000年代にはマンション建設を規制していた時期がある(現在は解除)。
湾岸部にはコミックマーケットが開催される東京国際展示場や豊島区のアムラックスから移転したMEGA WEB、ダイバーシティ東京プラザやZepp東京(ただし台場の住所は港区)、豊洲PITなどがある。
また、長らく環境問題が騒がれつつもようやく移転が完了した豊洲市場もここにある。
かけ祭とも言われる深川祭は、江戸三大水祭りの一つでもある。
区内の大部分は江戸時代から続く(ゴミ処理を含む)埋立事業によって造成された埋立地であるが、高度経済成長期に入るとその埋め立てられた膨大なゴミを原因としてハエの大量発生や悪臭などの公害が深刻化した。
当初、東京都は都内全区に処分場を建設する事を約束していたものの計画が難航、これに対して江東区議会は、
「各区自前のゴミ処分場を持つのに賛成するのか反対するのかハッキリしろ。答えなかったり対応が不十分なら、もう江東区内にゴミを持ってくるな!」
とブチ切れた。これに対し、東京都は都内各地の処分場建設を更に進める事を約束したものの、かねてより処分場建設の反対運動が(東京都の土地選定が杜撰だったという事もあって)激しかった杉並区ではなおも反対派住民の議会妨害が相次いでおり、最終的に1974年に都と住民との間で和解が成立するまで、合計3回も江東区は杉並区からのゴミ搬入を阻止するという実力行使に出る事になっている。
乗換駅は多いが区内に亀戸方面と臨海副都心方面を繋ぐ鉄道が存在しないため、同区でありながら亀戸〜新木場間のアクセスは滅法悪い(一応、錦糸町駅始発の都営バスが亀戸駅前~新木場駅間を直通しているが、本数はお世辞にも多くはない)。
この両駅間を鉄道だけでアクセスするには区内のみで完結するルートは2020年現在存在せず(JR越中島駅のすぐ西で京葉線と都営大江戸線が交差しているものの、スペースの都合上大江戸線の駅は設置されていない)、最短でも二駅だけ江東区外(中央区月島の月島駅および墨田区江東橋の錦糸町駅)を経由する必要がある。このような状況から、現在江東区では豊洲駅と住吉駅を結ぶ地下鉄新路線建設のための準備を進めている。