2006年1月26日にPlayStation2専用として発売された、『アルトネリコ』3部作の1作目。
正式なタイトルは『アルトネリコ 世界の終わりで詩い続ける少女』。便宜上、ここでは『アルトネリコ1』と表記する。
主人公がヒロインの精神世界へと潜り、絆を深めるシステムを採用していることから、ジャンルの名称は「ムスメ調合RPG」。
作品世界における宇宙の構成から登場する種族の成り立ち、作中で謳われる架空の言語まで膨大な設定が導入されており、それらが醸し出すちょっとやそっとでは味わい尽くせない濃密な世界観が魅力。
概要
過去の人災によって大地が失われてしまった惑星・アルシエル(Ar ciel)を舞台に、詩魔法と呼ばれる特殊能力を行使することができる種族「レーヴァテイル」を巡る冒険を描く。
基本はファンタジーRPGなのだが、ネタやエロの要素が非常に多く、しばしばギャルゲーやエロゲ扱いされる。ただし、ゲームそのものはよく作り込まれており、主題歌『謳う丘~Harmonics EOLIA~』をはじめとした楽曲群(特に後述するヒュムノスによるボーカル曲)のクオリティも非常に高く、ストーリーとの関連も密接であるため、その部分を愛するファンも非常に多い。詩(うた)を主題に据えたゲームとあって、楽曲への気合の入りようから「RPG付きのサウンドトラック」などと呼ばれることも。
登場人物
メインキャラクター
テル族
プラティナ
天覇
エル・エレミア教会
ファルス司祭(カイエル・クランシー)
その他
用語
アルトネリコ
タイトルにもその名を冠する、物語の中心となる巨大な塔で、「惑星アルシエル」に三つだけ存在している。ヒュムノス語で「唯一の御神木=世界樹」の意。大地も空もあった大昔に建造されたもので、劇中では単に「塔」と呼ばれることが多い。アルシエルでは、過去の大災害により大地のほとんどが失われており、人々は唯一残された塔とその周辺の僅かな大地の上で生活している。災厄によって惑星全域が「死の雲海」に覆われているため、そこに暮らす人々にとっては塔の周辺が世界のすべて。
『アルトネリコ1』に登場するのは三つの塔の一つ、「アル・トネリコ」と、それを囲む浮遊大地「ホルスの翼」で構成された「ソル・シエール」と呼ばれる隔絶された地域。
レーヴァテイル
ロストテクノロジーの塊である塔から力を借り、詩を謳うことで「詩魔法(うたまほう)」と呼ばれる力を操る能力を持つ種族で、基本的に女性のみ存在する。塔の管理者として最初に生み出された3体の「レーヴァテイル・オリジン」と、オリジンをベースに生み出される「β純血種」、人間とレーヴァテイルの混血の女性の中で、レーヴァテイルの能力が発症した「第三世代」が存在する。
第三世代はレーヴァテイルとしての因子を塔に誤認識された人間であり、レーヴァテイル質が発現することで人間としての生命力が奪われるようになる。そのため他者の助けを借りて定期的に「延命剤」を投与(インストール)しないと生きていけないのだが、投与には苦痛を伴う上に、長らえたとしてもその寿命は40年程度。延命剤の流通事情も三つの塔で異なっている。
……と、ここまではいいのだが、シリーズ最初の延命剤投与の場面であるオリカとライナーのやり取りを聞いていると、どうもアレな行為を行っているようにしか思えない。当初、このシーンにそんな意図はなかったようだが、二作目からは確信犯であろう。ちなみに第三世代は信頼する相手にしかインストールポイントを晒さず、彼女らにとって延命剤のインストールをプライベートな間柄の相手に託すということは、意味合いとしてそういう行為と大差ないらしい。
ヒュムノス語
本作に登場する架空の言語で、本来は塔を制御する詩。独自の単語・文法が存在する。正式には「ヒュムノスエクストラクト」。古代語であるためほとんどの人は使用不可能だが、塔の加護を受けたレーヴァテイルは無意識に理解し、使用することができる。劇中ではレーヴァテイルの詩魔法や、挿入歌であるヒュムノスなどに使われる。
壮麗で複雑な詩の数々はプレイ経験の有無を問わず聴く者を惹きつける一方、コーラスが多くどこをどう謳っているのかわからなくなることもざらで、音を追いかけるのも一苦労。実際に謳うとなると難易度は推して知るべしである。
詩の内容が訳されることはないものの、公式サイトに設置された「ヒュムノサーバー」をはじめとした翻訳ガイドが存在するため、プレイヤー自ら詩の意味を調べ、好きな形に翻訳するといった二次的な楽しみ方もできる。
システム
戦闘システム
作品ごとにシステムは異なってくるが「前衛が後衛のレーヴァテイルを護りつつ戦い、後衛のレーヴァテイルが強力な詩魔法を放つ」というのが基本。前衛のみだとザコ戦すら厳しいが、レーヴァテイルの詩魔法は、使い方次第ではラスボスをも一撃で倒す程の威力を持っている。詩の詠唱が長くなるほどに威力・効果とも増すため、シリーズの戦闘シーンは詩と共にあると言っても過言ではない。
コスモスフィア
レーヴァテイルの心の中に存在する階層構造を持った精神世界。ここにパートナーが「ダイブ」し干渉することで、レーヴァテイルは詩魔法を紡ぎ出す。レーヴァテイルが信頼関係を構築したパートナーにしか許さない行為であり、そのパートナーでさえも意識の深くへ潜っていくことは容易ではない。
精神世界故にその世界観はレーヴァテイルによってバラバラで、コスモスフィア内に現れるレーヴァテイル本人は、人格の異なる側面を反映する形で、現実とは異なる性格を持って振る舞うことも多い。「心の護(こころのもり)」と呼ばれる精神世界の守護者が存在し、本人が望まない干渉を阻止する役割を果たしている。
レーヴァテイルが抱える心の問題を解決したり、成長を促したりすることでパラダイムシフトが発生し、より深層へのダイブが可能となる。一般的な深層意識である第9層に近づくほどに、より強力な詩魔法を紡ぐことができるようになる他、階層が進むごとに各人格が纏っていた衣装を、レーヴァテイルが現実でも着られるようになるという要素もある。
作中ではアドベンチャーゲーム方式で進行するパートだが、発生するイベントは色々とヤバイ(エロい)ものが多く、多感な年頃の少年少女のぶつかり合いということもあってシリーズがエロゲ扱いされる要因の一つ。ただし、エロだけに期待していると容赦なく女の子の暗黒面を見せ付けられたりして、精神的に大ダメージを負う恐れもあるので要注意。
関連イラスト
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