概要
従来、石油を輸送するタンク車は最高速75km/hで設計されてきた。これは当時の一般的な貨物列車に揃えた結果であるのだが、時代の変化で鉄道貨物の主流がコンテナ車を用いた高速貨物列車に置き換わり、コンテナ化に適さない専用貨車※1においても同等の高速化が求められるようになった。専用貨車の代表例でもある石油輸送列車をコキ50000と同じ95km/hで運転可能とすべく開発されたのが本形式である。
構造としては先代のタキ43000形を踏襲したが、タンク体を大型化させ荷重がタキ43000の43tから45tへ2t増加した。1993年から現在までマイナーチェンジを繰り返しながら製造が続いている。※2
製造は日本車輌製造と川崎重工業が担当しているが、後者は2007年ロットを最後に受注していない。
民営化後に製造された形式としてはタキ43000の243000番台があるが、完全な新規設計としては本形式が初となった為、従来とは異なる付番法則(形式名-番号)が採用された。※3
(※1 同じ物を大量に運ぶ原料輸送などの場合は、コンテナ自体の容積効率やコンテナ車の積載制限の問題があるため、コンテナ輸送を行うよりも、専用貨車を製造して輸送した方が効率的な場合がある)
(※2 2021年製造のタキ1000-1008が現在ラストナンバーであるが、2011年の東日本大震災で仙台北港の津波により被災した車両や、その他事故での廃車が発生しているため、1008両が同時に存在したことはない)
(※3 民営化後のコキ100系から採用し、以後に登場した貨車はタキ243000番台を除き、全てこの付番法則による。国鉄時代の貨車の付番がわかりにくい独特のものであったのを、電車などと同様に揃えたとも解釈できる)
構造
概ね前級のタキ43000のものを増量しただけに近いが、台枠端梁は安全性向上のため、万一の事故時にせり上がらないよう形状が変更されている。ただし、連結器についてはアメリカのタンク車で使われているようなシェルフ・カプラーは用いられていない。
台車は高速化のため、軸距が延びている。
カラーリング
タキ1000は保有する会社によって塗装が違いさまざまなカラーバリエーションが存在する。
(上が日本石油輸送所有の本形式、下が日本オイルターミナル所有の本形式)
模型化
貨車としては珍しくKATO、TOMIX、マイクロエースの3社から発売されているが、マイクロエースは近年生産を行っておらず、実質的にKATOとTOMIXの2社である。