概要
普通は艦船で言う三番目の艦橋(ブリッジ)を指す言葉である。ただし、現実の世界では普通の船に3つ目の艦橋が存在することは非常に稀(寧ろ無いか?)と思われ、その殆どはアニメ『宇宙戦艦ヤマト』の主役艦「ヤマト」の艦底部にある第三艦橋を指している。
因みに機動戦士ガンダムシリーズに登場するマゼラン級戦艦、サラミス級巡洋艦には、艦上と両舷に3~4基の艦橋があるが、第〇艦橋と呼称するかは不明である。
オリジナルシリーズ
概要
ヤマトの艦底部に支柱で繋がれた構造物。面白い事に、第三艦橋内部は上下対称的に造られており、艦が引っ繰り返っても指揮が執れるようになっている(人工重力が効いているので、普通ならあまり関係は無いと思われるが・・・・・・)。機能的な事に関しては、あまり触れられる事が無い。オリジナル第1作目では、冥王星での攻防で初使用されており、臨時指揮所の様な扱いになっている。
第三艦橋の役目
第三艦橋は、艦橋の補助的な意味合いを持つ部署である。冥王星で転覆した際には、わざわざ第三艦橋に集まって作戦を練っている描写があったりするが、それ以降に活用しているシーンは無い。
実際のところ予備艦橋というよりはどちらかというと乗降ハッチとしての役割で活躍することの方が多い。底面がハッチになっており、開くと2本のスロープが現れる。着水時は舷側のハッチから乗降するが、着陸時にはこちらから乗降することが多い。例えば第1作でヤマト乗組員が行進しながら乗り込んだのがここからであり、『さらば』で空間騎兵隊が惑星へ降下する際に使用したのもここ。『ヤマトⅢ』では上陸時にエアバイクを使って次々とスロープを駆け下りている。ちなみに松本零士の漫画版では、なんとここからコスモゼロを発進させている。
『復活篇』では電算室となっており、全周囲スクリーン型で様々な情報収集と解析に当たる場所となっている(が、またしても悲劇が・・・・・・)。
不死鳥の第三艦橋
どんなに撃たれても頑なに耐えうるヤマトだが、その中でもとりわけ破壊されやすいのが第三艦橋である。良くて大破、悪くて全損・・・・・・ならぬ消滅である。酷い時には一作品中で2回も消滅しているという不遇な場所であり、さらに漫画版・ゲーム版(アニメと被るところは省く)も含めると、計5回(再確認する必要認む)も損失しているのである。
しかし、その尽くは、いつの間にか完全修理されていると言う、今では到底ありえない状態に戻っている。その為、不死鳥とも言える存在で、恐らくは何でもできちゃう男の仕業の可能性が一番高い。
以下は被害歴。
- 【損失】七色星団の戦い(第1作第22話)
- 戦いの終盤、ドメルの乗艦が第三艦橋に取り付いて自爆。第三艦橋どころか艦底部がごっそり抉れる大損傷を受けた。それ以前の被弾も含め、普通に考えて廃艦レベルのダメージを受けているのだが、そこから2か月も経過していない次話では完全回復している(もちろん第三艦橋も)。
- 【損失】ガミラス星での戦い(第1作第23話)
- 回復したのも束の間、ガミラス星内部に引きずり込まれたヤマトはそこにある海に着水。しかしその海は金属なら何でも溶かす有機王水の海であることが発覚し、緊急浮上するものの時すでに遅く、支柱部分が溶けて丸ごと海へ落下した。そして次話では復活している(ガミラスからイスカンダルに行く途中で)。
- 【大破】第11番惑星の戦い(『ヤマト2』第19話)
- 第11番惑星に駐屯していた白色彗星帝国艦隊との戦闘中に被弾。ガワは残ったもののあちこちから煙が噴き出し、内部の乗組員は爆発に吹き飛ばされている。
- 【損失】超巨大戦艦の砲撃(『ヤマト2』第26話)
- 超巨大戦艦の砲撃の雨に晒される中で斜め下方向から来たビームに被弾。ここでは爆発煙が多すぎて分からないが、その後のシーンで第三艦橋が無くなっていることが確認できる。ちなみに映像を流用した次作のプロローグでも確認可。地球の修理ドックで1か月ほどかけて修復された。
- 【大破】カスケードブラックホール(『復活篇』)
- クライマックスにおいてカスケードブラックホールが人工物であることが発覚し、その核を波動砲で破壊するべくブラックホールへ向け突入するヤマトだったが、ブラックホールに流れ込むガスの奔流に第三艦橋が何度も激突し、外殻が壊れて内部の電算室が宇宙空間に露出。無事にブラックホールを消滅させることには成功するも、第三艦橋内にいた乗組員は…。ディレクターズカット版では別展開となったためこの悲劇は起きていない。
- 【損失】超巨大戦艦の攻撃の余波(漫画版『さらば』)
- ひおあきらによるコミカライズ。超巨大戦艦が発射した主砲で砕けた月の残骸がヤマトに衝突した際、大きめのものが第三艦橋の側面から衝突。支柱がもげて丸ごと吹っ飛んでいった。ちなみに意外にもアニメでは健在。
- 【損失】無限ベータ砲に被弾(ゲーム『二重銀河の崩壊』)
- アニメでは波動砲にあっさり押し負けた無限ベータ砲だが、ゲームでは同等の威力の兵器に変更。ヤマトを狙って発射されるものの同タイミングで放たれた波動砲と正面からぶつかり合い、軌道を下にそらされてしまう。そして上昇して回避しようとしたヤマトだったが、ギリギリ間に合わず第三艦橋に命中して損失した。だが、そこから作中時間で半日も経過していないだろう次のムービーでは復活している。
…とまあ散々な有様である。
ちなみにあんな細い支柱で繋がってるせいとよく言われるが、支柱が細いことが直接の原因になってるものは一部に過ぎず、大体は直撃弾による大破損失である。
また、見ての通りひどい損傷は割とシリーズ前半作品に偏っており、シリーズ後半からはあまり被害を受けなくなった。特に『完結編』では結構頑丈な扱いを受けており、序盤と中盤に計2回ほど陸地へ激突しているが、無傷である。
第三艦橋配備だ!
上記の様に、被弾率が極めて高い場所である事から、第三艦橋勤務=死亡フラグとみなされ、座った人間が大体死ぬ「魔の艦長席」と双璧を成している。
これをギャグネタにして、ヤマト系動画を視聴しているファンの間からは、何かあると「お前ら全員第三艦橋配備だ!」とかコメントする者が多かったりする。
まさかの超強化
これらの件がありすぎてか、小学館の月刊誌コミックGOTTAで連載され、第1作から1000年もの未来を舞台にした新宇宙戦艦ヤマトでは、1000年もの長い時間をかけて(一体誰がどうやってやったのかは不明で、作中でも明確には明かされないが)大型化・超強化されたヤマトに伴い、件の第三艦橋まわりも遂に強化された。
作中で佐渡酒造が「何度も溶け落ちるので有名じゃった」と、ついに本編内でも(不名誉な意味で)有名になったこの部分も、その前部と後部に1基ずつ砲塔が設けられ、これまた佐渡先生が言うように恐ろしく強化されている。さすがに反省点がありすぎたからな…。
しかし、連載雑誌の休刊に伴い本漫画も打ち切りで終了してしまい、その本格的な活躍も僅かしか描かれなかった…。
リメイクシリーズ
概要
オリジナルシリーズでは屈指の被弾ヶ所として有名だったが、ところが一転してリメイク版である『2199』ではそのネタを払拭させてしまう存在となった。やけに多かった被弾ヶ所から一転して、ヤマトを護る要として再設定されており、波動防壁展開のための重要な装置が設置されていることとなった。時折、胴体着陸で危ないと思われたものの、無傷だったりする。
第三艦橋の役目
こちらの第三艦橋は、上記したように波動防壁の展開の為に重要な部署となっている。また重力を調整するための慣性制御装置も、第三艦橋に集約されているようで、その重要度の上がり具合も分かる。
ちなみに一応予備艦橋の設定も残ってはいるようで、第一艦橋がやられた場合はここが指揮を引き継ぐ。さらに艦内で抗争が起きた際は、第一艦橋と第三艦橋左右区画の計3か所による多数決を行うシステムになっている。なお、第三艦橋の左右区画は左舷側が男性クルー、右舷側が女性クルーに割り当てられている。
※ただしこれらは設定原案の記述で、「ドラマに合わせて各部屋の設定をしていいと思う」と付記されているものもあるのでそこには留意。
鉄壁の第三艦橋
上記したように、リメイク版第三艦橋は、被弾ヶ所というイメージを丸で捨てており、寧ろ第三艦橋が無ければ沈んでいたパターンがあるくらいで、『第三艦橋=鉄壁』という図式が成り立っても不思議ではない存在である。
しかもオリジナルでは被弾し、2回も消滅したのに対して、こちらは七色星団におけるフォムト・バーガーら爆撃隊の攻撃で、一度は損傷したものの後は全て無傷であった。しかも、零距離でドメルに自爆されながらも、焦げる程度で全損を免れているなど、鉄壁振りは伊達ではない。
または、ガミラス本星が有機王水の設定が無かったため、と言うのもあるかもしれない。
実写版宇宙戦艦ヤマト
第1作をベースにしているため、七色星団の自爆もやや形を変えて再現されている。しかも予告編でそのシーンが使われた。
物語中盤、敵砲艦の長距離砲撃を受け、第三艦橋の支柱が損傷し、要員が艦橋内に閉じ込められてしまう。なんとか敵艦を撃破したものの、直後にステルス艦が下方から接近し、第三艦橋にしがみついて自爆しようとする。ヤマト自体が蒸発するレベルのエネルギーが蓄積していく中、古代の苦渋の判断により、雪のコスモタイガーが支柱を破壊して第三艦橋を切り離す。その直後に敵艦は自爆し、第三艦橋を犠牲にしてヤマトは難を逃れる。この一件が古代と雪の心に大きなダメージを与え、2人の仲を急速に接近させることになる。
なお、この時の第三艦橋には古代の知り合いがおり、彼とはこのシーンの少し前に一度再会しているのだが、彼が元気いっぱいに「第三艦橋勤務です!」と言ったため察してしまった人も多いだろう。
また、そのほかに注目すべき点として、本作では大きな損傷は修復できない仕様のため、中盤に損失した第三艦橋は最後まで復活しない。まあ第三艦橋が復活できるなら波動砲口へ突き刺さったアレも簡単に除去できることになるため、その後の展開が大きく変わってしまうが。
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いかにも分離しそうな外見のため、そういうネタイラストも。